近年では、テレワークやリモートワークが一般化しつつあり、自宅で働く人が増えています。こうした背景から、なおさら紙媒体の文書保管に課題を感じやすくなっているのではないでしょうか。企業が文書管理システムを導入することで、こうした課題をすべて解決することができます。本記事では、文書管理システムの概要や必要性、具体的な選び方について詳しく解説します。デジタル化のプロである「デジタル化の窓口」が厳選した、おすすめの文書管理システムも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
文書管理システムとは
「文書管理システム」とは、紙媒体の文書を電子化して、デジタル媒体で文書を管理するためのコンピューターシステムです。文書管理システムを導入することにより、紙媒体で保管・管理している大量の文書を、すべてコンピューター内部に移すことができます。
文書管理システムは、単に文書をデジタル化できるだけではありません。社内全体で文書の共有や情報の取り出しができること、文書ごとにセキュリティレベルによるアクセス権限を設定できることなど、さまざまな利点が得られるのが文書管理システムの魅力です。
文書管理システムを導入すると、あらゆる情報を社内で効率よく管理・共有できるようになるため、さまざまな業界の企業に導入されています。たとえば、書類契約の期限が近づくと通知を出して手続きの漏れを防いだり、病院で文書と電子カルテを連携させたりするなどの活用事例があります。
文書管理システムとファイルサーバーの違い
文書管理システムとよく似たコンピューターシステムに、「ファイルサーバー」というものがあります。文書の電子化や保管という点で、両者はよく似通っています。しかし、ファイルサーバーは「サーバー」という名称のとおり、文書の「共有」に特化したシステムです。
一方で文書管理システムは、文書の保管と共有はもちろん、文書ごとにさまざまな保管方法を設定できることが特徴です。たとえば、保管や廃棄のルール策定や、文書のバージョン管理も行えます。つまり、文書管理は文書のデジタル化と活用、廃棄までの「ライフサイクル」を管理できるシステムということです。
文書管理システムの必要性について
先ほど解説したように、紙媒体やエクセルでの文書保管にはさまざまな課題があります。企業コンプライアンスの遵守と業務効率の向上のためには、いかに文書を管理するかが重要な課題です。コンピューターで文書を管理する「文書管理システム」には、こうした課題をすべて解決する機能が備わっています。
近年、急速な勢いで企業の電子化・ペーパーレス化が進んでいます。企業が取り扱う情報量が増し続けるなかで、効率化とリスク回避を実現するための最適な方法が、文書管理システムの導入です。自社に合う文書管理システムを選ぶことで、セキュリティ面でもコスト面でも大きなアドバンテージとなるでしょう。
さらに2021年度の電子帳簿法保存法の改正により、電子取引情報の電子データ保存が義務付けされました。経理事務のデジタル化とあわせて、企業の文書管理も電子化する企業は増えています。
文書管理システム21選徹底比較
オンプレミス型 | クラウド型 | 社内文書 | 契約書 | 保管・管理 | 活用 | 作成 | 共有 | マルチデバイス対応 | ワークフロー機能 | トライアル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SmartRead | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
楽々Document Plus | 〇 | × | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
NotePM | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | × | 〇 |
Legaledge | × | 〇 | × | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | × | × | 〇 |
OPTIM Contract | × | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
Documal SaaS | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
EIMANAGER | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | ◎ | 〇 |
MyQuick | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
クラウドサイン SCAN | × | 〇 | × | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
LegalForceキャビネ | × | 〇 | × | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | × | × | × |
booMo | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | 〇 | ○ |
ConTrack | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | × | × | 〇 |
Quickスキャン V5 | × | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × |
Fleekdrive | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | × | 〇 |
