DocuWorksとは？機能や注意点、PDFとの違いを徹底解説【2025年最新】

オフィスに溢れる紙の契約書や請求書、PC内に散在するPDFやWord、Excelデータ。これらの文書管理がバラバラで、「あの書類どこだっけ？」と探す時間にコストを感じていませんか？ペーパーレス化を進めたいけれど、何から手をつければいいか分からない、という声も多く聞かれます。

この記事では、そうした悩みを解決する富士フイルムビジネスイノベーションの「DocuWorks（ドキュワークス）」について徹底解説します。

• 「DocuWorks」とは何か
• PDFソフトとの根本的な違い
• 複合機連携やOCRなど5つの主要機能
• 具体的な活用シーン
• 導入のメリット・デメリット
• 価格体系

までを網羅して紹介します。業務効率化とDX推進のヒントがここにあります。

「DocuWorks」以外の文書管理システムを比較した記事は以下をご覧ください。

1.DocuWorksは「電子の机」で紙と電子文書を一元管理するソフト

「DocuWorks（ドキュワークス）」とは、「富士フイルムビジネスイノベーション」（旧富士ゼロックス）が提供する文書管理ソフトウェアです。1996年の発売以来、国内外で累計1,000万ライセンスを超える導入実績を持つ、国内トップシェアクラスの製品として知られています。

最大の特徴は、PC上に「電子の机」という仮想の作業スペースを再現し、スキャンした紙文書、PDF、Word、Excelといった電子文書を、ファイル形式の違いを意識することなく一元管理できる点にあります。

紙の書類を実際に手でめくったり、束ねたりするような直感的な操作性が多くの企業に支持されており、オフィスのペーパーレス化と業務効率化を強力に推進するツールです。

「DocuWorks」が目指すのは、オフィスにおける「紙」と「電子」の垣根をなくすことです。具体的にどのような文書を扱えるのか、その概要を以下の表にまとめます。

「DocuWorks」は、これらの多様な形式の文書を「DocuWorks Printer」という仮想プリンタ機能を経由して、すべて「.xdw」という独自形式に変換します。これにより、アプリケーションの違いを意識することなく、すべての文書をサムネイル（縮小画像）で視覚的に管理できるようになります。

2.DocuWorksを構成する2つのアプリケーション：DeskとViewer

「DocuWorks」は、その操作感を実現するために、役割が異なる2つのアプリケーションで構成されています。この「机」と「文房具」という分かりやすい設計が、PC操作に不慣れな方にも受け入れられている理由の一つです。

①電子の机「DocuWorks Desk」

「DocuWorks Desk」は、文書を管理・整理するための「電子の机」の役割を果たします。スキャンした文書やPCで作成したデータがサムネイル（縮小画像）で一覧表示され、どこに何があるか一目でわかります。

Desk上では、実際の紙の書類を扱うように、ドラッグ＆ドロップで文書の順番を入れ替えたり、複数の文書を「束ねたり」「ばらしたり」することが可能です。関連する文書を「クリアフォルダ」や「封筒」という入れ物にまとめる機能もあり、プロジェクト単位での管理が直感的に行えます。

②電子の文房具「DocuWorks Viewer」

「DocuWorks Viewer」は、Deskに並べられた文書を閲覧・編集するためのツールです。Viewerでは、文書を開くだけでなく、紙の書類に書き込むように、マーカーを引いたり、付箋を貼ったり、テキストを追記したりできます。

これらの編集情報はアノテーション（注釈情報）と呼ばれ、元の文書データとは別のレイヤーに保存されます。そのため、元の契約書や申請書のデータを汚すことなく、指示やコメントを加えて情報共有ができる点が大きなメリットです。

次の表で、これら2つのアプリケーションの役割を具体的に比較します。

このように、Deskで全体を俯瞰しながら文書を整理し、Viewerで詳細を確認・編集するというシームレスな連携が、「DocuWorks」の「紙のような操作感」の核となっています。

