BtoBのリード獲得とは?組織で買う相手に合わせた設計と分業を解説
最終更新日:2026/08/03
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『デジタル化の窓口』は、この国のデジタル課題「2025年の崖」に備えるため2022年にサービスをスタートしました。1,500以上のIT製品、4,000以上の導入事例を掲載し、特長・選び方を分かりやすく整理して解説することで、自社に最適な製品・サービスを見つけるお手伝いをする紹介サービスです。
目次
BtoBのリード獲得は、手法そのものは個人向けと大きく変わりません。違うのは買い手の側です。決めるのが一人ではなく組織であり、検討には数か月がかかり、そもそも声をかけられる企業の数には上限があります。この構造を踏まえずに獲得件数だけを追うと、名簿は増えるのに商談が増えないという状態に行き着きます。
この記事では、BtoB特有の構造を整理したうえで、関与者ごとの情報の出し分け、リードの質の定義、獲得から商談化までの分業、チャネルの見極め方、データ基盤の整え方、そして各社が公表している取り組み事例までを順に解説します。
1. BtoBのリード獲得が構造的に難しい3つの理由
まず、なぜ同じ手法を使っても個人向けのようには進まないのかを分解します。原因は担当者の力量ではなく、買い手の構造にあります。
1-1. 決めるのが一人ではない
企業がツールやサービスを導入するとき、判断に関わるのは通常一人ではありません。使う現場の担当者、社内システムとの整合を見る情報システム部門、費用を承認する決裁者。それぞれが見ている論点は違います。
ここから導かれる実務上の帰結は明確です。最初に接点を持った担当者を説得できても、その先で止まるということです。資料請求をした担当者が社内で説明しきれずに話が消えるのは、担当者の熱意の問題ではなく、社内を通すための材料が渡っていないことが原因である場合が多くあります。
1-2. 検討期間が長い
予算の確保、他部門との調整、既存システムとの照合を挟むため、最初の接触から契約までに数か月から1年程度かかることは珍しくありません。この期間の長さは、リード獲得の評価方法に直接影響します。
今月獲得したリードの成否が今月中に判明しない以上、獲得月と受注月を同じ期間で対応させて評価すると、実態を見誤ります。獲得したリードがいつ受注に至ったかを追跡し、期間をずらして評価する仕組みが必要になります。
1-3. 声をかけられる企業の数に上限がある
個人向けであれば対象は膨大ですが、BtoBでは「特定の業種で、一定規模以上で、その課題を持つ企業」に絞られます。母集団が有限であることは、施策の設計を変えます。
対象が限られるなら、獲得件数を無理に増やすより、一度接点を持った相手を取りこぼさないほうが効率的です。今回は見送られた相手も、翌年に予算が付けば検討に戻ります。リードを使い捨てにせず、接点を維持する前提で仕組みを組むことが前提になります。
この制約は、施策の評価方法にも影響します。対象となる企業数に上限がある以上、獲得件数は無限には伸びません。ある時点から件数の伸びは鈍化し、その先で問われるのは同じ母集団の中で何件を商談に変えられたかになります。件数の増加が止まった時点を失速と見なして施策を入れ替えると、それまで積み上げた接点を捨てることになります。
声をかけられる企業の数に上限があるなら、こちらから当てにいく以外の経路も持っておく必要があります。検討を始めた企業のほうから見つけてもらう経路の一つが、比較・紹介メディアへの製品掲載です。
2. 関与者ごとに必要な情報を分ける

決める人が複数いるということは、渡すべき情報も複数あるということです。ここを一種類の資料で済ませているケースがよくあります。
2-1. 現場の担当者が知りたいこと
最初に接点を持つことが多いのが、実際に業務を回している担当者です。この層が知りたいのは、今の作業がどう変わるか、覚えることが増えるのか、移行の手間はどれくらいか、といった運用面の情報です。
製品の機能一覧より、導入後の一日の流れが分かる説明のほうが判断材料になります。
2-2. 情報システム部門が知りたいこと
