プロジェクト管理ツールとは
「プロジェクト管理ツール」とは、スケジュールや工程を可視化し、プロジェクトに関する諸業務の進捗を管理するためのツールです。プロジェクト管理ツールを活用すれば、プロジェクトの設計からタスク配分、進捗状況の管理までのプロセスが効率的に進みます。
企業のプロジェクトを成功へ導くためには、あらかじめ設計したプロジェクト計画に沿って、すべてのタスクを円滑に進行させることが重要です。全体の進捗管理はもちろん、細分化したタスクを各メンバーに配分し、タスクの優先度や関連性を調整する必要もあります。
従来の手法では、こうしたタスク管理を実現するために、チャットツールやカレンダーツール、Excelなどを組み合わせていました。しかし、工数や手間のわりに作業効率が低く、入力したデータの活用ができません。これでは生産性向上の足かせになってしまいます。
プロジェクト管理ツールは、このような課題を解決してくれるツールです。プロジェクト管理に欠かせないタスクの種類や進捗度、担当者や期限などの情報をメンバー同士で簡単に共有できます。「プロジェクト管理ツールが効率化のカギを握る」ともいえるでしょう。
プロジェクト管理ツールの種類3つ
プロジェクト管理ツールにはさまざまな種類があるため、どれを選ぶべきか悩むかもしれません。そこでプロジェクト管理ツールを下記3つのタイプに分類し、それぞれの特徴や向いている用途などについて解説します。
- 多目的で使えるプロジェクト管理ツール
- タスク管理に特化したプロジェクト管理ツール
- 特定用途に特化したプロジェクト管理ツール
1.多目的で使えるプロジェクト管理ツール
多目的で使えるプロジェクト管理ツールは、冒頭で紹介したようなさまざまな機能がオールインワンで搭載されているタイプです。進捗やタスクの管理機能はもちろん、ガントチャートやカレンダー機能、メッセージ機能などが網羅されています。進行するプロジェクトが多い場合や、プロジェクトチーム全体の生産性を向上させたい場合におすすめです。
2.タスク管理に特化したプロジェクト管理ツール
タスク管理に特化したプロジェクト管理ツールは、タスク管理のために機能を絞り込んだタイプです。ボードでタスク管理ができる「カンバン方式」を採用した製品が多く、ステータスを可視化できるラベル機能や通知機能なども備えています。機能がシンプルで使いやすく、効率的なタスク管理でプロジェクト進行を改善したい場合におすすめです。
3.特定用途に特化したプロジェクト管理ツール
特定用途に特化したプロジェクト管理ツールは、特定の業種におけるプロジェクト管理に特化したタイプです。たとえばIT企業のソフトウェア開発や製造業の製品開発では、独自の工程を採用することが少なくありません。汎用的なプロジェクト管理ツールとは異なり、アジャイル開発の現場で使用される「スクラムボード」を搭載した製品もあります。
プロジェクト管理ツールの選定ポイント5つ
プロジェクト管理ツールを選ぶときは、下記5つのポイントを意識することが重要です。本章では、自社に合うプロジェクト管理ツールを選ぶコツについて解説します。
- 自社の業務に合う機能が搭載されているか
- チームメンバーと情報共有しやすいか
- テンプレートが充実しているか
- クラウド型かオンプレミス型のどちらか
- プロジェクトメンバーにとって使いやすいか
1.自社の業務に合う機能が搭載されているか
自社の業務内容に合うプロジェクト管理ツールを選びましょう。プロジェクト管理ツールには、タスク管理・工数管理・情報共有など特化している機能が異なります。自社が抱えている課題をあらかじめ明確化しておき、どの機能を備えたプロジェクト管理ツールが必要なのかを検討することが重要です。
たとえばリモートワークが多い企業の場合は、タスク管理はもちろん、情報共有のための機能が充実した製品を選ぶほうがいいでしょう。情報共有をスムーズに行うことができれば、それだけプロジェクトが円滑に進行しやすくなります。
プロジェクト管理ツールを一時的に使うのか、各種プロジェクトで継続利用するのかという点も重要です。特定のプロジェクトだけで使うのであれば、メンバー数で課金される製品のほうが低コストで導入できます。タスク管理ツールは移行時の引き継ぎが困難なので、継続利用を前提に選ぶほうが無難です。
2.チームメンバーと情報共有しやすいか