3.なぜDocuWorksは選ばれる？PDFにはない5つの主要機能とメリット

「DocuWorks」は単なるファイルビューアやPDF作成ソフトではありません。特に「Adobe Acrobat」に代表されるPDF編集ソフトと比較した場合、日本のオフィス業務フローに根差した独自の強みがあります。特に富士フイルム製の複合機と組み合わせることで、その真価を発揮します。

①紙のように直感的「束ねる」「ばらす」「付箋」で編集

「DocuWorks」が長年選ばれ続ける最大の理由は、PC操作に不慣れな人でも直感的に使える「紙のメタファー（比喩）」に基づいた操作性です。

例えば、複数の「DocuWorks」文書やPDF文書を選択し、「束ねる」ボタンを押すだけで一つのファイルにまとまります。逆に「ばらす」操作もワンクリックで、ページ単位に分解できます。

また、Viewerで使える「付箋」や「スタンプ」「マーカー」は、本物の紙に書き込む感覚で使えます。これにより、デジタル化への心理的ハードルを大きく下げ、現場での定着を促進します。

②スキャン文書も検索可能「OCR機能」で文字をテキスト化

「DocuWorks」には、OCR（Optical Character Recognition：光学的文字認識）機能が標準搭載されています。

これは、スキャンしただけの「画像」データ（紙の契約書や請求書など）から、文字情報を自動で抽出し、検索可能なテキストデータに変換する技術です。この機能により、文書内のキーワードで瞬時に検索が可能になります。「あの書類はどこにしまったか」とファイルキャビネットを探す時間を大幅に削減し、情報の利活用を促進します。

OCRの詳しい解説やAI-OCRのおすすめ製品は以下の記事をご覧ください。

③業務を自動化「お仕事バー」で定型作業を効率化

「お仕事バー」は、よく使う機能をアイコンとして登録し、PC画面下部などに表示できる機能です。Excelのマクロやショートカットキーのように、一連の定型作業をボタン一つで自動実行できます。

例えば、以下のような作業を自動化できます。

• スキャンした文書をOCR処理し、指定フォルダに保存する
• 文書に日付印を押して、PDFに変換してメールに添付する
• 複数のファイルを束ねて、ファイル名の先頭に今日の日付を付ける

こうした日々の繰り返し作業を効率化し、人為的なミスを減らすのに役立ちます。

④データの受け渡しが簡単「DocuWorks トレイ」

「DocuWorks トレイ」は、PCのデスクトップ上に表示される電子の「受け渡しトレイ」です。この機能は、旧バージョンではオプションでしたが、最新の「DocuWorks 10」ではオールインワンモデル化（標準搭載）されました。

このトレイにファイルをドラッグ＆ドロップするだけで、設定した相手（社内や取引先）に文書を簡単に配布できます。紙の書類をトレイで回覧するような感覚で、確実な情報共有を実現します。新着文書はポップアップで通知されるため、見落としも防げます。

⑤富士フイルム複合機と最強連携！スキャン・FAXをシームレスに

「DocuWorks」の最も強力な差別化ポイントは、提供元である富士フイルムビジネスイノベーション製の「Apeos」シリーズなどの複合機（MFP）と深く連携することです。

• 複合機からスキャンした文書を、PCを介さず直接DocuWorks Deskに取り込む
• 受信したFAXを紙で出力せずに自動でDocuWorks文書に変換し、Deskに保存する
• DocuWorks Deskから直接FAXを送信する

これにより、オフィスのペーパーレス化の「入り口（入力）」から「管理・活用」までをシームレスに構築できます。

「DocuWorks」と一般的なPDF編集ソフトの思想の違いを、以下の表にまとめます。

このように「DocuWorks」は文書の「作成」そのものよりも、オフィスで日々発生する文書をいかに効率よく「管理し、活用するか」に重点を置いたソフトウェアであると言えます。

