【2025年最新版】CADソフトの比較33選｜2D・3Dの特徴と選び方を徹底解説

「CADソフト」は、図面作成から3Dモデリング、BIM/CIMの情報連携まで設計業務を加速する基盤です。ただし、2D/3Dの向き不向き、IFCやSXFなどの形式、クラウド協働や評価手順まで含めて考えないと、導入後の運用が滞りがち。本記事では、基礎概念の整理から33製品の横断比較、選定5ステップ、公共案件の基準対応、検証の測り方（起動・表示・出力・互換）までを一気に俯瞰します。初心者の学習スタートと、実務での生産性向上の両立を目指し、用途別の最短ルートを提示します。

1. CADソフトとは？【図解でわかる基本】

CADソフトは、設計・製図をPC上で行うためのアプリケーションです。この記事では2D/3Dに加え、建築のBIM、土木のCIMまでをひと目で比較し、どの場面でどのタイプのCADソフトが最適かを整理します。なお、公共案件では国土交通省のガイドライン（電子納品要領やCAD製図基準）に準拠したデータ運用が前提になります。

電子納品の要領・基準について詳しくはこちら > 要領・基準 | 電子納品に関する要領・基準

CAD/2D/3D/BIM/CIMの違い

まず、言葉の定義と役割の違いを簡潔に押さえます。

• CAD（Computer-Aided Design）：コンピュータで設計・製図を支援する総称。2D図面や3Dモデルを作成するためのソフト全般を指します。
• 2D CAD：平面の図面（平面図・立面図・配線図など）を作成。汎用的なファイルは「DWG」「DXF」など（DWG/DXFの仕様はオートデスクが定義）。
• 3D CAD：立体（ソリッド/サーフェス）で部品・アセンブリをモデリング。干渉や寸法拘束などを加味して設計精度と下流工程（CAM/CAE）連携を高めます。
• BIM（Building Information Modeling）：建築物を属性付きの3Dモデルで一元管理する手法・ワークフロー。国土交通省の官庁営繕ガイドでは、設計から維持管理までのライフサイクル活用が示されています。中立的なデータ交換にはIFC（buildingSMARTが標準化）を用いるのが基本です。
• CIM（Construction Information Modeling/Management）：土木分野のBIM。調査・設計・施工・維持管理の全体で3D情報モデルを活用する方針で、国土交通省の要領・基準が公開されています。

官庁営繕のガイドラインについて詳しくはこちら > 官庁営繕：官庁営繕事業におけるBIM活用 – 国土交通省

次の表では、タイプ別の定義・形式・主用途・代表製品を比較しています（初出の固有名詞には公式ページを付与）。

形式の列は“そのタイプでよく使う交換形式”の例示です。特に公共案件ではIFCやSXF、電子納品の運用が重要になるため、事前に元請・発注者の指定を確認してください

主な用途（機械・建築・土木・設備・可視化）

どの業務で何を重視するかによって、最適な「CADソフト」は変わります。次の表は業務領域×達成したいことから初期選定の目安を示したものです。

次の表では、用途別に必要機能と該当カテゴリ、代表的な製品例を比較しています。

表のとおり、機械＝3D CAD、建築＝BIM、土木＝CIMが基本線です。BIM/CIMではIFC等の中立形式でやり取りする局面が増える一方、2D図面の電子納品やSXF基準も依然重要です。公共工事・営繕の要領・基準は国土交通省が公開している最新版の参照を推奨します（BIM/CIM導入・活用、電子納品、CAD製図基準の各ページ）。

「CADソフト」の選定は、図面主体かモデル主体か（2D/3D）、さらに建築BIMと土木CIMのどちらの要件に従うかを最初に決めると迷いません。ファイル交換・電子納品の条件（DWG/DXF/IFC/SXF など）を発注者・協力会社と合わせてから、上の用途表に沿って候補を絞り込むのが実務的です。

2.CADソフトの代表的な8種類

CADソフトはそれぞれの分野に特化した機能が搭載されており、大きく8種類に分けられます。本章では、以下の8種類について紹介していきます。

1. 汎用CAD
2. 機械用CAD
3. 建築用CAD
4. システムCAD
5. BIM
6. 回路設計CAD
7. アパレルCAD
8. ジュエリーCAD

1.汎用CAD

紹介する汎用CADは、あらゆる設計に対応したCADです。特定分野の機能に特化していないため、幅広い分野で使用されています。

機械用や建築用などの専門CADと比較して価格が抑えられているのが特徴です。フリーソフトでは2Dしか扱うことができないものもありますが、多くの有料ソフトは3Dまで幅広く対応しています。