社内にシステムを管理する部門があれば、必ずここを通ります。確認されるのは、既存システムとの連携方法、データの保管場所、アカウント管理の方式、障害時の対応といった点です。
この層への材料が用意されていないと、検討が止まる場所がここになります。仕様や連携方式をまとめた資料を、問い合わせを受けてから作るのではなく、あらかじめ渡せる形にしておくと通過が早くなります。
2-3. 決裁者が知りたいこと
費用を承認する立場が見るのは、投じた費用に対して何が返ってくるか、導入後に社内で運用が回るか、失敗したときにどう戻せるかです。機能の細部ではありません。
ここに効くのは、同規模・同業種の導入実績と、費用の内訳が分かる資料です。担当者が社内会議でそのまま使える形式にしておくと、説明の負担が減ります。
2-4. 資料は「社内で回覧される」前提で作る
BtoBで渡した資料は、渡した相手の手元で止まりません。社内で共有され、その場にいない人が読みます。したがって、口頭の補足がなくても意味が通る構成にしておく必要があります。
資料に入れておきたいのは次の3点です。
- 表紙に対象読者と要点を置く
- 前提条件を本文中に書く
- 専門用語には短い説明を添える
この3点があるだけで、社内で回ったときの伝わり方が変わります。逆に、商談の場での説明を前提にした資料を渡すと、その場にいなかった人には情報が欠けた状態で届きます。
2-5. 3種類の資料を先に揃える
ここまでを整理すると、用意すべき資料は3種類です。運用の流れが分かるもの、仕様と連携方式をまとめたもの、費用と導入実績を並べたもの。1つの資料に全部を詰め込むと、どの層にとっても読みづらいものになります。
問い合わせを受けてから作るのではなく、あらかじめ3種類を用意しておくことで、検討が止まる時間を短くできます。すべてを一度に揃えるのが難しい場合は、検討が止まりやすい情報システム部門向けから着手すると効果が出やすくなります。
3種類の資料を用意しても、読まれる場所がなければ届きません。関与者が比較検討の段階で訪れるメディアに製品情報を置くと、社内で回覧される起点になります。
3. BtoBにおける「リードの質」を定義する
「質の高いリードを獲得したい」という言葉は社内でよく使われますが、質の定義が文書になっていないことがほとんどです。定義がなければ改善もできません。
3-1. 企業属性で見る
業種、従業員規模、拠点数、既存システムの有無。自社の製品が機能する条件が決まっているなら、それに合致するかどうかが第一の基準になります。過去の受注企業を並べて共通点を洗い出すのが、最も確実な出発点です。
3-2. 役職と部門で見る
同じ企業からのリードでも、情報収集をしている担当者と、導入を決める権限を持つ層とでは、次に取るべき行動が違います。フォームに部門と役職の欄を置いておくと、この判別ができるようになります。
3-3. 行動で見る
企業属性と役職が条件を満たしていても、検討が始まっていなければ商談にはなりません。ここを補うのが行動の記録です。料金ページの閲覧、複数回の再訪問、事例資料の追加ダウンロードといった行動は、検討が進んでいる手がかりになります。
3-4. 定義を営業と合意する
質の定義をマーケティング側だけで決めると、渡された営業側が納得しません。逆も同じです。過去の受注案件と失注案件を並べ、どの条件が揃っていたかを両者で確認する場を一度設けるのが、遠回りに見えて確実な方法です。
その場で決めるのは3点です。どの条件を満たしたら営業に渡すか、渡した後どのくらいの期間で接触するか、条件に届かないリードは誰が持ち続けるか。
3-5. 質が下がったときに見る場所
獲得件数は増えているのに商談化率が落ちている場合、原因は3か所に絞られます。オファーの内容が対象外の層を引き寄せている、広告の配信先が広がりすぎている、フォームの入力項目が減って判別できなくなっている。件数の増減だけを見ていると、この3つを切り分けられません。
4. 獲得から商談化までの分業を決める

BtoBのリードは、獲得した時点では商談になりません。誰がどこまでを担当するかが決まっていないと、リードは名簿に溜まったまま古くなります。
4-1. 3つの役割