DocuWorks | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Global Doc5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
システムディ文書管理システム | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
FastWagbyCloud | × | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
活文 Contents Lifecycle Manager | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
ASTRUX文書管理システム | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
文書管理システム ソリューション | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
box | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
製品のおすすめポイント
- 高精度な文書仕分け&読み取りで データ入力時間やコストを大幅削減
- 誰でも使いやすいUI/UXだから 導入・運用・全社展開もスムーズ
- 充実した外部連携機能で データをすぐに活用できる
製品のおすすめポイント
- ISO文書管理や契約書管理、電子帳簿保存法に対応でき業務の適用性が高い
- 全文検索や高速ビューワ、ワークフローやセキュリティなど、充実した機能性
- あいまい検索や属性検索、自然文検索など検索性能が高い
製品のおすすめポイント
- ウィキペディアのように利用し、情報を書き込み蓄積する
- 高機能の検索エンジンで欲しい情報が簡単に見つかる
- アクセス制限やファイル共有など機能が豊富
製品のおすすめポイント
- Legaledgeで契約書のマネジメント業務とドキュメンテーション業務をシームレスに連携
- 契約書情報を自動で解析してデータ化
- 契約書のレビュー・作成をより快適に
製品のおすすめポイント
- AIが自動で、契約書の管理台帳を作成
- スキャンした契約書をOCR処理でテキストデータ化
- 電子帳簿保存法に則して電子契約を保管可能
- セキュリティ対策も万全
製品のおすすめポイント
- 文書のライフサイクルを自動化し、履歴管理も確実に
- 業務効率をアップする多機能検索や、法規制を順守する電子取引管理
- クラウドならではの利便性と堅牢なセキュリティ
製品のおすすめポイント
- 都合に合わせて運用環境も選べる利便性の高いシステム
- 現場のリアルな課題に応える機能を数多く搭載
- 豊富な導入実績を持つ、安心の支援体制が整えられている
製品のおすすめポイント
- さまざまな条件でスピーディに探せる、多機能検索
- 細かい設定が可能なアラート機能で、作業の漏れを防ぐ
- 電子帳簿保存法の証憑管理に最適な、データ削除・変更の制限
製品のおすすめポイント
- 契約書のスキャン・データ入力の業務を代行
- 契約更新・終了間近の契約書を自動で通知など、リスク管理機能も充実
- 導入から運用、書類返却までのスムーズな流れ
製品のおすすめポイント
- AIによる自動で手間のない管理台帳作成を実現
- 全社での運用を可能にする、柔軟な閲覧権限管理
- 更新期限の自動リマインドなど抜け漏れ回避の機能を搭載
製品のおすすめポイント
- 目当ての文書検索を的確に行う、さまざまな機能
- 各デバイスに最適化されたデジタルブックビューアー
- 誰でもすぐに使いこなせ、オリジナル化も可能な管理機能
製品のおすすめポイント
- 開発文書管理の課題を解決する統合システム
- 操作も快適で、状況の把握がスムーズに行える
- さまざまなフォーマッチ対応する文書解析エンジン
製品のおすすめポイント
- 複合機の操作パネルで保存先フォルダーやファイルが自動化できる
- 連携できるソリューションが豊富で、使い方の幅が広い
- よりセキュリティが強固なLiteスキャンツール
製品のおすすめポイント
- 誰もが使いやすいインターフェイスで業務効率を向上
- 管理者の手間を省く、現実的で豊富な管理機能が魅力
- モバイル活用もできるので、社外からの業務も行いやすい
製品のおすすめポイント
- 複合機とソフトを使って簡単にスキャン、オフィスのペーパーレス化を推進
- 複合機とソフトを活用し、文章管理のセキュリティ性を高める
- IT用機器も含めた効率化の提案、電子化の推進によるデメリットをなくす
製品のおすすめポイント
- ドラッグ&ドロップでファイルを簡単登録、検索しやすくする
- 情報共有の効率化をすすめ、データ化された文章が活用できる
- 権限に合わせて文章の閲覧制限ができる高いセキュリティ性、他にも豊富な機能
製品のおすすめポイント
- Office系の文書をそのままシステムに登録可能、文章をフォルダごとに一元管理できる
- 属性検索や文章内文字、文書名検索など多彩な検索方法に対応
- 履歴管理だけでなく作業履歴にも対応、古い文章の整理も自動で削除する機能を設定可能
製品のおすすめポイント
- Wagby(ワグビィ)はシステムを自動生成できる開発ソフト
- 標準的機能をノンプログラミングで実現可能
- 堅牢なセキュリティと安心したレスポンス性で文章管理も楽に
製品のおすすめポイント
- 全文検索から絞り込み検索まで、多彩で高機能な文書検索機能で文書を発見・活用可能
- 権限機能やPDF保護機能など高度なセキュリティで情報漏洩を防ぐ
- 高いSI力で自社に最適なシステムを作成可能
製品のおすすめポイント
