ファイルサーバーとNASの違いは？自社に合った製品の選び方を解説

近年、ビジネスや家庭でのデータ管理や共有に欠かせないのが「ファイルサーバー」と「NAS」です。どちらもストレージとして活用できるツールですが、それぞれに特性や向いている環境が異なるため、用途に合った選択が求められます。オンプレミス型やクラウド型のファイルサーバーに加え、手軽に使えるNAS（Network Attached Storage）の人気も高まっています。

この記事では、ファイルサーバーとNASの違いをはじめ、それぞれのメリット・デメリット、使用目的ごとに適した製品やおすすめ製品などを詳しく紹介していきます。特に導入を検討中の方や、どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、判断の参考となる実用的な情報をわかりやすく解説していきます。

1.　ファイルサーバーとは｜オンプレミス型・クラウド型

ファイルサーバーは、企業や個人がデータを効率的に管理・共有するための重要なツールです。その中でも「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類は、それぞれ異なる特徴を持ち、利用目的や環境に応じて選択が求められます。本章では、この2つのファイルサーバーの違いを詳しく解説し、読者の皆様が最適な選択をするための指針を提供します。

オンプレミス型ファイルサーバーとは？

オンプレミス型ファイルサーバーは、自社内に物理的に設置されるサーバーで、利用者自身が運用・管理を行います。自社の業務内容に最適化した構築が可能な点が最大の特長です。自社で細かく設定できるため、既存の業務システムと密接に連携させたり、独自の機能を追加したりと、柔軟に対応できるカスタマイズ性の高さが魅力です。また、セキュリティ面でも自社内でサーバーを運用することで、アクセス管理や不正監視を自社のポリシーに沿って運用できるため、外部からのリスクを最小限に抑えたい企業には有効な選択肢となります。

一方で、導入に際してはサーバー機器や設置環境の整備が必要となり、初期費用が高額になることは避けられません。さらに、運用後もシステムの保守や障害対応、定期的なアップデートなどを自社で担う必要があり、専門知識を持った人材の確保が不可欠です。また、ストレージ容量の拡張には物理的な機器追加が伴うため、クラウド型と比べて拡張性の面で制限が出る場合もあります。

オンプレミス型ファイルサーバーのおすすめ製品

おすすめの製品は、国内シェア率1位の富士通ETERNUS HB series ハイブリッドアレイです。オンプレミスサーバーでありながら、FUJITSU Software Cloud Storage Gatewayを利用することによって、クラウド上に情報のバックアップが取れます。そのため災害時や機器の破損によるデータの紛失リスクを回避できます。価格は295万2,000円(税別)～です。

クラウド型ファイルサーバーとは？

クラウド型ファイルサーバーは、インターネット上で提供されるサービスで、データをクラウド上に保存・管理するタイプのファイルサーバーです。一般に、「ファイル共有サービス」や「オンラインストレージ」とも呼ばれ、初期投資を抑えたスモールスタートや運用負担の軽減が魅力です。月額料金制を採用しているため、必要なときに必要な分だけ機能や容量を追加でき、事業の成長や変化に応じて柔軟に対応できます。また、インターネット環境があれば場所や時間に縛られずアクセスできる点も大きな利点で、テレワークや出張先での作業など多様な働き方にもフィットします。サーバーの管理やメンテナンスはクラウド事業者が担うため、自社での運用負担が軽減され、IT部門の人的リソースを別の業務に充てることが可能になります。

その一方で、サービスの機能はあらかじめ用意された範囲に限られ、独自仕様の導入や複雑なカスタマイズには対応しにくいという制約があります。また、データがインターネット上に存在する以上、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティリスクにも常に備える必要があります。さらに、月額課金の仕組みは利便性が高い一方で、長期的にはオンプレミス型よりも総費用が高くなる可能性もあります。

クラウド型ファイルサーバーのおすすめ製品

社内共有におすすめの製品は、クロジカ大容量ファイル容量や、使えるファイル箱です。
クロジカは、NASから載せ替えが無料(通常20～100万円)な点が特徴です。使えるファイル箱は、多くの中小企業から選ばれる製品で、ユーザー数が無制限な点が特徴です。

