モチベーション管理システムとは？導入メリット・おすすめツールを比較

「モチベーション管理システムを用いて従業員のやる気を上げたい」「離職が相次いで生産性が落ち、業績への影響が出ているためどうにかしたい」などと悩む方は多いでしょう。

モチベーション管理システムは従業員の悩みや課題を可視化し、適切なアプローチを行えるツールです。モチベーション管理システムを通じて従業員の個別データを回収し、職場環境の改善や従業員の強みを活かした人材配置に役立てられます。

本記事では、モチベーション管理システムの概要や導入のメリット・デメリット、システムの選び方などを詳しく解説します。モチベーション管理システムの導入事例やおすすめのシステムも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

モチベーション管理システム・アプリとは

モチベーション管理システムとは、従業員の心情を理解し職場環境の改善に役立つツールです。ここでは、モチベーション管理システムの概要や重視される理由を解説します。

モチベーション管理システムの概要

モチベーション管理システム・アプリとは、サーベイを通じて従業員の心理状態を可視化し、モチベーションの高さを計るシステムです。

システムによって以下のような機能があります。

• ハラスメント調査や無記名調査など豊富なテンプレートを備えている
• 従業員の得意分野やスキルがリスト化され、強みを活かした人材活用ができる
• 従業員が自分の気持ちをタップするだけでモチベーションが可視化される
• 業務日報から従業員のコンディションを把握できる
• eラーニング機能により従業員のスキルレベルを可視化できる
• 1on1実施の支援ができる

モチベーション管理システムのデータから、悩みや不満を抱え込んでいないかどうか、仕事への意欲があるかどうかなどを把握し、従業員の満足度向上に役立てられます。

モチベーション管理システムが重視される理由

従業員のモチベーション管理ツールが重視されている背景には、従業員の早期離職や生産性の低下などが挙げられます。少子高齢化による人手不足で新しい人材確保が難しい一方、早期退職する従業員が増えると在籍している従業員への負担が増大します。

一人ひとりの負担が増えると、さらなるモチベーションの低下や心身の疲弊につながりかねません。

モチベーションは社員の個人的な心情に基づくものであり、本音を発信することが難しい側面もあります。悩みや不満、仕事への意欲の有無といった心理状態の把握だけでなく、習熟度や理解度に応じたスキルアップの機会を充実させ、従業員の働く意欲を維持することが急務と言えます。

従業員の本音を聞き、働く環境を改善するためにも、データに基づいたアプローチが必要です。

モチベーション管理システムの導入事例

モチベーション管理システムの導入を通じた改善事例を以下で紹介します。

モチベーション管理システム導入のメリット

モチベーション管理システムを導入すれば、職場の意思疎通がスムーズになるほか、早期退職や生産性の低下を回避できるなどのメリットがあります。

ここでは、モチベーション管理システムを活用する具体的なメリットを解説するので参考にしてください。

職場のコミュニケーションがスムーズになる

モチベーション管理ツールを活用し、従業員間のコミュニケーションの機会を増やせるメリットがあります。

従業員のなかには「コミュニケーションを取りたいが何を話せばよいかわからない」と悩む方もいるでしょう。モチベーション管理システムでは、システムを利用する従業員との共通の話題を発見できます。また、システムへの投稿にリアクションが可能でリアルタイムな交流ができ、コミュニケーションの機会を増やせるのも特徴です。

コミュニケーションがスムーズになれば周囲との意思疎通が取りやすくなり、仕事の情報共有も円滑に行えます。

適切な人材配置に役立つ？

モチベーション管理システムのアンケート調査や研修で得たスキルなどから、従業員の得意な分野や身につけた知識をもとに適切な人材配置ができます。

従業員によっては、自分にあわない配属先や業務内容で心身が疲弊している方もいるでしょう。従業員の適性に合わせた配属ができれば、仕事へのモチベーションや取り組む姿勢の向上につながります。