- インターフェイスの改善がなされさらに使いやすく、ワークフロー機能も強化されている
- オプション製品を使用し、使用者のニーズに合わせて機能を拡張
- 年間保守サービスと、操作やプログラムサポートなどさまざまなサポートメニュー
文書管理システムを選ぶポイント5選
文書管理システムを導入する際は、自社に適切な製品を選ぶことが重要です。不適切な文書管理システムを導入すると、せっかく費やしたコストが無駄になってしまうこともあります。本章では、適切な文書管理システムを選ぶために重要な、下記5つのポイントを解説します。
- 導入目的が明確化されているか
- 必要な機能が搭載されているか
- セキュリティ対策が万全であるか
- オンプレミス版かクラウド版か
- マルチデバイスに対応しているか
1.導入目的が明確化されているか
文書管理システムを導入する目的が明確化されており、社内で意思が共有されていることが重要です。そのためには、どの文書をどのような目的で管理したいのか、社内で整理しておきましょう。
社内で保有する文書には、さまざまなものがあります。たとえば、一般的な社内文書のほかに、契約書や稟議書が文書管理システムの対象となることは多いです。契約書や稟議書は極めて重要で影響力が強く、今後も繰り返し参照されるからです。一方で、単なるメモ書きや重要ではない文書は、文書管理システムに含める必要性は低いでしょう。
文書管理システムの対象とする文書の種類が決まったら、現状の文書管理体制における問題点を洗い出します。部門やチームによって課題が異なるため、取りまとめて検討しましょう。たとえば、下記のような課題は多くの企業で見られます。
- 紙媒体の文書の電子化が進まない
- 文書の検索や共有に時間がかかる
- 文書に関する業務を効率化したい
- 契約書や稟議書の承認効率が悪い
- 文書のセキュリティに不安がある
「上記の問題点を解決したい」というのが、文書管理システム導入の明確な目的となります。ただし、すべての課題を解決してくれる製品を導入しようとすると、相当のコストがかかるでしょう。課題に優先順位をつけて、上位の課題を解決できる製品を選べば、自社に適した文書管理システムを選びやすくなります。
2.必要な機能が搭載されているか
先ほど洗い出した「優先的な課題」を解決するために、どのような機能が必要かを検討してみましょう。たとえば、必要な文書を探し出す時間と手間が課題となっているのであれば、検索機能に特化した文書管理システムを選ぶのがおすすめです。あいまい検索が利用できれば、キーワードと完全に一致していなくても文書を検索できるので便利です。
また、ワークフロー機能を搭載した文書管理システムを選べば、契約書や稟議書など承認が必要な文書を管理しやすくなります。システム上で文書の確認と承認が行えるだけではなく、後述するクラウド版であれば出先でも決裁ができるため業務効率が大幅に改善するでしょう。
また、法令や制度などに適切に対応しているかどうかも、文書管理システムの大切な機能のひとつです。たとえば、契約書や請求書など経理に関連する証憑書類は、最低7年間の保管が法人税法に定められています。また、2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、メール添付などで受け取った電子データの証憑については電子保存が義務付けられました。文書管理システムが自動的に管理してくれれば、書類の保管期限や管理に頭を悩ませる必要はありません。
3.セキュリティ対策が万全であるか
ほとんどのケースにおいて、文書管理システムで社内の機密文書を管理するため、セキュリティ対策の品質は極めて重要な要素です。セキュリティ性の改善のために文書管理システムを導入しても、肝心の文書管理システムのセキュリティ対策が甘ければ、機密情報が漏洩してしまいかねません。
とくにクラウド版の文書管理システムでは、社外で文書へのアクセスが可能となるため、外部流出や内部からの不正アクセスなどのリスクが高まります。役職・部署・文書単位でアクセス権限を設定したり、アクセス履歴を取得したりできる文書管理システムは、セキュリティ性が高いといえるでしょう。
また、文書のバックアップを自動取得できる機能も重要です。バックアップ機能があれば、文書管理システムの不具合で文書が喪失してしまっても、すぐに復元できるからです。セキュリティ対策は極めて重要なので、導入前に必ず確認しておきましょう。
4.オンプレミス版かクラウド版か
文書管理システムには、大きく分けて2つの販売形態があります。自社サーバー上で運用する「オンプレミス版」と、文書管理システムの提供企業のサーバーで運用する「クラウド版」です。どちらにもメリットとデメリットがあります。
オンプレミス版の文書管理システムは、自社サーバー内で完結するためセキュリティ性を担保できることがメリットです。しかし、自社サーバーの構築や運用に多額の費用がかかることがデメリットとなります。
クラウド版の文書管理システムは、導入と運用の費用が安いことや、社外からのアクセスやバージョンアップが容易なことが大きなメリットです。一方で、外部サーバーを経由することや情報流出の可能性など、セキュリティ面での不安はデメリットとなるでしょう。コストと利便性を考えると、基本的にはクラウド版の文書管理システムがおすすめです。
5.マルチデバイスに対応しているか
クラウド版の文書管理システムを導入する場合は、マルチデバイスに対応しているかどうかも確認しましょう。テレワークを想定して導入する場合、パソコンからしか利用できないとせっかくクラウド版を選んでも出先でアクセスできません。
スマートフォンやタブレットなど、モバイル端末から閲覧・編集・承認ができる文書管理システムを選べば、業務効率をより高めることができます。実際に文書管理システムを利用する社員の意見も反映して、使いやすいものを選ぶことも大切です。
紙媒体の文書管理における課題とは?
