Menu
Close

ABテストツール18製品を徹底比較!基本概要と使い方【2025年最新・監修者コメント付き】

この記事で解説すること

ABテストツールの基本概要や活用方法、初心者におすすめのツール、導入後に成果を上げるための成功ポイントについて解説しています。各ツールの特徴や機能を比較し、自社に最適な選定ができるようサポートします。さらに、ABテストの具体的な手順や改善事例も紹介しています。

「ABテストツール」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

  • 製品名
  • 注目ポイント
  • 料金プラン
  • プラン名金額
  • 無料トライアル
  • 最低利用期間
  • 基本的な機能
    • エディター機能
    • レポート出力可能
    • 有意差検定
    • パーソナライズ設定
    • マルチデバイス対応
    • 外部ツールとの連携
    • リダイレクトテスト
    • 複数ページテスト
    • HTMLファイル不要
    • テストの自動最適化
    • マルチユーザー対応
    • 無料ソフト
    • セグメントごとの結果
    • 月額固定
    • エンジニア不要
    • 従量課金
    • コンテンツブロックのテスト
    • EFO機能
    • 多変量テスト
    • ヒートマップ分析
  • サービス資料
  • 無料ダウンロード
  • ソフト種別
  • サポート
初期費用 要相談
Saasプラン 要相談
APIプラン 要相談
要相談
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
フリープラン 無料
備考
Optimize Nextはコストを一切かけずに利用可能です。
ベーシックプラン ¥3,000/月 (税込 ¥3,300)
備考
より充実した基本機能を提供します。数値レポートを確認、パターンの比重をカスタマイズなど。
ベーシックプラン2 ¥10,000/月 (税込 ¥11,000)
備考
基本機能に加え、画像をアップロード(1件まで)が利用できます。
プレミアムプラン ¥30,000/月 (税込 ¥33,000)
備考
無制限の画像アップロードや、個別のカスタマーサポートを受けることができます。
なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
スタンダード 要相談
プロ 要相談
エンタープライズ 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
月額 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
エンタープライズ版 要相談
制限なし
なし 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
月額利用料 0円
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要問合せ
備考
問い合わせの後ヒアリング
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
基本プラン 0円/月額
備考
有料オプションあり
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
問合わせ後にヒアリング
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 200,000円
備考
詳細は問合わせ
月額費用 100,000円/月額
備考
詳細は問合わせ
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
通常プラン 55,000円/月額
備考
100万UUまで
登録サイト:無制限
代理店プラン 55,000円/月額
備考
100万UUまで
登録サイト:10
1ヶ月
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
要問合わせ
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 200,000円(税別)
料金 45,000円(税別)/月額
3ヶ月
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
要問合わせ
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 10万円
備考
導入プログラム・学習コンテンツのご提供
月額固定 12.5万円〜
備考
主に計測PV数により決定
従量課金式による自動料金変動なし
1ヶ月
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
「初期費用」は発生いたしませんが、「計測データ保守管理料」として6,600円(税込)をお申し込み時に原則一括にて必要です。
無料トライアル 0円
料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
Insight Free 0円
Insight Growth 3,000 PV 4,980円/月額
Insight Growth 10,000 PV 9,980円/月額
Insight Growth 50,000 PV 19,800円/月額
Insight Growth 100,000 PV 29,800円/月額
Insight Growth 200,000 PV 49,800円/月額
Insight Growth 500,000 PV 69,800円/月額
Insight Growth 500,000∔  PV 従量課金
Insight Premium 従量課金
Experience Free 0円
Experience Growth 3,000 PV 7,980円/月額
Experience Growth 10,000 PV 14,800円/月額
Experience Growth 50,000 PV 29,800円/月額
Experience Growth 100,000 PV 49,800円/月額
Experience Growth 200,000 PV 79,800円/月額
Experience Growth 500,000 PV 109,800円/月額
Experience Growth 500,000∔  PV 従量課金
Experience Premium 従量課金
Bundle Pack Free 0円
Bundle Pack Growth 3,000 PV 9,980円/月額
Bundle Pack Growth 10,000 PV 19,800円/月額
Bundle Pack Growth 50,000 PV 39,800円/月額
Bundle Pack Growth 100,000 PV 59,800円/月額
Bundle Pack Growth 200,000 PV 99,800円/月額
Bundle Pack Growth 500,000 PV 149,800円月額
Bundle Pack Growth 500,000∔  PV 従量課金
Bundle Pack Premium 従量課金
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
無料 0円/月額
ミニマム 9,800円/月額
ビジネス 19,800円/月額
ファースト 49,800円/月額
エキスパート 99,800円/月額
スーパー 149,800円/月額
無料プラン→最低利用期間の制限なし 有料プラン→最低6ヶ月
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /

価格や製品機能など、見やすい一覧表から、気になる製品をまとめてチェック!

目次

「WebサイトのCVR(コンバージョン率)が伸び悩んでいる」
「担当者の勘や、過去の経験則だけに頼ったサイト改修に限界を感じている」

そんな担当者の悩みを解決するのが、「ABテスト」です。データに基づいたサイト改善に必要不可欠な手法です。

しかし、2023年の「Google オプティマイズ」サービス終了に伴い、多くの企業がツールの見直しという大きな岐路に立たされています。

この記事では、ABテストの基本的な仕組みから、ツール導入が急がれる理由、そして導入で失敗しないための「5つの重要ポイント」までを徹底的に解説します。

さらに、Googleオプティマイズの代替となる低コストなツールから、ヒートマップ分析と一体化したLPO(ランディングページ最適化)ツール、AIを活用した本格的なエンタープライズツールまで、主要な製品をタイプ別に比較・紹介します。

