製品を導入することになった背景

戸田建設株式会社は、設計から施工までを一貫してデジタルに連携させるBIMの活用を長年推進してきた企業である。2008年にGraphisoftのArchicadを導入し、業務全体の効率化を目指す中で、全国の工事現場でのさらなるBIM活用を目的に、2019年に「施工計画支援課」を発足した。同課は、BIMによる施工手順の事前検討や、現場業務の支援を主な目的とし、建設現場の安全性・効率性を高めるツールとしてArchicadを活用する体制を整えていった。

導入前に企業が抱えていた課題

全国の現場では、2次元CADに依存した施工計画が中心であり、図面上では把握できない作業手順の不整合や見落としが生じやすく、現場での手戻りや安全性に対する不安があった。また、BIM活用の必要性は認識されていたものの、各支店レベルでの取り組みに留まり、会社全体としての運用体制が整っていなかったため、BIMによる情報共有や課題解決の効果が限定的であった。

導入前の課題に対する解決策

施工の効率化と現場の支援を強化するため、施工計画支援課を中心にGraphisoft Archicadを導入し、3Dモデルによる事前シミュレーションを実施する体制を整えた。掘削計画からタワークレーンの旋回確認までを一貫してArchicad上で行うことで、現場作業のイメージを可視化し、BIMモデルを通じた課題抽出と解決の精度を向上させた。2D図面では捉えきれなかった安全性や作業性の検証も可能となり、作業所にとって実践的な支援が実現された。

製品の導入により改善した業務

Archicadの導入により、施工計画の策定における表現力と共有性が飛躍的に向上し、関係者間での合意形成がスムーズになった。BIMモデルによって具体的な作業手順や施工中の安全対策をビジュアル化できるようになり、施工の質と効率性が向上した。また、コンクリート数量の算出や配筋の干渉チェックなども短時間で行えるようになり、従来に比べて現場の作業時間の短縮と安全性の強化につながっている。加えて、社員教育においても操作性の高さが評価され、BIMの社内浸透が進んだ。