ファジングとは?検査方法やメリットについて詳しく解説!
最終更新日:2024/08/09
<a href = "https://digi-mado.jp/article/73405/" class = "digimado-widget" data-id = "73405" data-post-type = "post" data-home-url = "https://digi-mado.jp" target = "_blank"></a>
<script src = "https://digi-mado.jp/wp-content/themes/digi-mado/js/iframe-widget.js"></script>
『デジタル化の窓口』は、この国のデジタル課題「2025年の崖」に備えるため2022年にサービスをスタートしました。1,500以上のIT製品、4,000以上の導入事例を掲載し、特長・選び方を分かりやすく整理して解説することで、自社に最適な製品・サービスを見つけるお手伝いをする紹介サービスです。
目次
ファジングとは、ソフトウェア開発の途中段階における脆弱性やバグを特定するためのテスト手法です。
このプロセスでは、異常なデータやランダムなデータを意図的にソフトウェアに送り込むことで、潜在的な問題点を明らかにします。一般的に検査を効率化するために、自動化ツールが利用されます。
市場には無料または有料のさまざまなファジングツールが存在し、それぞれが異なる特徴や対象分野に特化しているため、適切なツールの選択は開発者にとって重要な課題の一つです。
この記事では、ファジングについての説明から始め、異なる種類のテスト手法の違い、そしてファジングツールの選択方法について、より深く掘り下げて解説します。
特に、ファジングツールの選定に際して考慮すべき点や、それらのツールをどのように比較評価するかについてのガイダンスを説明し、開発者が自身のプロジェクトに最適なツールを選ぶ参考になるでしょう。
ファジングとは
ファジングは、不正なデータや通常では考えられない入力をシステムに提供し、これらが原因で例外やエラーが発生するかどうかを調べるテスト手法の一つです。ソフトウェアや製品が潜在的な攻撃や予期せぬ使用状況にどれだけ耐えられるかを評価できます。
例えば、異常に長い文字列や特殊文字を含むデータを大量に送信して、ソフトウェアの反応を観察します。この方法により、開発中の製品が不正なデータにどう対応するかを試せるので、サイバーセキュリティの強化に役立つでしょう。
ファジングツール、一般に「ファザー」と呼ばれるこれらの自動化ツールは、大量の「ファズ」データを生成しソフトウェアに送信して反応をテストするものです。その過程で発見されたバグや脆弱性は、製品の品質向上やセキュリティ強化のために修正されます。
ファジングは「ブラックボックステスト」の一形態として位置づけられます。これは、テスト対象の内部構造や動作原理を事前に知らずに、外部からの入力だけでシステムを評価する手法です。
対照的に「ホワイトボックステスト」では、システムの内部コードや構造に基づいてテストが行われ、「グレーボックステスト」は二つのアプローチの中間に位置づけられ、一部の内部情報を基にテストを行います。
ペネトレーションテストとの違い
また、ファジングとよく比較されるペネトレーションテスト(侵入テスト)もありますが、これは主に既に実装されているネットワークやシステムに対して、外部からの攻撃を模倣してセキュリティの脆弱性を探るテストです。
ペネトレーションテストは攻撃者の視点からシステムの弱点を見つけ出すことに焦点を当てているのに対し、ファジングはソフトウェア自体の内部エラーと脆弱性を発見することを目的としています。
このように、ペネトレーションテストとファジングは両者ともセキュアなシステム・ソフトウェアを構築するために欠かせない手法といえるでしょう。状況に応じて使い分けたり、組み合わせたりしながら、多層的にセキュリティ検証を行うことが重要です。
ファジングによる検査方法
ファジングの具体的な検査方法を紹介します。
- ブラックボックステスト
- ホワイトボックステスト
- グレーボックステスト
ブラックボックステスト
ファジングのテスト手法は主に「ブラックボックステスト」として分類され、テスト対象の内部構造や動作原理を事前に知らない状態で、予期しない入力(ファズ)をして例外やエラーを意図的に引き起こします。
これは、ソフトウェアの開発段階や出荷前に行われるテストであり、多種多様な入力パターンを試すことで、潜在的なバグや脆弱性を発見可能です。