社外共有におすすめの製品は、GigaCCや、Fleekdriveです。
GigaCCは、実績トップクラスの純国産、高品位なサービスで大企業に適している点が特徴です。Fleekdriveは、簡易タスクを自動化する管理機能が豊富な点が特徴です。

まとめ

ファイルサーバーには「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があり、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。オンプレミス型は自社内で運用するため高いカスタマイズ性とセキュリティ性が魅力ですが、初期費用や運用負担が大きく、専門人材も必要です。一方クラウド型は、導入のしやすさや柔軟な拡張性、遠隔アクセスのしやすさが強みで、運用負担も少ない反面、自由度やセキュリティ面で一定の制限があります。導入を検討する際は、自社の業務内容や将来の運用体制を踏まえ、どちらが適しているかを見極めることが重要です。

2．NASとは

NAS（Network Attached Storage）は、家庭やオフィスでのデータ保存と共有を効率化するために広く利用されているストレージデバイスです。ファイルサーバーとの違いが分かりにくいと感じる方も多いですが、NASには独自のメリットと用途があります。本章では、NASの仕組みや特徴を詳しく解説し、その魅力をわかりやすくお伝えします。

NASとは？

NASは「Network Attached Storage」の略称で、ネットワーク上に接続される記憶装置であり、複数のユーザーやデバイスが同時にアクセス可能です。内部にはハードディスクやSSDとともに、CPUやOSが搭載されており、単なる外付けHDDとは異なり、独立したコンピュータのような機能を持っています。家庭やオフィスのLAN環境に設置することで、複数の端末から同時にデータへアクセスできる利便性の高いストレージソリューションです。パソコンやスマートフォンなど、さまざまなデバイス間でのファイル共有がスムーズに行えるため、業務効率や家庭内でのデータ管理を大幅に向上させます。

導入時の手順も複雑ではなく、専門的な知識がなくても扱える製品が多いため、初心者でも安心して使用を開始できます。さらに、RAID構成の選択やストレージの追加によって容量の拡張も可能で、高性能モデルではドライブの交換を電源を切らずに行えるホットスワップ機能が搭載されている場合もあります。また最近のNASには、写真管理やテレビ録画の管理など、特定のニーズに応じた多彩な機能も備わっている点も特徴です。

NASにはLinuxタイプとWindowsタイプがある

NASには主に2つのタイプがあります。一つはLinuxベースのNAS、もう一つはWindowsベースのNASです。それぞれの特長を理解することで、自分の用途に合った製品選びがしやすくなります。

LinuxタイプのNASは、動作が軽く、製品価格が抑えられているのが特長です。一般家庭や小規模オフィス向けとして人気があり、SynologyやQNAPなどのメーカーが提供する多くのNASはこのタイプです。管理画面はWebブラウザから直感的に操作できるようになっており、専門知識がなくても基本的な設定はすぐに行えます。

一方、WindowsタイプのNASは、Windows Server OSをベースにしており、大規模なファイル共有やユーザー管理が必要な場合に向いています。Active Directoryとの連携や、Windows系ソフトとの親和性が高いため、社内に既にWindowsのインフラがある企業には扱いやすい選択肢です。

NASのおすすめ製品

最も人気のNASは、Synologyの「DiskStation DS223j」です。家庭や小規模オフィス向けの2ベイNASで、手頃な価格で信頼性の高いデータ保存と共有が可能です。簡単なセットアップで、RAID1によるデータ保護、メディア管理やバックアップ機能を提供し、柔軟に活用できます。

セキュリティ面が心配な方は、QNAPの「TS-431K」は、RAID 6構成をサポートし、2台のHDD故障時でもデータ復旧が可能です。​QNAPは世界的に高いシェアを持つメーカーであり、信頼性があります。アンチウイルス機能を搭載しており、セキュリティ対策が強化されています。​

参考：NAS(ネットワークHDD) ユーザーもおすすめ！人気売れ筋ランキング

まとめ

NASはストレージ専用デバイスとして簡易性と効率性を備え、小規模環境での利用に最適です。一方で、大規模な業務運用や高度なカスタマイズを求める場合にはファイルサーバーとの併用も検討すると良いでしょう。次章では、ファイルサーバーとNASを比較し、それぞれの選び方についてさらに詳しく解説します。

