DenHo（デンホー）とは？｜導入すべき企業や機能、導入事例3選を解説

2024年からの電子帳簿保存法義務化やインボイス制度の開始で、経理業務の負担は増えていませんか？「紙の手入力が終わらない」「法対応が不安」といった課題を解決するのが、AI-OCRクラウドサービス「DenHo」です。

「DenHo」は、国税庁採用のAI技術で、手書きの領収書やFAXも高精度に読み取ります。最大の特徴は、面倒な「帳票設定」が一切不要な点です。アップロードするだけでAIが自動でデータを抽出し、インボイス番号の照合まで行います。

本記事では、DenHoの機能、料金プラン、実際の導入事例までを徹底解説します。

1.DenHoとは？AIが電帳法・インボイス対応を自動化

「DenHo」は、「株式会社インフォディオ」が提供する、AI技術を搭載した電子帳簿保存クラウドサービスです。紙の請求書や手書きの領収書をスキャン、あるいはスマートフォンで撮影してアップロードするだけで、搭載されたAI-OCR（AI技術を用いた光学的文字認識）が自動で文字を読み取り、データ化・分類・保存を行います。

2023年10月に開始された「インボイス制度」（適格請求書等保存方式）、そして2024年1月から「電子取引データの電子保存が義務化」された「電子帳簿保存法」という、経理業務に関わる二大改正に、この「DenHo」一つでまとめて対応できる点が最大の強みです。

次の表で「DenHo」の基本的な概要をまとめています。

電子帳簿保存法について詳しい解説は以下の記事からご覧ください。

電子帳簿保存法とは？対象書類や改正内容をわかりやすく解説

DenHoが解決する「経理の悩み」とは

多くの企業の経理・総務担当者は、法改正への対応と日々の業務効率化という両方の課題に直面しています。

例えば、以下のような悩みを抱えてはいないでしょうか。

• 紙で届く大量の請求書や領収書を、Excelや会計ソフトに手入力する作業に時間がかかりすぎている
• 2024年1月から始まった電帳法の義務化に、自社の運用が正しく対応できているか不安
• インボイス制度が始まり、受領した請求書の適格請求書発行事業者番号の確認・照合作業という新しい負担が増えた
• 「あの時の契約書」や「数年前の領収書」を探すために、キャビネットを探し回るのに時間がかかる

「DenHo」は、こうした「手入力」「法対応の不安」「確認作業の負担」「検索性の悪さ」といった、経理担当者が直面する具体的な課題を、AIによる「自動化」と「データの一元管理」によって解決するために開発されたサービスです。

DenHoと「スマートOCR」の違い

「DenHo」の開発元インフォディオ社が提供する「スマートOCR」という製品があります。
どちらもOCR機能を搭載したサービスですが、両者には違いがあります。

「DenHo」はスマートOCRの高精度なAI-OCRエンジンを搭載しつつ、特に「電子帳簿保存法対応」に機能を特化させたサービスです。

スマートOCRは、「国税庁」の確定申告書読み取りや国勢調査、「みずほ銀行」をはじめとする大手金融機関などで採用実績のある、AI-OCRサービスです。

スマートOCRが様々な業務フローのDX（デジタルトランスフォーメーション）に対応できる汎用性の高い（その分、設定なども必要となる）サービスであるのに対し、「DenHo」は目的を絞ることで、よりシンプルに、より導入しやすく法対応を実現することを目指しています。

両者の違いを以下の表にまとめます。

つまり、「DenHo」は、実績ある高精度なAI技術を、中小企業の経理担当者でも簡単に利用できるよう「法対応」に最適化したパッケージと言えます。

スマートOCRについて詳しく解説した記事は以下からご覧ください。

スマートOCRの料金目安や使い方｜無料トライアル5日・100枚の検証方法を解説【__current_year__年最新版】

AI-OCRの選び方、おすすめ製品を比較した記事は以下からご覧ください。

2.DenHoが選ばれる3つの理由｜国税庁採用のAI技術と設定不要の手軽さ

数ある電子帳簿保存サービスの中で、「DenHo」が特に注目されている背景には、大きく分けて「技術的な信頼性」と「導入・運用の手軽さ」という2つの側面があります。これらが法対応と業務効率化の両立を実現する鍵となっています。