1. ABテストとは? CVR改善に不可欠な基本を解説

ABテストは、Webサイトやアプリケーションの改善において、今や不可欠なマーケティング手法です。これは、AパターンとBパターンといった複数の案を用意し、どちらがより高い成果(CVR)を達成できるかを、実際のユーザーデータを基に客観的に検証するプロセスを指します。

「勘」や「経験」だけに頼った意思決定には、大きなリスクが伴います。ABテストの最大の目的は、こうした主観を排除し、データドリブン(データに基づいて判断・実行すること)な意思決定を実現することにあります。

この章では、ABテストの基本的な仕組み、テスト対象となる主な要素、そして代表的なテストの種類について解説します。

1-1. ABテストの仕組みと重要性(データドリブンな意思決定)

ABテストの仕組みは非常にシンプルです。まず、Webサイトの訪問者をランダムに2つのグループに振り分けます。そして、一方のグループには従来のページ(Aパターン)、もう一方のグループには変更を加えた新しいページ(Bパターン)を表示します。

一定期間テストを実施した後、「資料請求率」や「購入率」といったあらかじめ設定したCVR(コンバージョン率)を計測し、どちらのパターンの成果が高かったかを統計的に比較・判断します。

次の表は、「主観に基づく改善」と「ABテスト(データ)に基づく改善」の違いを比較したものです。

比較項目 主観に基づく改善 ABテスト(データ)に基づく改善
判断基準 担当者や決裁者の「好み」「経験則」 実際のユーザー行動データ、統計的な数値
変更のリスク 高い(失敗した場合、CVR悪化の原因特定が困難) 低い(小さく試し、勝ったパターンのみを採用)
成果の再現性 低い(なぜ成功/失敗したのかの要因が不明確) 高い(勝敗の要因がデータとして蓄積される)
改善プロセス 思いつきや、競合他社の模倣になりがち 「仮説」→「検証」→「学習」のサイクルが回る

このように、ABテストは客観的なデータを用いて、Webサイト改善のリスクを軽減し、確実性を高めるための重要なプロセスです。

1-2. 検証できる主な要素(CTAボタン、見出し、フォームなど)

ABテストは、Webサイト上のあらゆる要素で実施可能ですが、やみくもにテストしても成果にはつながりません。重要なのは、CVR(コンバージョン率)へのインパクトが大きい要素から優先的にテストすることです。

具体的には、以下のような要素が主なテスト対象と検証ポイントとなります。

テスト対象要素 主な検証ポイント(A/B比較の例)
CTA(Call To Action:行動喚起)ボタン ・色:緑 vs 青
・文言:「今すぐ購入」 vs 「カートに入れる」
・配置:ファーストビュー直下 vs 記事読了後
キャッチコピー ・訴求軸:「手軽さ」を強調 vs 「高品質」を強調
・文字数:短いキャッチコピー vs 説明的なキャッチコピー
・具体性:「売上アップ」 vs 「売上150%アップ」
入力フォーム ・項目数:5項目 vs 3項目
・必須指定:必須項目が多い vs 少ない
・デザイン:1ページ完結型 vs ステップ型(複数ページ分割)

これらの要素のうち、自社のWebサイトで「ユーザーが離脱している箇所」や「CVRが低い箇所」を分析し、インパクトの大きそうな場所からテストの仮説を立てることが成功の鍵となります。

ABテストでバナー広告改善を実現|導入手順と比較

1-3. 4つのテスト手法

「ABテスト」と一言で言っても、検証したい内容や規模に応じて、主に4つのテスト手法が存在します。
どの手法を選ぶかは、ツールの選定にも関わってくるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

1. 同一URLテスト(ABテスト)

これが最も一般的で、狭義の「ABテスト」と呼ばれる手法です。1つの同じURLのページ内で、JavaScriptなどを使って特定の要素(例:ボタンの色、見出しのテキスト)だけを動的に切り替えて表示します。実装が比較的容易であり、ページ内の小さな要素変更を素早くテストしたい場合に適しています。

  • テスト対象:CTAボタンの色、見出しの文言

CTAボタンとは?効果を最大化するための具体的な改善方法

2. リダイレクトテスト(スプリットURLテスト)

デザインやレイアウトを大幅に変更した、まったく異なる2つのページ(例: example.com/page-A と example.com/page-B)を用意する手法です。ツールは訪問者をそれぞれのURLに自動で振り分け(リダイレクトさせ)、どちらのページのCVRが高かったかを比較します。ランディングページ(LP)のデザインを根本的に変更する際など、大規模なテストに適しています。

  • テスト対象:ランディングページ(LP)の新旧デザイン比較

3. 多変量テスト(MVT:Multivariate Test)

複数の要素の「最適な組み合わせ」を同時に検証する高度な手法です。例えば、「見出し(A/Bの2案)」×「メイン画像(A/Bの2案)」×「CTAボタン(A/Bの2案)」=合計8パターン(2×2×2)を作成し、どの組み合わせが最も成果が高いかを統計的に明らかにします。どの要素がCVRに最も寄与しているかを特定するのに役立ちますが、各パターンに十分なトラフィック(訪問者数)が必要になるため、大規模サイト向けの手法と言えます。

  • テスト対象:見出し×画像×CTAボタンの組み合わせ

4. 複数ページテスト(ファネルテスト)

単一のページではなく、ユーザーの一連の体験フロー(ファネル)全体を通して、一貫した変更を加えて比較する手法です。例えば、ECサイトで「TOPページ」→「商品詳細」→「カート」→「購入完了」までの複数のページにわたり、特定のキャンペーンデザインを適用したパターン(A)と、適用しないパターン(B)で、最終的な購入完了率を比較します。

  • テスト対象:ECサイトの購入フロー、会員登録フォーム
遠藤 和樹
戦略コンサルタント・CEO遠藤 和樹
基本的なABテストの手法を抑えることができたら、目的を明確にし、ツール選定と適切な運用条件でテストの勘所を掴むことがABテストの第一歩です。これらに加えAI支援型のテストの導入が増加しておりABテスト、AI活用を通じてユーザー体験を軸に仮説を立てることが、今後のCVR改善の分岐点です。 

2. なぜ今、ABテストツールの導入が急がれているのか?

