間接材とは｜直接材との違いや最適化の方法を解説

間接材は、直接材とあわせて企業の購買管理でよく聞かれる言葉です。間接材とは、生産や売上に直接関係しない資材のことで、備品や消耗品といった比較的少額のものが該当します。

本記事では、間接材とは何か、直接材との違いから購買業務における課題と対策までを解説します。間接材の管理を怠ると、過剰在庫が増え、無駄なコストが生じる可能性が高いため注意が必要です。

間接材とは

事業活動に必要な資材は、「間接材」と「直接材」に大別できます。間接材は「間材」または「副資材」、直接材は「直材」と呼ばれるケースもあります。

間接材について理解を深めるために、まずは直接材との違いを押さえておきましょう。

間接材と直接材の違い

間接材と直接材の違いは、以下の通りです。

・「間接材」とは、生産に直接関係しない購買品のこと
・「直接材」とは、生産に直接関係する購買品のこと

また、簿記上では、それぞれ下表のように区分されます。

材料費のうち、製品一つあたりにいくらかかっているか明確に分からないものや、比較的少額のものなどが間接材料費に該当します。

間接材の例

事業活動における主な間接材は、以下の通りです。

・事務用品（文房具や伝票など）
・オフィス用品（机や椅子など）
・IT機器（パソコンやソフトウェアなど）
・工具（ドライバーやリューターなど）
・生産加工用品（ねじやばねなど）
・保安資材（ヘルメットや作業手袋など）
・消耗品（設備に付属しているゴム部品や鉄部品など）

生産に直接関係する購買品を除き、事業活動に必要なあらゆるモノやサービスが間接材にあたります。

間接材の購買における課題

間接材は発注する品目や仕入れ先が多くなりがちです。そのため、煩雑化する間接材の購買業務に課題を抱えている企業も少なくありません。

以下で、間接材の購買における主な課題を解説するので、ぜひ参考にして自社の状況を振り返ってみてください。

発注する品目と点数が多い

間接材の購買業務における課題として、発注する品目と点数の多さが挙げられます。間接材は直接材と比べて定義の幅が広く、用途も多岐にわたります。

間接材の管理業務は品目が多くなるほど煩雑化する傾向にあり、購買状況や在庫数をリアルタイムで把握するのは簡単ではありません。また、間接材は単価が低く、毎回の支払金額が小さいケースがほとんどで、担当者が管理の重要性を認識しづらいといった課題もあります。

事業所や部署ごとに間接材を発注している

事業所や部署ごとに間接材を発注している場合も、購買業務に課題を抱えがちです。

同じ組織内でも、事業所や部署によって、必要な間接材や発注のペースが異なります。そのため、多くの企業は間接材の購買業務を分散させています。しかし、社内で間接材の発注プロセスが統一されていないと、在庫管理が行き届かなくなる可能性が高いので注意が必要です。

仕入れ先が多くコストを均一化しづらい

間接材に関する課題として、仕入れ先が多く、コストを均一化しづらい点が挙げられます。特に、事業所や部署ごとに間接材を発注している場合には、それぞれが独自の仕入れ先を選ぶケースも珍しくありません。

しかし、社内の発注プロセスが曖昧なままだと、気づかないうちに仕入れ先が増えてしまい管理に手間がかかります。また、同一のものを発注しても部署や事業所によって仕入れ先が異なる場合、コストの均一化も図りづらくなるので注意が必要です。

購買計画がなく全体像を把握しづらい

間接材の購買業務には、全体像を把握しづらいといった課題もあります。なぜなら、間接材は、直接材と比べていつ・どれだけ必要になるかを予想しづらく、社内に購買計画が存在しないからです。

特に、部署や個人単位で間接材を発注しているケースでは、購買状況やコストの全体像を把握するのが難しいでしょう。実際に、購買状況や在庫数が可視化されていない場合には、担当者の不正やミスを見過ごしたり、業務効率が低下したりする可能性も高くなります。