4.DocuWorksで解決できる業務課題（活用シーン）

「DocuWorks」は、多くのオフィスが抱える具体的な文書管理の課題を解決するためのソリューションとして機能します。ここでは、「DocuWorks」が実際の業務でどのように役立つのか、典型的な3つの課題と活用シーンを紹介します。

まず、「DocuWorks」がどのような課題を解決できるのか、その概要を以下の表にまとめます。

これらの課題について、さらに詳しく見ていきましょう。

課題①：紙の契約書や請求書を探すのに時間がかかる

「お客様から問い合わせがあったが、5年前の契約書がすぐに出てこない」「経理部から、先月受領したはずの請求書を探してほしいと頼まれた」——こうした「書類を探す時間」は、業務における大きなコストです。

「DocuWorks」を導入し、複合機から紙の文書をスキャンして保存するフローを確立すれば、この課題は劇的に改善します。前述のOCR機能により、スキャンした画像データ（紙の契約書や請求書）に記載されている取引先名、日付、金額、品番といった文字情報がテキストデータ化されます。

これにより、Deskの検索機能を使えば、「A社 2023年 契約書」といったキーワードで、ファイルキャビネットを物理的に探すことなく、瞬時に目的の文書を見つけ出すことが可能になります。

課題②：WordやExcel、PDFなど形式がバラバラで管理できない

プロジェクト管理や日常業務において、関連資料が複数のアプリケーションで作成され、管理が煩雑になるケースは非常に多いです。

例えば、プロジェクトフォルダ内に「Wordの見積書」「Excelの工数管理表」「PowerPointの提案資料」「PDFの仕様書」が散在していると、全体像を把握するのが困難です。

「DocuWorks Desk」上では、これらの異なる形式のファイルもすべて「DocuWorks文書」として取り込み、一元管理できます。さらに強力なのが「クリアフォルダ」機能です。この機能を使えば、元のファイル形式（WordやExcelのまま）を変更することなく、一つの透明なフォルダに入れる感覚で、関連文書をひとまとめにして扱えます。

課題③：リモートワークで紙の書類を確認・捺印できない

テレワークやリモートワークの普及における最大の障壁の一つが、紙の書類と捺印文化、いわゆる「ハンコ出社」でした。

「DocuWorks」は、この課題に対しても有効です。オフィスに届いた紙の申請書や請求書を複合機でスキャンし、「DocuWorks」で管理すれば、自宅や外出先からでも安全に文書を確認できます。

さらに、「DocuWorks Viewer」の「スタンプ」機能を使えば、あらかじめ登録しておいた日付印や承認印、担当者印といった電子印を文書上に押すことができます。これにより、紙に出力してハンコを押し、再びスキャンするといった非効率な作業がなくなり、場所を選ばずに承認ワークフロー（業務の流れ）を完結させることが可能になります。

5.DocuWorks導入時の注意点・デメリット

「DocuWorks」は多くのメリットを提供する一方で、導入前に知っておくべき注意点、いわばデメリットとも言える側面も存在します。IT担当者や意思決定者としては、これらの制約を理解した上で導入を判断することが重要です。

①独自ファイル形式（.xdw）の共有問題

「DocuWorks」の標準ファイル形式は「.xdw」という独自形式です。このファイルは「DocuWorks」環境下では非常に扱いやすい反面、「DocuWorks」がインストールされていないPCでは開くことができません。

取引先や社外の協力会社とファイルを共有する際には、相手が.xdwファイルを開ける環境を持っているかを確認する必要があります。もし相手が環境を持っていない場合は、「DocuWorks」からPDF形式に変換して送付する、といった一手間が発生します。

対策として、富士フイルムビジネスイノベーションは無料の閲覧ソフト「DocuWorks Viewer Light」を提供していますが、相手にインストールをお願いする必要があるため、スムーズな共有の障壁となる可能性があります。

