【2024】電子カルテの普及率の現状は?グラフを用いて推移を解説
最終更新日:2024/03/19
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目次
近年、電子カルテの普及率が増加していますが、中小規模の医療機関ではまだ普及が進んでいない現状があります。この記事では、電子カルテの普及率の現状に加えて、導入が進まない理由や導入のメリットについて解説します。特に、中小医療機関での導入における課題や問題点に焦点を当てます。電子カルテの導入を検討する際には、メリットとデメリットを十分に理解してから導入をすることが重要です。記事内ではおすすめの電子カルテ製品も紹介しているので参考にしてみてください。
電子カルテの普及率
電子カルテの普及率の現状
厚生労働省の医療施設調査によると、2020年時点での電子カルテの普及率は、一般病院で57.2%に達しています。この数字は、病床規模別に見ると、400床以上の病院では91.2%に達し、ほぼ全ての大規模病院での導入が進んでいることを示しています。しかし、200床以下の小規模病院や一般診療所では、普及率が48.8%から49.9%の範囲にとどまっており、大きな病院と比較すると普及が遅れている状況が続いています。
この数値は、時間の経過とともに変化してきました。例えば、平成29年のデータと比較すると、電子カルテの普及率は明らかに増加しています。その時点では、一般病院での普及率は約47%であり、今回の調査結果である57.2%に比べると、約10%の向上が見られます。この推移は、電子カルテが医療現場での重要性が認識され、導入される動きが進んでいることを示しています。
しかし、依然として小規模病院や一般診療所での普及率は低いままです。これには複数の要因が関与していますが、その中でも特に挙げられるのは導入に伴うコストやシステムの導入に関する技術的な課題です。これらの問題を解決することが、電子カルテの普及をさらに推進するための重要な課題となっています。
電子カルテの普及率が低い3つの原因
紙カルテに慣れ過ぎている
多くの医療機関では長年にわたり紙カルテが使用されてきたため、スタッフには紙の記録に慣れた者が少なくありません。電子カルテの導入には、スタッフへの操作方法のレクチャーやデータの移行に時間や労力が必要です。特に高齢の医師やスタッフは、パソコンやタブレットの操作に苦手意識を持っている場合があります。
そのため、紙カルテの方が使いやすいと感じ、導入を見送るケースが少なくないのです。医師やスタッフの多くは、何十年も紙カルテで仕事をしてきたため、紙カルテに親しみを感じています。そのため、新たに導入された電子カルテには、初期設定や操作方法を覚える時間が必要であり、すぐに活用することが難しいと考えられます。
導入にかかるコストが高い
電子カルテの導入には、毎月の使用料の他に初期費用や保守費用などが必要です。特に大規模病院では、専門の部門があり、機能を活用できるため導入が容易ですが、小規模病院では費用対効果を考慮し、導入を躊躇する傾向があります。初期費用は300〜500万円程度かかる場合もあり、毎月の保守費用も数万円程度に上ります。しかし、クラウド型の電子カルテは初期費用が低く、月額費用も抑えられる傾向にあります。導入費用の負担や費用対効果を考えると、特に小規模な病院や診療所では導入が難しい場合があります。しかし、費用以外のメリットを理解することが重要であり、導入のメリットについても考慮する必要があります。
移行に時間がかかる
電子カルテへの移行は、一般的に3〜6ヶ月程度の期間が必要です。この期間には、電子カルテサービスの選定、病院スタッフへのトレーニング、患者データの移行、システムの調整などが含まれます。特に、病院スタッフの理解と指導が重要であり、日々の業務の中で新たなシステムについて指導する必要があります。
電子カルテを導入する3つのメリット
情報を一元管理できる
電子カルテの導入により、さまざまな診療情報を一元化できます。従来の紙カルテでは患者ごとに1冊のカルテを使用し、同時に閲覧できない場合がありましたが、電子カルテでは情報が一元化されているため、複数の医療スタッフが同時に閲覧できます。また、紙カルテでは診療録や検査データ、処方箋などが別々に管理されることがありましたが、電子カルテではこれらの情報を一元化し、検索を用いて簡単に情報を見つけ出すことができます。情報が一元化されることで、カルテの整理や検索にかかる手間が省け、業務の効率化につながります。
ミスの削減につながりやすい
電子カルテの導入は、ミスの削減につながりやすいというメリットがあります。紙カルテでは手書きのため医師やスタッフの字が読み取りづらく、処方箋や指示の読み間違いが起こりやすいですが、電子カルテではそのようなミスを大幅に削減できます。また、一部の電子カルテには医薬品データベースや処方チェック、患者のアレルギー項目の登録などの機能が備わっており、これらが医療ミスの防止にも役立ちます。電子カルテを使用することで、治療歴や検査内容を迅速かつ正確に管理でき、診察の精度が向上します。同じ画面で多くの情報を比較できるため、診察の効率化も期待できます。
業務効率化につながる