Webサイト改善の手法としてABテストは以前から存在していましたが、ここ数年で、あらためて専用ツールの導入や見直しが活発化しています。その要因の一つとして、「Googleオプティマイズがサービス終了したことが挙げられます。
この章では、なぜ今、ABテストツール比較・検討が急がれるのか、その3つの大きな理由を解説します。

2-1. Googleオプティマイズ終了で本格化する「ツール選定」

最大の理由は、2023年9月30日をもって、「Google オプティマイズ」のサービスが終了したことです。Google オプティマイズは、Google アナリティクスとシームレスに連携できる無料のABテストツールとして、世界中のWeb担当者やマーケターに広く利用されていました。

これまで「Google オプティマイズ」に依存していた多くの企業が、以下のような選択を迫られています。

  1. Google アナリティクス 4(GA4)と連携できる新しいABテストツールを探す
  2. これを機に、無料ツールの限界を感じていた層が、より高機能な有料ツールへ移行する
  3. 他の無料代替ツール(例:ヒートマップツールに付随する機能)で補完する

2-2. サイト改善における「勘」や「経験」の限界

Webサイト制作が一般化し、多くの業界で競合他社も洗練されたサイトを持つようになった現代において、「担当者の勘」や「過去の成功体験」だけに基づいたサイト改善は限界を迎えています。

なぜなら、ユーザーのニーズは多様化・複雑化しており、かつて通用した「正解」が、今も通用するとは限らないからです。担当者の主観的な判断が、かえってCVR(コンバージョン率)を下げてしまうケースも少なくありません。

特に、以下のような課題に直面している企業ほど、データに基づいたABテストが必要です。

  • Webサイトのリニューアルを計画しているが、新デザインが本当に受け入れられるか不安だ
  • 広告費を増やしても、サイトのCVRが頭打ちになっており、費用対効果が悪化している
  • 社内でデザインや文言に関する意見が対立した際、客観的な判断基準がない

市場が成熟しているからこそ、データドリブンな姿勢が、競合他社との差を生む重要な鍵となっています。

2-3. AIの進化とパーソナライゼーションの需要

従来のABテストは、「すべての訪問者をAかBかに振り分ける」というものでした。しかし、AI技術がマーケティングツールに組み込まれるようになり、現在は「個々のユーザーに最適化された体験(パーソナライゼーション)」を提供することが新たなスタンダードになりつつあります。

例えば、以下のような高度なABテストが可能になっています。

  1. AIによる自動最適化
    複数のデザイン案(例:A〜Eの5パターン)をAIが自動でテストし、最も成果の高いパターンへのアクセス比率をリアルタイムで高めていく
  2. パーソナライズドABテスト
    「初めて訪問したユーザー」にはAパターン(認知促進)を、「2回目以降の訪問ユーザー」にはBパターン(購入促進)を見せる、といったセグメント別のテスト
  3. AIによる仮説生成
    AIがサイトの膨大なデータを分析し、「次にテストすべき要素」や「CVR改善に最もインパクトがありそうな仮説」を提案する

こうした高度なテストは、従来のABテストツールでは設定が複雑でしたが、最新のツールではAIがサポートしてくれるようになっています。ABテストは、単なるA/B比較から、AIを活用した「顧客体験の最適化(CXO)」へと進化しています。このトレンドに対応するためにも、高機能なツールの比較・選定が重要視されています。

遠藤 和樹
戦略コンサルタント・CEO遠藤 和樹
ABテストツール市場はグローバルで2024年に約8億ドル、今後は年平均約14%で拡大すると予測されています。この事からもAIを含めた最適なツールを採用し実施していくことが、将来的な運用コスト削減、CVR向上につながるでしょう。

3. 失敗しない!ABテストツールの選び方

ABテストツールを比較検討する際、単に機能の多さや価格だけで選んでしまうと、「使いこなせない」「費用対効果に合わない」といった失敗につながりかねません。
ここでは、自社の目的と体制に本当に合ったツールを選び抜くために、絶対に外せない5つの重要な比較ポイントを解説します。

【機能】必要なテスト手法(ABテスト、多変量など)は揃っているか

ABテストには複数の種類があります。「まずはボタンの色から試したい」という企業が、サーバーサイドテストが強みの高額なツールを選んでもオーバースペックになります。

まずは、自社がどのレベルのテストを行いたいのかを明確にしましょう。
以下の表は、必要な機能と、それに適した担当者やサイト規模をまとめたものです。

機能レベル 主なテスト手法 テスト対象の例 主な担当者 推奨サイト規模
基本 同一URLテスト、リダイレクトテスト ボタンの色、文言、LPデザイン マーケター、Web担当者 小〜大規模
中級 多変量テスト 見出し×画像×CTAの最適解 マーケター、分析担当者 中〜大規模
上級 サーバーサイドテスト*1 アプリ機能、検索ロジック、価格 エンジニア、プロダクトマネージャー 大規模

※1:サーバーサイドテスト:技術的に高度なテスト手法です。Webサイトの「見た目」ではなく、裏側(サーバー側)のロジックを変更してテストします。例えば、「検索アルゴリズムA vs B」「料金プランの表示ロジックA vs B」といった、Webサイトだけでなくモバイルアプリの機能テストにも使われます。このテストにはエンジニアの協力が不可欠です。

