ファイル共有サービスの導入事例6選｜ツール選定の決め手と導入成功のコツ【2025年最新】

ファイル共有サービスを比較検討する際、機能一覧や価格表だけでは、「本当に自社に合うのか」「導入して使いこなせるのか」を見極めるのは非常に困難です。なぜなら、ツールの価値は機能の多さではなく、自社の課題をどう解決できるかにあるからです。

本記事では、「セキュリティ強化」「業務効率化」「ナレッジ活用」という3つの課題タイプ別に、各社が直面した課題と、それをどう乗り越えたのかを徹底解説します。自社と近い事例から、成功のヒントを見つけてください。

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ファイル共有サービス比較31選｜料金とストレージ容量を徹底比較【2025年最新】

1. 【課題別】ファイル共有サービス導入事例の3タイプ

導入事例を分析すると、企業が抱える課題は主に3つのタイプに分類できます。自社がどの課題に最も近いかを確認し、先行事例を参考にしてください。

タイプA：セキュリティとガバナンス強化（脱PPAP・情報漏洩対策）

メール添付のPPAP（パスワード付きZip）運用に限界を感じている、または外部とのファイル授受のセキュリティを高めたい企業がこのタイプです。「誰が・いつ・何をしたか」を管理できる、ログ機能や厳格な権限設定が可能なサービスが選ばれます。

タイプB：業務効率化とリモートワーク推進（脱NAS・拠点間共有）

古いファイルサーバー（NAS）の老朽化、リモートアクセス時のVPNの遅さ、複数拠点間でのファイル同期の煩雑さに悩む企業です。操作性が高く、既存の業務フローを大きく変えずにクラウド移行できるサービスが求められます。

タイプC：ナレッジ活用とコラボレーション（脱・属人化）

ファイルを単に「保管」するだけでなく、社内のノウハウやマニュアルとして「活用」したい、複数人での同時編集や共同作業を活発化させたい企業です。検索性が高く、ファイルに情報（コメントやマニュアル）を紐づけられるサービスが適しています。

ファイル共有のセキュリティ対策｜データの暗号化、SSL/TLS、多要素認証の利用

2. 【IT・小売業】セキュリティ・ガバナンス強化した導入事例

PPAP廃止や、厳格なセキュリティポリシーが求められる企業の導入事例です。
ファイル共有サービスの導入で、安全にファイルを受け渡しする仕組みを構築した事例を見ていきます。

事例①：株式会社NEXCOシステムソリューションズ（IT／約400名）

約5,300アカウントの大規模移行事例です。
既存システムの保守期限切れを機に、セキュリティと利便性を両立するサービスを選定しました。

1. 課題
   既存ファイル転送サービスの保守切れ。セキュリティ要件（誤送信防止、ログ取得、承認機能）を満たす必要があった。
2. 選定の決め手
   要求するセキュリティ要件をすべて満たしていた。さらに、社内認証基盤（Active Directory）とのシングルサインオン（SSO）連携が可能で、約5,300人分のID/パスワード運用を効率化できる点を評価した。
3. 成果
   シングルサインオンにより、ユーザーの利便性が大幅に向上。同時に、ID/パスワード発行の手間がなくなり、管理負荷も大幅に軽減された。

参照：株式会社NEXCOシステムソリューションズ 様｜導入事例｜NRIセキュア

事例②：株式会社名鉄百貨店（小売／約600名）

百貨店業務における、100社近いお取引先との大容量データ（カタログやデザインデータ）の共有が課題でした。

1. 課題
   数十社〜100社とのメールでの大容量データ共有（校正業務）に膨大な工数がかかっていた。メールの転送ミスや見落としのリスクもあった。
2. 選定の決め手
   操作がシンプルで、PC操作に不慣れな取引先でも使いやすい。また、取引先ごとに個別の閲覧制限（権限設定）ができ、他社のフォルダが見えないように設定できるセキュリティ要件も満たしていた。
3. 成果
   メールでの送受信や毎回の転送作業がなくなり、担当者の負担が大幅に減少。メールの見落としもなくなり、校正業務の進捗が視覚的にわかりやすくなるなど、業務効率化を実現した。

参照：大容量データをメール共有することの手間やミスが減り、100社様とのデータ共有も簡易化されました。｜「セキュアSAMBA」安全・簡単・低コストな法人向けクラウドストレージ

3. 【建設・公共機関・医療】業務効率化・リモートワーク推進した事例

従来のファイルサーバー運用から脱却し、全社的な業務効率化や多様な働き方を実現した事例です。

事例③：石川建設株式会社（建設業／約250名）

建設業界の「働き方改革」と、過去のセキュリティインシデントの経験から、ICT基盤の一新を目指した事例です。

1. 課題
   社内各所にファイルやコンテンツが分散。働き方改革の実現とセキュリティ強化が急務だった。
2. 選定の決め手
   セキュリティ面での高い信頼性と、ファイルコンテンツ基盤として多彩な機能を持つ点を評価。「Box」を中核として業務システムを構築することを決定した。
3. 成果
   ファイル管理の一元化を実現。クラウド上でファイルのプレビューや編集が可能になり、作業効率が向上。ローカルにファイルを残さない運用でセキュリティも強化された。

