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警備会社の選び方・費用相場ガイド【法人・施設向け】|警備区分・常駐vs機械警備・委託費用の相場

目次

警備会社は、施設の常駐・巡回警備から工事現場やイベントの交通誘導、夜間の機械警備まで対応範囲が幅広く、必要な警備区分や体制によって依頼先も費用も大きく変わります。このガイドでは、施設や事業所の安全を外部に委託する発注側の視点で、警備区分の見極めから常駐と機械警備の使い分け、委託費用の相場、失敗しない選び方までを一度に整理します。

先に相場観と「選ぶ物差し」を持っておくと、料金や体制の違いに迷わず、自社の施設に合う一社を見極めやすくなります。地域ごとの具体的なおすすめ会社は、この記事を入口に各地域の記事へつないでいきます。

1. 警備を外部委託すべきか、何を機械化できるか

警備会社を探し始める前に、いったん「警備員を雇うかどうか」から離れ、達成したいことそのものに立ち返ると、選び方を大きく誤らずに済みます。多くの発注者の本当の目的は、施設と人の安全を守り、警備業法や消防・防災の法令に対応し、万一のときに誰かがすぐ動ける体制を、24時間ぶんの警備員を自前で抱えるコストを負わずに整えることにあります。常駐の警備員はその手段のひとつにすぎません。目的から逆算すると、選べる打ち手はもっと広く見えてきます。

「常駐警備員ありき」で発想しない

同じ「守る」でも、実現の仕方は人を張り付ける方式から機械で無人化する方式まで、一続きの幅で捉えられます。自社の現場がこの幅のどこに当てはまるかを先に決めておくと、比較すべき会社やプランが絞り込めます。

  • 人に委託する常駐・巡回。有人の判断や抑止力、来訪対応が欠かせない現場に向きます。
  • 機械警備のみ。センサーで異常を検知し、発報したときだけ警備員が駆けつける省人化型です。
  • 入退室管理システムと防犯カメラで無人化・省人化し、委託そのものを最小限にする方法。
  • 受付や防災センターに人を置きつつ、夜間や死角を機械で補う併用型。
  • 自社で守衛を雇う自主警備。委託しないという選択肢も検討の土俵に載せます。

機械側に倒せる余地は、想像より大きく広がっています。警察庁『令和6年における警備業の概況』によれば、機械警備の対象施設は全国で342万箇所を超え、専従の警備員1人あたり127施設を受け持つ計算になります。センサーと駆けつけの組み合わせによって、常駐人員を抱えずに広い範囲を警戒できることが、数字のうえでも表れています。

ただし委託する場合、契約の形は請負になります。労働者派遣法第4条は警備業務を派遣の適用除外と定めており、発注者が現場の警備員へ直接指示を出すことはできません(指揮命令の権限は警備会社の側にあります)。反対に、入退室管理システムなどの設備へ置き換える省人化は、この警備業の規制の外側で回せます。「人に頼むか、機械に任せるか」は、日々の使い勝手のうえでもこの点で分かれます。

機械化に倒せるのは施設(1号)警備だけ

もっとも、この「人から機械へ」という連続体が成り立つのは、主に施設を守る警備に限られます。ここを取り違えると、そもそも代替できないものを機械で置き換えようとしてしまいます。

警備業法第2条は、警備業務を4つの区分に分けています。1号は事務所・住宅・駐車場・興行場などの施設で盗難等の事故を警戒し防ぐ施設警備、2号は人や車が行き交う場所での交通誘導・雑踏警備、3号は現金や貴金属などの貴重品運搬警備、4号は人の身辺を守る身辺警備です。そして機械警備は、同じ条文で「1号の警備業務を機械装置を使って行うもの」と位置づけられています。つまりセンサーと駆けつけによる無人化・省人化は、法律のうえではあくまで施設警備の一形態にとどまります。

交通誘導や雑踏の整理、貴重品の運搬、要人の身辺警護は、入退室管理システムや防犯カメラに置き換えることができません。自社が必要としているものが2号・3号・4号にあたる場合、考えるべきは機械化ではなく、まず自分がどの区分を必要としているかの見極めであり、常駐や巡回といった人的体制の設計へ進むことになります。区分の判定と体制の選び方は、次章で詳しく扱います。

選択肢は多いが、品質のばらつきは大きい

委託先の数そのものは足りています。むしろ多すぎるからこそ、質を見分ける目のほうが問われます。

警察庁『令和6年における警備業の概況』では、令和6年末の警備業者数は1万811業者と前年より137業者(1.3%)増え、過去最多の水準にあります。ところが内訳を見ると、警備員100人未満の会社が9,753業者と全体の90.2%を占め、5人以下の会社だけで26.4%に達します。選ぶ相手は多くても、その大半は小規模であり、対応力や教育の水準に差が出やすいのが実情です。

人手に頼り続ける前提も、静かに揺らいでいます。同じ統計で、警備員のうち60歳以上が47.0%を占め、業界全体の警備員数は58万人台でこの5年ほぼ横ばいです。業者が増えても働き手は増えておらず、24時間の常駐を人だけでまかなう発想には構造的な限界が見えています。省人化や機械化を一度は俎上に載せる価値があるのは、この供給構造の裏づけがあるからです。

本記事では地域ごとの窓口や具体的な会社名には踏み込まず、どこへ頼むにも共通する選び方と考え方の軸を扱います。以降の章で区分の判定、費用の相場、契約時の注意点を順に見ていき、地域別の候補は地域ごとの記事で確認できるようにしています。

2. 自社に必要な警備区分(1号〜4号)の見極め

警備会社選びの出発点は、守りたい対象が「施設・人流・運搬物・特定の人」のどれかを切り分けることです。警備業務は法律上1号から4号に分かれ、対応できる会社、確認すべき専門性、配置される警備員の資格が変わります。まず自社の施設や案件を区分に当てはめてから、候補会社を比較してください。

