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オンプレミスのメリットとは?デメリットやクラウドとの違いも解説

目次

オンプレミスとはシステムを自社内に設置・運用する形態を指します。クラウドサービスの普及により、多くの企業がクラウド移行を検討していますが、オンプレミスならではの強みが依然として多くの企業にとって魅力的です。特に、機密性の高いデータを扱う企業や、セキュリティ対策が最優先の環境では、オンプレミスの採用が有力な選択肢です。

本記事では、そのようなオンプレミスの具体的なメリットを詳しく解説したうえで、クラウドとの比較、企業に適した選択基準についても解説します。

オンプレミスとは

オンプレミス(on-premises) とは、企業が自社で情報システムを管理・運用する形態を指します。これは、サーバーやソフトウェア、ネットワーク機器を自社の設備内、もしくは管理できる範囲内に設置し、自社のIT担当者がその運用・保守を行うものです。特に、クラウドサービスの普及に伴い、クラウドとの対比で「オンプレミス」という用語が広く使われるようになりました。

オンプレミスの特徴

オンプレミス環境では、システムに必要なすべてのハードウェアやソフトウェアを企業が自ら調達し、管理します。これは、企業内のサーバールームやデータセンターなど、物理的に制御できる場所にインフラを設置することを意味します。このため、外部のクラウドサービスに依存せず、自社内で全ての運用が完結することが特徴です。

たとえば、自社でメールサーバーやチャットツールを構築・運用する場合、アップデートやセキュリティのメンテナンスも自社内で行うことになります。これにより、システムのカスタマイズ性が高まり、セキュリティ対策も自社の基準で徹底することが可能です。

オンプレミスのメリット4つ

前章で説明したようにオンプレミス(On-Premises)とは、企業が自社でサーバーやITインフラを構築・運用する形態を指します。クラウドサービスの普及が進む中でも、オンプレミスには多くのメリットがあります。以下では、オンプレミスの主な利点をいくつかの観点から説明します。

  1. 高いカスタマイズ性
  2. 既存システムとの高い親和性
  3. 高いセキュリティ
  4. ネットワークパフォーマンスの向上

1. 高いカスタマイズ性

オンプレミスの最大の魅力の1つは、カスタマイズ性の高さです。自社でハードウェアからソフトウェア、ネットワークインフラまで全てを自由に選択し、設計・構築することが可能です。これにより、自社の業務フローや独自の要件に完全に適合したシステムを作り上げることができます。

また、導入後に不具合や業務要件の変更が生じた際にも、柔軟にシステムの修正や拡張が行えます。メンテナンス作業の日程も自社の都合で決定できるため、他社サービスに依存しない自由度の高い運用が可能です。

2. 既存システムとの高い親和性

オンプレミスは、既存の自社システムや業務フローとの連携が非常に容易です。基幹システムや他の業務システムがすでに稼働している場合、オンプレミス環境に新たなシステムを追加する際の障壁は比較的低いです。

クラウドサービスでは、既存システムとの親和性が問題となる場合がありますが、オンプレミスなら柔軟な連携が可能です。特に、業務システム間のデータフローや連携をカスタマイズする必要がある場合には、オンプレミスが最適な選択肢となるでしょう。

3. 高いセキュリティ

オンプレミスは、セキュリティ面でも非常に大きなメリットを提供します。システムやデータを自社内で管理し、外部からのアクセスを制限できるため、情報漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑えることが可能です。

特に、機密情報や重要なデータを取り扱う企業にとっては、セキュリティの高さがオンプレミスを選ぶ理由となるでしょう。バックアップデータも自社内に配置することで、安全性を高めることができます。

4. ネットワークパフォーマンスの向上

オンプレミス環境では、社内ネットワークを使用するため、外部のインターネット接続による遅延や障害の影響を受けません。その結果、ネットワークパフォーマンスが高くなり、データの転送速度やシステム応答が非常に速くなります。

また、大規模なデータのバックアップや大量のデータ転送を必要とする企業にとって、オンプレミスのネットワーク環境は非常に重要です。クラウドバックアップでは、特に夜間にデータ転送が完了しない場合もありますが、オンプレミス環境ならばこのような問題は発生しません。

