CADとは
そもそもCAD(キャド)とは何のことなのでしょうか?CADは「Computer Aided Design」の略称であり、和訳するとコンピューター支援設計を意味します。従来は手書きだった設計作業をコンピューター上でできるようにしたシステムやソフトです。例えば住宅や病院などの建築物、飛行機やスマートフォンなどの精密機械の図面設計には欠かせないツールであり、私たちの生活とも密接に関わっています。企業での導入率は年々上昇しており、2020年度における製造業での導入率は2次元CADで55.0%、3次元CADでは67.2%となっています。
CADソフトの代表的な4種類について
CADソフトはそれぞれの分野に特化した機能が搭載されており、大きく4種類にわけることができます。本章で汎用CAD、機械用CAD、建築用CAD、システムCADについて紹介していきます。作図・設計を行いたい対象に応じてどの種類のCADソフトを導入するか決めましょう。また、電気設備などより細かい専門分野に特化したCADソフトもあります。
1.汎用CAD
まず紹介する汎用CADは、あらゆる設計に対応したCADです。特定分野の機能に特化していないため、幅広い分野で使用されています。機械用や建築用などの専門CADと比較して価格が抑えられているのが特徴です。フリーソフトでは2Dしか扱うことができないものもありますが、多くの有料ソフトは3Dまで幅広く対応しています。
2.機械用CAD
次に紹介する機械用CADは、精密な機械図面の設計に特化した専門CADのひとつです。自動車や飛行機などの大型機械から家電・電化製品やスマートフォンなどの小型機械まで機械全般の精密な作図が可能です。少しのミスが命取りとなる図面の修正を正確に行え、実際の動作をソフト内で検証できます。
3.建築用CAD
続いて紹介する建築用CADは、精密な建築図面の設計に特化した専門CADのひとつです。施工図、構造図や設備図などの基本的な設計図はすべて製作可能であり、柱や壁、インテリアを簡単に配置できる機能も備わっています。また、BIM(ビム)と呼ばれる特殊な建築用CADもあります。BIMとはBuilding Information Modelingの略称で、3Dで設計した図面から2D図面を切り出して平面図を作成します。現実と同じ建物をデータとして作成するBIMでは構造の不具合や設備の調整を早期に確認できます。さらに一か所の修正はすべてのデータに自動的に反映されます。建築に必要な工程の一元的な管理が可能であり、世界中での普及率が高いことが特徴です。
4.システムCAD
最後に紹介するシステムCADは、2Dの平面図から3Dパースまでの一連の図面設計ができるCADソフトです。住宅の建築設備に特化したシステムCADでは、配管・配線の配置やルート変更を容易に行うことができます。マウスで行える作業が多く、操作が単純で覚えやすいのが特徴です。
CADの導入効果
実際にCADソフトを導入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?手書きでの設計作業と比較して具体的な効果を3つ紹介していきます。
1.人為的ミスの発生を防ぎ、正確な作図を実現
まず、手書き作業ではどうしても生じていたミスを防ぐことができます。CADソフトが普及する以前は図面に製品の情報を手書きで書き込んでいたため、人為的なミスがどうしても発生していました。しかしCADソフトでは作業がすべてコンピューター上で完結するため、正確な図面を作図できます。直線の引き方や線の太さの調節など、手書きでは長年の経験が求められる作業でさえ簡単に行うことができ、情報の追加や修正も作成したデータを編集するだけで済みます。
2.設計図のデータ化でイメージの共有がスムーズに
次に、図面をデータで扱うことでイメージの共有がしやすくなります。CADソフトでは作成した図面をすべてデータとして扱います。図面はコンピューターやクラウドで保存されるため編集、保管やコピーがすぐに行えます。さらに3D対応のCADソフトを使えば図面を立体的に表現することが可能であり、紙の図面では連想しにくいイメージでも相手へ伝えやすくなります。
3.一つの図面の同時編集が可能に
最後に、一つの図面に対して同時編集ができるようになります。手書きでは1つの図面を共有することが難しいため、同時に複数人で作業することはかなり難しいです。しかしCADソフトでは一つのデータに対して同時に編集することができます。この同時編集作業は場所を問わずに行えるためリモートワークに対応しています。さらには世界中にいるプロジェクトメンバーとも共同作業が可能です。