警備業法で定められた4つの区分

警備業法第2条は、他人の依頼を受けて行う警備業務を次の4区分に定めています。施設・機械警備の委託を検討している場合は、多くが1号警備に当たります。

区分 主に守る対象 代表的な依頼内容
1号警備 施設内の安全 事務所、住宅、興行場、駐車場などで、盗難・事故・火災等の発生を警戒・防止する施設警備、機械警備
2号警備 人や車両が行き交う場所の安全 工事現場の交通誘導、催事会場の雑踏警備
3号警備 運搬中の現金・貴重品等 現金、貴金属、美術品等の盗難防止を目的とした運搬警備
4号警備 特定の人の身体安全 要人・著名人などの身辺における危害の警戒・防止

施設・案件から区分を判定する

「建物を守る」のか、「人や車の流れを安全にする」のかで、1号と2号を取り違えないことがポイントです。次の対応関係を、依頼内容を整理する際の基準にしてください。

自社の施設・案件 まず検討する区分 判断の考え方
オフィスビル、商業施設、工場・倉庫 1号警備 建物や敷地内で発生しうる盗難、事故、火災等を警戒する役割を担っています。商業施設、オフィス、工場、研究所、倉庫などが施設警備の対象例として挙げられています。ALSOKの施設警備解説
マンション管理組合 1号警備 共用部や出入口を含む敷地内全体の安全確保が目的です。
道路工事、建設現場、車両の出入りが多い現場 2号警備(交通誘導) 歩行者や車両の通行に伴う負傷等の事故を防止する狙いがあります。
祭事、興行、展示会、イベント 2号警備(雑踏警備) 来場者の集中や動線の交錯による事故を防ぐためです。
現金、貴金属、美術品などの輸送 3号警備 守る中心は施設ではなく、運搬中の高価品です。
経営者、要人、著名人などの保護 4号警備 特定の人の身辺で危害を警戒・防止する依頼です。

たとえば商業施設で通常時の出入口管理や巡回を委託するなら1号警備ですが、そこで開催する大規模イベントの来場者誘導まで依頼するなら2号警備も必要になり得ます。施設名ではなく、その場面で何の事故を防ぎたいのかで分けると判断しやすくなります。

区分が違うと、比較する会社も専門性も変わる

認定を受けた警備業者は令和6年末時点で1万811業者あり、そのうち2号警備を行う業者は81.4%、1号警備を行う業者は64.5%です。一方、3号は6.1%、4号は6.5%にとどまります。複数区分を兼営する会社があるため合計は100%を超えますが、3号・4号は候補の層が相対的に限られると考え、早めに対応実績を確かめておくとよいでしょう。警察庁「令和6年における警備業の概況」

また、警備業務検定には施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、貴重品運搬警備、核燃料物質等危険物運搬警備などの種別があります。区分に合う検定合格者がどの程度在籍し、今回の業務にどう配置されるかを把握できれば、単に「警備対応可」という回答より具体的に比較できます。4号警備はこの国家検定の6種別には含まれないため、身辺警備の経験や体制を個別に見極めるべき領域です。警察庁「令和6年における警備業の概況」

見積もり依頼前に整理しておくこと

依頼先へ相談する前に、「どの場所で」「何を守り」「どの場面の事故を防ぎたいか」を一文で説明できるようにしておきます。施設の盗難・事故対策なら1号、工事や催事の人流・車両誘導なら2号、運搬物なら3号、特定の人なら4号という順に当てはめれば、必要な警備区分を見誤りにくくなります。

候補会社が定まったら、都道府県公安委員会の認定を受けているかも確認してください。警備業を営むには認定が必要です。警備業法第4条(e-Gov法令検索) 常駐か機械警備か、費用の考え方、見積もりの比較軸は、区分を確定した後の段階で検討します。

3. 常駐・巡回・機械警備の違いと使い分け

常駐・巡回・機械警備は、抑止力と異常時の対応速度をどこまで求めるかで選びます。来客数、守る物の価値、無人になる時間帯を整理し、必要な体制を選ぶことが、過剰な委託費や警備の空白を避ける近道です。

3つの体制は「現場に人がいる時間」で違う

体制 仕組み 向いている施設・条件 選定時の注意点
常駐警備 警備員を施設に配置し、受付、監視、巡回、初期対応を行います。 大規模施設、高額な資産を扱う拠点、来客が多い施設、事故や侵入時に即応が求められる場所 配置時間、人数、休憩・交代時の体制まで確かめておきます。
巡回警備 警備員が定時または契約条件に沿って施設を訪れ、異常の有無を確かめます。 一定の目視確認は必要だが、常時配置までは不要な中規模施設 巡回回数・時間帯・確認項目・報告方法を契約書で具体化します。
機械警備 センサーの異常信号を監視センターで受信し、必要に応じて警備員が駆けつけます。 夜間に無人となるビル、小規模な事務所・店舗、常駐を必要としない施設 発報からの到着見込み、待機所の位置、対象外となる事象を洗い出しておきます。

常駐警備は、警備員が現地にいること自体が抑止力となり、異常を見つけた際も通報や初期対応へ移りやすい体制です。人を継続的に配置するぶん、人件費の影響を強く受けます。警備料金は人件費が大きな割合を占め、労務単価の上昇も続いているため、配置人数と時間帯を必要な範囲に絞る視点が欠かせません。費用の目安や見積もりの見方は次章で確かめてください。ALSOK「施設警備(常駐警備)を行う1号警備とは?」SPDノート「警備会社の料金相場は?費用の内訳や変動要因」

巡回警備は、施設に常駐せず、複数の対象施設を車両などで巡回する1号警備です。常駐ほどの即応性はありませんが、定期的に人の目で施錠、設備、周辺状況を点検できるため、機械警備だけでは不安が残る施設で選択肢になります。見積書に「巡回あり」と書かれているだけでは判断せず、夜間を含む巡回時間帯、回数、異常時の連絡手順、報告書の提供方法まで揃えて比較しましょう。警察庁「令和6年における警備業の概況」