3．ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーとNAS（Network Attached Storage）は、データの保存や共有を効率化するための重要なツールですが、それぞれ異なる特徴を持っています。ファイル共有やデータ管理のための仕組みとして、「ファイルサーバー」と「NAS」はよく比較されます。しかし、実際のところこの2つの違いを正確に理解している方は少ないかもしれません。さらに近年では「クラウド型ファイルサーバー」も登場し、選択肢はさらに多様化しています。本章では、利用可能な範囲、カスタマイズ性、セキュリティ対策、導入・運用の容易さ、コストなどの観点から両者を比較し、それぞれの違いを分かりやすく解説します。

1. 利用可能な範囲

オンプレミス型ファイルサーバーは、社内ネットワーク内での利用が基本で、外部アクセスにはVPNなどの設定が必要です。クラウド型ファイルサーバーはインターネット接続さえあればどこからでもアクセス可能で、リモートワークにも最適です。NASも主に社内での利用が前提ですが、最近はクラウド連携機能が搭載され、外部からのアクセスも一部可能なモデルが増えています。

2. カスタマイズ性

オンプレミス型ファイルサーバーは、自社のニーズに応じて柔軟に設定や拡張ができるのが強みです。OSやアプリケーションの選定も自由で、独自の運用ルールが構築できます。クラウド型ファイルサーバーはベンダー側で環境が制御されているためカスタマイズ性はやや制限されますが、API連携やアクセス権管理などの設定は柔軟に可能です。NASは製品によって差がありますが、カスタマイズ性は比較的低く、あらかじめ用意された機能の範囲内で運用することが一般的です。

3. 情報セキュリティ対策

オンプレミス型ファイルサーバーは、社内で管理するためセキュリティ体制を自社で構築・運用できます。ただし、その分責任も重く、専門知識や運用ルールが求められます。クラウド型ファイルサーバーは、通信の暗号化や多要素認証、ログ管理など高水準のセキュリティ機能が標準搭載されており、最新の脅威に自動で対応できる点が魅力です。NASは基本的にローカルで安全ですが、外部接続を許可する場合にはファイアウォールやVPNなどの対策が不可欠になります。

4. 導入・運用の容易さ

オンプレミス型ファイルサーバーはサーバーの構築・設定・保守など専門的な知識が必要で、導入ハードルが高い傾向があります。クラウド型ファイルサーバーは契約すればすぐに使い始めることができ、アップデートやバックアップも自動化されているため、非常に手軽です。NASは設定も比較的簡単で、PCと同じ感覚で操作できる製品も多く、スモールスタートを考える中小企業や個人事業主に人気です。

5. 導入・運用コスト

オンプレミス型ファイルサーバーは初期導入費用が高く、サーバー本体、ソフトウェア、設置工事、保守費用などが発生します。一方で長期的にはコストコントロールがしやすいというメリットもあります。クラウド型ファイルサーバーは月額・年額での課金制が多く、スモールスタートに適していますが、利用量が増えると費用も比例して上がる点に注意が必要です。NASは初期コストが比較的安く、運用コストも抑えられますが、規模が大きくなると性能面の限界に直面する可能性があります。

4．利用目的別に適した製品｜

ファイルサーバーとNASは、どちらもデータの保存や共有を効率化するためのツールですが、用途や環境によって適した選択肢は異なります。本章では、企業や個人がどちらを選ぶべきか迷った際に役立つ判断基準を解説します。利用目的ごとに最適な選択肢を提案します。

5．NASを選ぶ時のポイント

クラウド型のファイル共有サービスが注目される一方で、特にオフィスの規模が小さい場合や家庭内でのデータ管理を目的とする場合には、「NAS（ナス）」と呼ばれるコンパクトなサーバ機器が、手軽さとコストパフォーマンスの面で非常に魅力的です。

この章では、小規模オフィスや個人利用にNASが適している理由をはじめ、NASを選ぶ際に知っておきたいポイントについて、わかりやすく解説していきます。

小規模オフィスや家庭には、「NAS」がおすすめ

オンプレミス型のファイルサーバにはさまざまなタイプがありますが、家庭や小規模なオフィスで導入を考えるなら、まず候補にあがるのがNAS（Network Attached Storage）です。NASは、ネットワークに直接接続して利用する専用のストレージ機器で、通常のパソコンやサーバと違い、専門知識がなくても簡単に使い始められるのが特長です。