オンプレミスのデメリット4つ

オンプレミス(On-Premises)は多くのメリットを持ちながらも、いくつかの重要なデメリットが存在します。企業がオンプレミスを導入する際は、これらのデメリットを十分に理解し、リスクを管理することが重要です。以下では、オンプレミスの主なデメリットについて詳しく説明します。

  1. 初期導入コストの高さ
  2. 運用コストの負担
  3. 専門的人材の確保が必須
  4. 拡張性の限界

1. 初期導入コストの高さ

オンプレミスの最大のデメリットは、導入時にかかる初期費用が非常に高額になる点です。サーバーやネットワーク機器、ストレージなどのハードウェアを購入する必要があるため、数百万から数千万円規模の投資が必要になることも珍しくありません。また、ソフトウェアのライセンス費用や、構築に必要な人件費も加わるため、金銭的な負担が非常に大きくなります。

さらにシステム構築が完了するまでにも、要件定義や設計、テスト運用などの手間と時間がかかり、稼働開始までの期間が長くなることも課題です。

2. 運用コストの負担

オンプレミスは導入後も、運用にかかるコストが継続的に発生します。例えば、サーバーやネットワーク機器の電力消費、保守管理のための人件費、設置場所の維持費用などが挙げられます。さらに、システムのアップデートや不具合対応も自社で行う必要があるため、人的リソースを確保することが求められます。

これに加え、運用中に新たな機器が必要になった場合や、性能不足によるシステムの拡張が必要な場合も、機材調達や再構築にかかるコストが大幅に増える可能性があります。

3. 専門的人材の確保が必須

オンプレミスを運用するためには、情報システムに関する高度な専門知識を持つ人材が不可欠です。特に中小企業では、こうした人材を確保することが難しく、システムの導入・運用・管理において困難に直面する可能性があります。

大企業であれば社内に情報システム部門を設けることが可能ですが、資金や人材に制約がある企業にとっては、外部の専門業者に依存することが避けられないケースも多く、それがさらにコスト増加の要因となります。

4. 拡張性の限界

オンプレミスのシステムは、クラウド環境と比較すると拡張性が低いという問題があります。システムのリソース(CPU、メモリ、ストレージ)が不足した場合、物理的な機材を追加購入しなければならず、そのためのコストや時間がかかります。クラウドであれば数クリックでリソースの増加が可能ですが、オンプレミスの場合は迅速な対応が難しい点がデメリットです。

さらに、システム全体の冗長化(バックアップの強化や障害対策)を行う場合も、機材を倍増させる必要があり、コストはさらに跳ね上がります。

オンプレミスとクラウドの比較【5項目】

近年、情報システムの導入において、オンプレミスとクラウドのどちらを選択するかが重要な判断ポイントとなっています。両者には異なる特徴があり、目的や環境に応じて適切な選択をすることが必要です。ここでは、オンプレミスとクラウドのメリット・デメリットを表を使って比較し、それぞれの特徴を解説していきます。

  1. コスト面
  2. セキュリティ面
  3. カスタマイズ性と拡張性
  4. 導入スピードと運用面
  5. 障害対応とバックアップ

1. コスト面

オンプレミスは初期費用が高額になる一方、安定したシステム運用ができれば長期的には維持費を抑えられる可能性があります。しかし、クラウドは初期費用を抑えられるものの、長期運用ではランニングコストが膨らむことがあり、用途に応じたコスト計画が重要です。

2. セキュリティ面

オンプレミスはセキュリティを自社ポリシーに基づいて設計できる点が強みですが、クラウドも近年ではセキュリティ対策が向上し、災害対策の面ではクラウドの優位性が見られます。特にデータセンターの冗長化やバックアップ対応がスムーズです。

3. カスタマイズ性と拡張性

オンプレミスは、システムやハードウェアのカスタマイズ性が非常に高く、特定のニーズに最適な環境を作り上げることができます。一方、クラウドはカスタマイズの自由度が限られている場合がありますが、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)であれば高い拡張性を備えています。

4. 導入スピードと運用面

オンプレミスは、導入までに時間がかかり、システムの構築や運用に高度なスキルが必要です。一方、クラウドは契約後すぐに利用でき、日常的な運用やメンテナンスもサービス提供者が行うため、専門スキルが不要になるケースもあります。