「DenHo」が選ばれる具体的な3つの理由を、以下の表で概観します。

1.国税庁や国勢調査も採用する「AI-OCR」の圧倒的な精度

「DenHo」の最大の強みは、その中核をなすAI-OCRエンジンの「信頼性」と「精度」にあります。

このエンジンは、前述の通りインフォディオ社独自の「スマートOCR」技術を基盤としており、これは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」におけるスキャン機能や、「総務省」が実施する「国勢調査」の帳票読み取りといった、極めて高い精度と信頼性が求められる国家プロジェクトでも採用されています。

この技術力により、従来のOCRが苦手としていた以下のような帳票も高精度でデータ化します。

• 手書きの領収書（金額や但し書き）
• FAXで受信した不鮮明な注文書（かすれ・ゆがみがある文字）
• スマートフォンで撮影した画像のゆがみ補正

AIが自動でこれらの文字を認識するため、担当者が目視で確認・修正する作業負担を大幅に削減できるのです。

2.面倒な「帳票設定（定義）」が一切不要

従来のOCRソフトを導入する際、最も大きなハードルとなるのが「帳票設定（定義）」作業でした。これは、「A社の請求書は、この位置に日付があり、この位置に金額がある」といったルールを、取引先ごと、帳票ごとに一つひとつ手作業で設定するものです。

しかし、「DenHo」はこの面倒な定義設定が一切不要です。 アップロードされた帳票のレイアウトをAIが自動で解析し、「これは請求書だ」「これは領収書だ」と判別します。さらに、電子帳簿保存法の検索要件である「取引先名」「取引日付」「取引金額」といった重要な項目も自動で抽出します。

この特徴により、IT専門の担当者がいない企業でも、導入後すぐに全社展開することが可能です。

3.JIIMA認証取得済み！法改正に完全対応

電子帳簿保存法に対応するサービスを選ぶ際、最も重要な判断基準となるのが「JIIMA認証」の有無です。

JIIMA認証とは、「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会（JIIMA）」が、市販のソフトウェアやサービスが電子帳簿保存法の要件を満たしているかを審査し、認証する制度です。

「DenHo」は、このJIIMA認証のうち、特に重要な以下の2つを取得しています。

• 「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」（紙の書類をスキャンして保存する要件）
• 「電帳法電子取引ソフト法的要件認証」（メールなどで受け取ったPDFなどを保存する要件）

この2つの認証を取得していることで、「DenHo」のシステム運用に則って保存すれば、電子帳簿保存法の法的要件を確実に満たせるという「信頼性」が担保されます。また、タイムスタンプ機能も標準搭載しており、法対応に不安を感じる経理担当者にとって、大きな安心材料となります。

3.DenHoの主な機能｜紙・手書き・PDFもアップロードだけで全文検索

「DenHo」の操作は非常にシンプルに設計されており、利用者のITリテラシーを問いません。基本的な業務フローは「1. 帳票のアップロード」「2. AIによる自動処理」「3. 検索・閲覧」の3ステップで完結します。法対応のために複雑な運用を覚える必要がない点が、大きなメリットです。

「DenHo」の主な機能を、作業ステップごとに表で確認してみましょう。

このように、入口から出口までAIが業務をサポートする機能が備わっています。

多彩なアップロード方法（スマホ・スキャナ・FAX連携）

「DenHo」は、様々な業務シーンを想定した多彩なアップロード方法を提供しています。オフィスのPCからスキャンしたPDFをまとめてドラッグ＆ドロップで一括アップロードできるのはもちろん、外出先の営業担当者がスマートフォンで領収書を撮影し、その場でアップロード（Webアプリ経由）することも可能です。

