診療予約システムの費用相場は？導入コストを抑える方法も解説

診療予約システムは、医療機関における業務効率化や患者対応の品質向上に役立つツールです。システムを利用してWebやアプリを通じて簡単に予約できるようになるため、患者の利便性向上にもつながります。

しかし、診療予約システムの導入には費用がかかります。特に、小規模のクリニックや診療所にとっては、システムの導入費用が大きな負担になるケースも少なくありません。

本記事では、診療予約システムの費用相場や内訳を解説します。導入費用を抑えるポイントや期待できる効果もまとめているので、院内業務のシステム化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

診療予約システムとは

診療予約システムとは、患者がWebやアプリなどを利用して診療予約できるツールです。

患者は、インターネット環境と端末さえあれば、時間や場所を問わずに診療予約できるメリットがあります。医療機関にとっても、電話や対面で予約を受け付ける必要がなくなり、院内業務の効率化につながるツールです。

近年はインターネットやスマートフォンの普及に伴い、医療機関においても診療予約システムを通じたWeb予約が主流になりつつあります。

オンプレミス型とクラウド型

診療予約システムは、大きく分けてオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。それぞれの主な違いは、以下の通りです。

種類	タイプ	初期費用
オンプレミス型	サーバーに専用のソフトウェアをインストールして利用するタイプ	高い
クラウド型	インターネットを経由してクラウド上でソフトウェアを利用するタイプ	安い

オンプレミス型とクラウド型の大きな違いは、IT機器やソフトウェアを自院で保有するかどうかです。どちらにもメリット・デメリットがあり、費用面における違いもあります。

診療予約システムの費用内訳

診療予約システムの導入時には、以下のような費用がかかります。

ライセンス費
インフラ整備費
初期設定・カスタマイズ費
導入サポート費

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

ライセンス費

診療予約システムの利用には、システムのライセンス費がかかります。

オンプレミス型の場合は、システムの導入時にまとめてライセンス費用を支払うケースがほとんどです。一方、クラウド型のシステムの場合、月額または年額のサブスクリプション料金が継続的に発生します。また、費用はライセンス数や利用する機能に応じて変動します。

インフラ整備費

診療予約システムの利用には、サーバーの構築やネットワーク機器の購入、運用保守などのインフラ整備費がかかります。

インフラ設備費は導入時に一括で必要になる費用です。オンプレミス型のシステムはインフラ整備費が高額になる一方で、クラウド型のシステムならインフラ設備費を抑えられるメリットがあります。

初期設定・カスタマイズ費

診療予約システムの導入時に、初期設定やカスタマイズが必要な場合は、追加費用が発生します。システムによっては、導入時に医療機関の運営形態に合わせてカスタマイズが必要になるケースも少なくありません。

特に、業務内容に特化したカスタマイズをする場合には、初期のコンサルティングや専門家による技術的なサポートに対して費用が発生します。

導入サポート費

診療予約システムの導入時には、初期費用として導入サポート費がかかる場合があります。導入サポート費とは、システムを操作するスタッフに対するトレーニングや、スムーズに運用するためのセッティングなどにかかるコストです。

導入サポート費はオプション料金として設定されている場合も多いため、必要に応じて予算に組み込んでおく必要があります。

診療予約システムの費用相場

診療予約システムの費用は種類や開発方法によって相場に幅があるため、自院のニーズを明確にしたうえで導入を検討することが大切です。診療予約システムの導入にかかる費用相場の目安は、以下の通りです。

種類・開発方法	導入費用の相場
オンプレミス型	10万円〜数百万円
クラウド型	5,000円〜10万円程度
システム開発	100万円〜1,000万円以上
自社開発	100万円〜1,000万円以上

社内・院内に専門的な知識を有するエンジニアがいれば、システムを自社開発する方法もあります。また、大規模な診療予約システムの導入にあたって社内・院内にリソースがない場合は、外部の開発会社に依頼することも可能です。

しかし、システムの開発には時間とコストがかかります。多くの医療機関にとっては、オンプレミス型やクラウド型の汎用性が高いサービスのほうが導入のハードルが低いでしょう。なお、クラウド型のシステムの場合、製品によって追加で数万円〜50万円の初期費用がかかる場合があります。