導入する際に注目するべきポイント5選
CADソフトを導入する際に注目するべきポイントは5つです。多種多様なCADソフトをこの5つの観点から選択していくことで、最適なCADソフトを選ぶことができます。
1.2Dソフトか3Dソフトか
第一に、2Dソフトと3Dソフトのどちらを導入するかについてです。CADは2Dソフトと3Dソフトの2種類に分けられますが、性能面と導入費用に大きな差があるため、求めている機能に応じてどちらを導入するか検討する必要があります。では、具体的な違いについて比較していきましょう
2Dソフトの特徴
2Dソフトは正面図、平面図、側面図などの2D図面で構成されています。手書きでの設計と表現方法が近く、新たに操作を学ぶ必要がないためスムーズに導入できます。機能がシンプルであるため、3Dソフトと比較して導入費用は抑えられます。2Dに特化したフリーソフトも提供されています。
3Dソフトの特徴
3Dソフトはコンピューターの仮想空間上に立体で図面を作成します。2Dソフトや手書きの図面では表現できない立体で作図できるため、曲線が多い図面、精密・複雑な図面を作図するのに適しています。そのため視覚的に捉えやすい表現が可能なので、図面への知識がない相手とのイメージの共有がスムーズに行えます。もちろん必要に応じては2Dの図面を切り取ることも可能です。
2.無料ソフトか有料ソフトか
第二に、CADソフトの導入にかかる費用についてです。CADソフトの導入でかかる費用形態はソフトの購入か毎月定額のサブスクリプションの2種類です。無料ソフトと有料ソフトではやはり機能面や操作面に大きな違いがあります。代表的なソフトの紹介とともに無料ソフトの特徴について解説します。
無料ソフトの特徴
無料ソフトでもJw-cadやFusion360などのシェア率の高い製品は基本的な性能が搭載されていることが多いです。無料ソフトは使用するのに費用が掛からないため、多くの種類を比較して、使いやすいCADソフトを選ぶことができます。それでも有料ソフトと比較するとどうしても機能が劣るほか、Fusion360のように商用利用には別途費用がかかるソフトがあるため注意が必要です。
3.国産ソフトか海外産ソフトか
第三に、CADが開発された国についてです。CADには国産ソフトと海外産ソフトがあり、それぞれメリットがあります。そのため双方のメリットを理解したうえで導入を検討することをオススメします。
国産ソフトのメリット:国産ソフトの最大の特徴は安心のサポート体制です。見積りから導入後まで一貫したサポートをしてくれます。開発元と販売元が一緒であることが多く、トラブルの際も迅速に対応してくれます。さらに日本人向けに作られた製品であるため、使いやすい操作性も特徴です。
海外産ソフトのメリット:海外産ソフトの最大の特徴は世界中での高いシェア率です。同じソフトを使用している取引先とは同時に図面の編集ができるなど、高いシェア率はそのまま作業の効率化に直結します。また、業界の流行に合わせた最新の機能が搭載・随時アップデートされるため充実した機能が特徴です。
4.CADソフトの学習機会があるかどうか
第四に、どのようにしてCADソフトの使い方を学ぶかについてです。CADの学習方法についても事前に考えておくことが重要です。販売元が提供しているセミナーや講習会がある場合がほとんどですが、フリーソフトでは開発元以外が制作した書籍が販売されています。例えばYouTubeなどのネット上で公開・解説しているものもあるため、使用者のスキルやレベルに応じて検討が必要です。
5.Macユーザー向け:OSに対応しているかどうか
最後は対応OSについてです。すべてのCADソフトはWindowsに対応していますが、Macに対応しているCADソフトは限定されています。また、古いOSバージョンではCADソフトがうまく機能しない場合があります。そのため導入したいソフトの対応OSは事前に調べておく必要があり、自社のOSに適したソフトを選ぶようにしましょう。
CADソフト製品比較22選
製品のおすすめポイント
- 国内で高いシェア率を誇る国産フリーCADソフト
- 2D図面を書くための基本的な機能と直観的な操作性を搭載
- 多種多様な書籍とユーザー同士の情報交換室で習得も簡単
製品のおすすめポイント
- 建築設計の専用機能で作業効率が大幅向上
- 柱や壁の設計における専用コマンドが豊富
- オプション機能でデータの貼り付けやラスターとの対応も実現
製品のおすすめポイント
- 手頃な価格で入手できる業界標準のCAD機能
- 音声を図面に追加することで共同作業がスムーズに
- あらゆるファイルとの互換性が他CADとの連携を可能に