5. 障害対応とバックアップ

オンプレミスは障害発生時に自社で復旧作業を行う必要がありますが、柔軟に対応できるというメリットもあります。クラウドの場合、サービス提供者に依存するため、対応の迅速さはベンダーの運用に左右されますが、一般的にクラウドのバックアップ機能は充実しており、安心感があります。

オンプレミス型の導入が向いている企業の特徴6選

オンプレミスの導入は、特定の条件やニーズを持つ企業に最適です。ここでは、オンプレミスの導入を検討すべき企業の特徴を紹介し、どのようなケースでオンプレミスが有利かを解説します。

  1. 機密情報を取り扱う企業
  2. システムのカスタマイズが必要な企業
  3. 安定したネットワーク環境を求める企業
  4. 長期的なコストパフォーマンスを重視する企業
  5. 自社の運用体制が整っている企業
  6. 災害対策を考慮する企業

1. 機密情報を取り扱う企業

機密性の高い情報を取り扱う企業は、セキュリティ面を考慮してオンプレミスの選択を検討する必要があります。オンプレミス環境では、自社独自のセキュリティポリシーを適用でき、物理的な隔離環境でシステムを管理できるため、外部からの脅威を最小限に抑えることができます。特に社外に出すことが難しいデータや、法的規制が厳しい情報を扱う場合、オンプレミスが適しています。

2. システムのカスタマイズが必要な企業

自社に最適なシステム構成を求めている企業は、オンプレミス環境が適しています。オンプレミスでは、システムの細部までカスタマイズが可能で、既存の社内システムと柔軟に連携させることができるため、独自のニーズに対応しやすいです。例えば、複数の異なるシステムを統合し、カスタマイズしたワークフローを実現したい場合、クラウドよりもオンプレミスの方が優れた選択となるでしょう。

3. 安定したネットワーク環境を求める企業

ネットワークパフォーマンスが事業の鍵となる企業も、オンプレミスの導入を考えるべきです。オンプレミス環境では、自社内の閉域網での運用が可能であり、インターネット経由でのアクセスによる遅延やセキュリティリスクが発生しにくくなります。特に、リアルタイムのデータ処理や高速なデータ転送が求められる業務において、オンプレミスはクラウドに対して優位性を発揮します。

4. 長期的なコストパフォーマンスを重視する企業

オンプレミスは初期費用が高くなりがちですが、長期的な視点で見るとクラウドよりもコストを抑えられる場合があります。大規模なシステムを運用する企業では、クラウドの従量課金制がコストの上昇を招くことがあり、オンプレミスによる固定費の方が結果的に安価になることがあります。初期投資を上回るコスト削減が見込まれる場合、オンプレミスは有効な選択肢です。

5. 自社の運用体制が整っている企業

システムの運用・管理に強いリソースや、専門知識を持ったエンジニアを抱える企業は、オンプレミス環境をうまく活用できる可能性があります。オンプレミスは導入後のメンテナンスや管理に手間がかかる反面、すべての運用プロセスを自社でコントロールできるため、適切な人的リソースがあれば強力な運用環境を構築することができます。

6. 災害対策を考慮する企業

オンプレミスを選択する場合、災害対策の強化も重要なポイントです。例えば、物理的な災害が発生した際にデータを保護するため、遠隔地にバックアップを保持することが求められます。また、ネットワークを介さずオフラインでバックアップを行う方法(テープバックアップなど)は、ランサムウェアなどの外部攻撃からデータを守る効果的な手段となります。自社の重要なデータを物理的に管理したい場合、オンプレミスは優れた選択肢です。

まとめ

本記事ではオンプレミスのメリットについて主に解説してきました。オンプレミスは、特定の条件下で企業にとって非常に有用な選択肢です。主に機密情報を取り扱う企業や、高度なセキュリティ対策が必要な企業に推奨されます。また、独自のシステムカスタマイズや複雑なシステム間の連携を求める企業にとって、オンプレミス環境の方が柔軟性が高く、最適です。自社内で安定したネットワーク環境を維持したい企業にも向いており、長期的なコストパフォーマンスを重視する場合、クラウドよりも費用を抑えられる可能性があります。

さらに、自社に強力なITリソースがある場合や、災害対策をオフラインで徹底したい企業にも適しています。オンプレミスとクラウドはそれぞれメリットが異なるため、用途に応じて使い分ける「ハイブリッドクラウド」も有効な選択肢です。

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