近年、多くの企業が文書管理システムを導入するようになりました。しかし、そもそもなぜ文書管理システムがこれほど注目を集めるようになったのでしょうか。従来の紙媒体の文書管理には、下記4つの大きな課題があったからです。
- 文書を探すことにより作業効率が低下する
- 文書紛失や個人情報漏洩などリスクがある
- 文書の耐久性や復旧性に大きな不安がある
- 紙媒体の文書保管と管理にコストがかかる
1.文書を探すことにより作業効率が低下する
紙媒体の文書は、とにかく「探す」ことに時間と手間がかかります。これまでの業務のなかで、必要な文書を探すために苦労した経験はないでしょうか。必要な文書をすぐ取り出せれば、その時間をほかの重要な業務に費やすことができたはずです。こうした時間の浪費の積み重なりが、企業にとって生産性向上の大きな妨げになることもあります。
さらに、目当ての文書を探し出すことができても、その文書から必要な項目を検索するのも手間がかかります。デジタルデータと異なり、紙媒体では手作業で探さないといけません。文書に目次や索引があっても、どこになにが書かれているか判断しづらいことがあったり、文書の属人化により誰でも探せる状態ではなかったりするでしょう。文書の規模が大きくなるほど、必要な情報の検索にかかる労力は大きくなります。
2.文書紛失や個人情報漏洩などリスクがある
文書を探すことに時間がかかる時点で、すでに文書紛失や個人情報漏洩のリスクが高い状態だといえます。どの場所にどんな情報があるかわからないのは、その情報がなくなっても気付けないのと同じことです。このような状態では何者かに文書を奪われたり、情報を漏洩させられたりしても、企業は事態をすぐに察知できません。
企業が管理する文書には、顧客の個人情報や機密情報など極めて重要な情報があり、高いレベルのセキュリティが要求される情報であるにも関わらず、紙媒体の文書には常に紛失と漏洩のリスクがあります。仮に文書紛失や個人情報漏洩などの問題が起きると、顧客に多大な損失を与え、企業の信頼が失墜する事態にもつながりかねません。
3.文書の耐久性や復旧性に大きな不安がある
文書は紙で作られていますが、紙は必ず劣化します。とくに気温や湿度、紫外線は紙に大きなダメージを与えます。季節による寒暖差が激しい日本の環境は、紙媒体の文書にとっては過酷な環境だといえるでしょう。また、不特定多数の人が文書を扱うことにより、破損や紛失などが生じることもあります。
文書の破壊は情報の破壊そのものを意味します。近年、日本では大きな自然災害が多発していますが、仮に企業が被災するとすべての文書が失われてしまうかもしれません。紙媒体の文書は、なくなれば情報の復元は不可能です。このように、紙媒体の文書には耐久性や復旧性など、サステナビリティ(持続可能性)に大きな課題があります。
4.紙媒体の文書保管と管理にコストがかかる
紙媒体の文書保管と管理には、実は多大なコストがかかっています。まず、文書を作成するためには紙とインク、プリンタなどの備品が必要です。文書を保管するための部屋や倉庫、管理するための人員も欠かせません。これら文書管理のコストをトータルで考慮すると、企業にとって相当の負担になっていることもあります。
エクセルの文書管理における課題とは?
