SaaS型表計算ソフト活用のすすめ
2020年度の実施されたExcelの満足度調査においては、およそ62.4%の企業が課題を感じていると回答しており、その中でも最も多かった声として「知識がないとマクロが使えない」といったものや「共同編集ができない」「データ量が多すぎる際、処理速度が遅い」などがありました。
ここで皆さんに一つ提案があります。それはSaaS型表計算ソフトへの乗り換えです。現代ではSaaS型表計算ソフトと呼ばれるインターネット上にプログラムとデータを配置する、いわゆるクラウドタイプの表計算ソフトがデジタル化のニーズに合わせて勢力を伸ばしてきており、パッケージ版の製品に比べ低コストながらも高セキュリティで、インターネット経由で自由にデータへのアクセスが可能といった利点を持っています。SaaS型表計算ソフト有名なものではGoogle Spreadsheetsなどが挙げられます。
ここでは皆さんが、現在抱えている悩みを解決する新たな選択肢を発見し、自身に合った最適な製品を見つけていただければと思います。多様化する現代において表計算ソフトツールの選択肢にも多様性を持たせてみてはいかがでしょうか。
表計算ソフト比較8選
製品のおすすめポイント
- 初心者から上級者まで誰でも使える幅広さ
- 細かな設定と簡単操作でデータをより分かりやすく
- 同時編集やマルチデバイスによってチームで情報共有
製品のおすすめポイント
- 高い精度で複雑な計算も
- データを装飾してわかりやすく
- Apple製デバイス間のシームレスな連係
SaaS型表計算ソフトのメリット
先ほど簡単に説明しましたが、ここで改めてSaaS型表計算ソフトの利点やインストール型と対比した際の強みなどについて言及したいと思います。
インストール不要
まず初めにあげられるものが、そもそもインストールする必要がないということです。これはクラウドサービス由来の利点であり、サービスのプログラムやデートをすべてインターネット上に配置しているため、パッケージを購入する必要もインストールする必要もありません。ブラウザからアクセスすることができます。
アップデート不要で常に最新版
例えば2016年に購入したExcelは現在でもほとんどの仕様が2016年当時のままで、折角高額な導入コストを割いてライセンスを取得しても最新版なのは購入当時のみということになります。もしあなたが常に最新のテクノロジーに魅力を感じるならば、毎年Excelを購入し続けることは得策とは言えません。SaaS型表計算ソフトなら利用者や担当者がアップデートをしなくとも、自動的に常に最新版の状態が保たれます。
パフォーマンスは十分そして低価格
近年勢いがあるSaaS型表計算ソフトは、業務内容にそれぞれターゲットを合わせてテンプレートを用意することで、機能面は業務遂行に必要十分ながら低コストを実現しています。Excelのように表計算関連のほぼすべての機能を網羅的に用意しているわけではありませんが、プログラムに疎い方やExcelがオーバースペックすぎるといった悩みを感じている方には上記のようなテンプレートがあらかじめ用意されているものが最適です。
データが蓄積しても重くならず快適に作業ができる
Excelに過去数十年分のデータが蓄積されてExcelを開くのに毎回時間がかかっていませんか?SaaS型表計算ソフトならデータをすべてクラウド上に保存するため、データを蓄積しても開くのに時間を要することもありませんし、また本体に何らかのトラブルが起きたとしてもデータは高セキュリティな状態で保護されます。
クラウド保存で自由なアクセス
データをクラウド上に保存することで、メンバーとのデータ共有なども簡単に行えます。ファイルを送信する必要もなく共同編集機能などを使えばクラウド上のデータを複数のメンバーで編集することができます。もちろんアクセス権限の管理も行えますのでセキュリティ対策も万全です。
表計算ソフトの基本的な機能
表計算
セルに数値を入力し関数を呼び出すだけで基本的な四則演算から応用的な計算まで行うことができます。範囲を指定することで範囲内の一括計算や、ひとつ前のセルに適用されていた条件を継続して使用した計算などもあります。
グラフの作成・描図
入力または関数による計算により導き出された数値をもとに自動的に任意のグラフを描図することができます。円グラフや折れ線グラフ、棒グラフといったものから2・3Dの描図に対応したものもあるため、データによって最適な表示方法を選択しデータを可視化することが可能です。
データの管理・分析
従業員や顧客などの大量のデータを指定した条件をもとに並べ替えることができます。また統計解析などを使えばデータの傾向を数値化して導き出すことができます。
プログラムの作成
応用的な機能として、VBAというプログラミング言語に使ってプログラムを自身で作り、作業を自動化するマクロ機能などがあります。面倒な単純な作業などを自動化することで作業効率を大幅に向上させます。アプリの開発などもできるためニーズに合わせた仕様の変更も可能にします。
表計算ソフトを選ぶ時のポイント
国内の企業のうち98.5%もの企業がExcelを利用しており、それ以外の表計算ソフトの認知度はまだまだ低いと言えます。しかし、Excel以外にも多数の表計算ソフトが存在していることは、製品を紹介をする中で知っていただけたかと思います。ここでは、数ある製品の中で、どのような機能的なポイントを押さえて製品の選択をしたらよいか、またはどの機能を重視することで業務に最適な製品が見つかるかなどを知っていただければと思います。