大量のファズを用いる総当たり的なアプローチは「ブルートフォーステスト」とも呼ばれ、複雑なテストを自動化するために専用のツールやソフトウェアが使用されます。手作業での入力に比べて、時間と労力を大幅に節約できるため、ファジングは広く採用されています。
しかし、ファジングはブラックボックステストに分類されるため、テスト対象の内部機構やロジックに基づく分析が行えません。
ホワイトボックステスト
「ホワイトボックステスト」は、ソフトウェアの内部コードや構造に深く踏み込んで検証を行い、より網羅的に脆弱性やバグを発見する手法です。ホワイトボックステストでは、ソフトウェアを詳細に検証することが可能ですが、その分、テストの準備と実行にかかる時間が長くなる傾向があります。また、ホワイトボックステストを実施するには、テスト担当者がソフトウェアの内部構造について十分な知識を持っている必要があるでしょう。
グレーボックステスト
「グレーボックステスト」は、ホワイトボックステストとブラックボックステストの中間に位置づけられるテスト手法で、テスト対象の一部の内部情報を前提としながらも、外部からのテストを主な方法とします。
この手法は、内部構造の一部を理解することで、より効率的に目的の結果を得るためのテストを計画し実行できるという利点があります。
ファジングには確かにメリットが多いですが、テストの視点が主に外部からの入力に限られるため、全ての種類のバグや脆弱性を発見できるわけではありません。つまりファジングを他のテスト手法と組み合わせることで、ソフトウェアやシステムのセキュリティと品質をより網羅的に保証することが重要です。
それぞれのテスト手法が持つ独自の視点とアプローチによって、より包括的なテストカバレッジを実現できます。
ファジングを行うメリット
ファジングは、ソフトウェアや製品のセキュリティ強度を試験する効果的な手法であり、特に通信機能を持つサーバやブラウザ、画像送信技術などを用いる製品の品質保証に重要な役割を果たします。
このテスト手法の主な利点は、潜在的なセキュリティリスクを素早く効率的に識別できる点です。ファジングによって発見された脆弱性を修正することで、製品が外部の脅威に対して堅牢であることを保証できます。
- 潜在的なバグや脆弱性を発見できる
- 知識がなくても導入できる
- 作業が簡単で労力が削減できる
- 自動で試験できる
潜在的なバグや脆弱性を発見できる
サイバー攻撃は、不正なデータを用いて行われることが多いため、ファジングは製品がこれらの攻撃にどの程度耐えうるかを試す絶好の機会を与えてくれます。
特に未知の脆弱性を利用したゼロデイ攻撃に対して事前に備えることが可能になるため、大きなメリットといえるでしょう。ファジングを通じて、サイバー攻撃を効果的に回避する手段を開発し、適用することが期待されています。
ペネトレーションテストが既知の攻撃手法を用いてシステムの防御力を評価するのに対し、ファジングは未知の脅威にも対応可能な点が大きな強みです。ファジングとペネトレーションテストを組み合わせることで、既知の脅威と未知の脅威の両方に備えた、多層的なセキュリティテストが実現できます。
知識がなくても導入できる
ファジングを行う際には、対象となるソフトウェアやシステムの詳細な知識が不要な場合が多いですが、ファジング自体の基本的な理解は必須です。
テストの計画から実施、結果の解析に至るまで、適切なアプローチを採用し、効果的なセキュリティ対策を講じることが可能になります。
ファジングに関する深い理解は、より複雑なシナリオでのテストの設計や発見された脆弱性の適切な評価と対処に不可欠であるため、基本的な知識を超えた学習と経験が必要です。
作業が簡単で労力が削減できる
ファジングを始めるには、まずファザー(ファジングツール)の基本的な操作方法を学ぶ必要がありますが、多くのファザーはユーザーフレンドリーに設計されており、専門的な技術スキルがなくても簡単に使いこなすことができます。
また、ファジングと同様に、脆弱性スキャンテストも自動化ツールを用いて行われることが一般的です。両者に共通しているのは、ツールの操作さえ習得すれば、専門的な知識がなくても効率的にテストを実施できる点です。これにより、セキュリティテストの敷居が下がり、より多くの人がテストに参加できるようになります。
ただし、ファジングで発見された脆弱性の分析と修正には、一定の専門知識が必要になります。この部分は、開発チームとセキュリティ専門家の協力が欠かせません。とはいえ、ファジング自体の実施はシンプルで取り組みやすいプロセスだといえるでしょう。
自動で試験できる
ファジングツールを活用することで、ファジングの一連の流れを自動化し、効率的にテストを実施できます。ツールは、ファズデータの生成から始まり、それを対象のソフトウェアに送信し、その動作を監視するまでのプロセスを自動で行ってくれます。