【操作性】ノーコードで完結か、エンジニアの支援が必要か

ツールの「使いやすさ(操作性)」は、導入後の運用定着を左右する非常に重要なポイントです。
ABテストツールは、大きく分けて2つの操作タイプがあります。

  • ノーコード(ビジュアルエディタ)型
    プログラミング知識がなくても、実際のWebページを見ながら、マウス操作(ドラッグ&ドロップ)でテキストや画像、色などを直接編集してテストパターンを作成できるタイプです。マーケターやWeb担当者自身が、スピーディーにテストを回せるのが最大のメリットです。
  • エンジニア支援(コード編集)型
    テストパターンの設定にHTMLやCSS、JavaScriptなどの知識が必要になるタイプです。サーバーサイドテストはもちろん、複雑なデザイン変更や動的な要素(例:ユーザーの操作に応じて表示が変わる部分)のテストも可能ですが、テストの実行にエンジニアのリソースが必要になります。
    ※高機能なツールは、両方のモード(ノーコードとコード編集)を備えていることが多いです。

「誰が」テストを主導するのかを明確にしましょう。「マーケターが自走できる環境を作りたい」のであれば、ノーコード型が必須です。

【規模・料金】サイトのPV数や料金体系は合っているか?

ABテストツールの料金体系は、主にサイトの「PV(ページビュー)数」や「テスト対象ユーザー数」によって決まる「従量課金制」が一般的です。スモールスタートがしやすいというメリットがあります。

それ以外には、機能によって価格が固定されている「月額固定制」があります。PV数やユーザー数によって価格が変動しないメリットがありますが、PV数が少ないサイトにとっては割高になるので注意が必要です。

料金体系を比較する際は、以下の点に注意してください。

  • 従量課金の基準
    何(例:サイト全体のPVか、テストに参加したユーザー数か)に基づいて料金が決まるのか
  • 月額固定制の有無
    一部のツールでは、PV数に関わらず機能ベースで月額固定料金が設定されている場合もあります
  • 無料プランの制限
    無料プランがある場合、その機能制限(例:テスト対象ユーザーは月間5,000人まで)が自社の検証規模に耐えられるか

特にGoogle オプティマイズ(無料)からの移行を検討している場合、いきなり高額な従量課金ツールを導入すると、コストが想定以上にかさむ可能性があります。まずは自社のPV数を確認し、各ツールの料金シミュレーションを依頼しましょう。

無料で使えるABテストツールはこちら!/

無料ABテストツールおすすめ5選|効果的な使い方

【分析・連携】GA4連携は可能か?統計的有意性の判定は信頼できるか?

ABテストは「実施して終わり」ではなく、「結果を正しく分析」することが最も重要です。

多くの企業がサイト分析の基盤として「GA4を利用しています。ABテストの結果を、GA4のデータ(例:特定の流入経路やユーザー属性)と掛け合わせて詳細に分析できるかは非常に重要です。

また、ABテストの結果が「偶然」による差なのか、「必然的(統計的に意味がある)」な差なのかを判断する指標として「統計的有意性」があります。信頼できるツールは、この有意性が95%や99%に達したかを自動で算出し、人間が判断を誤らないようサポートしてくれます。

以下の表で、分析・連携機能のチェックポイントを確認してください。

チェックポイント なぜ重要か? 確認すべきこと
GA4との連携 ABテスト結果を、サイト全体のユーザー行動と紐づけて分析するため ・GA4のデータをテストのセグメントに利用できるか
・テスト結果をGA4のレポートに送信できるか
統計的有意性の自動判定 「勘」による判断ミスを防ぎ、データに基づいた正しい結論を導くため ・有意性の計算ロジックは明確か(例:ベイズ統計、頻度論)
・ダッシュボードで結果が視覚的に分かりやすい
セグメント分析 どのユーザー層にテストが響いたかを深掘りするため ・新規/リピーター、デバイス別、流入元別などで結果を絞り込めるか

ツールによっては、「Microsoft Clarity」(マイクロソフト クラリティ)のようなヒートマップツールと連携し、「なぜBパターンが勝ったのか」をユーザーの実際の動き(クリックやスクロール)から分析できるものもあります。

【体制】日本語サポートや専任コンサルは十分か

特に、高機能な有料ツールを導入する場合、使いこなすまでに一定の学習コストがかかります。導入後に「担当者が変わったら誰も使えなくなった」という事態を避けるためにも、サポート体制の充実は非常に重要です。

  • 日本語サポートの有無
    海外製のツール(グローバルでシェアが高いツール)を導入する場合、管理画面やマニュアル、問い合わせ窓口が日本語に完全対応しているか
  • サポートの形態
    サポートはメールやチャットのみか、電話での対応も可能か。また、技術的な問題が発生した際に、迅速に対応してくれる専任のサポートチームがいるか
  • コンサルティングサービス(有料オプション)
    「ABテストの『仮説立案』や『結果分析』自体をプロに支援してほしい」というニーズに対して、専任のコンサルタントが伴走してくれる有償の支援プランを用意しているか

ABテストの運用に不安がある場合や、社内リソースが不足している場合は、コンサルティングを含めた支援体制の比較も行うことをお勧めします。

遠藤 和樹
戦略コンサルタント・CEO遠藤 和樹
これから導入を検討する場合、まずは無料トライアル期間のあるものから実際に触ってみることが重要です。ABテスト、多変量テストなど基本的な機能を備えているサービスを選び担当者の導入実績を積みながら選択しましょう。

4. 【手軽さ・低コスト重視】おすすめのABテストツール

Googleオプティマイズの代替や、まずはコストを抑えてABテストを試したい企業向けのツールを紹介します。

ABテストの文化をこれから醸成したい、あるいはWeb担当者様がスピーディに施策を回したい、というニーズに応えるツール群です。Googleオプティマイズの「無料」「シンプル」「GA連携」という特徴を引き継ぐツールです。