現在もエクセルで文書管理をしている企業は多いでしょう。エクセルでの文書管理は、管理台帳を作成して更新する方法が一般的です。台帳の項目としては業務分類、文書名・文書番号、作成部署・作成者・更新者、作成日・更新日・廃棄日などが挙げられます。しかしエクセルによる文書管理には下記3つの課題があります。
- 変更や更新の入力が手作業になってしまう
- 台帳の数が増えるほど文書の検索が困難になる
- セキュリティ面が万全ではない
1.変更や更新の入力が手作業になってしまう
管理している文書には変更事項や更新事項が発生します。その変更や更新が1回で済むことは稀でしょう。エクセルの文書管理では自動更新がないため、台帳に更新日を手動で入力する必要があります。このような変更履歴が増えることで行や列が追加され、管理が大変になります。さらに、記入漏れや記入忘れが起こる可能性もあり、気を付けることでしか対策方法がないのは不安です。
2.台帳の数が増えるほど文書の検索が困難になる
エクセルでの文書管理では、文書が保存されているリンクを共有することで管理している場合が多いでしょう。しかしリンク切れを起こしてしまうと文書の検索が一気に困難になります。ファイル名の変更や保存場所の移動でリンクは簡単に解除されてしまうため、保存場所の更新やリンクの再設定を毎回行う必要があります。
リンクが解除されていると自力でその文書を発見することはほとんど不可能です。そのため担当者や管理者と直接やり取りをする手間が生じてしまいます。お互いの作業効率が悪化するうえ、情報の検索にかかる労力は大きくなってしまいます。
3.セキュリティ面が万全ではない
紙媒体よりはセキュリティレベルが高いですが、エクセルでの管理は万全ではありません。編集権限がある人では誰でも台帳を更新できてしまいます。さらに誤って入力したり削除したりした場合は修復が非常に大変です。アクセス制御が十分にできていないとエクセルを印刷・コピーされることで情報漏えいするリスクが高くなります。
文書管理システム導入のメリット6選
文書管理システムを導入することで、企業はさまざまなメリットを享受することができます。本章では、文書管理システムを導入するメリットについて、下記6つの観点から詳しく解説します。
- 検索機能で必要な情報がすぐ手に入る
- ペーパーレス化によるコスト削減が可能
- バージョン管理で古版の参照を防げる
- 社内での情報共有と承認が容易になる
- セキュリティリスクの強化でリスク低減が可能
- テレワーク時代の文書管理に対応できる
1.検索機能で必要な情報がすぐ手に入る
文書管理システムには「検索機能」があり、GoogleでWebサイトを検索するときのように文書を検索できます。タイトルや見出し、内容などのキーワードによる検索はもちろん、文書ごとに設定したタグや全文検索・あいまい検索も可能です。つまり、企業が保有するあらゆる情報のなかから、必要なものがすぐ手に入るということです。
冒頭で触れたように、紙媒体の文書はとにかく検索に手間がかかります。企業活動にともなって企業が保有する情報量は増え続けます。文書管理システムを導入すれば、手作業で紙を1枚ずつめくっていく作業はもはや必要ありません。これまで費やしていた余分な手間と時間を、本当に必要な業務に費やせるので生産性も向上することでしょう。
2.ペーパーレス化によるコスト削減が可能
文書管理システムの導入によるペーパーレス化により、大幅なコスト削減につながることがあります。前述したように、紙媒体の文書管理には多額のコストがかかります。文書保管のための部屋や倉庫などの場所が必要なだけではなく、それらを管理するための人員も必要です。文書が多ければ多いほど、文書管理にかかるコストも増大します。
文書管理システムを導入すれば、文書はすべてコンピューター内部に保管されるため、紙やインク、保管場所などのコストが不要となります。保有している文書が多いほど、文書管理システムの費用対効果は高まるでしょう。また、企業の人員やスペースの削減により、コンパクトなオフィスへの移転も可能です。
こうした背景から、文書管理システムの導入により、意外と多くのコストを削減できたという事例は決して少なくありません。
3.バージョン管理で古版の参照を防げる
文書管理システムでは、すべての文書のバージョンを適切に管理できます。紙媒体の文書には、旧版と新版の混在により、最新の情報が必要なときに旧版の文書を参照してしまうという問題がありました。こうした「先祖返り」はトラブルにつながる可能性があるため、企業の業務効率を低下させてしまう恐れがあります。