チームメンバーと情報共有しやすいプロジェクト管理ツールを選ぶことも大切です。プロジェクト管理は、タスクやスケジュールの管理だけを行うものではありません。プロジェクト進行のルールやドキュメントなどの「情報」も共有する必要があります。
メンバー同士でコミュニケーションができる、メッセージやチャット機能を備えている製品が便利です。リモートワークを採用している企業の場合は、メンバー同士の意思疎通がとくに難しくなるため、こうしたコミュニケーションツールの必要性が高くなります。
既存のコミュニケーションツールを活用すると、プロジェクトと関係ないものも混在するため、重要事項を見逃すことがあるかもしれません。プロジェクト管理ツールのメッセージ機能なら、メッセージとタスクを紐づけて円滑なコミュニケーションができます。
3.テンプレートが充実しているか
プロジェクトの内容や目的によって、プロジェクト管理で必要なフローが異なります。そのため、プロジェクト管理ツールは導入して、そのまま使えばいいわけではありません。プロジェクトに合う設定を行い、タスクの密度や項目に合わせて運用することが大切です。
しかしプロジェクトに合わせてゼロから設定すると負荷が高くなります。そこで便利なのがプロジェクト管理ツールに備わっている「テンプレート」です。テンプレートを活用すれば、プロジェクトの種類に合わせたフローで各タスクを管理できるようになります。
たとえば、マーケティングキャンペーン管理やアジャイルチームワークなど、独特のフローワークを採用するプロジェクトにも対応可能です。プロジェクト管理ツールによっては、ビジネスやエンジニアリング以外に、さまざまなカテゴリーのテンプレートを備えています。
4.クラウド型かオンプレミス型のどちらか
プロジェクト管理ツールには、主に「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類の販売形態があります。基本的にはクラウド型が主流ですが、自社サーバーで運用できるオンプレミス型にはセキュリティ面で有利なので、機密情報を多く扱う場合はおすすめです。
しかしオンプレミス型は自社サーバーの構築が必要なので、導入コストが肥大化します。ほとんどのプロジェクトではベンダーのサーバーで運用できるクラウド型のほうがいいでしょう。クラウド型のプロジェクト管理ツールであれば、社外からもアクセスできます。
5.プロジェクトメンバーにとって使いやすいか
どれだけ機能性が優れたプロジェクト管理ツールを導入しても、メンバーが使いこなせなければ十分な効果を発揮できません。自社の課題や目的に合わせて選ぶことも重要ですが、チームメンバーのITリテラシーに合わせて、「使いこなせる」製品を選ぶ必要があります。
プロジェクト管理ツールは業務用ツールのなかでも、とくにメンバーの利用頻度が高いものです。使いにくいものだと作業効率も低下するため、学習コストが低く直感的に操作できるものがいいでしょう。リモートワークが多い場合は、メッセージ機能の充実度も大切です。
おすすめのプロジェクト管理ツール比較22選
製品のおすすめポイント
- 豊富な標準機能から必要な機能を選択して利用可能
- 上場企業も安心、内部統制を強化する機能が充実
- 会計システムと連携可能により、煩雑な連携作業は不要
製品のおすすめポイント
- ITの専門家がシステム開発会社のために開発
- 認証を取得済み、品質・情報セキュリティに関するマネジメントシステムの構築
- スキル管理、アサイン管理業務における課題を解決します
製品のおすすめポイント
- 5つのビューでプロジェクトを多角的に把握し、個々のタスクも明確に
- 議事録やフィードバックをログとして保存するので、振り返りも容易に
- プロジェクトメンバーの入れ替えも、適切に管理
製品のおすすめポイント
- 広告業界に特化!難しい案件管理がしやすい
- 上場企業でも安心!内部統制の強化機能が充実
- 導入と運用サポートでシステムに自信がない方でも安心
製品のおすすめポイント
- 工数管理が簡単!見やすい画面と直感的な操作で誰でも管理できる
- プロジェクト管理で進捗から損益まで幅ひろく状況確認可能
- メンバーの勤怠状況とも連携可能!様々な業務形態に対応
製品のおすすめポイント
- 複数の案件管理も一目で簡単に!一元管理で無駄な手間がない
- 自動化機能を搭載!常に最新の状態で工数の大幅削減に