電子カルテの導入は、カルテ出しや会計などの院内業務の効率化につながります。電子カルテには診療情報提供書や予約表などのテンプレートが用意されていることがあり、これにより忙しい外来診療の合間に書類を記載する手間を削減できます。また、一部の電子カルテではAIによりよくオーダーする処置行為などを自動表示する機能があり、診療のたびにオーダーする手間を大幅に削減できます。さらに、電子カルテは予約から問診、自動受付、診察、オンライン決済まで一貫した診療を実現可能であり、業務効率化を図ることができます。情報の一元化と連携により、たった1つのパソコンでほとんどの業務を行えるため、診療に集中しやすく、スタッフの満足度も向上します。
電子カルテを導入する際の選定ポイント
自院に合った機能が揃っているか
電子カルテを導入する際には、自院のニーズや目的を明確にし、必要な機能が提供されているかを確認することが重要です。主にオンプレミス型とクラウド型の電子カルテがありますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自院に最適なものを選ぶことが求められます。また、機能性の高さも重要であり、多様な機能が実装されている一方で、必要のない機能が多いシステムも存在するため、慎重に選定する必要があります。
操作性は十分か
電子カルテの操作性はメーカーによって異なります。導入時には、医師や医療スタッフが使いやすいものを選ぶことが重要です。複数の電子カルテを比較検討し、実際に無料デモ体験を行うことをおすすめします。日常的に使用するため、わずかな使いにくさも業務に支障をきたす可能性があるため、ストレスなく操作できるシステムを選ぶことが重要です。
サポート体制は充実しているか
電子カルテを導入する際には、サポート体制が充実しているかどうかを確認することが重要です。特に、パソコンやタブレットなどの操作に慣れていないスタッフが多い場合や、導入後のトラブルに備えて十分なサポートが必要です。導入時には、担当者による丁寧なレクチャーやトレーニングがあると、スタッフの理解度や操作のスムーズさが向上します。さらに、導入後のトラブルに対応する体制も重要です。
トラブルが発生した際には、迅速な対応が求められますので、電子カルテを提供する企業が適切なサポートを提供しているかを確認しましょう。その際、トラブル対応が有償か無償か、オンラインや来院対応なども事前にチェックしておくことが重要です。しっかりとしたサポート体制が整っている場合、電子カルテの導入や運用が円滑に行われ、医療スタッフの負担軽減や業務効率化につながるでしょう。
費用が予算に収まっているか
電子カルテを導入する際には、費用が予算に収まっているかどうかを確認することが大切です。オンプレミス型の場合は、初期費用やメンテナンス費用がかかりますので、自院に必要な機能を有し、費用対効果が高いかよく検討しましょう。一方、クラウド型は導入・初期費用が抑えられるものの、月額利用料が必要です。メーカーによって月額費用は異なるため、自院にとって負担にならないかを比較検討することがおすすめです。これにより、予算内で適切な電子カルテを選定することが可能です。
電子カルテの導入手順
製品を比較・選定する
電子カルテを導入する際には、まず製品を比較・選定する段階が重要です。複数の電子カルテを比較することがおすすめされます。1つの電子カルテだけを見ていては、その性能や費用、サポート面などが優れているかどうか判断しづらくなります。それぞれの製品は性能や費用、サポート面などで大きく異なるため、少なくとも3つ以上の電子カルテを比較して、自院に適した製品を選定しましょう。
初期設定をする
次に、電子カルテの導入手順の一環として初期設定を行います。初期設定には、自分でマニュアルを見ながら行う場合と、開発業者の担当者に手伝ってもらう場合があります。
特に、電子機器の操作が苦手な場合は、自分での初期設定が難しく、時間と手間がかかるだけでなく、設定がうまくいかない可能性もあります。そのため、初期設定の手伝いをしてくれるかどうかを確認し、手伝いが可能な場合は、そのサポートが有償か無償かも事前に確認しておくと良いでしょう。
試験的に運用して確認する
試験運用は、導入した電子カルテが日常業務にどのように適合するかを見極めるための重要なステップです。ここでは、医療スタッフがシステムを実際に使用し、操作性や機能性を評価します。同時に、業務が滞る要因やシステム上の不具合を特定し、必要な修正や調整を行います。
試験運用の過程で、システムの適応性や使いやすさを検証するために、様々なシナリオやユースケースをシミュレートします。これにより、実際の運用において問題が生じる可能性がある箇所を事前に発見し、適切な対策を講じることができます。
また、試験運用を通じて、スタッフのトレーニングやサポート体制の充実度なども評価されます。運用における不明点やトラブルがあった場合には、適切なサポートが提供されるかどうかも確認されます。この段階での試験運用は、本運用における円滑な移行を支援し、患者への影響を最小限に抑えるために不可欠です。
電子カルテを導入して作業を効率化しよう
近年、医療現場における電子カルテの普及率が急速に増加しています。電子カルテは患者の医療情報を電子化し、効率的な医療管理を可能にするシステムであり、従来の紙ベースのカルテに比べて情報の共有や検索が容易であるため、多くの医療機関で採用されています。特に、医療のデジタル化が進む中で、クラウドベースの電子カルテシステムが導入され、様々な医療機関間での情報共有や連携が促進されています。これによって、診療の効率化や医療の質の向上が期待されており、今後も電子カルテの普及率はさらに拡大していくでしょう。
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