導入することになった背景

改正電子帳簿保存法への対応が経営上の喫緊の課題となっておりました。既に全社的にSharePointでの文書管理は定着しており、書類のペーパーレス化は進んでいたものの、スキャナ保存に関する法的要件は満たせていない状況でした。最大の懸念点は、グループ約1万人の従業員が利用する既存の業務フローを大きく変更することによる生産性の低下や、新たな運用定着に伴う混乱でした。そのため、現場の負担を最小限に抑え、慣れ親しんだ業務プロセスを維持したまま、法令を遵守できる仕組みの構築が求められていました。

「invoiceAgent」を選んだ理由

選定における最大の理由は、既存のSharePointでの運用をほぼ変えることなく、電子帳簿保存法対応を実現できる唯一の提案であった点です。連携機能(invoiceAgent Bridge Service)を活用することで、ユーザーが従来通りSharePointにファイルを保存するだけで、自動的に「invoiceAgent」へ連携・保管され、タイムスタンプ付与といった法的要件をバックグラウンドで満たすことが可能でした。また、豊富なAPIを備えているため、基幹システムであるSAP S/4HANAとの連携など、自社の要件に合わせた柔軟なカスタマイズが可能な点も高く評価しました。これにより、ユーザーの利便性を損なわずにコンプライアンスを徹底できると判断いたしました。

製品の導入により改善した業務

導入後、約1万人の従業員が操作方法を大きく変更することなく、生産性を維持したまま、改正電子帳簿保存法に準拠した文書管理業務を実現できました。基幹システムであるSAP S/4HANAの会計伝票画面から、関連する証憑をワンクリックで直接確認できるようになり、監査や税務調査時の対応が大幅に迅速化・効率化されています。副次的な効果として、これまで事業部ごとに異なっていたSharePoint上の保管ルールが全社的に統一されました。これにより、経理部門だけでなく全部署において文書の検索性が向上し、組織全体の業務効率化にも貢献しています。