訪問看護向け電子カルテとは?導入のメリットや選定ポイントを徹底解説
最終更新日:2024/02/09
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『デジタル化の窓口』は、この国のデジタル課題「2025年の崖」に備えるため2022年にサービスをスタートしました。1,500以上のIT製品、4,000以上の導入事例を掲載し、特長・選び方を分かりやすく整理して解説することで、自社に最適な製品・サービスを見つけるお手伝いをする紹介サービスです。
目次
訪問看護の需要が増える中、看護師不足や労働環境の整備に悩む事業所が多くあります。
2024年4月から訪問看護の医療保険分のレセプトが電子化され、訪問看護記録のデジタル化に取り組む事業所が増えています。一方で、システム導入に抵抗を感じる事業所もあるでしょう。
そこで本記事では、訪問看護向け電子カルテの概要や導入のメリットをわかりやすく解説します。おすすめの電子カルテや選定時の比較ポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
働きやすい環境を整えるために、電子カルテの導入を前向きに検討しましょう。
訪問看護向けの電子カルテとは
訪問看護向けの電子カルテとは、訪問看護の記録や帳票作成、レセプトなどの訪問看護業務をサポートするシステムのことです。
電子カルテというと、医療記録を電子化・デジタル化したものを指しますが、レセプト作成や請求データ作成も同じシステムで行えるケースが増えています。そのため、電子カルテを導入すれば、事業所全体の業務効率化に役立ちます。
また、訪問看護と地域ネットワークは切り離せません。地域包括ケアを円滑に行うためにも、電子カルテを活用することで情報共有がしやすくなり、連携がスムーズになります。
実は、ほかの医療分野と比べて訪問看護における電子システムの普及は遅れを取っています。2020年において訪問看護の情報共有における主流の端末はデスクトップパソコンで、タブレットやスマートフォンを活用する事業所は50%に届いていません。
このような背景から、2024年4月診療分から訪問看護の医療保険分のレセプトを電子化すると厚生労働省が決定しました。急速に訪問看護におけるデジタル化が進むと考えられています。
参照:介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査|厚生労働省
訪問看護と在宅看護の違い
訪問看護と在宅医療は明確に区別されずに用いられるケースが多々あります。しかし、実際には2つに明確に違いがあります。
一般的に、在宅看護とは病気や障がいを持つ方の自宅へ訪問して看護を行うことです。一方、訪問看護は療養中の利用者がいる老人ホームやグループホームに訪問して看護を行うことです。
どちらの言葉も医療機関でない場所で療養されている方に向けて、看護を行うことを指します。訪問看護も在宅看護も、主に行う仕事内容は同様です。
- 健康状態の確認・アドバイス
- 医療ケア
- 認知症・精神疾患のケア
- 医療機器の管理・指導
- リハビリテーション
- 日常生活の支援
- ご家族への相談・アドバイス・メンタルケア
当然、看護師だけでは判断できないことが多々あるため、医師や栄養士、薬剤師、ケアマネージャーなどとの相談や情報共有が不可欠です。同じ医療機関や事業所から派遣されている方ばかりではないため、紙ベースでの情報共有は最適とは言えません。
カルテを電子化すればスムーズな情報共有が行え、最適な看護や医療サービス・介護サービスを迅速に行えるようになります。
訪問看護向け電子カルテの導入メリット
訪問看護向け電子カルテを導入するメリットは、主に4つあります。
- 看護記録作成が楽になる
- カルテの管理を効率化できる
- 多様な働き方ができる
- 情報の共有がしやすい
4つのメリットを知って、前向きに訪問看護向け電子カルテの導入を検討しましょう。
看護記録作成が楽になる
まず、訪問看護記録の作成が楽になり、看護師の負担を大きく軽減できます。訪問看護では、訪問ごとに看護内容や投薬記録、観察項目などを記録しなければなりません。訪問看護記録には、以下の2つの種類があります。
訪問看護記録の種類 | 記載内容 |
---|---|
訪問看護記録書Ⅰ |
|
訪問看護記録書Ⅱ |
|
2つの記録を行うと、記載しなければならない項目はとても多いです。紙カルテだと作成に時間がかかってしまいます。訪問中にメモを取って、事業所に帰ってから記録用紙に天気する方もいるようです。
しかし、電子カルテを活用すれば訪問先で手軽に入力を完了させられます。また、項目によってはプルダウンで選択して記入できる機能もあるため、入力にかかる手間も省けます。
看護師の事務作業時間が減るため、訪問看護に割り当てられる時間を増やすことも可能です。