2.機械用CAD

機械用CADは、精密な機械図面の設計に特化した専門CADのひとつです。自動車や飛行機などの大型機械から家電・電化製品やスマートフォンなどの小型機械まで機械全般の精密な作図が可能です。少しのミスが命取りとなる図面の修正を正確に行え、実際の動作をソフト内で検証できます。

3.建築用CAD

建築用CADは、精密な建築図面の設計に特化した専門CADのひとつです。施工図、構造図や設備図などの基本的な設計図はすべて製作可能であり、柱や壁、インテリアを簡単に配置できる機能も備わっています。

また、BIM（ビム）と呼ばれる特殊な建築用CADもあります。BIMとはBuilding Information Modelingの略称で、3Dで設計した図面から2D図面を切り出して平面図を作成します。現実と同じ建物をデータとして作成するBIMでは構造の不具合や設備の調整を早期に発見できます。

さらに、一か所の修正はすべてのデータに自動的に反映されます。建築に必要な工程の一元的な管理が可能であり、世界中での普及率が高いことが特徴です。

4.システムCAD

システムCADは、2Dの平面図から3Dパースまでの一連の図面設計ができるCADソフトです。住宅の建築設備に特化したシステムCADでは、配管・配線の配置やルート変更を容易に行うことができます。マウスで行える作業が多く、操作が単純で覚えやすいのが特徴です。

作図・設計を行いたい対象に応じてどの種類のCADソフトを導入するか決めましょう。また、電気設備などより細かい専門分野に特化したCADソフトもあります。

5.BIM

BIMは、これまでの建築業界に変革をもたらしたとされるほどの画期的なソフトウェアです。

従来のCADソフトでは2次元の平面図を3Dパースにするといった機能でしたが、BIMでは「はじめから3次元で設計し、2次元図面を切り出す」といった仕組みとなっています。

6.回路設計CAD

回路設計CADは、主に電化製品の基盤などを制作する際に用いられるソフトウェアです。建築CADで紹介した際に電気設備で使用されるソフトウェアもありますが、こちらは基板の設計時に役立ちます。

7.アパレルCAD

アパレルCADは、洋服をデザインする際に用いられる種類のソフトウェアです。裁縫用の型紙を作成したり、裁断時のレイアウトなどを図面化したりする際に利用されます。アパレルCADはパターン作成、サイズ展開、記事の祭壇のレイアウトに対応可能です。

8.ジュエリーCAD

ジュエリーCADは、アクセサリーを作成する際に用いられる種類のソフトです。建築物といった大きいものからアクセサリーのような小さいものまでも作れるのがCADです。ネックレスやリングなど、ジュエリーCADを用いることで造形機を利用して制作可能なため、便利かつ正確に原型を作られます。手作業では難しい精巧なジュエリーを作ることができ、利便性が高く多くの現場で取り入れられています。

3. CADソフトの選び方5つのステップ【目的別・スキル別】

CADについて理解したところで、CADの導入を検討している方がいらっしゃるかと思います。しかし、自社に合うCADソフトやどうやって製品を選べばよいかわからないという方が多くいると思われます。そのため、ここにおいてはＣＡＤソフトの導入の選定基準を理解するために、CADソフトの導入のステップを5つに分けて説明します。5つのステップは以下の通りです。

• STEP1｜用途を明確化する（建築・機械・電気・服飾など）
• STEP2｜操作の難易度・習得コストの確認
• STEP3｜2Dか3Dかどうか
• STEP4｜無料か有料か（費用対効果も考慮）
• STEP5｜Mac/WindowsなどのOS対応で選ぶ

STEP1｜用途を明確化する（建築・機械など）

CADソフトの導入に当たって、まずやるべきこと「何を設計するのか」という用途を明確化することです。今まで説明してきた通り、CADには様々な種類があり、それぞれの製品が特化している分野が異なります。自分が設計したいものとその製品が特化している分野が異なる場合、作業効率が期待ほど向上しない可能性があります。そのため、その製品がどの分野に特化しているのか理解することから始めましょう。

以下において実際に用途別のおすすめの製品を一部紹介します。

STEP2｜操作の難易度・習得コストの確認

CADソフトは操作の難易度や学びやすさも選定する上で大きなポイントとなります。たとえ、超高性能の製品を導入したとしても使いこなせなければ、結局は意味がありません。「操作性」「習得コスト」という観点はCADを導入する上で欠かせないポイントです。必ず、各製品の特長を確認しましょう。

直感的に使えるか？操作性の確認

操作性は、作業の効率を向上させるためにも非常に重要な項目です。CADは大きく２つに分けられます。１つ目は「アイコン・マウス中心で操作ができるタイプ」で、２つ目は「コマンド入力や専門用語が必要なタイプ」です。迷ってしまった場合は、初心者の方は「アイコン・マウス中心に操作できるタイプ」をお勧めします。