- 外部連携可能で利用しているサービスを統一管理できる
製品のおすすめポイント
- プロジェクト単位での進捗管理、課題管理でプロジェクト管理をサポート
- 分析機能あり!プロジェクトの進捗状況が分かり案件管理がスムーズに
- セキュリティも強い!外部ユーザーとの共同作業も安心
製品のおすすめポイント
- ドキュメント管理に特化!関係者とのチャット機能つき
- Salesforceのサービスが使える!ネットワークに強い
- QuipVPCの利用でセキュリティが万全!サポートもあり安心体制
製品のおすすめポイント
- 建設業界の施工管理業務を一元化!クラウドで楽々管理
- 現場関係者全員に素早く連絡できる、チャット機能付き
- 電子黒板と写真添付機能で、写真撮影から台帳作成を一元管理
製品のおすすめポイント
- 多人数のプロジェクト管理におすすめ!見やすいガントチャート
- 通信の暗号化とIP制限でセキュリティも万全
- プロジェクト管理だけでなく、課題管理も共有できる
製品のおすすめポイント
- プロジェクトや作業者の予定を瞬時に把握することが可能
- 予定と実績のギャップをすぐに把握し、運営に生かせる
- 業務コストを見える化し、分析が可能になる
製品のおすすめポイント
- 非効率的な管理をなくし、プロジェクトの失敗を無くすことができる
- 組織的、総合的なプロジェクト管理を行い、合理化を進める
- OBPM Neoでプロジェクトを見える化し、標準化も進める
製品のおすすめポイント
- かゆい所に手が届く実践的な機能が搭載されている
- チャット機能によりチーム間、他部署との連携を可能に
- 案件ごとにチャット可能、タイムラインを視覚的に管理できる
製品のおすすめポイント
- プロジェクトを手間をかけず予定通りに進めることが可能に
- ビジネスインテリジェンスビジョンを共有し生産性を向上する
- 自動化機能により社員のイノベーション力を向上し、活用できる
製品のおすすめポイント
- 達成率の表示やタスク同士のリンクができる
- 4つのユーザーモードを設定して、情報共有をスムーズに
- Excelやcsvファイルにも対応可能し汎用性が高い
製品のおすすめポイント
- チームの連携を支援し、仕事を整理することができる
- ルーチン作業を自動化し、クリエイティブな作業に注力できる
- 1つのプラットフォームで200を超えるアプリと連携可能
製品のおすすめポイント
- オープンソースなので自由に誰でも利用可能
- プロジェクト管理や業務を一元管理し、チームで共有可能
- ソースが公開されており、業務にあわせてカスタマイズ可能
製品のおすすめポイント
- ワークフローを選択、それぞれのチームにあったものにカスタマイズ可能
- 既存のツールと連携し、ワークフローを改善できる
- SAML SSO、2 段階認証などを使用した高いセキュリティ性
製品のおすすめポイント
- シンプルなデザインによりコラボレーションを促進
- プロジェクト管理に必要な機能がオールインワンされている
- androidやスマートフォンでも利用可能、いつでも管理できる
製品のおすすめポイント
- 複数部門のタスクをまとめてスムーズに進行できる
- ガントチャートやカンバン表示をフル活用し全体像を把握
- 高いセキュリティ性により、利用者の情報を強固に守る
製品のおすすめポイント
- 4人まで無料で利用可能でありながら、充実したサポート体制
- スマホでのタスク管理にも対応、リアルタイムで確認
- タスク管理を4つの方法で可能、一目でわかりやすい
製品のおすすめポイント
- チームの情報をストックし、情報を流さない
- チームのタスクを誰でも手軽に管理できるようになる
- メンバー間でのメッセージのやり取りが可能に
プロジェクト管理ツールを導入するメリット6つ
企業がプロジェクト管理ツールを導入すると、下記6つのメリットがあります。本章では、プロジェクト管理ツールが企業にもたらす具体的なベネフィットについて、詳しく見ていきましょう。
- プロジェクト管理を効率化できる
- 進捗状況の可視化で把握しやすい
- チームでの情報共有が容易になる
- プロジェクト進行のミスを防げる
- プロジェクトの生産性が向上する
- メンバーが在宅ワークでも使える
1.プロジェクト管理を効率化できる
