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Apache License 2.0とは?概要や使い方を徹底解説!

目次

Apache License 2.0は、Apacheソフトウェア財団(ASF)によって策定されたオープンソースソフトウェアライセンスです。自由度が高く、ソースコードの改変や再配布、ビジネスでの利用などを広く認めている一方で、特許の扱いにも配慮されています。そのためオープンソースプロジェクトで広く使われており、利用者も多いでしょう。

一方で、Apache License 2.0にはデメリットや注意点も存在します。本記事では、Apache License 2.0の概要から、メリット・デメリット、具体的な使用例、そして使用上の注意点まで詳しく解説していきます。Apache License 2.0を最大限に活用し、リスクを最小限に抑えるためのポイントを確認しましょう。

Apache License 2.0とは?

Apache License 2.0とは

Apache License 2.0は、Apacheソフトウェア財団が作ったオープンソースソフトウェア用のライセンスです。このライセンスでは、誰でもソースコード(プログラムのもとになる文字の集まり)を自由に配布したり、変更したりできます。ただし、変更したソースコードも同じApache License 2.0の下で配布しなければなりません。そしてソースコードの中に、作った人の名前やこのライセンスについての説明を書いておく必要があります。

このライセンスには、特許に関するルールも含まれています。ソフトウェアを配布する人は、関連する特許の使用も許可しなければなりません。一方で、ビジネスで利用したり特許を使ったりすることは自由にできます。

Apache License 2.0では、ソフトウェアは「あるがままの状態」で提供されるため、作った人は問題が起きても責任を負う必要はありません。つまり、バグがあっても作者に文句は言えないということです。

このようにApache License 2.0は、ソースコードの改変や再配布、ビジネスでの利用を広く認めています。さらに、特許の扱いにも配慮されているのが特徴です。このライセンスは非常に自由度が高く、オープンソースプロジェクトで広く使われています。

Apache Licenseの種類

Apache License 2.0とは

本章では、ライセンスの種類として「Apache License 1.0」と「Apache License 1.1」について解説していきます。

  • Apache License 1.0
  • Apache License 1.1

Apache License 1.0

Apache License 1.0は、Apache License 2.0の前身となるオープンソースのライセンスです。

主な特徴は以下の通りです。

  • 商用利用が許可されている
  • ソースコードの複製、改変、再配布が可能
  • 著作権表示の義務がある
  • 特許関連の規定はない
  • 製品名に”Apache”を使うことは規定されていない

Apache License 2.0との主な相違点は、以下の点です。

  • 特許対応の規定がない
    Apache 2.0では特許についての規定が追加されました。
  • 準拠性の規定がない
    Apache 2.0では”Apache”の名称使用に関する規定が追加されました。
  • 他のライセンスソフトウェアとの組み合わせの扱いが不明確
    Apache 2.0ではこの点が明確化されました。

全体的にApache License 2.0の方が規定が詳細になり、法的にも明確になっていますが、1.0もオープンソースライセンスとしての基本的な特徴は備えています。

ただし、Apache Software Foundationは現在Apache License 2.0の利用を推奨しており、1.0はそれほど新規利用はされていません。Apache 2.0への移行が進んでいる状況です。

Apache License 1.1

Apache License 1.1は、Apache License 1.0の後継となるマイナーアップデートバージョンです。Apache License 1.0と1.1の主な違いは以下の通りです。

  • 商標の使用に関する規定の追加
    Apache License 1.0には商標の使用に関する規定がありませんでした。1.1では”Apache”の名称や商標を使用する際の条件が追加されました。
  • 特許に関する規定の追加
    Apache License 1.0には特許に関する規定がありませんでした。1.1では、寄与者が権利を有する特許が関係する場合の規定が設けられました。
  • 用語の明確化
    一部の用語が法的により明確な表現に改められました。

しかし、Apache License 1.1はあまり広く普及することはありませんでした。その後まもなくApache License 2.0が策定され、現在はApache 2.0が Apache Software Foundation によって推奨されているライセンスです。

Apache 1.1はマイナーな改訂版ではありましたが、商標と特許への対応を図った点で1.0からある程度進化した側面があります。ただし、大幅な改訂が行われた2.0が後継ライセンスとして普及したため、1.1は過渡期的な位置づけとなりました。