カルテの管理を効率化できる
電子カルテは、場所を確保して保管しなければならない紙カルテのような物理的な管理が不要です。
従来の紙カルテを保管するには、患者ごとにファイルに綴じ、キャビネットを用意して保管しなければなりませんでした。患者数が増えるとカルテの数も増えるため、目的のカルテを探すにも、時間と手間がかかります。また、紛失や盗難、劣化の心配もしなければなりませんでした。
しかし、電子カルテなら管理は簡単です。こまめにバックアップを取っていれば、火事や震災があってもデータを残しておくことが可能です。閲覧や編集に権限をつけセキュリティを高めれば、第三者に情報が盗られる心配もありません。
多様な働き方ができる
電子カルテの導入は、直行直帰や在宅ワークなど、看護師に多様な働き方の選択肢を与えてくれます。紙カルテで管理している場合、紙への記入や管理のために一度事業所へ立ち寄る必要がありました。
しかし、電子カルテであれば、端末を持ち帰って訪問看護記録の作成が可能です。事務作業を行う時間と場所に制限がないため、訪問と訪問の間の隙間時間を有効活用できるようになります。
また、管理者は毎日事業所へ出向かなくても電子カルテの内容を確認でき、会計担当者もレセプト業務を在宅ワークで済ませられます。働き方の選択肢が増えるため、人手不足に陥りがちな医療現場の改善にもつなげられるでしょう。
情報の共有がしやすい
クラウド型の電子カルテを導入すれば、インターネット環境と端末さえあれば、いつでもどこからでもカルテの確認や入力ができます。複数人の看護師で1人の患者を担当しているケースは珍しくなく、情報共有が円滑にできるようになるでしょう。
また、同じ患者を担当している医師や介護スタッフ、ケアマネージャー、行政などとの連携も取りやすくなります。
訪問看護向け電子カルテ導入にかかる費用
訪問看護向け電子カルテの導入にあたって心配なことの1つが費用面ではないでしょうか。ここでは、訪問看護向け電子カルテの導入にあたってかかる費用についてご紹介します。
システム会社やベンダーによって、料金体系はさまざまです。以下の料金体系の考え方や必要なパターンについて解説します。
- 初期費用
- 月額定額制・年額定額制
- 従量課金制
- アップデート費用
- 端末導入費
順番に確認しましょう。
初期費用
初期費用は、電子カルテの導入のために必要な費用です。
オンプレミス型であれば、システムにかかる費用に加えてサーバーや環境整備に必要な費用が発生します。比較的高額になるケースが多いですが、システム利用のために提供会社に費用を支払う必要はありません。
一方、クラウド型だとシステム費や開発費がかかります。しかし、利用料を支払う代わりに初期費用のかからないサービスもあります。
月額定額制・年額定額制
月額定額制・年額定額制とは、サービス利用料として一定の金額を支払う料金体系です。月額・年額が定められているため、システム利用に必要な費用の見通しが立てやすいです。
多くのシステムでは、ユーザー数や端末数、利用機能によっていくつかの料金プランが用意されています。事業所に合う料金プランを選ぶことで、費用対効果を高められます。
従量課金制
従量課金制とは、サービスを利用したボリュームによって請求金額が変動する料金体系です。実際にサービスを利用した分だけ料金を請求されるため、支払うコストに納得しやすいと感じるでしょう。
訪問看護電子カルテの場合、以下の要因によって利用料金が算出されます。
- 利用アカウント数
- 患者の登録者数
- 訪問回数
- 管理データの容量
比較的少ない職員で運営している事業者や、開業初期でどれほどの患者を対応するか見えづらい事業者は、コストを安く抑えられます。
アップデート費用
システムのアップデートのためにアップデート費用を別途請求される場合があります。たとえば、医療報酬や看護報酬の制度は今まで何度も改正が行われており、法改正に合わせてシステム内容も変えなければなりません。
クラウド型の電子カルテだと、アップデート費が利用料に含まれているケースが多いです。しかし、オンプレミス型だと別途アップデート費用を請求されたり、新製品への買い替えをしなければならなかったりするケースもあります。
法改正のタイミングは、医療の現場で把握できません。そのため、固定費にアップデート費用が含まれている製品だと支出予測しやすいためおすすめです。
端末導入費
電子カルテを最大限活用するには、タブレット端末の導入が不可欠です。タブレットを導入するには、以下の3つの選択肢があります。
- レンタル
- リース
- 購入
レンタルやリースであれば定額で利用できますが、機種の選択肢の幅が狭まり契約期間や保守費用を考慮しなければなりません。一方、購入すると選択肢の幅が広がりますが、複数台同時に購入すると膨大な費用がかかります。
長期的な視点で、どの方法で導入するかを検討しましょう。
訪問看護向け電子カルテの機能の比較ポイント