自動化は手動でテストを行う場合に比べて大幅な時間と人件費の節約を実現し、業務の効率化に良い影響を与えるでしょう。
また、自動化の大きな利点の一つは、人間では予測しにくいさまざまなパターンのテストを実行できる点です。ソフトウェアを多角的に検証でき、潜在的な脆弱性を見逃すリスクを減らせます。
ファジングを行う上での課題
ファジングはメリットだけではなく、課題も存在しています。課題を把握することで、解決策を考えながらファジングの活用ができるでしょう。
いくつかのデメリットや課題について見ていきます。
- パターンに当てはまらないバグは見つけることができない
- どのファザーをどのソフトウェア・製品に使うかを検討する必要がある
- 詳細な原因分析には専門知識がいるので人材確保が必要となる
- ファジングツールの購入にコストがかかる
パターンに当てはまらないバグは見つけることができない
ファジングは未知の攻撃に対する強力な防御手段として認識されていますが、その効果は使用するファジングツール(ファザー)が生成するテストパターンに大きく依存します。
ファザーが生成できる特定のパターンに基づいてのみ、バグや脆弱性を検出することができるため、全ての問題を発見できるわけではありません。
制限のため、ファジングだけでソフトウェアが完全にバグフリーであると証明することは不可能です。発見されたバグの修正には、さらなるコーディング作業が必要になります。
どのファザーをどのソフトウェア・製品に使うかを検討する必要がある
ファジングの効果を最大限に引き出すためには、適切なファザーの選択が重要な鍵を握ります。ファザーは、その性能と特性によって、発見できるバグや脆弱性の種類が大きく左右されるためです。
そのため、ファジングを導入する際は、社内のセキュリティ専門家やファジングの経験者に相談することが推奨されます。過去のファジングプロジェクトの経験から、どのようなファザーが特定のソフトウェアに有効であるかの知見を持っているはずです。
また、外部のセキュリティコンサルタントやファジングサービスを提供する企業に助言を求めることも有効な選択肢の一つです。これらの専門家は、さまざまな業界や技術分野でのファジング経験を持っており、ベストプラクティスやツールの選定について的確なアドバイスを提供してくれるでしょう。
適切なファザーを選ぶことは、ファジングの成功に直結する重要なプロセスです。組織内外の専門知識を活用しながら、対象のソフトウェアやシステムに最適なファザーを見極めることが、効果的なファジングテストを実現するための第一歩となります。
詳細な原因分析には専門知識がいるので人材確保が必要となる
ファジングの実施には、単にツールを導入するだけでなく、それを効果的に活用できる人材の存在が不可欠です。ファジングツールの多くは、比較的シンプルな構造をしているため、初心者でも基本的な操作方法は習得しやすいといえます。しかし、ツールを単に起動するだけでは、ファジングの真価を発揮することはできません。
ファジングを成功させるためには、対象とするソフトウェアやシステムの構造を深く理解し、適切な入力データを生成できる能力が求められます。また、ファジングの結果として得られたクラッシュレポートやエラーメッセージを分析し、根本原因を特定できる洞察力も必要です。こうした知識とスキルは、一朝一夕に身につくものではありません。
そのため、組織はファジングを担当する人材の育成に力を注ぐ必要があります。経験豊富なエンジニアによる OJT(On-the-Job Training)を通じて、ファジングのノウハウを伝授していくことが効果的でしょう。また、外部のトレーニングプログラムを活用したり、ファジングコミュニティへの参加を奨励したりすることで、スキルアップを図ることも重要です。
ファジングチームのメンバーは、セキュリティ意識の高さとともに、創造性や粘り強さを兼ね備えていることが理想的です。ファジングは、繰り返しの作業が多く、地道な努力が求められる分野だからです。チームのモチベーションを維持しながら、継続的にファジングを実施できる体制を整えることが肝要といえるでしょう。
ファジングツールの購入にコストがかかる
ファジングを実施するには、専用のツールを導入する必要がありますが、その際のコストが懸念点の一つとなります。高機能なファジングツールの中には、ライセンス費用が高額なものもあり、予算に限りのある組織にとっては導入のハードルが高くなりがちです。
しかし、無料で利用できるオープンソースのファジングツールも増えてきており、コストを抑えながらファジングを始めることが可能になっています。代表的なものとしては、American Fuzzy Lop(AFL)などが挙げられます。これらのツールは、基本的な機能を無料で提供しており、中小規模の組織でも導入しやすいという利点があります。