機械警備は低コストだが到着まで無人

機械警備は、センサーが侵入や異常を検知し、監視センターで信号を受けてから警備員が出動する仕組みです。夜間や休日も継続して監視でき、有人警備より費用を抑えられる場合があります。一方、異常を検知した瞬間に警備員が現場にいるわけではありません。侵入をその場で物理的に止める必要がある施設には、機械警備単独では条件が足りないことがあります。ALSOK「機械警備とは?仕組みやセンサーの種類、導入メリット」

機械警備の候補は、施設警備を行う事業者ほど多くありません。令和6年末時点で機械警備業務を行う業者は542社で、対象施設は342万3,470箇所、専従警備員1人当たりの対象施設数は127施設でした。受け持ち施設が増えているため、会社名や月額だけで決めず、自施設を担当する待機所、発報から到着までの目安、深夜・悪天候・交通障害時の連絡と出動の扱いを把握しておきます。警察庁「令和6年における警備業の概況」

発報から現場到着までは時間差が生じます。いわゆる「25分ルール」は到着時間の目安として知られますが、実際の契約でどのように対応するかは施設の所在地や待機所配置で変わります。比較時には「何分以内」といった説明だけでなく、到着時間の扱いが契約条件に含まれるか、到着前に誰へ連絡するか、鍵の保管や入館方法に支障がないかを確かめておくと、異常時の運用を具体的に見極められます。SPDノート「警報の発報とは?…『25分ルール』も紹介」

施設のリスクに合わせて単独か併用かを決める

  • 大規模施設、来客が多い施設、現場での判断や初期対応が頻繁に必要な施設は、常駐警備を軸に検討します。
  • 夜間無人の小規模ビルや、日中は従業員が在館している事務所は、機械警備が候補になります。ただし、被害が起きた際に到着まで待てない業務や資産がある場合は、単独導入を慎重に判断します。
  • 常駐ほどの体制は不要でも、人の巡回による確認を加えたい施設は、巡回警備と機械警備の併用が考えられます。機械で常時監視し、巡回で施錠・設備・周辺環境を見て回る設計です。

比較する際は、各社に同じ前提条件を渡してください。開館時間と無人時間、来訪者数、守る設備や物品、過去のトラブル、異常時に求める初動を伝えたうえで、各社が常駐・巡回・機械警備のどれを提案し、どのリスクをカバーしないのかを見定めます。入退室管理SaaSなどによる無人化・省人化は、委託警備の体制選択とは別の投資判断として後の章で扱います。

4. 警備委託費用の相場と料金の構造

警備委託費は、常駐・交通誘導・雑踏警備なら「必要な人員と時間」の積み上げ、機械警備なら「月額料金と初期費用」の組み合わせで考えると判断しやすくなります。過去の単価だけで予算を決めず、依頼する業務区分、人数、時間帯、資格要件、契約期間をそろえて総額を比較してください。

常駐・交通誘導・イベント警備は「1名あたり日額×配置人数」が基礎

施設の常駐警備や交通誘導、イベント時の雑踏警備は、警備員を何人、何時間配置するかが費用の中心です。その内訳は人件費が約6割、法定福利費が2割強、装備・安全管理などの必要諸経費が2割弱を占めるとされ、単純な「日当」だけでは比較できません。SPDノートの料金内訳

業務の例 1名・平日昼間8時間の目安 出典と読む際の注意
施設常駐警備 1万6,000~2万円/日
33万6,000~42万円/月換算
SPDノートに掲載された数値です。月換算額は同出典の前提による目安で、実際の稼働日数によって変わります。
交通誘導警備 1万6,000~2万2,000円/日
33万6,000~46万2,000円/月換算
SPDノートによる数値です。工事の工程や必要資格、車両・歩行者の状況によって必要人数は変わります。
イベント・雑踏警備 1万8,000~2万3,000円/日
37万8,000~48万3,000円/月換算
SPDノートの数値を基にしています。別の解説では、交通費・制服代・通信費・保険料などを含め、1名日当を1万5,000~3万円程度とする見方もあります。AIK orderのイベント警備費用解説

イベント警備は、来場者数だけでなく出入口、会場の導線、車両動線、開催時間、終了時の退場誘導まで含めて人数が決まります。見積書では「何名を、どの持ち場に、何時から何時まで置くか」を確認し、必要人数の根拠を説明できる会社を選ぶと、人員の過不足を避けやすくなります。

時間帯・資格・繁忙状況が単価を動かす

同じ8時間でも、夜間、土日祝日、有資格者の配置が必要な現場では単価が上がります。常駐警備について、日中1日実働8時間で1万2,000~1万5,000円を基本とし、夜間は4,000~5,000円、土曜・日祝の夜間はさらに5,000~6,000円の上乗せ、有資格者は無資格者より3,000~5,000円の差額が生じるという掲載例があります。セプラ株式会社の常駐警備コラム

施設・機械警備は主に1号、交通誘導・雑踏警備は2号の警備業務です。業務に応じて必要な経験や資格、配置条件が異なるため、「施設だから一律」「イベントだから一律」とは考えられません。警備業務検定には施設警備、交通誘導警備、雑踏警備などがあり、一部業務では有資格者を置くことが求められます。警察庁「令和6年における警備業の概況」

また、交通誘導を中心に公的な労務単価も上がっています。令和7年3月適用の公共工事設計労務単価では、交通誘導警備員Aは日額1万7,931円、Bは1万5,752円で、いずれも前年から5.7%上昇しました。建設物価調査会の令和7年公共工事設計労務単価解説 民間契約の価格を直接定める数値ではありませんが、人件費を基礎とする警備の見積もりでは、数年前の相場をそのまま基準にしない理由になります。

機械警備は月額だけでなく、初期費用と契約条件を見る

機械警備は、センサーや通信機器の設置にかかる初期費用と、監視・異常時対応にかかる月額料金を分けて比較します。初期費用を抑えるレンタル型は月々の負担が大きくなり、機器を買い取る型は初期費用が大きい代わりに月額を抑える設計が一般的です。