プロジェクト管理ツールの導入により、プロジェクト管理の作業を効率化できます。専用のツール上でタスク進捗やリソースなどの管理が行えるようになり、事前にシートや工程表を作成する必要がないからです。これまでは、ExcelやVBAなどで体裁を整えて、工程表やガントチャートを作成するのが一般的でした。
しかし、書類を作るだけで大きな手間がかかりますし、工程に変更が生じた際はすべて作り直さないといけません。作成した書類をうまく活用できないことや、並列的に稼働するプロジェクト全体を見渡せないことも問題です。手作業での雑務が増えるため、タイムラグやミスが多く発生してしまうこともあるでしょう。
プロジェクト管理ツールを導入すれば、こうした課題を解決することができます。プロジェクト管理の業務すべてがツール内で完結し、専用の工程表やガントチャートを使ってタスク管理ができるからです。タスクの変更をすぐに反映し、進捗状況もリアルタイムで把握できるため、プロジェクト管理を効率化できます。
2.進捗状況の可視化で把握しやすい
プロジェクト管理ツールを導入すると、各タスクの進捗状況を可視化して、状況を正確に把握することができます。プロジェクト管理で重要なことは、問題が発生したときにすぐ対処することです。たとえば、あるタスクの進捗に遅延が生じている場合は、サポートメンバーを割り当てれば後れを取り戻せます。
進捗状況や完了期限の誤認により、納期に間に合わなくなってしまうケースは珍しくありません。プロジェクト管理ツールのガントチャートは、メンバーがタスクや工数を入力するだけで工程表が反映されます。進捗状況や完了期限をリアルタイムに把握できるため、誤認による遅延を未然に防ぐことも可能です。
3.チームでの情報共有が容易になる
プロジェクトはチームで遂行するため、メンバー同士の緊密な情報共有が必要不可欠です。コミュニケーション不足により、プロジェクトが頓挫してしまうケースは少なくありません。たとえば、タスクのフローに変更が生じたことが一部のメンバーに伝わっていなければ、余分な工数の発生やミスにつながるでしょう。
プロジェクト管理ツールには、チームメンバーの情報共有をサポートする機能が備わっています。タスクや工程のリアルタイムでの更新はもちろん、情報やフォーマットの共有も容易です。さらに、メッセージやチャットなどのコミュニケーション機能により、連絡もプロジェクト管理ツール内で完結するようになります。
4.プロジェクト進行のミスを防げる
プロジェクト進行のミスを防ぎやすくなることも重要です。プロジェクトで人為的なミスが起きることは珍しくなく、早めに気付いて対処すれば致命傷にはなりません。しかしミスに気付くためには、プロジェクト全体および細部の「見える化」が必要です。プロジェクト管理ツールを導入すると、マクロとミクロの側面からプロジェクトを眺めることができます。
たとえばタスクの多さのわりに納期が短すぎる、もしくはメンバーが少なすぎると、プロジェクトを納期までに完了するのは困難です。タスク管理機能やガントチャート機能は、各タスクの進捗状況や納期とのバランスを可視化できるので、プロジェクト設計の問題点にも気付けるでしょう。ミスを減らすことができれば、プロジェクト全体の効率が向上します。
5.プロジェクトの生産性が向上する
プロジェクト管理ツールを活用すれば、プロジェクトチーム全体の生産性を向上させることができます。これまで解説してきたように、タスク管理や進捗の効率化、全体の可視化による人為的ミスの予防など、計り知れない効果を得られるのがプロジェクト管理ツールです。
結果として限られたリソースの有効活用につながり、メンバーのパフォーマンスを最大限に発揮させることができます。これまで雑務に割かれていたリソースを、より重要なタスクに割り当てられるようになり、今までより迅速で高品質な作業ができるようになるでしょう。
6.メンバーが在宅ワークでも使える
プロジェクト管理ツールは、基本的にはオンラインで稼働するため、社内のネットワークやサーバーなどを使用する必要はありません。そのためプロジェクト管理ツールは、従業員が在宅ワーク・リモートワークを行っている場合でも利用できます。近年では働き方の多様化が進み、自宅で働く人が増えていますが、従業員の管理が行き届かないことが課題でした。