文書管理システムには新しい順に文書を並べ替えたり、簡単に最新情報にアップデートしたりする機能があるので、常に新しい情報にアクセス可能です。旧版と新版を個別に管理する機能があるので、誤って上書きしてしまった場合もすぐ元に戻せます。誰がいつ、どのように文書の編集や更新を行ったかもわかるため、セキュリティ面でも安心です。
4.社内での情報共有と承認が容易になる
社内での情報共有と承認がスムーズに行えることも、文書管理システムのメリットです。文書をデジタル化することで、メールやクラウド上で情報を共有できるようになります。パソコンやタブレットなどのデジタル端末は、場所を問わず使えるため情報共有の効率が格段に向上するでしょう。
また、文書管理システムにはワークフロー機能を搭載したものもあります。必要な文書を電子化することで、法務チェックや意思決定などの迅速化も可能です。従来の文書管理の手法では、責任者との情報共有や申請、承認などに多くの工数がかかっていました。文書管理システムによる電子化で、業務効率と生産性の向上が見込めます。
5.セキュリティの強化でリスク低減が可能
文書管理システムを導入すると、文書のセキュリティを向上させることができます。前述したように、紙媒体の文書には常に紛失や漏洩のリスクがあり、管理する文書が増えるほどセキュリティ面での不安も多くなります。文書管理システムには、文書の安全性を担保するためのさまざまな機能が備わっていることが魅力です。
アクセス権限の設定やアクセスログなどが、セキュリティ向上のために役立つ主な機能です。たとえば、機密性の高い文書はハイレベルな役職しか閲覧できないようにしたり、ダウンロードや印刷を禁止したりすると、情報漏洩のリスクが低下します。文書管理システムはいわば金庫のように、そこに保管するだけで一定のセキュリティを確保してくれます。
さらに、内部統制においては法令遵守や資産保全などが求められますが、これも文書管理システムによるセキュリティ向上で実現可能です。
6.テレワーク時代の文書管理に対応できる
労働環境の見直しやテレワークの推進により、自宅で働く人が増えています。今後はますますテレワークが一般化していくので、文書をどう扱うかが大きな課題となるでしょう。従来の紙媒体の文書は会社でしか閲覧できず、テレワークでも文書確認のための出社が必要です。そのために余分な時間がかかり、労働効率と生産性が低下します。
すべてのデータをサーバー上で管理するクラウド版の文書管理システムを導入すると、社員が自宅のデバイスから文書を確認できます。インターネット環境さえあればアクセスできるので、出張先やクライアント先にいても必要な文書を閲覧可能です。新しい労働環境に対応するためにも、文書管理システムの導入は急務ともいえるでしょう。
文書管理システム導入のデメリット3選
さまざまな魅力がある一方で、文書管理システムには下記3つのデメリットもあります。しかし、どのデメリットも適切に対処すれば解決できるため、それほど心配する必要はありません。導入前に知っておきたい重要なポイントを本章で確認しておきましょう。
- 導入と運用のためのコストがかかる
- スキャニングや移行に時間がかかる
- 適切に運用できなければ扱いづらい
1.導入と運用のためのコストがかかる
文書管理システムの導入と運用には一定のコストがかかります。また、システムを利用する社員に対して、使い方やルールの遵守などを教育する工数とコストも必要です。しかし、いずれも業務の効率化のためを考えれば、決して大きなものではありません。
導入と運用のコストに関しては、クラウド版の文書管理システムを選択することで抑えられます。無料プランがある場合は、社内環境が文書管理システムに対応できるようになるまで無料プランを利用し、体制が整ってから有料版へ移行するというのもひとつの方法です。
また、社員教育のコストに関しては、文書管理システムを適切に運用するために欠かせません。むしろ、丁寧な教育を行うことで余分な作業工数が減り、生産性の向上につながるためトータルで考えれば有利です。
2.スキャニングや移行に時間がかかる
文書管理システムへ移行するためには、すべての文書をデジタル化する必要があります。多くの場合はスキャン機器を用いた「スキャニング」でこれを実現しますが、スキャニングには意外と多くの時間と手間がかかります。