公式料金例 月額料金 初期費用
ALSOK HOME ALSOK Connect(戸建て・お買い上げ) 4,070円 工事費4万7,850円+機器費22万4,400円
ALSOK HOME ALSOK Connect(戸建て・レンタル) 7,865円 工事費4万7,850円
セコム・ホームセキュリティ NEO(戸建て・機器レンタル) 7,700円(税抜) 工事料6万3,600円(税抜)+保証金2万円
セコム・ホームセキュリティ NEO(戸建て・機器買取) 4,700円(税抜) 買取システム料金43万1,600円(税抜)

ALSOKの数値はALSOK公式の料金比較、セコムの数値はセコム公式の料金比較に基づく戸建て向け商品の例です。事業所・店舗・倉庫などの機械警備は、拠点数、センサーの種類と数、出入口、監視範囲、通信環境で個別見積もりになるため、これらを法人契約の相場として置き換えないでください。

月額と初期費用の合計だけでなく、機器の所有者、保守範囲、異常時の出動費、撤去・原状回復費、自動更新、解約予告期間も契約前に確認します。複数年契約では、途中解約時の条件が総支払額を左右することがあります。

見積もりは同じ条件にそろえ、総額で比べる

比較時は、依頼内容を「業務区分×人数×時間帯×日数または契約期間」に分解し、各社へ同じ条件表を渡します。常駐・交通誘導・雑踏警備なら、配置表、休憩・交代要員、資格者の有無、時間外料金、交通費・装備費まで併せてそろえます。機械警備なら、機器構成、工事範囲、月額、出動・保守、契約期間、撤去費まで同じ表で比較してください。

単価が低い見積もりは、必要人員や教育・管理体制、追加費用の条件まで確かめてから判断します。公安委員会の認定を受けた警備会社かも、発注前の基本確認です。警備業法第4条(e-Gov法令検索) 最終的には、単価だけでなく、自社の区分×人数×時間帯×契約期間で総額を試算し、同条件で複数社を比較することが、妥当な費用と必要な警備品質を見極める近道です。

5. 入退室管理システムで警備を省人化する選択

受付・守衛の定型業務は、入退室管理システムと防犯カメラへ移せる場合があります。常駐警備を前提に見積もりを比べるだけでなく、「どこは人の抑止力が必要で、どこは認証・記録・遠隔対応で足りるか」を切り分けると、必要な警備体制と費用を適切に設計しやすくなります。

人が担う仕事を、認証・権限・記録に分解する

受付や守衛の仕事には、来訪者の受付、社員・協力会社の入退館確認、鍵やカードの受け渡し、立入り先のチェック、記録作成など、手順が定まった業務があります。これらは、非接触の認証、利用者ごとの権限発行、入退室ログの保存を備えた入退室管理システムへ任せられるかを検討できます。

たとえば退職者や異動者の権限を管理画面で無効化し、誰がいつどこへ出入りしたかを記録するといった使い方です。来客には期限付きの認証情報を発行し、入室できる時間帯や扉を絞る方法もあります。来客受付の省人化、遠隔解錠、複数拠点の一元管理を実現できる仕組みもあるため、現在は受付担当者や警備員が何をしているかを起点に、置き換えられる範囲を洗い出しましょう。入退室管理を活用した受付・権限管理の例

「無人化できる場所」と「人を残す場所」を分ける

入退室管理だけで、すべてのリスクをカバーできるわけではありません。認証を通った後の不審行動、共連れ、設備異常、トラブル時の案内や初動などは、カメラ映像の確認、遠隔対応、巡回、常駐警備のいずれで補うかを決める必要があります。

検討の軸は、扉ごと・時間帯ごとに「その場で人が対応すべき事象が起こるか」です。来客が少なく、立入り権限を明確に分けられるバックヤードや執務エリアはシステム化を検討しやすい一方、来客への接客の質そのものが求められる正面受付、高価品を扱う場所、夜間にすぐの駆けつけが必要な場所では、人による対応を残す判断が考えられます。

防犯カメラは、入退室ログだけでは分からない状況の確認に役立ちます。ただし、映像を誰がいつ見て、異常時に誰へ連絡し、現場対応をどう行うかまで決めなければ、機器を設置しただけでは運用になりません。警備会社へ相談する際は、警備員を減らした後の監視・通報・駆けつけの流れを具体的に確認してください。

常駐をゼロか一かで考えず、ハイブリッドで見積もる

選択肢は、常駐警備を全面的に続けるか、完全無人にするかの二択ではありません。日中だけ受付・守衛を置いて夜間は機械警備へ切り替える、人員の配置を減らして認証・カメラ・巡回を組み合わせるなど、施設の利用実態に合わせたハイブリッド化もできます。

人的警備は常駐時間が増えるほど人件費の影響を受けやすく、夜間・休日・必要資格の有無でも条件が変わります。見積もりでは総額だけでなく、何人を何時から何時まで置く費用なのか、システム導入後にどの人員を減らせる想定なのかを並べて比べることが大切です。施設常駐警備の料金条件と内訳の考え方

一方で、入退室管理システムも初期費用と月額費用、扉数、認証方式、工事条件によって負担が変わります。人件費と単純比較せず、運用担当者の作業、カード・鍵の管理、保守、将来の増設まで含めて検討しましょう。認証方式別の初期費用や月額費用には幅があるため、必要な扉・利用者数・求める認証強度を揃えて比較表を使うと判断しやすくなります。入退室管理システムの費用目安

省人化が向くのは主に1号の施設警備

ここで扱うのは、施設内の入退館管理や立入り管理を対象とする、主に1号警備の選択です。交通誘導・雑踏警備に当たる2号、貴重品運搬の3号、身辺警護の4号は、入退室管理システムで代替する対象ではありません。委託したい業務がどの区分に当たるかを確認したうえで、施設警備の定型的な仕事に限って機械化の余地を検討してください。警備業法における警備業務の区分(e-Gov法令検索)