購買コストがかさむ

間接材は、直接材と比べて支払金額が小さいものの、結果的に購買コストがかさむ場合があります。なぜなら、基本的に少量発注になる間接材は、大量発注による割引が受けられないケースが多いからです。

特に、事業者や部署ごとに間接材を発注している場合は、注文数が分散されてしまい、コストがかさむ原因になるでしょう。

過剰在庫が発生する

過剰在庫の発生も間接材の購買業務における課題の一つです。たとえば、間接材の管理を現場に一任する場合、在庫不足を防ぐために個人の判断で余分に発注する担当者もいるでしょう。

間接材の過剰在庫は、未使用品の廃棄や保管スペースの占拠など、多くの無駄につながる可能性が高いので注意が必要です。

同一品目を別名で登録してしまう

間接材の購買業務における課題として、同一品目を別名で登録してしまう点も挙げられます。

特に、部署や個人単位で間接材を発注している場合は、それぞれで品目の呼称が異なるなど、すでに該当品が登録されていることに気づかないケースもあるでしょう。また、同一品目を別名で登録してしまうと、在庫があるにもかかわらず追加発注するなど、過剰在庫につながりかねません。

間接材の購買を最適化する方法<

間接材の購買における課題を解決するためには、在庫数の可視化や発注プロセスの標準化など、社内の仕組みづくりが必要です。

以下で、間接材の購買を最適化する5つの方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.間接材の購買状況や在庫数を可視化する

間接材の購買を最適化するためには、購買状況や在庫数の可視化が不可欠です。組織全体で効果的に情報共有するためには、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用したり、システムを導入したりする方法があります。

どの品目をどのタイミングで、どのくらい発注しているかといった購買状況を可視化できれば、間接材のコスト管理がしやすくなります。また、リアルタイムで在庫数を把握できるようにしておくことで、欠品を防ぎながら、同時に過剰在庫のリスクを軽減できるでしょう。

2.間接材を再定義する

間接材として取り扱う資材の範囲を見直して再定義しておくのも、業務の最適化に役立ちます。間接材は定義の幅が広く、同じ組織でも事業所や部署によって異なる取り扱いをしている場合があります。

組織全体で業務の最適化を図るためには、間接材に対する認識を統一しておくことが大切です。具体的には、間接材として不適切な品目まで調達対象にしていないか、機械や設備の修繕費や広告費などを見落としていないかといった視点で見直してみてください。

間接材を再定義し、社内で取り扱いを統一できると、組織全体で無駄な発注を減らせるでしょう。

3.複数の仕入れ業者を競合させる

複数の仕入れ業者を競合させることも、間接材の購買を最適化するポイントの一つです。相見積もりをもらうなどして業者を比較検討していくと、競争力のある仕入れ先が新たに見つかったり、既存の取引先に値引き交渉をしやすくなったりするメリットがあります。

実際に、間接材のコストがかさむ原因として、仕入れ業者の間で競争原理が働いていない点が挙げられます。間接材は毎回の支払金額が少なくなることが多く、担当者は相見積もりの手間を省きがちです。しかし、複数の仕入れ業者を競合させることは、間接材のコスト削減につながる重要なプロセスです。

なお、複数の仕入れ業者を競合させる際は、過去の仕入価格や発注数などをもとに、今後の仕入れ予定を想定したうえで相談しましょう。

4.分散購買から集中購買に変更する

間接材の管理業務を最適化するためには、集中購買による発注がおすすめです。

たとえば、これまで事業所や部署ごとに間接材を発注してきた（分散購買）場合、本社や購買部に業務を一任する（集中購買）だけで、さまざまな課題を解決できる可能性があります。なぜなら、集中購買に変更して一回あたりの発注数が増えれば、仕入価格を交渉しやすくなるほか、コストの均一化や一元管理が可能になるからです。

ただし、購買部の業務負担が増えたり、発注から納品までのタイムラグが発生したりするなどのデメリットも考えられるため、事前によく検討する必要があります。

5.購買業務を標準化する

間接材の購買業務を最適化するためには、発注プロセスの標準化が不可欠です。事業所や部署によって異なる発注プロセスを採用している場合は、購買状況や全体像が見えづらく、コスト削減のための施策を立案するのが難しくなります。