たとえば、文書をスキャンする前にバインダーやクリップから取り外して、文書をスキャン可能な状態にしないといけません。文書のファイリング状況が適切に行われていない場合は、さらに多くの工数がかかってしまうでしょう。スキャン後のフォルダ作成や分類を行ったり、文書管理システムへの登録や権限設定などを行ったりする作業も必要です。
導入後の利便性を考えれば、多くの時間をかけてでも文書をデジタル化する意義は大きいです。また、文書管理ソリューションや各種代行サービスを利用すれば、文書のスキャニングや登録などの工程をアウトソーシング化できます。可能な限り効率的に文書管理システムへ移行したい場合は、こうしたサービスの利用も検討してみましょう。
3.適切に運用できなければ扱いづらい
せっかく文書管理システムを導入したとしても、社内で適切な運用体制を構築できなければ、かえって文書の管理・検索・共有がしづらくなることがあります。電子化する文書の選定とフォルダ分けのルールを策定しておけば、文書管理システムの導入後に社員がスムーズに馴染みやすくなるでしょう。
また、文書管理システムは実際に導入してから、課題点や改善点が見つかることも多いです。文書管理システムの効果を高めるためには、運用ルールの定期的な見直しも必要になります。社員が使いづらさを感じて文書管理システムから離れてしまわないように、運用体制をしっかり構築しておきましょう。
文書管理の「ライフサイクル」とは?
文書管理には「ライフサイクル」という概念があります。これは、文書が作成されてから破棄されるまでの、いわば文書の一生を示すものです。文書管理のライフサイクルを理解しておくと、特にどの段階を重視したいのかを確認することができ、文書管理システムをより効果的に導入・運用できます。本章では、下記4つの段階からなる、文書管理のライフサイクルについて解説します。
- 文書の作成
- 文書の共有と活用
- 文書の破棄
- 文書の保管と保存
1.文書の作成
「文書の作成」は、文書管理システムに文書が登録された段階を指します。ワードやエクセルで作成されたファイルはもちろん、紙面媒体をスキャンしてデジタル化した文書も含まれます。登録した文書をいかにわかりやすく分類するかが、このフェーズで最も重要です。
2.文書の共有と活用
「文書の共有と活用」は、文書管理システムに登録した文書を、社員と共有できるようにした段階です。セキュリティ性を担保するために、アクセス権限をどのように付与するかが重要になります。たとえば、特定の役職しか閲覧できないようにしたり、「参照のみ」「編集可能」など部門やチームに応じて権限を変えたりすると効果的です。
3.文書の破棄
「文書の破棄」は、不要になった文書が破棄された段階です。文書管理システムは文書を保管するためのものですが、不要なものは適切な方法とタイミングで破棄する必要があります。いくら自動化されているとはいえ、文書の量が多すぎると管理が大変になります。
文書管理システムに保管する情報の種類や鮮度を見極めて、不要なものを減らすことで運用効率が高まります。ただし、文書の破棄時は社内ルールを遵守して、意思を確認することが重要です。必要な書類を誤って削除したり、勝手に削除したりしないように、ここでもアクセス権限が重要となります。
4.文書の保管と保存
「文書の保管と保存」は、文書管理システムに登録された文書が、適切なフォルダで大切に保管されている状態です。文書管理システムにおいては、検索性を考慮して文書の番号やバージョンなども管理されています。保管されている文章は編集や追記によって、再び「文書の作成」のフェーズへ戻り、このライフサイクルが繰り返されていきます。
新時代の文書管理に文書管理システムは必須!
文書管理を導入することで、ただ文書の管理が容易になるだけではなく、企業がこれまでに抱えていたさまざまな問題が解決されます。社内の意思決定や決裁が円滑に行われるようになることや、セキュリティ性が向上することは、極めて大きなメリットだといえるでしょう。
ただし、文書管理システムには多種多様なものがあるので、自社に最適なものを選ぶことが大切です。導入目的や機能性を考慮して慎重に選定することで、文書管理システムのメリットを最大限に享受できます。今回紹介した文書管理システムは、いずれも業界内で提供があるものばかりなので、この機会にぜひ文書管理システムの導入を検討してみてください。