比較の出発点は、「いくら払うか」ではなく、「誰の入退館を、どの扉で、どの時間に、誰が確認・対応するか」です。定型管理を省人化したい場合は、この後の入退室管理システムの比較表で必要な機能と費用の考え方を把握してください。人的警備を中心に委託する場合は、次章で警備会社の選び方を見ていきましょう。

施設の警備を省人化・無人化して人件費を抑えるなら、入退室管理システムの比較も役立ちます。以下の比較表もあわせてご覧ください。

「入退室管理システム」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

  • 製品名
  • 注目ポイント
  • 料金プラン
  • プラン名金額
  • 無料トライアル
  • 最低利用期間
  • 基本的な機能
    • 後付け設置タイプ
    • ハンズフリータグ認証
    • 中規模以上の企業向け
    • アンチバスパック
    • 小規模企業向け
    • エレベーター連動
    • 警報システム連携
    • 予約管理システム連携
    • 人事・労務管理システム連携
    • 勤怠管理システム連携
    • スマートフォン認証
    • 2名照合
    • 生体認証(静脈)
    • 生体認証(顔)
    • 生体認証(指紋)
    • ICカード認証
    • 導線制限・時間制限
    • 暗証番号認証
    • 社内状況をリモートで確認
    • 交換設置タイプ
    • 検温機能
  • サービス資料
  • 無料ダウンロード
  • ソフト種別
  • サポート
初期費用 約770,000円
備考
機器販売の場合の1ドア (CR1台)の料金です。4ドア (CR4台)の場合は約1,200,000円です。
1ドア (CR1台)運用契約 約10,000円/月額
備考
機器販売の場合の運用料金です。保守、オンコール対応、センター運用費が含まれています。
4ドア (CR4台)運用契約 約11,000円/月額
備考
機器販売の場合の運用料金です。保守、オンコール対応、センター運用費が含まれています。
1ドア (CR1台)業務委託契約 約28,000円/月額
備考
システム機器費、日立カスタマーセンター利用、定期点検(機器点検)、設置工事費、修繕費(故障時の修繕 ※電気錠、カード除く)が含まれています。カード費およびカード登録費、配線配管費、電気錠および扉加工費、扉建付け調整費、弊社センターと接続する為の回線(インターネット回線)、及びユーザー用管理パソコンと管理の為のインターネット環境 、運用費(日立ビルシステムと運用契約する為の月額費用)は含まれていません。
4ドア (CR4台)業務委託契約 約36,000円/月額
備考
システム機器費、日立カスタマーセンター利用、定期点検(機器点検)、設置工事費、修繕費(故障時の修繕 ※電気錠、カード除く)が含まれています。カード費およびカード登録費、配線配管費、電気錠および扉加工費、扉建付け調整費、弊社センターと接続する為の回線(インターネット回線)、及びユーザー用管理パソコンと管理の為のインターネット環境 、運用費(日立ビルシステムと運用契約する為の月額費用)は含まれていません。
6年
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
サービス代行店へ問合わせ後、見積
制限なし
パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期設定 要相談
〜100顔 16,500円/月額
〜200顔 33,000円/月額
〜300顔 44,000円/月額
〜500顔 66,000円/月額
〜1,000顔 121,000円/月額
1,001顔〜 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
ライトプラン 9,000円/1扉月額
ベーシックプラン 10,000円/1扉月額
QRオプション 3,000円/1扉月額
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
要相談 要相談
制限なし
オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
要相談 要相談
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オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
要相談 要相談
制限なし
オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
顔認証入室管理 ライトプラン 10,000円/月額~
備考
30名~100名、1扉での価格です。
コロナ対策 ライトプラン 12,000円/月額~
備考
30名~100名での価格です。
顔認証入/退室 ベーシックプラン 20,000円/月額~
備考
100名~500名、2扉~8扉での価格です。
コロナ対策入/退室 プレミアムプラン 22,000円/月額~
備考
100名~500名、4扉~8扉での価格です。
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
要相談 要相談
制限なし
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 583,000円~(参考)
備考
1ドア・入退室管理のみ・カード認証の場合
月額費用 11,000円~/月額(参考)
1年(クラウド利用の場合)
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
各ロック製品代及び施工費が必要です。
通常プラン ~10部屋 5,000円/月額×部屋数
備考
外部サービスとAPI連携のみを利用する場合は1,500円x部屋数でご利用できます。
通常プラン  11部屋以上 50,000円/月額+2,500円/月額×(部屋数-10)
備考
外部サービスとAPI連携のみを利用する場合は1,500円x部屋数でご利用できます。
50部屋以上は要相談です。
宿泊プレミアムプラン 5,000円/月額×部屋数
備考
外部サービスとAPI連携のみを利用する場合は1,500円x部屋数でご利用できます。
ブロックチェーンプラン 0円
備考
採用基準と審査に通った場合のみ適用です。
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 電源タイプ 50,000円~
初期費用 電池タイプ 0円
ALLIGATE Lock Pro 15,000円/月額
ALLIGATE Lock 10,000円/月額
ALLIGATE eSumLock 5,000円/月額
ALLIGATE HandleLock 4,000円/月額
ALLIGATE CylinderLock 3,000円/月額
ALLIGATE Logger 6,000円/月額
ALLIGATE PadLock 3,000円/月額
制限なし
クラウド型ソフト 
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初期費用 0円
bitlock PRO 5,000円~/月額
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 カギカンBasic 0円
初期費用 カギカンPro 要相談
カギカンBasicプラン 要相談
備考
コンソール利用料:4,950円/月額
利用者料金:110円/人月額
機器レンタル利用料:1セット 1,540円
カギカンProプラン 要相談
備考
コンソール利用料:4,950円/月額
利用者料金:110円/人月額
機器レンタル利用料:1セット 3,080円/月額
機器設置料金は要相談です。
制限なし
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6. 失敗しない警備会社の選び方と確認項目