プロジェクト管理ツールを活用すれば、メンバー同士が離れていても適切なプロジェクト進行と緊密なコミュニケーションができます。さらに、多くのプロジェクト管理ツールはスマホやタブレットなど、モバイル端末からもアクセス可能です。出張先でもネットワーク環境さえあればタスク管理ができるため、多様性に富んだプロジェクト進行ができるでしょう。
プロジェクト管理ツールの主要機能6つ
プロジェクト管理ツールに搭載されている、代表的な機能は下記6つです。本章では、それぞれの機能の特徴や重要性について解説します。
- 「ヒト」を管理する機能
- 「モノ」を管理する機能
- 「カネ」を管理する機能
- 「情報」を管理する機能
- 「時間」を管理する機能
- 管理した情報を分析する機能
1.「ヒト」を管理する機能
プロジェクト管理ツールの最も大きな機能が、プロジェクトに参画している「ヒト」を管理する機能です。プロジェクトツールによっては、メンバーの勤務時間を記録する勤怠管理機能や、メンバーのスキルや実績に合わせて細分化したタスクを配分できる機能も備えています。ヒトを管理するための代表的な機能は下記のとおりです。
- タスク管理
- グループウェア
- リソース管理
- 課題管理
- 日報管理
とくに重要な機能が「タスク管理」です。プロジェクト成功の可否は、メンバーごとのプロジェクト進捗にかかっています。タスク管理と後述する「時間を管理する機能」を組み合わせれば、全体的な達成度合いと納期との兼ね合いを可視化することが可能です。メンバーそれぞれの状況に合わせて、効率的に進むようにタスクをアサインすることもできます。
2.「モノ」を管理する機能
製造業や小売業などを対象とした、「モノ」を管理する機能を備えたプロジェクト管理ツールもあります。これは在庫や原材料、発注などを管理するための機能で、モノを扱う業種には欠かせません。モノを管理するための主な機能は下記のとおりです。
- 在庫管理
- 物品管理
- プロセス管理
製造業や小売業に特化していないプロジェクト管理ツールには、上記の機能が搭載されていないことが多いです。汎用的なプロジェクト管理ツールでも、パソコンやスマートフォンなど、プロジェクトで使用する端末を管理する機能を備えた製品があります。
「カネ」を管理する機能
プロジェクト管理において、限られた予算内で製品やサービスを完成させることは極めて重要です。そのため一部のプロジェクト管理ツールは、下記のような「カネ」を管理するための機能を備えており、プロジェクトに関わるコスト管理の最適化に役立ちます。
- 実行予算策定
- 予算実績対比
- 原価計算
- 経費管理
- 購買管理
上記の機能を活用すると、プロジェクトやメンバー単位で工数予算を設定したり、各メンバーのコストを自動的に算出したりすることが可能です。コスト状況や出来高などをグラフ表示できる「EVM機能」も備えた製品もあるため、目的に応じて選びましょう。
「情報」を管理する機能
プロジェクト管理では、「情報」の適切な管理も欠かせません。プロジェクト進行中はさまざまな情報が集まり、メンバー同士で連絡や共有を行う必要があります。情報を適切に管理できなければ、プロジェクトの進捗に悪影響が出てしまうでしょう。プロジェクト管理ツールには、情報の管理をサポートしてくれる下記のような機能が搭載されています。
- 案件管理
- アクセスログ管理
- リスク管理
- 顧客管理
- ワークフロー
- コメント機能
- メッセージ機能
- チャット機能
重要視されることが多いのは、顧客情報や契約情報、案件情報などプロジェクト進行への影響が大きい情報の管理機能でしょう。一方で、コメントやチャットなど、メンバー同士でコミュニケーションを取るための機能も重要です。連絡手段には専用のチャットツールやメールなど、プロジェクト管理ツール以外のものを選ぶことも少なくありません。
しかしプロジェクトに直接的な関係がない連絡も混在し、あとで確認するときに困ることがあります。プロジェクト管理ツールにコメントやチャットなどの連絡手段が備わっていると、メンバーとの連絡が容易になるだけではなく、プロジェクトに関連したやりとりの保存と閲覧も可能です。リアルタイムの情報共有もできるため、利便性もさらに高まります。
「時間」を管理する機能
プロジェクト管理では、「時間の管理」が最も重要だといっても過言ではありません。前述したように、プロジェクト管理の大きな目的が「納期に間に合わせること」だからです。納期に遅れると、企業に多大な損失が生じかねません。そのため、ほとんどのプロジェクト管理ツールには下記のように、時間を管理するための多彩な機能が搭載されています。