また、実際に触ってみてチェックすることも大切です。無料体験版やチュートリアル動画を配信している製品もあるため、そちらを確認することをお勧めします。

自分の学習スタイルに合っているのか

CADには、「独学でも学べるソフト」と「講習やマニュアルが必要なソフト」があります。以下の視点から自分が取り組みやすいかどうかを確認してみましょう。

• オンラインで学べるか（youtubeやUdemy）
• 書籍・チュートリアル・解説記事の充実度
• 初心者向けの情報が多いか
• 公式のマニュアルやサポート体制があるか

CADソフトには無料ソフトや海外製の製品もあります。性能面では十分ですが、サポート体制が充実していないものもあるため、日本語サポートが充実した製品を導入することをお勧めします。サポートが充実していると不安な方でもCADを使いこなせるでしょう。

操作性と習得難易度を天秤にかける

操作性と習得難易度は以下のような関係しています。自分にとって無理なく続けられるCADが見えてきたんじゃないでしょうか。

STEP3｜2Dか3Dかで選ぶ

記事の最初に説明した通り、CADソフトには2D CADと3D CADの２種類あります。3D CADは2D CADよりも後に登場し、3D cadのほうが優れているように思えますが、それぞれに適した用途や特徴があり、「どちらが優れているか」ということはありません。「何を設計するのか」「どう使いたいのか」が重要なのです。

2D CADとは？｜平面での図面作成に特化

2D CADは平面図・立体図・断面図などを正確に描くためのツールです。操作も比較的にシンプルであり、建築図面、電気回路図、配管図などに使われることが多いでしょう。以下のような方は2D CADが向いています。

• 寸法の正確な平面図や施工図を描きたい人
• 回路設計や配線図を作成する必要がある人
• 初心者でまず図面の基本を学びたい人

2D CADは直感的に操作が可能であるため、CAD初心者が基本を身に着けるための入り口としてもお勧めできます。

3D CADとは？｜立体的な設計やシミュレーションに対応

3D CADは、設計物を立体的にモデリングするソフトです。機械設計や建築の構造検討、3Dプリンター用データの作成などに適しています。以下のような方は3D CADをお勧めします。

• 製品・建造物を立体でイメージしながら設計したい人
• 動作や構造をシミュレーションしたい人
• 3Dプリントやビジュアル化に対応したい人

3D CADは、可視化や共有に優れており、チーム設計やプレゼンの際には活用しやすい特徴があります。

どちらを選ぶべきか？選定方法

どちらを選ぶべきか判断が難しいかたもいらっしゃるでしょう。迷ったら、「平面図で正確に描きたい」なら2D CAD、「立体的に見て設計したい」なら3D CADと選びましょう。まずは、2Dで基礎を身に着けることが重要であるため、決めかねた場合は2Dを選びましょう。

また、以下の表は2Dと3Dを比較した表です。参考にしてください。

STEP4｜無料か有料か（費用対効果も考慮）

CADソフトには年間数十万円かかるソフトや無料のソフトがあります。数十万円かかるなら、無料製品のほうが優れていると思われるかもしれませんが、無料製品には機能制限がある場合が多いなど、注意点もあります。価格だけで、判断するのではなく、目的・必要な機能・使用頻度に応じて自分にはどちらがあっているのか判断しましょう。

無料CADの特長とメリットと注意点

無料CADは、費用をかけずに始められます。そのため、初心者学習目的で使用される人には魅力的です。

メリット

• 0円で気軽に始められる
• 複数のソフトを比較しやすい
• 教育・趣味・非営利用に向いている

注意点

• 機能制限がある
• 商用利用できないケースがある
• サポートやマニュアルが整っていないことも

本格的な設計や美辞ネル利用を考えている場合は、有料版への移行を見越して選ぶことが大切です。

有料CADの特長を費用対効果

有料CADソフトは、無料ソフトに比べ機能面の充実度や必要な機能や商用ライセンス、サポート体制などが充実しており、プロフェッショナルや企業利用を前提としています。

よくある費用形態
月額・年額のサブスクリプション型（例：年間5万円～30万円程度）

買い切り型ライセンス（更新費用がかかるケースも）

ライセンス契約の値段が上がれば基本的に機能は充実します。しかし、本当にその機能が必要か、しっかり吟味し自社に最適なソフトを導入しましょう。

STEP5｜Mac/WindowsなどのOS対応で選ぶ

今まで4つのステップを解説してきました。そして最後はCADソフトを選ぶ際に、意外に見落とされやすい「OSの対応状況」です。ほとんどのCADソフトはWindowsを喜寿に作成されており、Macでは動作がしない製品も存在します。「OSの対応状況」は必ず確認しましょう。