訪問看護向け電子カルテには複数の機能があります。しかし、すべての機能が必要かというと、事業所によって判断は異なります。
訪問看護向け電子カルテの機能の比較ポイントは、以下の通りです。
- マルチデバイス
- 音声入力
- 予測変換
- 定型文登録
- 画像添付
どのような機能が必要かをしっかり検討し、電子カルテの比較に役立てましょう。
マルチデバイス
パソコンやタブレット、スマートフォンなどのマルチデバイスで電子カルテの閲覧や編集ができるかどうかを比較しましょう。パソコンでしか利用できない場合、訪問先での閲覧や入力が難しく、電子カルテ導入の恩恵を十分に受けられません。
なかにはタブレットやスマートフォンなどのOSにしか対応していないアプリもありますが、パソコンでも利用できなければ大量の入力時に時間がかかってしまいます。パソコンやタブレット、スマートフォンとマルチデバイスに対応している電子カルテを選んでより効率の良い活用方法を実践しましょう。
音声入力
音声入力機能とは、マイクボタンを押した状態で入力したい内容を話すと自動でテキスト入力される機能です。文字を打ち込む作業が苦手な方は、楽に文章を入力できます。また、訪問と訪問の間の隙間時間の有効活用もしやすくなるでしょう。
ただし、音声入力の正確性はシステムによって異なります。上手に聞き取ってくれなかったり、変換がおかしかったりすると、修正に時間が取られてしまいます。音声入力を推奨したい場合は、感度のいい電子カルテシステムを選定するよう気をつけましょう。
予測変換
予測変換機能のある電子カルテを使えば、疾患名や医薬品名などの医療用語を予測変換ができ、入力作業を手助けしてくれます。一般的なキーボードだと医療用語が登録されていないため、予期せぬ漢字に変換されて打ち直した経験を持っている方は多いのではないでしょうか。
ただ、デバイスによってはユーザー辞書の機能を使って、よく使う医療用語を登録しておくことも可能です。予測変換機能が必要かどうかは導入するデバイスによっても判断が変わります。
定型文登録
よく使う文言や文章がある場合、定型分登録の機能があると効率よく入力作業を進められます。同じ看護内容にもかかわらず看護師によって表現が異なると混乱を招く場合がありますが、このような事態を防止できます。
もちろん、事業所内でルールを決めたりデバイスのユーザー辞書の機能を活用して対策することも可能なため、絶対に必要な機能とは限りません。
画像添付
電子カルテに画像添付機能があれば、患者の患部やリハビリ状況の詳細を記録に残せます。文字のみと比べると正確に担当者へ引き継げるため、画像添付機能はあったほうがよいでしょう。
また、服薬や医療器具、保険証などの写真も残しておけば、他の看護師や利用者の家族にも視覚的に情報を伝えられます。画像の保存方法や添付された画像の見やすさも比較すべきポイントです。
訪問看護向け電子カルテの選定比較ポイント
訪問看護向け電子カルテを選定する際、以下のポイントを比較しましょう。
- クラウド型かどうか
- サポート体制は充実しているか
- 業務量の軽減はどれくらいか
3つの比較ポイントを詳しく確認し、最適な電子カルテを選びましょう。
クラウド型かどうか
電子カルテには、クラウド型とオンプレミス型の2つの導入形態があります。
結論から言うと、訪問看護向け電子カルテは、クラウド型がおすすめです。クラウド型であれば、インターネット環境とデバイスさえあれば場所を選ばず閲覧・編集できるからです。
一方、オンプレミス型だと基本的に事業所内でしか利用ができません。VPN接続すれば訪問先からでも事業所内のサーバーにアクセスできますが、ネットワーク構築に費用がかかってしまいます。
事業所以外で利用する機会の多い訪問看護では、外でも利用できるクラウド型がおすすめです。
サポート体制は充実しているか
サポート体制の充実度もチェックすべきポイントです。電子カルテは日常業務で使うため、トラブルが発生したときには迅速に復旧する必要があります。トラブルがあったときに、すぐに解決してくれる窓口を用意している電子カルテシステムを選びましょう。
たとえば、チャットやメールにしか対応していない窓口だと、迅速な復旧は期待できません。電話や遠隔でサポートしてくれると安心です。
また、導入の際に運用方法のコンサルティングや看護師へのセミナーを開いてくれる場合もあります。カルテを電子化するにあたって不安を抱えている場合は、導入時のサポートもよく確認しておきましょう。
業務量の軽減はどれくらいか
看護師の訪問看護記録作成の負担が電子カルテ導入によってどれほど軽減されるかを確認しましょう。多くの場合、電子カルテ導入の最大の目的は業務効率化です。入力や操作がしづらくて時間がかかってしまうと、電子カルテを導入した意味がありません。
入力・操作のしやすさや訪問先での扱いやすさをしっかり比較しましょう。