ツール名 特徴 価格帯 特に適した企業
Optimize Next シンプルなUI、低コスト、オプティマイズ代替 低価格(月額¥3,300〜) 低コストでシンプルなABテストを試したい企業
Juicer 無料プランでABテスト可能、多機能(分析・NPS) 無料〜 コストゼロでABテストとユーザー分析を始めたい企業
Google アナリティクス 計測・分析基盤(ABテスト機能はなし) 無料 ほぼ全ての企業(ABテストの結果計測に必須)

Optimize Next

optimize-next
引用 – Optimize Next

株式会社デパートが提供する「Optimize Next」は、Googleオプティマイズの代替となることを明確に打ち出したABテストツールです。シンプルなUI(ユーザーインターフェース)を特徴とし、初心者でも直感的に操作できる点が強みです。タグを設置すればすぐにテストを開始でき、月額3,000円(税込3,300円)からという低コストも魅力です。

旧Juicer (LOGLY Audience Analytics)

juicer-cc
引用 – ユーザー分析DMP LOGLY Audience Analytics(旧Juicer)|ユーザー分析やA/Bテスト、NPSが無料で

株式会社ログリーが提供する「Juicer」は、ABテスト機能を含む多機能なマーケティングプラットフォームです。最大の魅力は、無料プランの範囲内でもABテストが実行できる点です。ユーザー属性(デモグラフィック)分析やNPS(ネット・プロモーター・スコア)調査機能も備えており、ABテストと合わせてサイト改善のヒントを得たい場合に適しています。

LOGLY Audience Analytics徹底解説|機能・料金・導入手順【__current_year__年最新版】

Google アナリティクス

developers-google-analytics
引用 – Google Analytics | Google for Developers

Google アナリティクス」(GA4)は、それ自体がABテストツールではありませんが、テスト結果を計測・分析するための基盤として最も重要です。GoogleオプティマイズがGA4と統合されたように、多くのABテストツールがGA4との連携を前提としています。また、GA4の「オーディエンス」機能を使ってセグメントを作成し、サーバーサイド型ツールと連携させるなど、あらゆるテストの中核的な計測基盤となります。

5. 【LPO・分析一体型】おすすめのCROツール

ヒートマップ分析やEFO(入力フォーム最適化)、AIによる分析など、ABテストと周辺のLPO(ランディングページ最適化)機能を統合したツール群です。

ABテスト(施策の実行)だけでなく、その前段階である「課題発見(分析)」や、特定の目的に特化した「LPO(ランディングページ最適化)」までを、一つのツールで完結させたい企業向けのソリューションです。

以下の表に、LPO・分析一体型ツールの特徴をまとめます。

ツール名 特徴 主な機能
SiTest 国産オールインワン型 ヒートマップ、ABテスト、EFO
Ptengine ヒートマップ・Web接客連携 ヒートマップ、ABテスト、Web接客
DLPO 国産LPO特化(実績No.1) ABテスト、多変量テスト、コンサルティング
CVX LP制作・LPO特化 LPテンプレート、ABテスト
KAIZEN UX 伴走型プラットフォーム ABテスト、外部専門家による改善提案
Growth Hack 365 伴走型サービス ABテストツール+コンサルティング
APOLLO Optimize AIによる自動化 AIによる改善案提案、ABテスト
Robee AIによるLPO支援 AI分析、仮説立案支援
視線シミュレーションAI AIによる事前分析 視線シミュレーション(予測ヒートマップ)

【ヒートマップ・EFO連携】

ABテストの「Why(なぜ)」を深掘りする分析機能とシームレスに連携できるツールです。

SiTest

sitest-jp
引用 – サイト分析・改善ツール SiTest(サイテスト)|AI×ノーコードでサイト改善を”あっという間に”

株式会社グラッドキューブが提供する国産ツール「SiTest」は、ヒートマップ分析、ABテスト、EFO(入力フォーム最適化)の3大機能をオールインワンで提供します。ヒートマップで「ユーザーがどこで離脱しているか」という課題を発見し、その仮説をABテストで検証し、EFOでフォーム入力を改善する、という一連のCROサイクルをシームレスに実行できるのが最大の強みです。

Ptengine

ptengine-jp
引用 – Ptengineウェブ運営All-in-Oneプラットフォーム | ウェブの改善や改善業務はこれひとつで完結

Ptengine」は、グローバルで利用される高機能なヒートマップ分析ツールを中核に、ABテスト機能やWeb接客機能を統合したプラットフォームです。ノーコードのビジュアル編集でABテストを実装できる手軽さに加え、ヒートマップ分析で得られたセグメント(例:熟読しているが離脱した層)に対してWeb接客を行うなど、分析と施策を高度に連携させることが可能です。

【LPO特化・AI分析】

ランディングページ(LP)のコンバージョン率を最大化することに特化したツールや、AIによる高度な分析を強みとするツールです。

DLPO

dlpo-jp
引用 – DLPO株式会社 – LPO・ABテストツール「DLPO」

DLPO」は、国内導入実績No.1を誇るLPOツールです。ABテストはもちろん、複数の要素を組み合わせる多変量テストに強みを持っています。長年の運用実績に裏打ちされた高機能なテストエンジンと、専任コンサルタントによる手厚いサポート体制が特徴で、成果創出にコミットしたい企業に選ばれています。

CVX

lpo-conversion-x
引用 – インハウスLP制作・LPO支援ツール CVX | コンバージョンラボ

CVX」は、LPO(ランディングページ最適化)に特化したツールで、特にLPの制作(デザイン)とABテストを効率化する機能が充実しています。豊富なLPテンプレートを活用し、複数のパターンを高速で作成・検証するサイクルに最適化されています。