②他社システムとの連携は限定的

「DocuWorks」は、富士フイルム製の複合機やクラウドストレージサービス「Working Folder」とは非常に強力に連携します。しかし、他社製のシステムとの連携は限定的です。

例えば、すでに「Box」や「Microsoft 365」（OneDrive for Business, SharePoint Online）などを全社的な標準ストレージとして利用している場合、「DocuWorks」とシームレスに連携させるには課題が残ります。

最近のバージョンでは「DocuWorks 10」において、主要なクラウドストレージとの連携機能が強化されてきていますが、CRM（顧客関係管理）やERP（基幹系システム）といった業務システムと標準機能だけでAPI連携させるのは難しく、別途連携ツールの導入や開発が必要になる場合があります。

「DocuWorks」のメリットとデメリットを以下の表にまとめます。

導入を検討する際は、これらの特性を理解し、自社の業務フローや既存システム環境と照らし合わせて評価することが不可欠です。

6.DocuWorksの価格と導入方法

「DocuWorks」を導入する際の形態は、主に「パッケージ（ライセンス）版」と「サブスクリプション版」の2種類が用意されています。自社の利用形態や予算、管理方針に合わせて選択することが重要です。

ライセンス（パッケージ版）とサブスクリプションの比較

従来型のパッケージ版は、PC1台につき1ライセンスを購入する「買い切り型」です。初期導入コストはかかりますが、一度購入すれば永続的に利用できます（ただし、メジャーバージョンアップ時は別途費用が発生する場合があります）。

一方でサブスクリプション版は、月額または年額で利用権を購入する形態です。初期費用を抑えられ、契約期間中は常に最新バージョンの機能を利用できるメリットがあります。

参考として、「DocuWorks 10」の価格例（税別）では、ライセンス認証版（1ライセンス）が25,000円から、サブスクリプション版が1ユーザー月額900円からとなっています。ただし、ライセンス版は購入するライセンス数に応じてボリュームディスカウントが適用されるなど、価格体系は複雑です。正確な見積もりは、富士フイルムビジネスイノベーションまたは正規販売代理店に確認する必要があります。

両者の主な違いを以下の表にまとめます。

まずは「60日間無料体験版」から

「導入してみたいが、自社の業務に本当に合うかわからない」「操作感を試してから判断したい」と考えるIT担当者の方も多いでしょう。

その場合、富士フイルムビジネスイノベーションの公式サイトからダウンロードできる「DocuWorks無料トライアル」の利用がおすすめです。

この体験版では、60日間という長期間、DocuWorks Desk、Viewer、トレイ機能など、製品版とほぼ同等のすべての機能を無料で試すことができます。実際に紙の書類をスキャンしてみたり、既存のOfficeファイルを管理してみたりすることで、そのメリットと操作性を具体的に評価することが可能です。本格導入の前に、まずは無料体験版で自社の課題が解決できるかを検証することをお勧めします。

7.【まとめ】DocuWorksで文書管理の非効率を解消しよう

「DocuWorks」は、紙と電子文書の垣根を取り払い、直感的な操作で文書管理を効率化するソフトウェアです。単なるPDF編集ソフトとは異なり、特に富士フイルム製複合機との強力な連携や、「お仕事バー」による業務自動化など、日本のオフィス業務に最適化された機能が充実しています。

紙文化が根強く残るオフィスや、ペーパーレス化の第一歩を踏み出したい企業にとって、「DocuWorks」はDX（デジタルトランスフォーメーション）推進の強力なツールとなります。

最後に「DocuWorks」導入を検討する上でのポイントを総括します。

多くのメリットがある一方で、独自形式の扱いや他システム連携といった注意点も存在します。これらの特性が自社の環境や業務フローに適合するかを見極めるためにも、まずは「無料体験版」で「電子の机」の快適さを試してみてはいかがでしょうか。ペーパーレス化と業務効率化の第一歩として、ぜひ検討してみてください。