Webブラウザで利用できるか
まず抑えたいポイントの一つ目としてWebブラウザから利用できるかという点があります。要するにこれは、製品がインストール版であるか、もしくはSaaS型・クラウド型であるかということです。インストール型であればパッケージを購入するなどしてPCなどの本体に製品をインストールする必要がありますが、後者のSaaS型・クラウド型であった場合はご利用の端末のブラウザからログインするだけで利用できますので、外出先やテレワークの際にも場所を選ぶことなく利用することができます。
Excel感覚で利用できるか
次に抑えたいポイントとしてユーザーインターフェースがExcelベースもしくはExcelライクであるかという点です。Excelベースの製品のメリットとしては、Excelユーザーの方が他の表計算ソフトに移行する際に、新たに操作などを覚える必要がなく、これまで通りの感覚で操作できる点です。長年使ってきたExcelから移行する際に操作を覚えることに不安を持っている方でも、以上の点を考慮し製品を選ぶことで、移行時の学習コストを最小限に抑えることができます。
Excelなどの主要オフィスソフトとの互換性
これも移行をスムーズにするために必要なポイントで、その製品がExcelなどといった現在社内で利用している表計算ソフトと互換性があるか確認が必要です。互換性がある場合、これまで使っていたデータやファイルをそのまま取り込むことができ、スムーズな移行が可能です。また、業務においても提出するファイルの形式は一般的にExcel形式がスタンダードですので、この点も考慮することが必要でしょう。
同時編集は可能か
これはチームのメンバーと共同作業を考えている方には重要な機能で、一つのシートに対して許可されたメンバーが自由に編集を加えられるというものです。中には入力内容に対してコメントができたり、個別にチャットをすることもできたりなどチームのコミュニケーションツールの代替ともなりうるので、リアルタイムの編集という点を重視したい方には必須の機能です。
テンプレートのラインナップ
例えばあなたが表計算ソフトを活用して管理業務を行うとします。その時に白紙のシートから管理表を作るのは大変です。ですから、表計算ソフトの操作に疎い方やできるだけ時間を節約したい方は、特定の業務内容に対応したテンプレートがあらかじめ用意されているものを優先して製品の選定を行うとよいでしょう。
プログラムなどの高度な機能に対応しているか
最後にマクロに対応しているかという点です。これは表計算ソフトの機能として紹介したものの中では比較的高度なものであり、VBAと呼ばれるプログラミング言語に精通していることが必要とされます。自らマクロを組んで作業を独自に自動化したいと考えている方にとっては、むしろExcelのほうがも自由度が高く向いているのかもしれません。
ビジネスシーンにて活用される表計算ソフト
従業員が増えても煩わしさなし
クラウド型データベースの表計算ソフトなら、事業規模の拡大に付随してデータが肥大化したとしても、データはすべてクラウド上に保存されるため、本体側では動作の遅滞を感じることなく、これまで通りの処理速度のまま作業を行うことができます。
また、従業員の管理業務に関しても記録されたデータを自動的に集計させることでこれまでデータの管理に割いていた人件費を大幅に削減することができます。
時代に合った新たな働き方を選択肢に
ブラウザベースのソフトなら専用のサーバーを使うことなく、また特定のパソコン下でなくとも作業を行えるため、場所をえらぶことなく任意の場所、端末で作業を行うことができます。
例えば、出社とテレワークとのハイブリット型というように、出社時は会社のパソコンで、在宅時は自身のパソコンでなどといった場合でも個人用に新たにパソコンを用意することなくスムーズに新たな勤務形態へ移行することができ、コストを抑えて勤務環境を改善することができます。
リアルタイム編集の応用で作業効率向上へ
リアルタイム編集の機能を応用させて在庫管理を行うことで、これまでかかっていた作業時間を数10分の1に短縮することもできます。
例えば、食品関係の現場においては毎日、システム在庫と実在庫を照合して誤差がないかを確認する作業が必要になります。これには、倉庫側の人間が実在庫を記録し、その記録したデータを事務所側に転送して、事務所側の人が目視で確認といったように莫大なる時間と手間がかかってしまいかねません。
しかし、表計算ソフトのリアルタイム編集機能を使えば、クラウド上に記録された情報をリアルタイムで共有できるので、わざわざファイルを転送することなく、記録と並行して在庫の管理が行えます。
今こそクラウド型表計算ソフトへの移行を!
以上がSaaS型表計算ソフトの紹介でしたが、いかがだったでしょうか。
Excel以外にこんなにも表計算ソフトの製品があることに驚いた人もなかにはいると思います。
時代の変化とともに表計算ソフトも日々進化を続けており、製品によって特性はそれぞれ異なります。今後は以上にて紹介した様々な要素を考慮したうえで利用環境に最も適した製品選定をしていただければと思います。
現在利用しているExcelに不満がある人や、新たに表計算ソフトを導入しようとしている人がこれを機に新たな選択肢に出会っていただければ幸いです。