また、ストレスチェックや匿名で意見を提出できる機能があれば、従業員は本音でなかなか言えない内容を伝えられます。本音をもとに職場改善や人事異動に役立てられるでしょう。

早期離職や生産性低下などの防止につながる

モチベーション管理システムを活用すれば、早期退職の要因解消や仕事の生産性を向上させることが可能です。

モチベーション管理システムによりコミュニケーションの機会が増えたり、自分の意見を率直に言えたりするようになると、一定の不満解消に役立ちます。

人間関係がスムーズになり不満要素が低減されれば、社内の雰囲気の向上にも寄与するでしょう。社内に活気が溢れることで、早期離職のリスク低下にもつながります。

また、自分のスキルが社内で役立っているといった自信を持てるほか、スキルアップができることでモチベーションが向上し、成果や生産性にもよい影響を与えるでしょう。

モチベーション管理システム導入のデメリット

モチベーション管理システムの導入には、従業員の理解を得られずシステムを活用しきれないケースや、コスト面のデメリットが考えられます。

ここでは、モチベーション管理システムを導入する際に想定できるデメリットを解説するので参考にしてください。

従業員の理解が得られない場合がある

モチベーション管理システムを導入するデメリットとして、従業員の理解を得にくい点が挙げられます。モチベーション管理システムは個人の心情やコンディションを把握するため、従業員のなかにはシステムの導入に拒否感を抱く方もいると想定できます。

モチベーション管理システムの運用に否定的な従業員が多い場合、導入しても活用されず意味をなさない可能性があるでしょう。また、従業員の理解がないままシステム導入を行うと、さらなるモチベーションの低下や組織への不信感を招きかねないため注意が必要です。

説明の場を設けたり運用上のQ&Aをまとめたりして、従業員の疑問や不安を解消するようにしましょう。

成果が出るまでに時間がかかる

モチベーション管理システムを導入しても、すぐに成果が出るわけではない点もデメリットです。モチベーション管理システムを導入後、データを活用しPDCAを回しつつ、従業員の成長を見守る時間が必要です。

リアルタイムなコミュニケーションが取れる機能も、いきなり活用できる従業員もいれば、様子を見て少しずつ慣れる従業員もいます。また、1on1やストレスチェックの結果をもとにアプローチする場合、従業員の心情や言動が変わるまで時間がかかるケースもあるでしょう。

そのため、モチベーション管理システムの導入後は成果を焦らないことが重要です。

コストがかかる

モチベーション管理システムは初期費用やランニングコスト、追加費用などのコストがかかります。モチベーション管理システムの機能や使用する従業員数によって費用が変わるケースもあるため、事前確認が重要です。

また、モチベーション管理システムを運用する体制や環境を整えられるかどうかもチェックしてください。特に、モチベーション管理システムを用いてデータ分析やフィードバックを行う人事担当のリソースがない場合、運用自体が難しくなりかねません。

高額なシステムを導入したものの、人事担当のリソース不足や従業員の理解を得られず頓挫すると、費用が無駄になってしまいます。

長期的な運用を前提に、導入の可否や利用するシステムを選ぶことが大切です。

モチベーション管理システム導入時のポイント

モチベーション管理システムを導入する際は、目的を明確化したうえで従業員への理解を仰いだり、管理職のフォローを行ったりすることが重要です。ここでは、モチベーション管理システム導入を成功させるポイントについて解説するので参考にしてください。

モチベーション管理システム導入の目的を明確化する

モチベーション管理システムを導入する際は、何を解決したいのか明確にしたうえで検討することが大切です。モチベーション管理システム導入の目的は、主に以下の分類に分けられます。

• モチベーションが低下する原因を解明したい
• モチベーションを向上させるためのアクションやフォローをしたい
• モチベーションを維持できるよう社内の環境を整備したい