診療予約システムの費用が上下する主な要因

前述の通り、診療予約システムの導入にかかる費用には幅があります。なぜ診療予約システムの費用が上下するのか、主な要因は以下の通りです。

ライセンス数
データ移行の必要性
導入サポートの有無
カスタマイズの有無
バックアップの必要性

ライセンス数とは、診療予約システムにログインできる人数を意味します。一般的には、ライセンス数が増えるほど、導入・運用コストが高額になります。

ほかにも、業者に紙の予約台帳からシステムへデータを移行してもらう場合や、専門家による導入サポートを必要とする場合には、その分費用がかかります。診療予約システムの導入を検討する際は、自院が必要としている機能やサービスを明確にしておくことが大切です。

診療予約システムの導入費用を抑える6つの方法

ここでは、診療予約システムの導入費用を抑える方法を解説します。

導入費用をできるだけ抑えつつ、システムの導入効果を最大限に高めるために、ぜひ参考にしてください。

1.予算を明確にする

診療予約システムの導入費用を抑えるためには、あらかじめ予算を決めておくことが大切です。システムの導入費用には幅があるため、予算が明確になっていないと、必要以上のサービスを求めて費用が高額になりがちです。

事前に予算を明確にしておくことで、必要な機能に焦点を当ててシステムを選べるようになり、無駄なコストを抑えられます。また、初期費用や利用料金のほか、運用サポートやシステムの保守、アップデートなどにかかる費用も含めて見積もっておくと、予算オーバーを防げるでしょう。

2.複数の業者に見積もりを依頼する

診療予約システムの導入費用を抑えるためには、複数の業者に見積もりを依頼することがポイントです。

近年は、予約受付に特化したシステムから院内業務の効率化に役立つ製品まで、多くの企業がさまざまなサービスを提供しています。特に、クラウド型のシステムは同じような機能を搭載した製品が多く、初期費用や利用料金が製品選びの決め手になるケースも少なくありません。

なお、システム選定においては、必要な機能が搭載されているかを確認し、費用だけで判断しないよう注意しましょう。

3.クラウド型サービスを利用する

クラウド型の診療予約システムは、オンプレミス型に比べて、初期費用や運用コストを抑えられます。クラウド型の特徴として、サーバー維持費やインフラ管理費などをかけずに運用できるためです。

また、クラウド型のシステムは、ベンダーが定期的にバージョンアップやセキュリティ対策を行うため、長期的かつ安定した運用を実現しやすいメリットもあります。システムの維持・管理にかかる手間が減り、コストの削減につながります。

4.無料トライアルを利用する

診療予約システムの導入費用を抑えるためには、無料トライアルを利用することも方法の一つです。無料トライアル期間に機能や操作性を確認しておくと、自院に合ったシステムを選びやすくなり、コストの最適化につながります。

また、無料トライアル期間を通して製品に満足できない場合、別のシステムに切り替えやすいメリットもあります。システム導入における無駄な支出を避けるためにも、事前に試用しておくと安心です。

5.必要な機能を段階的に実装する

診療予約システムの導入費用を抑える方法として、必要な機能を段階的に実装することも可能です。システムの導入時は基本機能のみを搭載して費用を抑え、さらなるデジタル化や事業の拡大など、必要なタイミングで機能を拡張します。

段階的なシステムの導入は、初期投資を抑えられるほか、院内スタッフの負担を減らして運用を開始できるメリットもあります。段階的にシステムを拡張していくことで、長期的に運用コストを最適化できるでしょう。

6.補助金を活用する

補助金を活用して診療予約システムを導入すると、初期費用や運用コストを抑えられます。

IT導入補助金は、診療予約システムの導入にあたって活用できる補助金の一つです。IT導入補助金とは、中小企業等を対象とした制度で、業務効率化やDX化に向けたITツールの導入を支援するためのものです。

常時使用する従業員の数が300人以下であれば、IT導入補助金を活用して、ソフトウェアの購入費用やクラウド利用料、導入関連費などの自己負担額を減らせます。なお、IT導入補助金の事務局に登録されていないツールは補助の対象とならない点に注意してください。

参照：『IT導⼊補助⾦2025』の概要｜経済産業省

診療予約システムの導入効果

診療予約システムの導入によって、以下のような効果が期待できます。

予約受付・診療業務の効率化
患者の利便性向上
診療スケジュールの可視化
院内の混雑緩和
新規・再来院患者の獲得

医療現場において、患者一人ひとりの診療にかかる時間は予測がつかないものです。そのため、患者の待ち時間の長さや院内の混雑といった課題を抱えている医療機関は少なくありません。

診療予約システムの導入は、予約受付や診療業務の効率化に役立ちます。システムの導入によって、予約数が平準化されると、医療機関はより効率的に診療を進めやすくなります。また、予約から診療までがスムーズになり、患者の利便性が向上すると、新規・再来院患者の獲得にもつながるでしょう。

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