電子帳簿保存法とは？対象書類や改正内容をわかりやすく解説

1.電子帳簿保存法とは？

電子帳簿保存法は、紙に代えて電子データで帳簿・書類・電子取引情報を保存する際の要件を定めた法律です。1998年の施行以降、電子取引の普及に合わせて段階的に改正され、2024年1月1日以降は電子取引データの保存が原則必須になっています。

罰則面では、2024年1月1日以降に適用される令和5年度改正で、無申告加算税の見直し（高額・反復時の割合引上げ等）が行われるなど、加算税の厳格化が進みました。

一方でインセンティブとして、「優良な電子帳簿」に該当する場合は過少申告加算税が5％軽減される措置が国税庁資料で明記されています。

ポイントは「真実性（改ざん防止）」「可視性（検索・出力）」「区分適用」の３軸で、自社がどの要件に該当するかを早期に把握する必要があります。

参照：国税庁｜過去の電子帳簿保存法の改正等
財務省｜令和５年度改正関係資料（納税環境整備関係）
国税庁｜電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】

2. 「紙の限界」と電子帳簿保存法の罰則リスク

経理現場では、紙証憑とメール添付 PDF、EDI データが混在しやすく、確認・保管コストが膨らみがちです。電子帳簿保存法は保存形式を明確化し、違反時には過少申告加算税・重加算税が上乗せされるため、放置はできません。まずは自社の書類実態と改正スケジュールを把握しましょう。

3. 電子帳簿保存法の全体像と改正タイムライン

帳簿・書類・電子取引の3区分ごとに適用要件が異なります。

優良電子帳簿の届出で過少申告加算税が5％軽減される一方、未対応時は最大10％の重加算税が上乗せされるため、早期準備が得策です。

4. 4ステップで分かる電子帳簿保存法要件チェックリスト

以下のチェックリストで「どの書類が、どの要件に該当するか」を棚卸ししましょう。

ポイント

• 区分誤りは罰則に直結します。
• SaaS 利用時も「誰が」「いつ」操作したかの証跡確認が必要です。

5. 少人数企業～大企業まで｜実務導入ロードマップ

電子帳簿保存法に対応するには、文書管理システムの導入がおすすめです。本章では、タスク別に、電子帳簿保存法対応におすすめな文書管理システムを紹介します。

下表のスケジュールは社員30人規模を想定したモデルケースです。

少人数企業は「全証憑にタイムスタンプ」よりも、検索要件を満たすストレージ＋ログ保全の組み合わせが費用対効果に優れます。

中規模企業向けロードマップ

部門横断調整と既存ERP連携が鍵になります。

大規模企業向けロードマップ

グループ会社統合とガバナンス強化がポイントです。