KAIZEN UX

kaizenplatform-ux
引用 – KAIZEN UX|KAIZEN PLATFORM

KAIZEN UX」は、ABテストのツール提供だけでなく、同社に登録するプロフェッショナルのグロースハッカー(改善専門家)の知見を活用できるプラットフォームです。社内リソースだけでは改善案が枯渇してしまう場合に、外部の専門家の力を借りながら施策を実行できる「伴走型」の側面も持ちます。

Growth Hack 365

comix-service
引用 – グロースハック365 | SERVICE | デジタルマーケティングエージェンシー|コミクス

Growth Hack 365」は、ABテストツールとコンサルティングサービスをセットで提供するLPO支援サービスです。ツールによる高速なPDCAサイクルの実行と、専門家による戦略立案・分析サポートを組み合わせることで、継続的なサイト改善を目指します。

APOLLO Optimize

apollo-optimize
引用 – APOLLO Optimize – GoogleOptimizeに近い操作性を持ったABテストツール!無料トライアル実施中

APOLLO Optimize」は、AI(人工知能)を活用したABテストの自動化を特徴とするツールです。AIがサイトの改善ポテンシャルを分析し、最適化案を提案するため、担当者の仮説立案の工数を削減しながらテストサイクルを回すことを目指しています。

Robee

robee-tech
引用 – Robee(ロビー)LTVを最大化するソリューション

Robee」は、AIを活用したLPO(ランディングページ最適化)ツールです。AIがサイト分析やCVR(コンバージョン率)改善の仮説立案を支援し、テストサイクルの高速化を目指します。

視線シミュレーションAI

gaze-lp1-usagee
引用 – 視線シミュレーションAI 株式会社ウサギィ

視線シミュレーションAI」は、ABテストの「事前分析」に特化したユニークなAIツールです。デザイン案をアップロードすると、AIがユーザーの視線の動きを予測し、「アテンションヒートマップ(予測ヒートマップ)」として可視化します。これにより、「CTAボタンが視認されていない」といったデザイン上の問題を本番テストの前に発見・修正でき、ABテストの勝率と効率を高めます。

ab-test-tool-comparison-table

ABテストツールの比較表を表示する

6.【本格運用・パーソナライズ型】エンタープライズツール

エンジニアと連携した本格的な実験(サーバーサイド含む)や、高度なパーソナライズを主目的とする、中〜大規模サイト向けのプラットフォームです。

これらのツールは、単なるWebサイトのABテストに留まらず、モバイルアプリやサーバーサイドでの実験、そして「個」のユーザーに最適化された体験(パーソナライズ)を提供するための実験基盤として機能します。

以下の表に、本格運用・パーソナライズ型ツールの特徴をまとめます。

ツール名 タイプ 特徴
Optimizely グローバル 市場リーダー。ビジュアル編集からサーバーサイドまで全対応
Adobe Target グローバル Adobe Experience Cloudと完全連携。高度なAI活用
VWO グローバル ノーコードからサーバーサイドまでシームレスに拡張可能
dynamic yield グローバル AIによる高度なパーソナライズ特化。EC等に強み
KARTE Blocks 国産 CXプラットフォーム「KARTE」と連携。Web接客・個客最適化
Tag+ 国産 タグマネジメント基盤。柔軟なシナリオ設定

【グローバル・スタンダード】

世界中のエンタープライズ企業で導入されている、高機能かつ大規模トラフィック対応のプラットフォームです。

Optimizely

optimizely
引用 – World’s leading AI-powered digital experiences – Optimizely

Optimizely」は、ABテストツールの草分けであり、現在も市場をリードするトップベンダーです。手軽な「ビジュアル編集」から、エンジニア向けの「サーバーサイド実験(Feature Experimentation)」、AIによるパーソナライズまで、企業の成長フェーズに応じたあらゆる実験ソリューションを提供します。

Adobe Target

business-adobe-products-target
引用 – Adobe Target | A/Bテスト向けソフトウェア

Adobe Target」は、Adobe Experience Cloudを構成する主要なコンポーネントの一つです。「Adobe Analytics」や「Adobe Experience Manager(CMS)」とシームレスに連携し、Adobe基盤上で収集されたリッチな顧客データを活用した、高度なABテストとAIパーソナライズを実現します。

VWO

vwo
引用 – VWO | Digital Experience Optimization

VWO」は、エンタープライズ向けの「VWO FullStack」プランではサーバーサイド実験にも対応します。ノーコードの手軽さから本格的なサーバーサイド実験まで、企業の習熟度に合わせてシームレスに拡張できる点が強みです。

VWO ABテスト入門|無料枠で今日から実装

dynamic yield

dynamicyield
引用 – Personalization & Experimentation Pioneers – Mastercard Dynamic Yield

Mastercard傘下の「dynamic yield」は、特にAIによる高度なパーソナライズ機能に強みを持つプラットフォームです。ABテストを「最適化手法の一つ」と捉え、AIが顧客セグメントごとに最も響くコンテンツや商品を自動で出し分ける「個別最適化」を主目的としています。ECサイトやメディアサイトでの導入実績が豊富です。

【国産・パーソナライズ特化】

日本の市場環境やニーズに合わせて開発された、パーソナライズ機能やWeb接客機能を強みとするツール群です。

KARTE Blocks

blocks-karte
引用 – <KARTE Blocks>Lean Website Management Platform | Quick and Continuous Improvements on Your Websites

プレイドが提供する「KARTE Blocks」は、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の機能の一つです。KARTEがリアルタイムに解析する「個」の顧客の状況(例:初めて訪問した、購入を迷っている)に基づいて、サイトの特定ブロック(要素)を動的に書き換え、ABテストやパーソナライズを行います。Web接客とABテストを融合させたアプローチが特徴です。