Apache Licenseの具体的な使用例

Apache License 2.0とは

以下は、Apache Licenseを採用している代表的なソフトウェアの例です。

  • Apache Tomcat
  • Apache Hadoop
  • Apache HTTP Server
  • Apache Cassandra
  • Apache Spark

Apache Tomcat

Webアプリケーションサーバーソフトウェアであり、Java ServletおよびJavaServer Pagesの実装です。Apache Software Foundationが開発し、Apache Licenseを採用しています。

Apache Hadoop

大規模なデータ処理を行うためのソフトウェアで、Apache Software Foundationが開発しています。Facebook、Yahoo!、Amazonなどの大手企業で使用されており、Apache Licenseの下で提供されています。

Apache HTTP Server

Webサーバーソフトウェアで、オープンソースです。Apache Software Foundationが開発し、Apache Licenseの下で提供されています。

Apache Cassandra

分散型データベース管理システムで、オープンソースです。高可用性、高スループット、スケーラビリティに優れ、大規模なWebサイトやクラウドサービスで利用されています。Apache Software Foundationが開発し、Apache Licenseを採用しています。

Apache Spark

ビッグデータ処理のためのオープンソースのクラスター計算フレームワークです。Netflix、Amazon、Yahoo!などの企業が利用しており、Apache Software Foundationが開発し、Apache Licenseの下で提供されています。

これらは、Apache Licenseを採用した主要なオープンソースソフトウェアの例です。Apache Licenseは、企業やプロジェクトで幅広く利用されています。

Apache License 2.0のメリット

Apache License 2.0とは

Apache License 2.0を使うことでさまざまなメリットが得られます。本章では3つのメリットについて触れていきます。

  • 商用で使える
  • 無料で使える
  • 改変や複製も自由にできる

商用で使える

Apache License 2.0ではソースコードを商用製品やサービスに自由に組み込むことが可能であり、その使用から得られる収益に制限はありません。利用料の支払い義務もないため、製品やサービスの事業化の際のコストを抑えられます。同一のソースコードを複数の商用製品やサービスに組み込むことも可能です。

また、Apache License 2.0のソフトウェアをプロプラエタリ(独占的)なソフトウェアと組み合わせて商用利用することが許可されているため、既存の製品やサービスに柔軟に統合可能。このように商用利用を許可していることで、Apache License 2.0のソフトウェアはビジネス活動に柔軟に組み込め、事業展開の自由度が高いというメリットがあります。

無料で使える

Apache License 2.0の大きなメリットの1つに「無料での利用が可能」という点があります。無料で利用できることは、個人やスタートアップ、非営利団体など、予算が限られている主体にとって大きな恩恵となります。高額のライセンス料を支払う必要がないため、初期コストを大幅に抑えることが可能です。また、製品やサービスをリリースした後も、ランニングコストとしてライセンス料を払う必要がありません。

無料で利用できるため、実験的な利用や評価目的の利用にもぴったり。リスクを抑えながら、ソフトウェアの機能や性能を確認可能です。企業が新製品の開発を検討する際にも、使用が容易になります。

さらに、無料で利用できるので、ライセンス料の心配なく利用可能です。Apache License 2.0のソフトウェアをベースにした派生ソフトウェアを作成しやすくなります。

このように無料で利用できるため、Apache License 2.0のソフトウェアは予算の制約を受けにくく、さまざまな主体が参入しやすいというメリットがあります。開発コストを大幅に節約でき、新しいアイデアを試しやすくなるでしょう。

改変や複製も自由にできる

Apache License 2.0には、ソースコードの複製や改変が自由にできるというメリットがあります。まず、ソースコードを自由に複製できるため、同一のソフトウェアを複数の環境や製品に組み込むことが容易です。複製の制限がないので、再配布やミラーリングなどの活動も行えます。

また、ソースコードを改変できることで、ユーザーの要求に合わせてカスタマイズできます。機能の追加や削除、パフォーマンスの最適化などが可能です。ソフトウェアをそのままの形で利用するだけでなく、さまざまなニーズに対応できます。