さらに、PCにインストールする「DenHo Uploader」というアプリケーション（プランにより標準またはオプション）を利用すれば、特定のフォルダ（例：スキャナの保存先フォルダ）を監視し、新しいファイルが追加されると自動で「DenHo」にアップロードさせることもできます。「公式マニュアル」によれば、FAXやメールで受信した書類を自動アップロードする連携も可能で、アナログな業務フローも効率的にデジタル化できます。

AIによる「インボイス番号」自動照合

2023年10月に開始されたインボイス制度（適格請求書等保存方式）は、経理担当者にとって新しい大きな負担となっています。それが「受領した請求書に記載された適格請求書発行事業者番号が正しいか」の確認作業です。
「DenHo」はこの作業も自動化します。アップロードされた請求書からAIがインボイス番号（T + 13桁の番号）を自動で読み取り、「国税庁」の「適格請求書発行事業者公表サイト」のデータと照合し、その事業者が実在するか、登録が有効かを自動で判定します。これにより、担当者が一件一件番号を目視で確認し、公表サイトで検索する手間が大幅に削減されます。

強力な「全文検索」と「範囲検索」

書類を電子化しても、それを見つけ出せなければ意味がありません。「DenHo」は、AI-OCRによって「画像内のすべての文字」をテキストデータとして認識・保存しているため、強力な「全文検索」が可能です。

例えば、「A社からBという製品名で見積もりをもらったはず」という記憶があいまいな場合でも、検索窓に「A社 B」と入力すれば、ファイル名や保存場所に関わらず、帳票内の本文にそのキーワードが含まれる見積書や納品書を探し出すことができます。

もちろん、電子帳簿保存法で必須とされる検索要件にも対応しています。「取引先名」「取引日付」「取引金額」での検索が可能なほか、「2024年10月1日から10月31日まで」や「100,000円以上500,000円以下」といった日付・金額の範囲指定検索にも対応しており、税務調査などの際も迅速に必要な書類を提示できます。

4.DenHoの料金プランと導入｜月額9,000円からスモールスタート可能

「DenHo」は、企業の規模や利用量に合わせて選べる複数のプランを提供しています。大掛かりなシステム投資が難しい中小企業でも導入しやすいよう、「スモールスタート」が可能な料金体系が魅力です。

料金プランの概要（初期費用・月額）

「DenHo」の料金体系は、主に「登録・処理可能枚数（月間）」「ユーザー数」「グループ数」の組み合わせで決まります。

1企業につき月額9000円から利用でき、料金には高精度なAI-OCR機能やタイムスタンプ機能（電子帳簿保存法の要件）も標準で含まれています。

月間の処理枚数が100枚を超える企業や、利用ユーザー数を増やしたい場合は、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」といった上位プランが用意されています。これらのプランでは、処理枚数あたりの単価が割安になる傾向があります。自社の利用状況に合わせて、詳細な見積もりを取得することをお勧めします。

5日間の「無料トライアル」で精度を体感

導入を検討する上で最も気になるのが、「自社で使っている手書きの領収書や、FAXの注文書を本当に正確に読み取れるのか」という点ではないでしょうか。

「DenHo」では、そのAI-OCRの精度や実際の操作感を導入前に確認できるよう、「5日間の無料トライアル」を提供しています。

このトライアル期間中に、ぜひ実際の業務で使っている（読み取りが難しそうな）帳票をアップロードし、どれくらいの精度でデータ化されるのか、操作は簡単か、といった点を体感してみることをお勧めします。自社の業務にフィットするかを見極める重要なステップとなります。

導入までの流れ（最短5営業日）

「DenHo」はクラウドサービス（SaaS）であるため、自社でサーバーを構築する必要がなく、導入が迅速な点も特徴です。「公式サイト」の情報によれば、申し込みからアカウントが発行され、最短5営業日ほどで利用を開始することができます。

初期設定もほとんど不要です。前述の通り、AIが帳票を自動判別するため、システム担当者に大きな負担をかけることなく、すぐに法対応業務をスタートできる点も、多忙な中小企業にとっては大きなメリットと言えるでしょう。