例えば、複数のPCやスマートフォンから同時にアクセスできたり、写真や書類を自動的にバックアップできる機能が備わっていたりと、導入の手間に対して得られるメリットが非常に大きいのが魅力です。

また、ハードディスクを複数台内蔵して冗長化（RAID構成）できるモデルもあり、万が一の故障時にもデータを守る備えができます。コストも比較的安価で、2万円〜数十万円と幅広いため、予算に応じた選択が可能です。

NASを選ぶときに注目すべきポイント6選

NAS（Network Attached Storage）は家庭用から業務用途まで幅広く利用されており、製品によって機能やスペックに大きな違いがあります。「どれを選べば良いのか分からない」と感じる方も多いはずです。

1. LANポートの仕様
2. アクセス権の細かい設定
3. 価格
4. ストレージ容量と拡張性
5. RAID対応の種類
6. 専用アプリの有無と使いやすさ

NASを選ぶ際には、以上のような点に注意して選ぶと後悔しにくくなります。この章では必ず確認しておきたい6つの注目ポイントについて詳しく解説していきます。

1. LANポートの仕様

NASはネットワーク経由でアクセスするため、LANポートの性能は転送速度に直結します。一般的な家庭用モデルでは1Gbps対応が主流ですが、業務利用や大容量ファイルを扱う場合は、2.5Gbpsや10Gbps対応のモデルを選ぶとより快適です。また、ポートの数が2つ以上ある「リンクアグリゲーション対応モデル」では、回線の冗長化や通信速度の向上も期待できます。ネットワークの速度や安定性を重視する場合は、LANポートの規格や数に注目しましょう。

2. アクセス権の細かい管理

複数人でNASを利用する場合、アクセス権限の設定は非常に重要です。ユーザーごとに「読み取り専用」や「編集可能」といった権限を細かく設定できるNASであれば、データの誤削除や無断編集を防げます。部門別にフォルダを分けて管理したい中小企業や、家族で用途を分けて使いたい家庭にも便利です。また、ログ管理や履歴確認の機能が搭載されていれば、万が一のトラブル時にも安心。管理機能の充実度は、使い勝手と安全性を大きく左右します。

3. 価格

NASは安価なもので2万円台から、高性能モデルでは数十万円するものまで幅広く存在します。価格にはストレージ容量の上限、CPU性能、搭載機能、ブランドなどが影響していますが、安価な製品でも基本的なファイル共有やバックアップ機能はしっかり備わっていることが多いです。まずは自分の利用目的を明確にしたうえで、必要な機能を満たす範囲で予算に合った製品を選ぶのがポイントです。コストだけに注目せず、長期的な使い勝手も意識しましょう。

4. ストレージ容量と拡張性（ベイ数）

NASは「ベイ」と呼ばれるハードディスクの搭載スロット数によって、初期容量や将来の拡張性が決まります。2ベイモデルであればミラーリング（RAID1）によるデータ保護が可能で、小規模利用には十分です。一方、4ベイ以上のモデルならRAID5やRAID10など、柔軟な構成が取れ、将来的に容量を増やす際も安心です。初めての導入時には容量を持て余す可能性もありますが、将来的なデータ増加を見越して、拡張性に余裕のあるモデルを選ぶのがおすすめです。

5. RAID対応の種類

RAIDとは、複数のハードディスクを1つのシステムとしてまとめ、データの安全性や読み書き速度を高める技術です。NASによって対応しているRAIDの種類が異なるため、用途に応じた構成が可能かを確認することが大切です。たとえばRAID1はデータのミラーリングで安心感があり、RAID5は容量効率と耐障害性のバランスに優れています。対応RAIDの種類が多い製品は、それだけ運用の自由度も高くなります。大切なデータを守るためにも、必ずチェックしましょう。