一方、社内で間接材の発注プロセスを標準化できれば、価格の均一化を図れるほか、無駄な作業がなくなり人件費の削減にもつながるでしょう。

なお、購買業務を標準化するためには、発注から請求までの一連のフローを明確にしたうえで、組織全体で取り組む必要があります。

購買管理システムの導入で間接材の一元管理

間接材の管理業務を最適化するためには、購買管理システムの導入がおすすめです。ただし、購買管理システムの導入には、下表のようなメリットがあります。

・購買実績を管理できる
・購買状況や在庫数を可視化できる
・購買業務にかかる時間やコストを削減できる
・情報を共有しやすくなる
・ペーパーレス化につながる
・導入や運用にコストがかかる
・操作に慣れる必要がある
・業務効率が低下する可能性もある

購買管理システムを導入し、過去の実績をデータ管理できるようになると、購買計画を立てたりコストの均一化を図ったりできるメリットがあります。また、購買状況や在庫数を可視化することで、無駄な発注を防いでコストを削減できるでしょう。

一方で、システムの導入にはコストがかかります。また、システムの操作性が悪いと、担当者が慣れるまでに時間がかかり、業務効率が低下する可能性も考えられます。間接材の管理業務における課題を解決するためには、自社に合ったシステム選びが不可欠です。

購買管理システム選定のポイント

購買管理システムの導入を検討する際は、自社の課題を解決できるか、担当者にとって利用しやすいかといった点を見極める必要があります。

以下で、購買管理システムの導入を検討する際のポイントを解説します。

1.自社の課題を解決できるか

購買管理システムを導入する際は、自社の課題を解決できるものを選ぶことが大切です。

購買管理システムにはさまざまな種類があり、搭載している機能や必要なコストが異なります。購買管理システムを導入しても、自社が抱えている課題を解決するための機能や要件を満たしていなければ、無駄なコストだけがかかるため注意が必要です。

なかには、仕様をカスタマイズできるシステムもあります。購買管理システムの導入を検討する際は、事前に自社の課題を把握したうえで、導入の目的を明確にしておきましょう。

2.担当者にとって利用しやすいか

購買管理システムを導入する際は、担当者にとって利用しやすいものを選ぶのもポイントです。コストをかけてシステムを導入しても、現場の担当者が利用するメリットを感じられなければ、プロジェクトは失敗する可能性が高いでしょう。

社内で新しいシステムを定着させるためには、分かりやすさや操作のしやすさが重要です。購買管理システムの導入を検討する際は、現場の担当者やシステム管理者と意見交換したうえで、利用しやすいものを選びましょう。

3.同じ業種での導入実績があるか

購買管理システムを選ぶ際は、同じ業種での導入実績があるかどうかを確認しておくと安心です。実際に、企業の業種や取り扱っている製品によって、役立つ機能が異なります。そのため、間接材の管理業務を最適化するためには、できるだけ同じ業種の企業への導入実績があるシステムを選ぶのがおすすめです。

なお、システムの導入実績は提供元のサービスサイトなどで確認できます。導入実績が豊富な購買管理システムほど、よりカスタマイズ性に優れていたり、サポート体制が充実していたりする可能性が高いでしょう。

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まとめ

直接材と同様に、間接材は事業活動に欠かせない購買品です。

間接材は生産や売上に直接関係しないため、課題があっても軽視されがちです。しかし、間接材の課題は、放置しておくとさらなる業務効率の低下や無駄なコストの発生につながりかねません。そのため、必要に応じて購買管理システムを導入するなどして、適切に管理することが大切です。

本記事では、間接材とは何か、直接材との違いや購買業務における課題について解説しました。間接材の管理業務を最適化したい場合は、自社における間接材の範囲を再定義したうえで、購買状況と在庫数を可視化するところから始めましょう。