Tag+

tag-plus
引用 – 【公式】WEB広告の効果を最大限引き出す Tag+(タグプラス/tagplus)

Tag+」は、Webサイトのタグマネジメントを起点に、ABテストやパーソナライズ機能を提供するツールです。既存のサイト改修を最小限に抑えつつ、タグ設定によって様々なWeb接客シナリオやABテストを実行できる柔軟性を持ちます。

\各ツールを活用した具体的な導入事例や、『どのような仮説でCVRが改善したか』はこちら

業界別ABテスト事例 4選|成果を最大化する方法

7. ABテストで成果を出すための手順とコツ

ABテストツールはあくまで「道具」です。

この章では、テストの成功率を高めるために不可欠な手順と運用の秘訣を解説します。このサイクルをいかに早く、正確に回せるかが、ABテスト運用の鍵となります。

参照:効果的な意思決定のための重要な A/B テスト統計|VWOABテストの有意差検定とは?統計学に基づき正しく判断をする方法を解説|DLPO

ステップ1:テストの目的(KPI)とターゲットを整理する

まず「何を(KPI)」改善したいのか、対象は「誰か」を明確にします。「なんとなくCVRを上げたい」といった漠然とした目的では、テストパターンの仮説も曖昧になり、結果の分析もぼやけてしまいます。具体的に定義することが、ABテストの出発点です。

例えば、「BtoBサイトの資料請求ページ」において、「TOPページから流入してきた新規ユーザー」の「資料請求完了率(CVR)」を「5%から6%に引き上げたい」といったレベルまで具体化します。

次の表は、テスト開始前に整理すべき項目をまとめたものです。

整理すべき項目 具体的な定義の例(BtoBサイトの場合)
対象ページ 資料請求フォームページ( https://example.com/request )
メインターゲット 新規訪問ユーザー、かつ比較検討層
現状の課題 フォーム入力の離脱率が30%と高い
最終目的(KGI) 資料請求の件数を月間100件から120件に増やす
テストのKPI フォームページのCVR(コンバージョン率)を改善する

このように目的とKPIを明確にすることで、次の「仮説立て」の精度が格段に上がります

ステップ2:CVRへのインパクトが大きい「仮説」を立てる

現状分析(ヒートマップやGA4)に基づき、「なぜ」CVRが低いのか、「何をどう変えれば改善するか」という具体的な仮説を立てます。ここが成果を出すための最初のコツです。

仮説は、以下な手順で「現状の課題(データ)」に基づいて考えることができます。

  1. ヒートマップ分析で「フォームの“会社名”入力欄で離脱しているユーザーが多い」という課題(データ)が見つかった
  2. 「“会社名”が必須項目になっているから、入力のハードルが高いのではないか?」という分析ができる
  3. 「もし“会社名”の入力を任意にすれば、入力のハードルが下がり、フォーム完了率が上がるだろう」という具体的な仮説が生まる

以下の表で、「悪い仮説」と「良い仮説」の例を比較します。

比較 悪い仮説(根拠が曖昧) 良い仮説(データに基づく)
例1 ボタンの色を赤にすれば、目立つからクリックされるはず ヒートマップ分析でボタンが認識されていない
→色を赤に変えれば、クリック率(CTR)が上がるはず
例2 競合A社がやっているから、キャッチコピーを変えればCVRが上がるはず GA4の分析で「価格」関連KWからの流入が多い
→キャッチコピーに「価格メリット」を追記すれば、CVRが上がるはず
例3 フォームの項目を減らせば、入力が楽になるはず フォーム分析で「会社名」欄の離脱率が50%と判明
→「会社名」を任意項目にすれば、フォーム完了率が上がるはず

このように、GA4やヒートマップツール(例「Microsoft Clarity」)で得られたデータを基に、具体的な施策と予測結果をセットで考えることが重要です。

ステップ3:正しい検証条件でテストを実行する

仮説が良くても、テストの「実行」条件が間違っていると、正しい結果は得られません。例えば、季節や、セールの有無など、外部要因の影響が入ってくると、正しい検証ができません。

以下の原則を守ることで、テスト結果の信頼性が担保されます。

  • 「同時期・同条件」でユーザーを振り分ける
  • テストは一度に1要素のみの変更が原則(※多変量テストを除く)
  • テスト期間は最低2週間を目安とし、曜日変動(例:平日と週末)を考慮する

ABテストツールは、訪問者を「同時期」にランダムで振り分けることで、この条件をクリアしてくれます。

ステップ4:統計的に有意な結果か分析する

最後に、「統計的に有意なユーザー数」が確保できたら、テスト結果を分析します。

例えば、テスト結果が「Aパターン:CVR 5.0%」「Bパターン:CVR 5.5%」だったとします。この時、Bパターンが0.5%優れていますが、たまたま出た誤差(偶然)である可能性もあります。

ここで用いるのが「統計的有意性」です。これは「その差が偶然である確率が、どれだけ低いか」を示す数値で、多くのABテストツールでは「信頼レベル」や「有意水準」として表示されます。

業界標準では、有意性が95%以上(=その差が偶然である確率が5%未満)であれば、「BパターンはAパターンよりも統計的に優れている」と判断するのが一般的です。

以下の表は、分析結果の判断パターンと、その次に取るべきアクションを示しています。

テスト結果の状況 判断 次のアクション
有意性95%以上で、Bが勝利 Bパターンの勝利(統計的に意味のある差) Bパターンを本採用し、次の改善(ステップ5)に進む
有意性95%以上で、Aが勝利 Aパターンの勝利(仮説が間違っていた) Aパターン(オリジナル)を維持し、仮説がなぜ間違っていたかを分析し、次の仮説(ステップ5)を立てる
有意性95%未満(差が明確でない) 判断保留(偶然の可能性が高い) テスト期間を延長してサンプル数を増やす。それでも差が出なければ、今回の仮説は「CVRに影響を与えなかった」と判断する