さらに、改変したソースコードを再配布することも可能。改善したり新機能を追加したりした新しいバージョンを、コミュニティと共有できます。オープンソース開発がしやすくなり、多くの人の力を結集して発展させていけるでしょう。

加えて、企業が独自の製品やサービスを開発する際も、Apache License 2.0のソフトウェアをベースに、機能を追加したり変更を加えたりすることが可能です。既存のソフトウェアを活用しつつ、自社の強みを生かした製品化が可能になります。

このように、複製と改変の自由があることで、Apache License 2.0のソフトウェアは柔軟な利用方法や発展の道が開かれており、多様なニーズに対応できるメリットがあります。

Apache License 2.0のデメリット

Apache License 2.0とは

Apache License 2.0を使うことには、デメリットもあることを学んでおく必要があります。本章では3つのデメリットについて触れていきます。

  1. 著作権表示が必須である
  2. 利用責任に制限がある
  3. 他のライセンスと衝突する可能性がある

1.著作権表示が必須である

Apache License 2.0を使う時は、ソースコード(プログラムのもとになる文字の集まり)の中に、作った人の名前やコピーライト(著作権表示)を書かなければなりません。この決まりがあるため、いくつか問題が出てきます。

まず、作った人の名前などを書くスペースが必要になるので、ソースコードが読みにくくなる可能性があります。とくに小さなプログラムの場合、本当に重要な部分よりも著作権表示の方が長くなってしまうかもしれません。

次に、人が手で著作権表示を書くので、書き忘れや間違った書き方をしてしまうリスクが高くなります。さらに、もとのソースコードを変更した新しいプログラム(二次的著作物)ができたときは、また新しい著作権表示を追加しなければなりません。作業が増えてしまうのです。他のプロジェクトにApache Licenseのソースコードを入れるときも、著作権表示の部分をコピーする手間がかかります。

このように、著作権表示を書く義務があると、作業が大変になる面があります。しかし、オープンソース(誰でも自由に使える)のソフトウェアであることを示すためには、このルールが必要なのです。

2.利用責任に制限がある

Apache License 2.0には、利用者側に一定の責任が課されるというデメリットがあります。具体的には、このライセンスではソフトウェアは「現状有姿の状態」で提供されており、商品性や特定目的の適合性について、一切の保証がされていません。つまり、バグや欠陥があっても、提供者側に責任はありません。利用者側が自身のリスクで利用する必要があります。

また、ソフトウェアに起因して利用者に損害が発生した場合も、提供者側には責任がなく、賠償は求められません。たとえ重大な欠陥があっても、利用者側がすべてのリスクを負うことになります。

このように、Apache License 2.0ではソフトウェアの品質や安全性に関する保証がないため、利用者側で細心の注意を払ってテストやリスク管理を行わなければなりません。企業が本番環境で利用する際はとくに慎重になる必要があるでしょう。

一方で、無償で利用できるオープンソースソフトウェアには、こうした責任の制限が一般的に設けられています。しかし、デメリットとしては、利用者側で全面的にリスクを負担せざるを得ないということがあげられます。

3.他のライセンスと衝突する可能性がある

Apache License 2.0には、他のライセンスとの互換性の問題が潜在的なデメリットとして存在します。Apache License 2.0のソフトウェアを別のライセンスのソフトウェアと組み合わせて利用したり、アプリケーションに組み込んだりする際に、ライセンス間での矛盾が生じる可能性があります。

たとえば、GPL(GNU General Public License)ライセンスとApache License 2.0は相互運用性がありません。GPLライセンスではソースコードの開示を義務付けられますが、Apache License 2.0ではその義務はありません。このような食い違いが発生すると、どちらかのライセンスに違反する形になってしまいます。

また、Apache License 2.0ではソースコードの改変物を再配布できますが、その改変部分にはApacheのライセンスが引き継がれます。一方の元ソフトウェアとライセンスが異なれば、ライセンス間で矛盾が生じる恐れがあるでしょう。

このように、Apacheライセンスの特徴と他のライセンスの規定が干渉し合うケースでは、慎重な検討が必要になります。ライセンスの解釈の違いによっても問題が生じかねず、組み合わせるソフトウェアのライセンスとの両立性を確認する作業が欠かせません。