モチベーション管理システムによって付帯機能が異なるため、まずは目的を明確化することが重要です。

従業員への説明を念入りに行い同意を得る

モチベーション管理システム導入前に、従業員に方針や内容を明示し同意を得ることも大切です。

モチベーションを保つための施策であれど、一方的にやらされていると感じるとモチベーションが下がりかねません。従業員のメリットも提示し、ともに成長する姿勢を伝えましょう。

モチベーション管理を行う従業員のメリット例としては以下の点が挙げられます。

• 自分の得意な部分を視覚化し活かせる可能性がある
• 仕事に楽しみを見出せる
• 気軽なコミュニケーションで社内の雰囲気がよくなる
• 職場環境や勤務制度が改善される

事業の透明化は従業員が抱く不信感の払拭にもつながるため、モチベーション管理システムの導入目的や会社の方針も同時に伝えましょう。

モチベーション管理における研修を実施する

モチベーション管理システムのみに依存せず、管理職が部下のモチベーション向上に対して適切に対応することも欠かせません。

上司が部下に対して「生産性を上げて」「やる気を出して」と一方的に言い続けても、効果を発揮しにくい場合があります。

従業員が能動的に業務改善を行うためにも、上司によるフォローのうえ自分の課題と向き合うことが重要です。

また、モチベーション管理システムを導入しても、上司によって育成方法が異なれば、データの活用に差が出るといったムラの発生が懸念されます。

上司にハラスメントやコーチング研修などを実施すれば、部下に対するコミュニケーション方法や育成方法を共通認識として捉えてもらえるでしょう。

管理職へのフォローを行う

モチベーション管理システムを導入する際は、管理職へのフォローも必要です。管理職によっては多忙を極め、部下に寄り添う余裕や時間がない方もいます。

上司が部下の目標を管理しフォローする方法として「1on1ミーティング」がありますが、管理職に余裕がなければ効果を最大化することは難しいでしょう。

1on1に用いる機能が含まれたモチベーション管理システムを用いれば、1on1を平準化したり、テンプレートの活用により準備の効率化を図れたりなど、管理職にもメリットがあります。

管理職へのフォローを行い人事施策への理解を促しつつ、部下のモチベーション向上に向けての取り組みを強化することが重要です。

PDCAを回す

モチベーション管理システムを導入し、従業員の心理状況やスキルが可視化されても、データを活用しなければ成果を得にくいでしょう。

モチベーション管理システムを導入後は、離職率低下やスキル向上などの目標設定に対して従業員へのアプローチと改善といったPDCAを回すことが不可欠です。

また、モチベーション管理システム自体の運用も検証しながら進める必要があります。

たとえば「システムを用いて従業員同士の情報伝達がスムーズになった」といった改善が見られたとします。その場合、結果をもとに「既存システムのコミュニケーション機能をさらに充実させる」「コミュニケーション機能により特化したシステムを導入する」など、次のアクションを検討するのがおすすめです。

モチベーション管理システムの選び方

モチベーション管理システムは自社の課題やフェーズに合っているかどうか、操作性はスムーズかなどの項目をチェックして選択しましょう。ここでは、モチベーション管理システムを選ぶ際のポイントを解説します。

自社の課題解決に適切な機能が備わっているか

自社の人材育成や管理に対する目的・課題の解決に必要な機能を備えたモチベーション管理システムを選ぶことが重要です。

目的や課題にアプローチできるシステムでない場合、効果を得られないどころか、手間や時間ばかりがかかり従業員から不満が出てしまう恐れがあります。

また、モチベーション管理システムの機能は多種多様であり、すべての機能が必要かどうかも含めて検討すべきです。

自社のフェーズに合っているか

そもそもモチベーション管理が必要なフェーズか、効果を発揮できる時期かどうかを見極めることも重要です。早期離職や生産性・モチベーションの低下について「理由はこれから探す」「理由がほぼ判明している」など、課題の状況に応じてシステムを選びましょう。

たとえば、職場環境は整備したものの、従業員のコミュニケーション不足により成績が止まっていると判明している場合、サンクスカードやコメント機能を活用するフェーズと言えます。