参照：石川建設株式会社：働き方改革の実現とセキュリティ向上のために Box を「ファ イルコンテンツ基盤」として採用 | 株式会社 Box Japan

事例④：栃木県農業協同組合中央会（公共機関／約17万名）

以前のサービスに使い勝手の悪さを感じ、グループ内の10のJA（農協）との文書配布・共有ができるサービスを探していました。

1. 課題
   以前のクラウドサービスはフォルダ階層で管理できず、目的の文書を探すのに時間がかかっていた。
2. 選定の決め手
   「SHARERN」の「ツリービュー表示」で文書を階層的に管理できる操作性の良さ。加えて、金融機関や公的機関での豊富な導入実績も安心材料となりました。
3. 成果
   直感的な操作でスムーズな文書配布・閲覧が可能に。「どこに文書があるのか」という問い合わせが大幅に減少し、送る側も受け取る側も業務効率が向上しました。

参照：栃木県農業協同組合中央会｜導入事例｜企業間ファイル共有・転送サービス GigaCC

事例⑤：株式会社エス・エム・エス（医療／約175名）

医療・介護領域で40以上のサービスを展開していますが、事業ごとに複数のクラウドストレージが乱立し、コストと管理が課題でした。

1. 課題
   用途別に複数のサービスが併用され、社員の混乱や管理工数の増大、コストが嵩んでいました。
2. 選定の決め手
   「DirectCloud」のユーザー数無制限で全社展開しやすいコスト体系。UIがわかりやすく社員がスムーズに利用できる点。ユーザーごとに二要素認証を必須にするなど、細やかなアクセス制御ができる点が魅力でした。
3. 成果
   ストレージを「DirectCloud」に統合し、管理工数を大幅に削減。ツール利用に関する社内問い合わせも減少し、スムーズな社内展開を実現しました。

参照：株式会社エス・エム・エス | 法人向けクラウドストレージ DirectCloud

4. 【医療】ナレッジ活用・コラボレーションを実現した事例

ファイルを「置くだけ」で終わらせず、組織の「知識・ノウハウ」として活用し、属人化の解消に成功した事例です。

事例⑥：医療法人フェネスト 歯科タケダクリニック（医療／約125名）

埼玉・東京で12医院を展開しています。「歯科タケダクリニック」様は、毎年多くの新人が入職する中で、教育・ノウハウ共有が課題でした。

• 課題
  5年ほど前から作成・蓄積してきた紙のマニュアル本が複数存在。しかし、分厚い本の中から「すぐ答えが必要な時に見つからない」「調べるのが大変」という理由で、ノウハウが活用されていませんでした。
• 選定の決め手
  「ウィキペディアのように簡単に検索できる」ツールを探しており、「NotePM」の「強力な全文検索機能」が決め手となりました。PCだけでなく、診療室のタブレットやスマホからでも使いやすいマルチデバイス対応も評価されました。
• 成果
  紙から電子化され、情報を探す時間が圧倒的に短縮されました。患者対応中に疑問が出ても、タブレットですぐに検索・確認できるように。また、充実した教育環境が採用面でもプラスに働き、若手ドクターの不安解消にも貢献しています。

参照：【導入事例】歯科医師・衛生士・受付助手・医療事務を繋ぐナレッジベースとして活用！専門ノウハウをすぐ探せるようになった – 歯科タケダクリニック – NotePM

5. 事例から学ぶ！導入を成功させる2つのコツ

紹介した6つの事例には、単にサービスを導入しただけでなく、成功に導いた共通点があります。

成功のコツ①：「何となく」ではなく「導入目的」が明確

成功企業は、「他社が使っているから」ではなく、「脱PPAPのため」「NASの運用工数を削減するため」「新人教育の属人化を防ぐため」といった明確な導入目的を持っています。目的が明確だからこそ、「必要な機能」も明確になっています。

成功のコツ②：導入後の「運用・活用」を見据えている

サービスを選んで終わりではなく、導入後にどう活用するかを具体的にイメージしています。「NEXCOシステムソリューションズ」様のSSO連携や、「名鉄百貨店」様の取引先ごとの権限設定、「歯科タケダクリニック」様のマニュアル追加・更新フローなどが良い例です。

6. まとめ：成功事例を参考に、自社の課題を明確にしよう！

本記事では、ファイル共有サービス導入の具体的な6つの事例を、「セキュリティ・ガバナンス強化」「業務効率化・リモート推進」「ナレッジ活用」という3つの課題タイプ別に分類して紹介し、成功企業に共通する鍵を解説しました。

成功事例が示すように、最も重要なのは「有名なサービスを選ぶこと」ではなく、「自社のどの課題を解決したいのか」という目的を明確にすることです。

最後に、本記事で紹介した6つの事例を一覧で振り返ります。貴社の課題はどのタイプに近いでしょうか。

ファイル共有サービスの選定は、全社の生産性と情報セキュリティを左右する重要な一手です。まずは本記事の事例を参考に、「自社が今、何を解決すべきか」を定義することから始めてください。

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