ただし、無料ツールには一般的に、有料ツールと比べていくつかの制限があることに留意が必要です。例えば、無料版では一部の高度な機能が使えなかったり、ユーザーインターフェースが洗練されていなかったりすることがあります。また、商用ツールほど手厚いサポートが受けられない場合もあるでしょう。
したがって、ファジングツールを選ぶ際は、単に価格だけでなく、組織のニーズに合った機能を備えているか、使いやすさは十分か、トラブル時のサポート体制は整っているかなど、多角的に評価することが重要です。コストと機能のバランスを考えながら、最適なツールを見極める必要があります。
ファジングは、ソフトウェアやシステムの安全性を高めるための強力な手法ですが、その導入にあたっては、ツールの選択、人材の確保と育成、コストの管理など、さまざまな要素を総合的に判断することが求められます。組織の状況に合わせて適切な方法を選択し、計画的に進めていくことが、ファジングの効果を最大限に引き出すための鍵となるでしょう。
ファジングに使えるツール
ファジングツールは、大きく分けて無料で利用できるオープンソースソフトウェアと、有料の商用ソフトウェアの二種類が存在します。オープンソースのファジングツールには、多くのバリエーションがあります。
例えば、JPAのガイダンスに取り上げられているAFLやPeach、Boofuzzなどがあり、これらは手に入れやすく、扱いやすいという特徴があります。
オープンソースのツールは、多くの企業や開発者によって商用プロダクトのテストにも広く使用されています。
一方で、特定の用途、例えばIoT機器の監視などに特化した機能が必要な場合には、商用ツールを選択し、それらを自社のニーズに合わせて設定変更やカスタマイズを行って利用することも一般的です。
ファジングツールの選択方法
まず、ファジングを行いたい対象の機能に、ツールが対応しているかどうかを見極めましょう。ツールの機能が、検査対象の機能をカバーしているかを確認することが肝要です。
次に、ファジングを実行するPCのOS(オペレーティングシステム)との互換性も重要な要素です。ツールがそのOS上で問題なく動作するかどうかを事前にチェックしておきましょう。加えて、複雑な設定を必要とせずに使用できるツールを選ぶことで、作業工数を最小限に抑えることができます。
さらに、ファジングツールを選定する際は、以下の手順を踏むことをおすすめします。
- 検査対象の機能を洗い出し、ファジングを実施したい機能を特定する
- ファジングの対象となる機能に、どのような種類のテストデータを入力できるかを調べる
- 細工を施したテストデータを生成できるツールを探す
以上の点に留意しながら、ファジングツールを選択することで、効果的かつ効率的なファジングを実現できるでしょう。
自社のシステムに合わせたツールの選定が必要
ファジングは、異常なデータや意図的に不正な形式のデータをソフトウェアに送信し、その反応を観察することによって、潜在的な脆弱性やバグを発見するテスト方法です。
このアプローチは自動化することが可能であり、手作業によるテストに比べてコスト効率が高いという利点があります。組織や開発者は、自身のシステムやインフラストラクチャに最適なファジングテストの計画を立て、適切なツールを選択して実施することが推奨されます。
しかし、ファジングテストにはその性質上、特定の種類のバグを見逃す可能性があること、またテスト結果の検証や原因分析を自動で行うことが困難であるという限界も存在します。
したがって、ファジングテストだけに依存せず、他のテスト手法と組み合わせて総合的なセキュリティ対策を講じることが重要です。
ファジングによって検出できない問題を補完する方法についても、あらかじめ検討しておく必要があるでしょう。
<a href = "https://digi-mado.jp/article/73405/" class = "digimado-widget" data-id = "73405" data-post-type = "post" data-home-url = "https://digi-mado.jp" target = "_blank"></a>
<script src = "https://digi-mado.jp/wp-content/themes/digi-mado/js/iframe-widget.js"></script>
目次
おすすめ比較一覧から、
最適な製品をみつける
カテゴリーから、IT製品の比較検索ができます。
1794件の製品から、ソフトウェア・ビジネスツール・クラウドサービス・SaaSなどをご紹介します。