- スケジュール管理
- ガントチャート
- 工数管理
- 時間報告
- カレンダー機能
複数のプロジェクトが並列的に稼働している場合は、これらの機能が欠かせません。とくに注目したいのが、大半のプロジェクト管理ツールで、工程管理のために採用されている「ガントチャート」です。ガントチャートは工程表を意味し、作業計画を視覚的に表現するために使用します。Excelで自作するより簡単かつ多くの情報を登録することが可能です。
カレンダー機能で日程や納期を管理することもできます。納期が近づいたときにメンバーにリマインド通知を行える製品もあるので便利です。プロジェクトマネージャーは、タスク管理やガントチャート、カレンダーなどを活用してスケジュール管理を行うことができます。プロジェクト全体の工程を幅広い視野で確認し、状況を正しく把握できるでしょう。
管理した情報を分析する機能
プロジェクト管理ツールでは、プロジェクト進行に欠かせないヒト・モノ・カネ・情報・時間を管理できます。さらに近年では、一連のプロジェクト管理で収集したデータを活用した、「分析機能」を搭載した製品も注目を集めるようになりました。
こうした分析機能を活用すると、メンバーの能力に応じたタスク配分や、より効率的なプロジェクト進行ができるようになります。さらに、会議資料として使えるレポートを作成してくれるツールもあるため、必要に応じて採用するとさらに便利です。
プロジェクト管理を成功させるコツ5つ
プロジェクト管理ツールを導入しても、プロジェクト管理自体が適切に行われていなければ、十分な効果を得ることはできません。本章では、基本的なプロジェクト管理の手法とプロジェクト管理を成功させるためのコツについて、下記5つの観点から解説します。
- プロジェクトの目的と評価指標を明確にする
- スコープを明確化して調整しながらプロジェクトを進める
- 前提条件・制約・タスク・責任範囲などを明確化する
- 情報共有とコミュニケーションをしっかり行う
- リスク管理を厳格にして早期把握を意識する
1.プロジェクトの目的と評価指標を明確にする
まずはプロジェクトの目的と評価指標を明確化しましょう。たとえばECサイト構築のプロジェクトを遂行する場合は、「ECサイトができればOK」というわけではありません。訪問者数やコンバージョン率、売上高など達成すべき評価指標があるはずです。目的と評価指標を基にしてタスク設計と配分を行えば、正確なプロジェクト進行を行いやすくなります。
2.スコープを明確化して調整しながらプロジェクトを進める
プロジェクトの目的と評価指標が決まると「スコープ」も明確化します。スコープとは、タスクや時間配分、リソースなどプロジェクトの完了に必要なあらゆる要素です。このスコープの明確化と調整が、プロジェクト管理のカギを握るといっても過言ではありません。
しかしメンバーによってスコープの認識が異なると、足並みが揃わずにプロジェクトが頓挫しやすくなります。たとえば、スピードを重視する人と品質にこだわる人が混在していると、納品物の制作速度や品質が安定しないためプロジェクトを効率的に進行できません。
そのため、スコープの認識を各メンバーで共有することが重要です。やるべきことが明確になれば、不要なタスクが追加される事態を防げます。何をどのように進めるか、何を成果物とするかを明確化し、調整しながら進めることがプロジェクト成功のために大切です。
3.前提条件・制約・タスク・責任範囲などを明確化する
プロジェクト管理では常に「代替案」を用意しておくことが重要です。そのためには、納期やコスト、品質などの前提条件やリスクをプロジェクト始動前に洗い出す必要があります。ここが明確化していなければ効果的な代替案を用意できなかったり、予算や人員不足で代替案が正常に機能しなかったりするでしょう。
プロジェクトは複数メンバーとの共同作業になるため、各自のタスクと責任範囲を明確化しておかないといけません。タスクの重複や責任範囲の曖昧さなどがあると、いざというときにプロジェクトが機能不全に陥ります。各自が責任範囲を自覚していると、与えられたタスクに注力できるためスムーズな進行が可能です。
4.情報共有とコミュニケーションをしっかり行う