また、業種や職種によっては従業員の配置やシフトにより上司と顔を合わす機会が少なく「1on1が実施できない」といった課題もあるでしょう。その場合も、負担のより少ないシステムを導入するのがおすすめです。

予算オーバーしないか

モチベーション管理システムの導入・運用費用が、自社の予算に対して大幅にオーバーしないかどうかも注目すべきポイントです。

便利な機能があるからといって多機能なシステムを導入したものの、不要な機能やオーバースペックの場合はコストが無駄になりかねません。たとえば、従業員全員が同じ場所で仕事をし、ツールを頼らなくてもやりとりが活発であれば、コミュニケーションに関する機能を使用しない可能性が高いでしょう。

人材管理への投資は必要ですが、予算オーバーしないよう事前に自社の課題や目的を見極めたり、フェーズや企業規模に合わせて必要な機能を選んだりすることが重要です。

サポート体制は充実しているか

モチベーション管理システム提供元のサポートが充実しているかどうかもチェックしましょう。システムの導入サポートやレクチャーの有無、不具合時の対応などを把握したうえでの検討がおすすめです。

システム提供元によって、ユーザーへのサポート体制や方法が異なる点も押さえておきましょう。ユーザー対応が「メールのみ」「平日のみ」などの場合、業種や職種によっては不都合な場合があります。

また、質問事項を人事担当や上司が取りまとめると煩雑になるため、従業員から直接問い合わせてサポートを受けられるかどうかも確認すべきポイントです。自社の事業や職種の形態に合ったサポート体制でない場合、システム運用がスムーズにいかない恐れがあるため注意してください。

操作性はスムーズか

人事担当だけでなく、従業員が使用するモチベーション管理システムは操作性のスムーズさが重要です。モチベーション管理システムが複雑な場合、システム操作にかける時間が長くなり本業に支障をきたす恐れがあります。

簡単な操作性であれば従業員の負担が減り、アンケートの回収率やコミュニケーション機能の利用率も上がりやすいでしょう。操作性に優れたシステムなら人事担当がデータを活用する際もスムーズに行え、PDCAを回しやすくなります。

長くシステムを活用し従業員のエンゲージメントやモチベーションを向上させるためにも、余分なストレスが発生しないよう配慮が必要です。

ほかの人事システムと連携できるか

労務管理や給与計算システムなど、ほかの人事システムとモチベーション管理システムが連携できるかどうかも検討ポイントです。

データを一元管理できれば複数のシステムを操作する必要がなく、人事担当の手間を低減できます。さらに、システム間の転記ミスが起きにくく、担当者の異動による引き継ぎをスムーズに行えるメリットもあります。

同じ提供元が開発するシステムであれば、システム連携しやすいケースもあるため、モチベーション管理システムの導入とともに検討するのもおすすめです。

おすすめのモチベーション管理システム

ここからは、おすすめのモチベーション管理システムをご紹介します。従業員のモチベーションを維持・管理できる機能をそれぞれ解説します。

TANREN

ek-Bridge

soeasy buddy

HR Brain

タレントパレット

カオナビ

One人事タレントマネジメント

ジンジャー人事労務

Qraft

まとめ

本記事では、モチベーション管理ツールの概要やメリット・デメリット、ツール導入のポイントなどを解説しました。

モチベーション管理システムは従業員の心理状態を可視化し、職場環境の改善に役立つツールです。システムを通じて、職場のコミュニケーション改善や適切な人材配置、早期離職の防止などが達成できます。

ただし、システムの効果を最大化するためにはデメリットを把握することも重要です。システム選択の際は、自社の課題解決に適した機能やサポート体制の有無、他システムとの連携ができるかどうかなどを検討し、運用中のストレスができる限り少なくなるよう配慮します。

データに基づいたアプローチで従業員のモチベーションや満足度向上を目指し、離職防止や企業成長につなげましょう。

おすすめeラーニングシステム42選！目的や特徴別に製品を徹底比較