ここまで5つのステップに分けてCADの選定基準について説明してきました。CADを導入しても業務が効率化できないのは残念です。自社に合ったCADソフトを選定し、業務の効率化を実現しましょう。

4. 【初心者／個人向け】CADソフト3選

「初心者／個人向けCAD向けのソフト3選」では、まず“ブラウザで今すぐ始められる”入門向けとして 「Tinkercad」 と 「SketchUp」 、一段踏み込んで“設計の基礎を体系的に学べる” 「FreeCAD」 を選びました。「Tinkercad」は完全無料のWebアプリで、直感操作で3Dを作りながらSTL/OBJなどに書き出してそのまま家庭用3Dプリンタへ、という学習〜出力の動線がシンプルです。 一方の「SketchUp」 はブラウザ版の無償モデルで、押し出し（Push/Pull）中心のモデリングが分かりやすく、家具・DIYや建築の形状イメージづくりに強みがあります。

さらに「FreeCAD」はオープンソースのパラメトリックモデラーとして、ワークベンチ拡張やSTEP/IGES対応など“実務寄り”の学びに発展しやすいのが特長です。まずは「Tinkercad」／「SketchUp」で立体感と操作感を掴み、寸法拘束や履歴編集が必要になったら「FreeCAD」へ――というステップを想定しています。

1. 「SketchUp」

直感操作でアイデアを素早く3D化できるモデラ―。建築・インテリア・プロダクトの初期検討から図面化までを一気通貫で支えます。デスクトップ（Windows/macOS）、Web、iPadに対応し、用途や環境に合わせたワークフローを組めます。膨大な既製モデルを収めた「3D Warehouse」に直結し、家具や設備などを即座に配置して検討を加速。拡張機能は「Extension Warehouse」で追加できます。3Dモデルからは「LayOut」で寸法付き2Dドキュメントやプレゼン資料を作成し、変更はモデルと自動同期。CADとの連携はDWG/DXFの入出力に対応します。

2. 「Tinkercad」

ブラウザで使える無料の3D設計・電子回路・コード学習ツール。Autodesk提供で、初学者や教育現場の入門から3Dプリントまで一貫して扱えます。

直感操作の「3D Design」で基本形状の合成・差分編集ができ、ブロック型の「Codeblocks」では変数や反復を使ったパラメトリックな形状生成を学べます。加えて「Circuits」ではArduino等のマイコンを含む回路設計・シミュレーションがブラウザ上で実行可能で、授業用のクラスルーム機能も備えます。

3. 「FreeCAD」

フリー＆オープンソースのパラメトリック3D CAD。Sketch（拘束スケッチ）→PartDesign（フィーチャーモデリング）を軸に、機械設計からBIM、FEM解析、CAMまで“ワークベンチ”を切り替えて拡張できます。1.0系ではトポロジカル・ネーミング問題の軽減や新しい統合アセンブリWB（Ondselソルバー）が入り、実務性が大きく向上しました。Windows／macOS／Linux対応、Python APIとアドオンマネージャーで拡張も容易です。

5. 【中小製造／機械設計向け】CADソフト5選

中小製造の機械設計では、短いリードタイムと少人数でも回る運用を前提に、部品・アセンブリ設計／図面化に加えて、シミュレーションやCAMまで一気通貫で扱える“実務直結”の3D CADが求められます。本セクションでは、価格と機能のバランスが良く国内でも導入実績の多い5本――「SOLIDWORKS」（業界標準的なパラメトリック3D）、Autodesk Fusion（CAD/CAM/CAE/PCBのクラウド統合）、Autodesk 「Inventor」（機械設計スイートとデータ管理・シミュレーション）、PTC Creo（ジェネレーティブやリアルタイム解析を含む設計〜製造連携）、Siemens Solid Edge（Synchronous Technologyで編集柔軟＆マルチCAD運用に強み）――を取り上げます。これらは“設計の速さと変更耐性”“外部とのデータやり取り”という中小製造の必須要件を満たしやすいラインアップです。

1. 「SOLIDWORKS」

「SOLIDWORKS」は、Dassault Systèmesが提供するWindows対応のパラメトリック3D CADで、部品・アセンブリ・図面作成を中核に、シミュレーションやPDM、 CAMと組み合わせて製造・データ管理までをカバーし、3DEXPERIENCEとの連携でクラウド協調設計にも対応します。

2. 「NX」

Siemensの「NX」は、Siemens Digital Industries Softwareが提供するCAD／CAM／CAE統合の製品開発プラットフォームで、設計・シミュレーションからCNC加工／ロボット制御／3Dプリントなどの製造（AM含む）まで一気通貫で支援し、オンプレミスに加えてクラウド版の「NX」 でも利用できます。