製品のおすすめポイント
- 時間や場所を問わずに使用することを前提に設計されたCADソフト
- DWGファイル互換だけではなく、BIMにも対応した幅広い機能
- 内蔵されたARES Kudoが作業スピードを大幅に上昇
製品のおすすめポイント
- 開発から販売、サポートに至るまでを国内で完結させた純国産CAD
- 日本の製図文化を考慮して開発された日本人のための操作性
- 設計部門だけではなく工務部門までに対応した幅広いデータ互換
製品のおすすめポイント
- 世界中でのシェア率の高さが作業を楽に
- 基本料金は安く、企業に合わせた拡張が可能
- 日本語版とMac版にも対応しているため使いやすい
製品のおすすめポイント
- AutoCADとの高い互換性が乗り換え後の使用もスムーズに
- 自社に合わせた運用で大幅なコスト削減を実現
- 安心の国内メーカー製品
製品のおすすめポイント
- 製品開発を最初から最後までサポートする一元管理
- 日本の大手自動車メーカーにも採用されている先進的な機能の充実
- 5種類のパッケージが企業の最適な導入を実現
製品のおすすめポイント
- 他のCADソフト間とのデータの共有がスムーズに
- 直感的な操作性が自由度の高い作図を実現
- 海外製品だが日本語での手厚いサポート
製品のおすすめポイント
- Windows完全準拠であるためソフトの操作が覚えやすい
- 日本だけでなく世界中で高いシェア率と多くのユーザー数を獲得
- 学習機能やヘルプ機能により初心者でも操作が覚えやすい
製品のおすすめポイント
- 自動車などの大型機械での世界的トップシェアを獲得
- windowsに準拠した操作画面は初心者も扱いやすい
- 高精度な3Dモデルが部品の制作をソフト内で完結させる
製品のおすすめポイント
- 設計からエンジニアリングまでを一貫した作業で実現
- コラボレーションツールでフィードバックを即座に共有
- 定期的な更新でユーザーの声を反映
製品のおすすめポイント
- あらゆる設計段階に対応するBIMソフトウェア
- 毎年のアップデートで業界の変化に常に対応
- 年間契約サービスでユーザーの使用環境が向上
製品のおすすめポイント
- 初めてCADソフトを使う人でも安心の4種類のサポート体制
- マウスが中心の簡単な操作は図面や見積書を製作する時間を短縮
- 自動化機能により複雑な操作がなく、見積書も図面からワンタッチで作成可能
製品のおすすめポイント
- 製造業で働く機械設計者のための機能が満載
- 多種多様なCADデータとのダイレクト変換を標準装備
- 2D設計の延長線上にある3D設計環境を実現
製品のおすすめポイント
- 最小限の入力表示をするだけで最大限の効果を発揮
- 抜群の操作性が質の高いコンテンツを短時間で生成可能に
- 素材をリアルに表現することで依頼者とのイメージ共有が容易に
製品のおすすめポイント
- 様々な建築物に対応するための幅広い機能
- 設計からプレゼンテーションまでを一貫してサポート
- 有名メーカー45社の最新データを反映した豊富な3Dパース
製品のおすすめポイント
- 直感的な操作性が作業効率を大幅向上
- 3Dモデルデータを用いて建物をデータベースのように取り扱える
- 安心安全の国内メーカー製品でサポート体制も充実
製品のおすすめポイント
- 最新のグラフィック技術が詳細な3D表現を可能に
- 実務に即した技術計算機能の搭載
- BIMの普及に対応した大規模容量・フロア管理
- 他CADとの高い精度のデータ互換によるBIM連携
製品のおすすめポイント
- イメージを伝えやすい高精度の3Dモデル
- データの連動により事務作業の効率化を実現
- 同じプロジェクトへ向けたワークシェアリング機能
Amazonで購入できるCADソフト
CADソフトはAmazonなどで購入することもできます。DVDやシリアル番号など購入の形にも種類があるため確認するといいでしょう。
まとめ
ここまでCADソフトについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?これからの時代、手書きの設計作業からCADソフトの設計作業が主流となることは間違いありません。将来的な作業効率化のためにも早めのCADソフト導入を検討するべきです。しかしCADソフトの性能は種類によって大きく異なるため、必要な機能とあると嬉しい機能をそれぞれ事前にピックアップしておき、導入費用と相談しながら最適なCADソフトを選択しましょう。迷ったときは本記事で紹介した導入の選定ポイントから最適なCADソフトを探してみてください。CADソフトを導入して設計の幅を広げましょう!