6. 専用アプリの有無と使いやすさ

NASの利便性を高めるのが、スマートフォンやタブレットからのアクセスを可能にする専用アプリの存在です。外出先から写真や資料にアクセスしたり、家族や同僚とファイルを簡単に共有したりと、アプリの使い勝手次第で活用の幅が大きく広がります。アプリのUI（操作画面）が直感的で使いやすいか、OSの対応状況（iOS／Android）はどうかなども確認しておくと安心です。レビューや公式サイトで画面イメージをチェックして、自分にとって使いやすいかどうか見極めましょう。

6．クラウド型ファイルサーバーの比較ポイント4選

クラウド型ファイルサーバー(ファイル共有サービス)の導入を検討する際、最適なサービスを選ぶことが企業のIT環境に大きな影響を与えるため、慎重な選定が求められます。サービスによって機能やスペックに大きな違いがあり、数も非常に多いため、「どれを選べば良いのか分からない」と感じる方も多いはずです。クラウド型ファイルサーバを選ぶ際には、以下のような点に注意して選ぶと後悔しにくくなります。この章では、クラウド型ファイルサーバーを選ぶために押さえておくべき4つのポイントについて詳しく解説していきます。

1.コストパフォーマンスが良いか

クラウド型ファイルサーバーを選ぶ際、最も重要な要素のひとつがコストパフォーマンスです。月額料金や年額料金を基準にするだけでなく、提供される機能や容量を含めて総合的に評価することが必要です。

• 価格の比較
  各クラウドサービスは、ユーザー数、ストレージ容量、提供される機能に応じて価格が異なります。ユーザー数が多く、ストレージ容量が大きい場合、その分料金が高くなりますが、その分サービス内容が充実していることも多いです。自社のニーズに合ったプランを選ぶことが大切です。
• 機能面の評価
  単にファイルを保存するだけでなく、アクセス権限管理、データの同期機能、バックアップ機能などのオプションがどの程度備わっているかを確認しましょう。高機能なサービスほど価格が高くなる場合もありますが、必要な機能に絞ってコストを抑えることも可能です。
• ストレージ容量のチェック
  企業の規模や使用状況に応じて、十分なストレージ容量が確保されているかを確認することが大切です。特に、ビデオファイルや大容量データを取り扱う企業では、ストレージ容量を意識した選定が求められます。

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2.セキュリティポリシーが適しているか

セキュリティはクラウド型ファイルサーバーを選ぶ上で欠かせない要素です。企業にとって重要なデータを預ける以上、しっかりとしたセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。

• データの暗号化
  ファイルの転送時や保存時に暗号化が施されているかどうかをチェックしましょう。SSL/TLSによるデータ転送の暗号化や、データベースの暗号化が標準で提供されているサービスを選ぶことをおすすめします。
• アクセス制御と認証
  ユーザーごとのアクセス権限設定や、二段階認証（2FA）など、セキュリティを強化するための機能が整っているか確認しましょう。これにより、情報漏洩や不正アクセスを防止できます。
• データバックアップと復旧
  もしもの場合に備えて、定期的なバックアップ機能が提供されているか、そしてデータ復旧の手順や対応が迅速に行われるかをチェックしておきましょう。

3.サポート体制が充実しているか

サポート体制が充実していることも、クラウド型ファイルサーバーを選ぶ上で非常に重要です。導入後にトラブルが発生した場合や、使い方に不安がある場合に迅速にサポートを受けられるかどうかは、ビジネスの安定運営に直結します。

• 対応時間とサポートの方法
  24時間対応のサポートが提供されているか、または問い合わせ窓口（電話、チャット、メールなど）の対応時間が企業の運営時間と一致しているかを確認しましょう。
• サポートの質
  ヘルプセンターやFAQ、ユーザーコミュニティなど、自己解決をサポートするためのリソースが充実しているかも重要です。また、サポートスタッフが問題解決に迅速に対応してくれるかを確認することが大切です。
• 専用サポート担当者の有無
  特に企業規模が大きい場合、専用のサポート担当者がつくサービスを選ぶことも有効です。担当者が直接問題解決にあたるため、より迅速かつ専門的なサポートを受けることができます。

4.既存のシステムと連携が取れるか

クラウド型ファイルサーバーは、他のシステムやツールと連携できるかどうかも大切なポイントです。既存の業務システムやソフトウェアとスムーズに連携できることで、業務効率が大幅に向上します。