一般的な分け方は3つです。リードを獲得するマーケティング、獲得したリードに電話やメールで接触して商談化の可否を見極めるインサイドセールス(=訪問せずに内勤で商談機会をつくる営業組織)、そして商談以降を担当するフィールドセールス(=訪問や面談で提案・受注を担う営業)です。
この3つを分けることの利点は、それぞれが追う指標を分けられる点にあります。マーケティングは条件を満たすリードの件数、インサイドセールスは商談化した件数、フィールドセールスは受注。同じ人が全部を担当していると、目の前の商談が優先され、獲得と初期接触が後回しになります。
4-2. 引き渡し基準を文書にする
3章で合意した質の定義を、そのまま引き渡し基準にします。条件を満たしたリードは自動的に次の担当へ渡り、満たさないリードは育成の対象として残す。この振り分けが自動で動く状態にしておくと、判断の属人化が減ります。
4-3. 差し戻しの経路を用意する
渡したリードが商談にならなかったとき、その理由が獲得側に戻る経路がないと、同じ条件のリードが渡り続けます。理由を数種類の選択肢にして記録するだけでも、次の施策の判断材料になります。
この記録は、獲得チャネルごとの評価にも使えます。件数は多いが商談にならないチャネルと、件数は少ないが受注につながるチャネルを、費用と並べて比較できるようになります。
4-4. 少人数で回す場合
担当が一人か二人しかいない組織で3つの役割を分けるのは現実的ではありません。この場合は人ではなく時間で分けます。獲得と初期接触に充てる時間を週の中で固定し、商談対応で埋めない。役割の分業ができないなら、時間の分業に置き換えるという考え方です。
4-5. 引き渡しの速度を決める
資料請求や問い合わせをした担当者は、その時点で複数の候補を並べて調べています。連絡が数日後になると、その間に他社との会話が先に進みます。BtoBは検討期間こそ長いものの、最初の接触の速さは結果を左右します。
ここで決めるのは次の2点です。
- 営業時間内の問い合わせに、何時間以内で最初の連絡を入れるか
- 担当者が不在のとき、誰が代わりに対応するか
速度の基準を数値で決めておかないと、忙しい週だけ対応が遅れるという偏りが生まれます。夜間や休日に届いた問い合わせについても、翌営業日のいつまでに対応するかを決めておくと、対応漏れを防げます。
分業を決めても、入口のリードが増えなければ各役割の稼働は埋まりません。獲得チャネルを増やす選択肢として、製品掲載もご検討いただけます。
5. BtoBで機能する獲得チャネルの見極め方

チャネルの一覧を眺めるより、BtoBの買い方に合うかどうかで判断するほうが実務的です。ここでは主要な4つを、その観点で整理します。
5-1. 検索:業務の言葉で探される
BtoBの検索は、製品名ではなく業務課題の言葉から始まります。担当者が上司に説明する材料を探している段階で接点を持てるため、早い段階から関係を作れる点が利点です。
ただし記事の公開から流入が安定するまでには時間がかかります。短期の目標だけを見ている時期に始めると、成果が出る前に打ち切られやすいチャネルでもあります。
5-2. 展示会:関与者が同時に来る
展示会の特徴は、担当者と決裁者が一緒に来場することがある点です。1章で述べた「決めるのが一人ではない」という制約を、その場で越えられる機会になります。
一方で費用と人員の拘束は大きく、名刺の枚数だけを成果にすると割に合いません。会期中の会話内容を名刺と一緒に記録し、翌週までに次の接点を届ける運用まで含めて設計する必要があります。
5-3. ウェビナー:社内で共有されやすい
ウェビナー(=オンラインで開催するセミナー)は、申し込み時点で連絡先が取得でき、録画を残せば後から社内で共有されます。BtoBでは、参加した担当者が録画を上司に転送するという使われ方が起こります。
参加者と、申し込んだが欠席した人とでは次に送る内容が違います。この出し分けを設計しておくと、1回の開催から得られる商談の数が変わります。
5-4. 業界メディアへの掲載:比較段階で見つかる
自社サイトの外側に接点を作る手段です。製品を比較検討している段階の担当者に対して、まだ自社を知らない状態から接触できます。検索流入が立ち上がるまでの期間を補う手段としても機能します。