プロジェクトの目的と目標、それを達成するために必要な情報がメンバー同士で共有されていなければ、足並みを揃えて同じ方法へ向かうことができません。コミュニケーションが不足していると、誤解が生じて思わぬミスにつながることもあります。メンバー同士の密接なコミュニケーションの徹底は、プロジェクト成功のための必須事項だといえるでしょう。
5.リスク管理を厳格にして早期把握を意識する
プロジェクトが計画どおりに進むことはレアケースです。むしろ、進行時にさまざまな問題や、想定外の事態が発生することのほうが多いでしょう。したがって、あらかじめ起こりうるリスクを想定して、対応策を検討できるようにする必要があります。
たとえば、プロジェクトメンバーの人数をできるだけ少なくすることは、コスト削減の観点から効果的です。ただしメンバーの誰かが体調を崩すと、途端にプロジェクトが頓挫するリスクが高まります。この場合はリザーブメンバーの確保や、余裕のあるスケジュール設定でリスク管理ができるでしょう。
リスクの兆候を早めに把握できるようにすることも大切です。たとえば、タスクの進捗が想定より遅い場合は、納期に間に合わないリスクが高まります。余裕のある人にタスクを増やすか、サポートメンバーを起用するとリスクを回避しやすくなるはずです。
プロジェクト管理ツールの必要性
プロジェクトメンバーのタスクはそれぞれ関連しているため、どれかが遅れるとほかのメンバーのタスク進行にも差し支えます。チーム全体の業務が円滑に進むようにするためにも、適切なプロジェクト管理が必要です。しかし、プロジェクト管理を人力で行うと思わぬミスにつながるため、それらを自動化できるプロジェクト管理ツールの導入が望まれています。
そもそもプロジェクト管理の目的は、一定の期限と予算の範囲内で、プロジェクトの目的を達成させるための管理を行うことです。一般的には「Quality(品質)」「Cost(予算)」「Delivery(納期)」からなる「QCD」を守ることが、プロジェクト管理に求められます。
たとえば、一連の作業が「タスクA→タスクB→タスクC」という流れで進む場合を考えてみましょう。タスクAが遅れると、タスクBとタスクCに支障が出ます。最終的な納期を変更できない場合、タスクBやタスクCの工程を短縮しないといけません。納期に間に合わせるために、品質が低下したり人員の追加で余分なコストがかかったりするでしょう。
タスク管理ツールを導入すれば、それぞれのタスク進捗を適切に管理できます。負荷が大きいメンバーがいる場合はタスクの分散やフォローを行い、ほかのメンバーとの足並みをそろえることも可能です。プロジェクト管理者だけではなく、メンバーも効果を享受できます。
プロジェクト管理ツールの主な利用目的
プロジェクト管理ツールは、下記のような課題を解決するために導入されています。いずれかに当てはまる場合はプロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。
- プロジェクトのタスクや進捗を適切に管理したい
- メンバーが抱えているタスク量や進捗を把握したい
- タスクの期限が近づいているメンバーに通知をしたい
- 各タスクの担当者や現状のステータスを明確化したい
- プロジェクトのメンバーでスケジュールを共有したい
- プロジェクトの情報や資料などを簡単に共有したい
- タスクの承認フローの効率化や自動化を行いたい
後述するように、プロジェクト管理ツールごとに得意分野や機能は異なりますが、プロジェクト管理ツールを導入すれば上記の課題の大半は解決できるでしょう。
プロジェクト進行の円滑化にはプロジェクト管理ツールが必須
プロジェクト管理ツールを導入すると、ヒト・モノ・カネに加えて情報と時間を効率的に管理できるようになります。タスク進捗の管理やプロジェクト進行の効率化に課題を抱えている場合は、プロジェクト管理ツールの導入を検討してみてください。
プロジェクト管理ツールの選定時は、自社の業務に合う機能が搭載されているか、情報共有を円滑に行いやすいかなどの観点から選ぶといいでしょう。また、コストと導入難易度の点から、基本的にはクラウド型のプロジェクト管理ツールがおすすめです。
ただし、プロジェクト管理ツールを導入したからといって、プロジェクト管理が完璧にできるわけではありません。プロジェクトの目的と目標を明確化してメンバーと認識を共有し、適切なコミュニケーションとリスク管理を行うことが極めて重要です。