発注側が比べるべきなのは、必要な警備を適法かつ確実な体制で提供でき、費用の根拠も説明できる会社かどうかです。求職者が給与や評判、働きやすさを基準に警備会社を選ぶのに対し、委託する企業は現場の事故防止と事業継続の観点で決めます。同じ「警備会社選び」でも、見ている視点はまったく異なります。施設・機械警備は主に1号警備業務に当たりますが、求める業務範囲を整理したうえで、見積額だけでは見えない実施体制まで目を通しておく必要があります。

① 警備業認定番号を確認し、適法に営業できる会社か見極める

警備業を営むには、都道府県公安委員会の認定が必要です。認定は5年ごとの更新制であり、無認定の事業者に警備を委託することはできません。候補会社のウェブサイトに掲示された標識で、認定番号、交付元の公安委員会、会社名が見積書の名義と一致するかを確認しましょう。2024年4月以降は認定証に代わり、標識の営業所・ウェブサイトへの掲示が義務付けられています。警視庁「警備業の認定申請」奈良県警察「警備業法等の一部改正について」

営業担当者の説明だけで済ませず、標識を確認できない場合は提示を求めるのが安全です。これは品質比較以前に、発注先としての最低条件を確かめる手順です。

② 必要な区分の有資格者を、契約期間を通じて出せるか確認する

警備員検定は、施設警備業務・交通誘導警備業務など6区分に分かれる国家資格で、それぞれ1級・2級があります。施設の常駐警備なら施設警備業務検定、指定路線での交通誘導なら交通誘導警備業務検定のように、依頼内容に合う資格者が在籍しているかを見ます。法定の配置基準がある業務では、必要な検定合格者を欠くと、そもそも適法な配置が成り立ちません。警視庁「警備員検定合格証明書の取得方法」警視庁「検定合格警備員の配置基準」

確認時は「有資格者がいるか」だけでなく、必要人数・勤務帯・繁忙日にも配置できるかを質問します。提案書に、配置予定人数、必要資格、欠員時の交代要員まで書面で示してもらうと、契約人数を満たさない配置や名義だけの有資格者を見抜きやすくなります。

③ 新任教育・現任教育が運用されているか確認する

未経験の警備員には配置前に新任教育20時間以上、就業後の警備員には年度ごとに現任教育10時間以上が必要です。この教育を担うのは警備員指導教育責任者です。研修を終えないまま現場に配置されれば、入退館対応、異常時の連絡、巡回時の判断といった基本動作にばらつきが出ます。東京都警備業協会「警備員教育(新任/現任教育)とは」

発注前には、教育担当者の体制、現場固有の引き継ぎ方法、配置前教育の内容を尋ねておくと安心です。「教育しています」という回答より、施設の鍵・入退室ルール・緊急連絡網をどう理解させるかまで説明できる会社のほうが、現場への落とし込みを確認しやすくなります。

④ 機械警備は、発報後の駆けつけ体制まで比べる

機械警備はセンサーの設置だけで完結しません。異常信号を受けた後、誰がどこから、どのように現場へ向かうかが実効性を左右します。東京都の基準では、特別区で25分以内、その他の区域で30分以内に到着できるよう、警備員・待機所・車両を配置することが求められています。東京都例規集「機械警備業者の即応体制の整備の基準等に関する規則」第2条

見積比較では、到着目安だけでなく、監視センターの受付時間、夜間の緊急連絡先、発報から到着までの連絡フロー、誤報時の対応を同じ条件で確認します。高い即時対応が必要な場所では、機械警備だけで足りるのか、巡回や常駐を組み合わせるべきかも検討します。

⑤ 損害賠償保険の有無ではなく、補償範囲を確認する

事故や盗難の被害が起きたとき、補償の有無だけでは実務上の安心につながりません。警備業務中の対人・対物事故、鍵やカードの管理、盗難被害など、自社で想定する事故が補償対象に含まれるかを確かめておきましょう。

保険証券や補償概要で、支払限度額、免責事項、適用条件、事故発生時の連絡窓口を把握します。警備会社の責任範囲と保険の補償範囲は同じではないため、万一の損害を誰がどこまで負担する設計かを、提案段階で比較することが大切です。

⑥ 同種施設での実績は、現場条件まで聞く

「実績多数」という表現だけでは、自社の現場を任せられる根拠になりません。オフィス、商業施設、物流拠点、工場、医療・福祉施設など、入退館の方法、来訪者の多さ、夜間稼働、鍵や重要物の管理は施設ごとに異なります。

候補会社には、社名を伏せた形で構わないので、類似施設の警備体制、配置人数、想定していたリスク、トラブル時の対応例を尋ねてみましょう。自社固有の条件を伝えたうえで、巡回経路や報告方法まで具体化した提案が返るかを見ると、実態のない警備計画を避けやすくなります。

⑦ 行政処分歴と欠員時の代替要員力を確認する

行政処分歴は、価格表や営業資料では見えにくい法令遵守の確認材料です。公安委員会による認定取消し、営業停止命令、指示などは警察のウェブサイトで公表され、処分日から3年間閲覧できます。候補会社の主たる営業所を管轄する警察の公表ページを確認し、処分内容があれば改善状況も尋ねてみてください。警視庁「警備業法に基づく行政処分の公表」

あわせて、病欠・退職・繁忙期に欠員が出た場合の補充方法、連絡期限、責任者の代行体制も見ておきます。予定人数の穴を埋められない状態は、警備の実態が薄くなる直接的な原因です。行政処分歴や実績のチェックはこの章で行い、再委託、違約金、自動更新、指揮命令など契約条件の確認は第8章で整理してください。

7. 大手・準大手と地場中小の使い分け

大手・準大手か地場中小かは優劣ではなく、案件の規模・必要な警備区分・求めるコンプライアンス水準に照らして選び分けるものです。依頼前にまず会社タイプの地図を持っておくと、個別の見積比較に入る前に自社の現場に合う候補プールを絞り込めます。