• APIやインテグレーション機能
  既存のシステム（CRM、ERP、プロジェクト管理ツールなど）と連携できるAPIやインテグレーション機能が提供されているかを確認しましょう。これにより、ファイル管理が他の業務システムと自動で連携し、手動での作業が減少します。
• 既存の認証システムとの連携
  社内で使用している認証システム（Active Directory、SSOなど）とクラウド型ファイルサーバーが連携できるかを確認しておくと、ユーザー管理が簡素化されます。
• マイグレーションのサポート
  既存のファイルシステムからクラウド型ファイルサーバーへの移行がスムーズに行えるか、マイグレーションツールやサポートが提供されているかも確認しておきましょう。

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7．クラウド型ファイルサーバーの導入事例

クラウド型ファイルサーバーの導入は、企業の業務効率化やコスト削減、セキュリティ強化に大きく貢献します。しかし、具体的な導入事例を知ることで、そのメリットをより実感できるでしょう。本章では、3つの導入事例を通じて、クラウド型ファイルサーバーがどのように課題を解決し、効果をもたらしたのかを詳しく解説します。

導入事例①：ファースト＆タンデムスプリント法律事務所(導入製品：Box)

導入前の課題

弁護士法人ファースト＆タンデムスプリント法律事務所は、契約書や法律相談、裁判所に提出する資料など、日々多くの書類を取り扱っていました。そのため、紙の取り扱いが非常に多く、紙に埋もれる法律事務所が多いという課題がありました。また、多くの弁護士がメール添付で書類を外部と共有しており、その作業の繁雑さや不便さを感じていました。Google Driveでのファイル管理を試みましたが、UIの問題やバージョン管理の課題が解決しなかったため、他の方法を探していました。

導入後の効果

導入前の課題

株式会社シーユーシーは、医療法人間でのノウハウ共有が不足していたことから、この課題を解決するためのツールを探していました。以前はWordPressのMyWikiを使用していましたが、そのシステムでは管理者しか投稿できないという制限がありました。そのため、医療法人間での情報共有が煩雑であり、業務が属人化していました。特に、各医療法人が独自のやり方やルールに依存していたため、効率的な業務運営が妨げられていました。また、一方通行の情報共有しかできない既存のシステムでは、多角的な知識やノウハウの共有が困難でした。

導入後の効果

NotePMの導入により、医療法人間での情報共有が格段にスムーズになりました。具体的には、「診療お役立ち集」のような形で、各専門の先生方にノウハウを書いてもらい、全体で共有する取り組みが始まりました。ツール内での「いいね！」やコメント機能があるため、双方向のコミュニケーションが可能です。また、事務手続きに関する30項目ほどの必要な作業をマニュアル化し、管理が行いやすくなりました。これにより、業務効率が大幅に向上し、医療法人に新しく入職するメンバー向けにも、研修が効率的に行えるようになりました。

参照：医療法人間の専門ノウハウを共有するプラットフォームとして活用！

導入事例③：株式会社ROBOT PAYMENT(製品名：クリプト便)

導入前の課題

株式会社ROBOT PAYMENTは、顧客企業との間でクレジットカード情報の受け渡しを行う際、USBメモリなどの物理媒体を使用していました。この方法は、2種類のパスワードをかけて保護するなどの手間がかかり、紛失や盗難のリスクも伴っていました。また、データの移管後の消去作業を強制的に行う仕組みがなく、不安要素として存在していました。さらに、ビジネスのスピード感が求められる中、物理的な媒体を使用した受け渡しは、スピーディな対応が困難であるという課題が浮き彫りになっていました。

導入後の効果

クリプト便の導入により、USBメモリを使用したデータのやり取りの手間を大幅に削減することができました。具体的には、オンラインでのデータやり取りが可能となり、工数や運用コストの削減が期待されています。また、クリプト便の機能を活用することで、業務に関わる特定のメンバーや端末のみがクレジットカード情報にアクセスできるようになり、セキュリティが強化されました。顧客との接点においても、クリプト便を使用していることを説明することで、顧客の安心感が向上しているとの声もあります。

参照：USBメモリによる郵送を廃止し、PCI DSSに準拠した「クリプト便」を活用して安全かつスピーディな受け渡しを実現