有意性に達していないのに「Bの方が少し数字が良いから」と採用してしまうのは、「勘」で意思決定するのと同じです。必ず統計的な裏付けを確認しましょう。

ステップ5:改善後も継続する「テスト文化」を根付かせる

勝ったパターンを採用して終わりではありません。そのテストから得られた「学び」を基に、次の仮説を立て、継続的に改善(テスト)を回す「テスト文化」を根付かせることが最も重要です。

GoogleやAmazon、Booking.comといった先進企業は、年間10,000回以上ものABテスト(実験)を実施していると言われています。これは、彼らが「常にテストし続けること」を企業の文化としている証拠です。
引用:効果的な意思決定のための重要な A/B テスト統計|VWO

重要なのは、「テストの勝敗」そのものよりも、テストから得られた「学び(Learning)」を組織に蓄積することです。

以下の表に、「勝ちテスト」と「負けテスト」から得られる「学び」の例を示します。

テスト結果 事例 得られる「学び」 次の仮説(Action)
勝ちテスト CTAボタンの文言を「資料請求」→「無料で試す」に変更したらCVRが20%改善(有意差あり) 当社のターゲットは「資料請求」という言葉よりも、「無料」や「試す(体験)」という言葉により強く反応する では、TOPページのキャッチコピーにも「無料体験」という訴求を追加すれば、さらにCVRが上がるのではないか?
負けテスト フォームの項目数を5個→3個に減らしたが、CVRは変わらなかった(有意差なし) 当社のターゲットにとって、フォームの項目数はCVRのボトルネックではなかった(むしろ信頼性のために項目数が多くても良い?) 項目数ではなく、フォームの「デザイン」や「エラー表示の分かりやすさ」がボトルネックなのではないか?

このように、「負けテスト」からも貴重なデータ(学び)が得られます。
この学びを次の仮説に活かし、PDCAサイクルを回し続けることこそが、ABテストを成功に導く最大のコツです。

遠藤 和樹
戦略コンサルタント・CEO遠藤 和樹
テスト期間を2週間以上確保し、流入経路や曜日を揃えた条件で仮説を立てた検証で誤差を抑えることが重要です。特にテストの目的と対象ユーザーをしっかり合わせることで、結果がブレにくくなり、信頼できるテスト検証結果の学びが得やすくなります。

8. 【まとめ】自社に合うツールで、まず仮説検証を始めよう

ABテストツールの比較は、自社の目的、規模、予算を明確にすることから始まります。最適なツールを選び、小さな仮説でも良いので、まずはデータに基づいた改善の第一歩を踏み出しましょう。

高機能な有料ツールから、Google オプティマイズの代替となる無料・低コストのツールまで、選択肢は多岐にわたります。しかし、どのツールを選ぶか以上に重要なのは、「なぜテストを行うのか」という目的意識と、「データに基づいて判断する」という姿勢です。

世界の企業の約77%が何らかのABテストを実施している一方で、CRO専門家の約52.8%が「標準化されたテストの統計的有意性などを活用しきれていない」というデータもあります。これは、多くの企業がツールを導入しつつも、「勘」での運用から抜け出せていない可能性を示唆しています。
引用:効果的な意思決定のための重要な A/B テスト統計|VWO

最後に、ABテストツール選定のための「最終チェックリスト」を表にまとめます。

チェック項目 自社の状況確認
1. 目的(KPI) CVR改善か、CTR改善か、明確になっているか?
2. 機能要件 ノーコードで十分か、サーバーサイドテストが必要か?
3. サイト規模 月間PV数は? 料金体系(従量・固定)は合うか?
4. 運用体制 マーケター主体か、エンジニアの支援は必要か?
5. 分析基盤 GA4連携は必須か?
6. サポート 日本語サポートやコンサルティングは必要か?

このチェックリストで自社の現在地を明確にし、まずは無料ツールで仮説検証の第一歩を踏み出すのも良いでしょう。あるいは、本格的な運用を目指して「VWO」や「DLPO」といった高機能ツールのデモを依頼するのも一つの手です。

重要なのは、データに基づいた改善を一つ増やすことです。その積み重ねが、将来的に大きなビジネス成果へとつながっていきます。

遠藤 和樹
戦略コンサルタント・CEO遠藤 和樹
ABテストは導入して終わりではなく続けることで効果が得られます。国内調査でも、継続的にテストを行う企業は単発導入企業よりCVRが約1.8倍高い傾向があります。小さく始めて改善を続ける習慣を社内に根付かせることが導入成功の第一歩です。

よくある質問

ABテストツールとは何ですか?

ウェブサイトやアプリの改善を目的に、異なるデザインや内容を比較して効果を測定するツールです。

無料で使えるABテストツールはありますか?

無料で使えるABテストツールはありますか?

ABテストの期間はどのくらい必要ですか?

サイトのトラフィック量に応じますが、最低でも1週間、推奨は2週間以上です。

ABテストでよくテストされる要素は何ですか?

ボタンの色、見出し、フォーム項目数、CTAメッセージなどがよくテストされます。

テスト結果が信頼できる条件は何ですか?

十分なサンプルサイズ(最低1,000セッション以上)と適切なテスト期間が必要です。

このカテゴリーの導入事例

目次

ABテストツールの比較表を表示する

おすすめ比較一覧から、
最適な製品をみつける

カテゴリーから、IT製品の比較検索ができます。
2018件の製品から、ソフトウェア・ビジネスツール・クラウドサービス・SaaSなどをご紹介します。

すべてみる