ライセンス間の相互運用性の問題は、オープンソースソフトウェア利用の際の重要な検討課題となります。

Apache License 2.0の使用上の注意点

Apache License 2.0とは

Apache License 2.0の使用上の注意点を理解しておくことで、デメリットに対処しながら適切に使用できるでしょう。使用者が注意すべき3つのポイントを解説します。

  1. ライセンスの原文を読んでおく
  2. 適切なライセンスを選ぶ
  3. 責任をもって利用する

1.ライセンスの原文を読んでおく

Apache License 2.0を使うときは、必ずライセンスの本当の文章(原文)をよく読むことが大切です。原文を読まないと、問題が起こる可能性があります。

まず、ライセンスのルールを間違って理解してしまうかもしれません。専門的な言葉が使われているので、解釈が人によって違ってくるかもしれません。また、原文にはたくさんの細かいルールが書いてあります。これらを見落としてしまうと、無意識にルール違反をしてしまう危険があるのです。

さらに、ライセンスは時々更新されます。原文を読まないと、古いバージョンのルールに従ってしまう可能性があるでしょう。最新のルールとずれが出てしまいます。そして、自分がどのようにソフトウェアを使うのか、その使い方がライセンスのルールに合っているかを確認する必要があります。

このようにいろいろな問題が起こりかねないので、必ずライセンスの原文をよく読むことが重要なのです。

2.適切なライセンスを選ぶ

Apache License 2.0を利用する際の注意点として、自身の目的に適したライセンスを選ぶことが重要です。Apache License 2.0は多くのメリットがありますが、すべての利用目的に最適なわけではありません。プロジェクトの性質や、目指すゴール、制約条件などに応じて、他のオープンソースライセンスの方が適切な場合もあります。

たとえば、GPL(GNU General Public License)は、デリバティブ作品(改変したソフトウェア)のソースコードを公開する義務があります。これにより、オープンソースの恩恵を得やすくなる一方で、デリバティブ作品を完全にクローズドソースにすることはできません。

また、MITライセンスやBSDライセンスは、Apache License 2.0よりも制限が少ない許諾条件です。企業が独自ソフトウェアに組み込む場合など、自由度が高いライセンスを選ぶ方が適切な場合があります。

さらに、特定の業界や分野によっては、よりフォーカスされたライセンスがあり、そちらを選ぶ方が適切なケースも。このように、プロジェクトの目標や、利用者の制約条件次第で、最適なライセンスは異なってきます。Apache License 2.0に限らず、その他の選択肢も検討する必要があります。無用な制約やリスクを負うことのないよう、十分に検討を重ねる必要があるでしょう。

3.責任をもって利用する

Apache License 2.0を利用する際は、利用者側で責任をもって利用することが重要な注意点となります。

このライセンスではソフトウェアが”現状有姿”の状態で提供されており、商品性や特定目的への適合性について一切の保証がありません。つまり、バグや欠陥があっても、提供者側に責任は発生しません。品質や安全性を自身で担保する必要があります。

また、ソフトウェアに起因して利用者に損害が発生した場合も、提供者側への賠償は求められません。重大な欠陥があっても、そのすべてのリスクを利用者が負うことになります。

このように、Apache License 2.0ではソフトウェアの品質保証がないため、慎重な利用が求められます。利用前のテストや環境への影響の検証、適切なリスク管理など、細心の注意を払う必要があるでしょう。とくに企業が本番環境で利用する際は、よりいっそうの責任が課されます。

無償のオープンソースソフトウェアを利用するメリットはありますが、その代償として利用者側に大きな責任が発生します。Apache License 2.0のソフトウェアを安全かつ適切に利用するためには、この点を十分に認識し、責任をもった利用を心がける必要があるでしょう。

まとめ:Apache License 2.0を最大限に活用しよう

オープンソースのApache License 2.0、利用されている方は多いのではないでしょうか。自由な商用利用や改変が可能なため、ビジネスにも開発にも幅広く活用できるライセンスです。

一方で、品質保証がないことや、著作権表示の義務、他のライセンスとの互換性の問題など、注意すべき点も存在します。Apache License 2.0を最大限に活用し、リスクを最小限に抑えるためには、ぜひライセンスの原文をしっかりと読み込み、自身の利用目的に合致しているかを確認しましょう。

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