ファイル共有のセキュリティ対策｜データの暗号化、SSL/TLS、多要素認証の利用

ファイル共有は、情報の流通をスムーズにし、作業の効率を向上させる強力なツールです。しかし、その利用には適切な知識と理解が必要です。この記事では、ファイル共有時のデータの暗号化やSSL/TLSの利用方法、おすすめのファイル共有サービス、トラブルの対処法について詳しく解説します。これらの情報を身につけることで、ファイル共有を安全かつ効果的に活用することが可能となります。

1．3つのファイル共有方法と活用場面

ファイル共有とは、ネットワーク経由で複数のユーザーがアクセスし、ファイルの閲覧・編集・追加・削除を行えるように設定されたフォルダのことです。組織内であれ、個人であれ、複数のデバイスや人々が一つのフォルダを利用することで、情報の共有が効率的に行えるようになります。

この章では、ファイル共有の基本的な3つの方法を比較し、ファイル共有の活用場面について紹介します。

３つのファイル共有方法

ファイル共有サービスには基本的な3つの種類があるため、それぞれでコストや運用方法、セキュリティ強度が異なります。この章では、3種類のファイル共有方法に関して端的に解説し、「どの方式が自社にとって最適なのか」について考えましょう。

1.パブリッククラウドストレージ(ファイル共有サービス)

自社専用のサーバーやハードウェアは利用せず、サービスとして提供されているものを利用する形式です。一般的なファイル共有サービスやオンラインストレージはこちらの区分に入ります。導入のための費用や運用コストを下げられ、費用を抑え頼企業にはおすすめの方法です。また、オフィス以外の場所でもファイル共有を行うことができる点が、近年注目されている理由です。リモートワークの際にも、自宅からファイルを編集することができます。

2.プライベートクラウドストレージ(ファイルサーバー・NAS)

オンプレミス（自社で構築・運用）型のサーバーを用意する方式です。製品としては、NASやファイルサーバーなどが該当します。オフィス内でのLAN環境や特定のIPアドレスでの認証によりアクセスさせるなどの設定や、ストレージの細かい設定を自社用にカスタマイズできます。サーバーを設置して運用する必要があるため、コストがかかりますが、セキュリティ性やカスタマイズ性に優れています。クラウドストレージを自社で構築して運用するようなイメージです。

ファイルサーバーとNASの違いは？自社に合った製品の選び方を解説

3.ハイブリッドクラウドストレージ

パブリッククラウドストレージとプライベートクラウドストレージを組み合わせて運用する方式です。自社でサーバーの構築や運用は行わずコストは削減しながら、機能のカスタマイズやセキュリティを自社用に強固にすることが可能です。一般に、機密性の高い情報はプライベートクラウドストレージに保管し、それ以外の容量が少ないファイルや、機密性の低い情報をパブリッククラウドストレージに保管する方式が多いです。これにより、情報のセキュリティ面と、コスト面の良いとこどりができます。

ファイル共有の活用場面

リモートワークの普及、プロジェクトの共同作業、あるいはプライベートな写真や動画のやり取りまで、多くの場面で活用されています。この章では、具体的にどのような場面でファイル共有が利用されているのか、代表的なケースを挙げながら、分かりやすく解説していきます。

1. リモートワークにおけるチーム間の資料共有

リモートワークが一般化した今、オフィスに集まらずとも業務を遂行できる環境が求められています。ファイル共有は、資料の受け渡しやフィードバックのやり取りに欠かせません。Google DriveやDropbox、OneDriveなどのクラウドストレージサービスを活用することで、離れていてもリアルタイムでファイルを確認・編集できます。

• プレゼン資料の共同編集
• 社内マニュアルの更新・共有
• 顧客向け提案書の確認依頼

2. 教育現場での教材配布・課題提出

学校や教育機関では、教師と生徒間での教材や課題のやり取りにもファイル共有が活躍しています。特にオンライン授業が増える中、PDF資料や動画教材、課題ファイルの受け渡しがスムーズに行える環境は非常に重要です。

• 授業用スライドや資料の配布
• 生徒からの課題提出
• 教師による添削コメント付きファイルの返送

3. フリーランスや外部パートナーとのやり取り

企業とフリーランス、あるいは外注先との間でも、安全かつ迅速なファイルのやり取りは重要です。契約書や見積書、制作データなど機密性の高いファイルを扱う場面が多いため、セキュリティにも配慮したファイル共有が求められます。

• デザインデータや動画の納品
• 契約書や請求書のやり取り
• プロジェクト進行資料の共有

4. 家族や友人とのプライベートなデータ共有

仕事に限らず、プライベートでもファイル共有は活躍します。旅行の写真、動画、イベントの資料など、スマートフォンやパソコンに保存している思い出を簡単に共有できる手段として重宝されています。

• 写真アルバムの共有（Google フォトなど）
• 結婚式やイベントの映像のやり取り
• PDF形式の招待状の配布