数の上では小規模事業者が大多数を占めます。警察庁の統計では令和6年12月末時点の認定警備業者1万811のうち、警備員100人未満の業者が90.2%、警備員5人以下の零細業者だけで26.4%に達します(警察庁「令和6年における警備業の概況」)。地場中小が標準で、全国規模の大手は例外的な少数という分布を前提に候補を眺めるとよいでしょう。

全国大手・準大手が向く場面

複数拠点にまたがる広域案件や、施設警備と交通誘導をまとめて任せたい複合案件では、拠点網の広さが効いてきます。全国の営業所1万6,625のうち、主たる営業所1つのみの業者が84.5%、営業所5以下で97.4%を占め(同概況)、多拠点を束ねられる会社はごく一部に偏っています。有資格者の層が厚く、教育や損害賠償保険の体制が整い、1号(施設)と2号(交通誘導等)の複合案件も一括で効率よく任せられる点が大手・準大手の強みとされます(警備ドットコム)。

反面、中小より割高になりやすく、料金に乗る一般管理費は会社規模によって差が大きいと説明されています(警備員.jp)。加えて、大手が受注しても実際の警備を中小へ下請けに出す場合があり、そのときは中小へ直接依頼するより割高になり得ます(警備ドットコム)。見積の警備体制が自社対応か下請け前提かは、確かめておきたいところです。

区分特化型で探すべき警備

必要な警備区分によっては、そもそも対応できる会社が限られます。区分別の対応業者は交通誘導が76.5%、施設警備が62.7%と多い一方、機械警備は5.0%、貴重品運搬など運搬警備は6.1%、身辺警備は6.5%にとどまります(同概況)。交通誘導や施設常駐なら地場でも候補は豊富ですが、機械警備・運搬・身辺は最初から専門会社を探す前提で動くほうが早道です。

とりわけ機械警備は装置産業型です。手がける業者は542社(全体の5.0%)にすぎない一方、対象施設は342万箇所を超え、基地局や待機所、専用巡回車の即応網で広域をカバーしています(同概況)。センサーと駆けつけ網を自前で抱える領域なので、地場中小が単独で機械警備網を構えるのは難しく、機械警備が主目的なら会社タイプの選択肢は自然と絞られます。

地場中小が向く場面と注意点

単一拠点・単一区分で、地域の道路の動線や現場事情を踏まえた柔軟な対応を求めるなら、地場中小が費用と小回りの両面で合いやすくなります。イベント会場や周辺道路を事前に把握している現場密着ぶりは、大手にはない価値です。ただし体制のばらつきは前提にすべきで、警備員がパート・アルバイト中心で研修時間が十分でない会社もあると整理されています(警備ドットコム)。安さの理由が効率化なのか体制の薄さなのかは、個社の確認軸で見極めます。

三タイプの使い分け早見

案件の性質から逆算すると、会社タイプはおおむね次のように整理できます。

会社タイプ 向く案件 強み 留意点
全国大手・準大手 多拠点・複合区分・高いコンプライアンス要求 拠点網の広さ/有資格者の層/教育・保険体制 割高になりやすい・下請けによる割高化の有無
区分特化型 機械警備・運搬・身辺など対応社が少ない区分 専門ノウハウと設備 得意区分の外は手薄なことがある
地場中小 単一拠点・単一区分・地域密着 安価・柔軟・現場と動線の把握 体制と教育のばらつき

この地図で候補プールを絞ったうえで、個社の認定の有無・検定合格者の在籍・実績といった確認軸で一社ずつ見極めていきます。具体的な地域の候補や会社ごとの比較は、この後の比較表と地域別の記事に譲ります。

8. 契約前に確認する法令・契約リスク

契約前は、価格だけでなく「誰が、何を、どの条件で実施し、いつ終了できるか」を書面で確定させることが、警備委託の損失や法令違反を避ける基本です。施設・機械警備では、契約後に警備体制や解約条件を見直しにくい場合があります。見積書の説明だけで判断せず、法定の契約書面と実際の運用を照らし合わせて選びましょう。

契約前・契約後の書面を必ず受け取り、比較の基準にする

警備業法第19条は、契約締結前に契約概要の書面を交付し、締結後も遅滞なく契約内容を明らかにする書面を交付するよう警備業者に求めています。契約後書面には、少なくとも警備業務の内容、対価、支払時期・方法、実施期間、解除に関する事項が含まれます。

  • 常駐なら配置人数、時間帯、休憩時の扱い、巡回回数
  • 機械警備なら監視対象、異常時の連絡・対応、機器の所有・保守範囲
  • 月額以外の初期費用、出動費、撤去・原状回復費
  • 契約期間、更新条件、途中解約時の精算方法

見積書・提案書・契約前書面・契約後書面で内容が一致しているかを確かめます。説明時の約束が書面にない場合は、契約前に記載を求める姿勢が必要です。

自動更新と解約期限は、契約開始日より前に把握しておく

自動更新そのものが直ちに不適切とは限りませんが、更新後の契約期間が長い、解約通知期限が早い、途中解約時の費用が大きいという組み合わせは、乗り換えや縮小を難しくします。更新・解除に関する事項も契約書面の記載対象です。詳しくは警備業法施行規則で確認できます。

確認項目 契約前に確認したい内容
契約期間 初回契約と更新後の期間はそれぞれ何年か
更新停止の期限 満了日の何日前までに、誰へ、どの方法で通知するか
途中解約 違約金、残存期間分の料金、機器撤去費の計算方法
更新時の価格 料金改定の条件と、改定前に協議・解約できる余地

社内の契約管理表には、満了日だけでなく「更新停止通知の社内期限」を登録しておくと、通知期限の見落としを防げます。

再委託の有無と、実際に責任を負う会社を見極める

再委託を予定する場合、その有無は法定書面の記載事項です。警備業法施行規則は、契約概要・契約内容に再委託に関する事項を記載するよう義務付けています。営業担当の会社と、実際に警備員を配置・教育・指揮する会社が異なるなら、曖昧なまま契約しないことが大切です。