訪問看護向け電子カルテのタイプと選び方
ここからは、訪問看護向け電子カルテのタイプごとにおすすめの訪問看護向け電子カルテをご紹介します。
- おすすめの訪問看護向け電子カルテ
- おすすめの在宅医療向け電子カルテ
先にご紹介した比較ポイントや選ぶポイントを確認しながら、最適な電子カルテを選びましょう。
おすすめの訪問看護向け電子カルテ
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メディカルインフォマティクス株式会社のhomis Nursee(ホーミスナーシー)は、訪問看護師による訪問看護のための電子カルテです。ホーミスナーシーは、とにかく使いやすさを追求した訪問看護専用の電子カルテです。ITが苦手な方でも、一度のレクチャーですぐに利用することができます。ホーミスナーシーでは、記録をもとに個人とチーム両方のケアの量とその変化を可視化することができます。更に、振り返りシート自動作成機能があり、各スタッフのケアの強み弱みを理解することができ、チームで補い合うことができるようになります。
おすすめの在宅医療向け電子カルテ
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電子カルテ
メディカルインフォマティクス株式会社のhomisは、在宅医療専門医とともに開発された、訪問診療向けクラウド型電子カルテです。診療現場における課題や気づきを“医師目線”でシステムにフィードバックし、在宅医が使いやすい電子カルテを追求しています。
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電子カルテ
富士通株式会社のHOPE LifeMark-HX(ホープ ライフマーク-エイチエックス)は、大中規模病院様向け(施設規模の目安:300床~)電子カルテシステムです。社会全体でデータを循環させ、価値を創出する基盤となることで、進化したデジタル技術を活用してよりよい社会を実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、電子カルテを中心に、人々の健康に寄り添った医療に貢献する仕組みの構築を目指します。
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NTTエレクトロニクステクノ株式会社のモバカルネットは、全国の在宅診療クリニックの声から生まれた、在宅医療業務をとことん効率化するクラウド型電子カルテです。負担の多い業務を効率化して、患者満足度を向上させます。煩わしい業務負担を軽減すれば、患者様の診療に集中できます。看護師や事務スタッフの業務やコミュニケーションの効率化につながるツールです。介護施設や薬局、検査会社との情報共有もスムーズになります。
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電子カルテ
セコム医療システム株式会社のセコム・ユビキタス電子カルテは、在宅クリニック・無床診療所~中小規模病院向けの、セコムグループのITセキュリティ技術によって守られた「安全・安心」なクラウド型電子カルテシステムです。チーム医療や地域医療連携システム体制をセコムのクラウドで強力にバックアップします。専用端末やサーバー設備が必要なく、医療機関の目的に合わせてフレキシブルに活用できます。現場の医師やコメディカルの方々からも高く評価されています。
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ウィーメックス株式会社のきりんカルテは、外来にも在宅にも対応できるクラウド型電子カルテです。シンプルで使いやすいユーザーインタフェース設計で、予約/在宅機能も標準搭載しています。導入しやすい価格設定でご提供しています。使いこなせるか不安な方、スタッフの業務効率を改善したい方、受付や会計で患者さんの待ち時間を軽減したい方はどに、おすすめです。きりんカルテなら解決できます。安心のサポート体制で導入をご支援します。
訪問看護の負担を軽減する電子カルテ
訪問看護向け電子カルテのメリットや機能、選定時の比較ポイントについて解説しました。
高齢社会が進むなか、医療と介護を自宅や施設で受けたいと考える方が増えています。今後ますます訪問看護の需要は高まっていると考えられるいるなか、看護師の負担をできるだけ軽減する必要性が高まっています。
電子カルテは看護師の事務作業の負担を大きく軽減してくれるツールです。業務効率だけでなく、情報共有の円滑化や働き方の選択肢の増加にも寄与します。
より働きやすい環境を作り、よりよい看護を利用者に提供できる事業所作りのために、ぜひ訪問看護向け電子カルテを導入しましょう。
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