再委託を認めるなら、事前承諾制にするか、再委託先の社名、担当責任者、教育・事故対応・報告の責任分担を文書で取り決めます。特に夜間や緊急時に、誰が判断し、誰が発注者へ連絡するのかを明確にしておくと、責任の空白を避けられます。

「警備員を派遣してもらう」は誤解。指示は警備会社の責任者へ伝える

警備業務は、労働者派遣が禁止されています。厚生労働省の案内労働者派遣法第4条では、警備業務を派遣就業できない業務として定めています。

そのため、施設側は「人員を借りて直接指揮する」のではなく、警備会社へ請負として委託します。日々の配置変更、巡回方法、業務上の指示は、警備会社の現場責任者・管制担当者を窓口にして伝える運用にします。来訪者対応など施設固有のルールも、警備会社が警備員へ指示できる形で業務仕様書に落とし込みましょう。

報告を検収につなげ、契約した警備が実施されているか確認する

契約書に人数や巡回回数があっても、実施状況を確認しなければ品質は判断できません。契約段階で、報告の方法・頻度・時期を定めることができます。警備業法施行規則も、依頼者への報告に関する事項を契約書面の記載対象としています。

  • 常駐警備は、日報、交代時刻、配置実績、事故・苦情の記録を確認します。
  • 巡回警備は、巡回日時、場所、異常の有無、未実施時の連絡・代替対応を把握します。
  • 機械警備は、発報、連絡、現場到着、復旧までの記録を月次で共有してもらいます。

請求書と報告書を同時に照合する仕組みにすると、予定人数や巡回回数だけを請求する状態を防ぎやすくなります。未実施、遅延、体制変更があった場合の報告期限と料金調整の扱いも、契約前に合意しておくと検収が機能します。

9. 依頼の流れと相見積もりの取り方

依頼の成否は、現地調査から契約書面まで一つひとつ丁寧に精査することと、条件をそろえた相見積もりで決まります。総額だけを比べず、必要な抑止力と運用負担に見合う警備体制かを見極めてから依頼先を絞り込みましょう。

依頼から契約までの流れ

施設・機械警備の依頼は、問い合わせ後に現場を確かめ、警備計画と見積もりを受けて契約内容を固める流れが基本です。相談時には、守りたい場所・時間帯・想定するリスクを整理して伝えると、提案の精度が上がります。

  • 問い合わせ:施設の用途、開館時間、夜間の無人時間、気になる出入口や保管物を伝えます。
  • 現地調査:出入口、死角、導線、既存設備、異常時の連絡体制を把握します。
  • 警備計画の提案:配置人数、巡回・常駐の時間、機械警備の監視範囲、緊急時対応をすり合わせます。
  • 見積もり:月額・日額だけでなく、初期費用、機器費用、出動や追加対応の条件を分けて確認します。
  • 契約書面:業務範囲、料金、契約期間、自動更新、解約予告、撤去・原状回復費用まで読み合わせます。

警備業者には、契約前と契約締結時に書面を交付する義務があります。見積書だけで判断せず、書面に記載される業務内容と料金が提案どおりかを確認してください。警備委託契約における書面交付の解説

相見積もりは「同じ警備条件」で依頼する

相見積もりで適正価格を見極めるには、各社に同じ条件を提示することが欠かせません。人数や時間帯が異なる見積もりは、安さではなく警備範囲の違いを比べているだけになりがちです。

そろえる条件 確認する内容
警備区分 施設常駐、巡回、機械警備など、依頼する役割を明確にします。
配置人数 常時配置か、時間帯ごとの増員かをそろえます。
時間帯・曜日 昼夜、平日・休日、繁忙日の扱いまで指定します。
契約期間 短期・年間契約、自動更新、解約条件を同一にします。
機械警備の有無 監視対象、機器費用、工事費、出動条件を分けて比較します。
有資格者の要否 必要な資格や責任者配置の条件を合わせます。

警備費用は、配置人数、時間帯、資格の有無による人件費の影響を大きく受けます。同条件であれば、単価だけでなく、警備計画の具体性、教育体制、緊急時の連絡・報告方法まで比較しやすくなります。警備料金の変動要因と内訳の解説

人と機械を役割で分けて考える

常に人の目や即時の抑止が必要な場所と、定型的な入退室・施錠管理で足りる場所を切り分けると、警備品質と費用のバランスを取りやすくなります。

来訪者対応、巡回、トラブル時の初動など、現場での判断や存在そのものに抑止力が求められる箇所は、人的警備を検討します。一方で、限られた出入口の入退室記録や時間外の施錠管理などは、入退室管理システムや機械警備を組み合わせることで、省人化できる場合があります。

ただし、機械警備は異常を検知して対応につなげる仕組みです。何を検知し、誰がどのように対応するのかを警備計画で確かめたうえで、人による警備を減らせる範囲を判断してください。

よくある質問

依頼前に迷いやすい点は、警備会社へ相談する段階で整理しておくと比較が進めやすくなります。

小規模な施設でも依頼できる?

可能です。常駐だけでなく、巡回や機械警備などの選択肢があるため、施設規模ではなく守りたい時間帯と場所から相談しましょう。

夜間だけ無人の施設は機械警備で足りる?

出入口、保管物、異常時の対応許容時間によって異なります。機械警備の仕組みと人的警備との使い分けは第3章を参照してください。

繁忙期やイベントだけ短期で警備員を確保できる?

対応可否は警備会社と時期、必要人数によって変わります。通常契約とは分けて、日時・人数・業務範囲を早めに提示し、追加費用も含めて見積もりを取りましょう。

警備員を派遣として頼める?

警備業務は労働者派遣の対象外です。警備会社との請負契約となり、施設側が警備員へ直接指揮命令することはできません。契約形態と現場運用は第8章を確認してください。警備業務における労働者派遣の扱い

基本を押さえたら、地域別のおすすめ記事で具体的な候補を絞り込みましょう。比較条件を整理したい場合は資料ダウンロードや比較表リクエストも活用し、自社の警備計画に合う委託先を選んでください。

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