選ぶ際は、掲載後に問い合わせがどの経路で届くのか、その条件を事前に確認しておくことが要点になります。掲載先の読者層が自社の対象企業と重なっているかも、あわせて確認しておく必要があります。
5-5. チャネルを増やす順番
4つのチャネルを同時に始めると、どれも中途半端になります。特にBtoBでは検討期間が長いため、成果が出るまでに時間がかかり、判断材料が揃う前に手を広げることになりがちです。
順番を決める基準は、既存の受注顧客がどこから来たかを確認することです。過去の受注案件をたどって最初の接点を並べると、自社にとって機能しているチャネルが見えます。そこを厚くしてから、次の1つを加える。この順序であれば、増やした分の効果を前年と比較して評価できます。
6. リード情報を扱うデータ基盤を整える
分業を決めても、リード情報がばらばらの場所にあると引き渡しは機能しません。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年の企業のクラウドサービス利用率は80.6%と公表されています。多くの企業が複数のクラウドサービスを併用している以上、リード情報がどこに集まるのかを決める作業が必要になります。
6-1. 同じ企業を1つにまとめる
BtoBで最初につまずくのが企業名の表記ゆれです。株式会社の位置、全角と半角、支店名の有無。同じ企業が別の企業として登録されると、担当者ごとに違う連絡が届くことになります。
登録時点で表記のルールを決め、法人番号や本社所在地といった変わりにくい情報で紐づける方針を先に決めておくと、後からの修正量が減ります。
6-2. 取得元を必ず記録する
どのチャネル、どのオファー経由で獲得したリードなのかを記録していないと、4章の差し戻し情報を受け取っても、どの施策を止めるべきか判断できません。取得元は後から復元できない情報なので、獲得の時点で記録する仕組みが必要です。
6-3. 部門をまたぐときの入力ルール
部門ごとに別々のリストを持っていると、入力項目の名前や粒度が揃わず、全社での分析ができなくなります。全部門で共通の項目と、部門ごとに自由に使える項目を分けておくのが現実的な折衷案です。共通項目は必須入力にし、それ以外は各部門の裁量に任せる、という線引きが運用しやすい形になります。
6-4. 定期的に棚卸しする
BtoBのリード情報は、時間の経過とともに使えなくなります。担当者の異動や退職でメールアドレスが無効になり、部署名が変わり、企業自体が統合されることもあります。獲得したまま放置されたリードは、名簿の件数を押し上げる一方で、実際には接触できない状態になっています。
そこで、最終接触日から一定期間が過ぎたリードを抽出し、状態を確認する作業を定期的に挟みます。配信の到達しないアドレスを除く作業を続けることは、送信元としての評価を保つうえでも意味があります。棚卸しの頻度と担当を決めておかないと、この作業は誰も手を付けないまま残ります。
6-5. ツールの役割を整理する
リード情報を扱うツールは役割が重なって見えます。獲得と育成を担うMA(=Marketing Automation、見込み客の管理と育成を自動化する仕組み)、商談以降を管理するSFA(=Sales Force Automation、営業活動を管理する仕組み)、顧客情報を蓄積するCRM(=Customer Relationship Management、顧客との関係を管理する仕組み)の違いは、MA・SFA・CRMの違いを整理した記事で確認できます。
製品ごとの比較はMAツールの比較とSFAの比較にまとまっています。展示会で得た名刺をデータ化する手段は名刺管理ソフトの比較が参考になります。
取得元を記録してチャネルを評価するなら、掲載メディア経由は流入元がはっきり分かれる経路です。
7. BtoB企業の取り組み事例
各社が公式に公表している事例から、実際にどこを整えて成果につなげたのかを3件紹介します。
7-1. ジェイテクト:4年間で商談約1,200件、受注約240件
自動車関連製品、軸受、工作機械などの製造・販売を手がける株式会社ジェイテクトは、グループ会社間で紹介し合う商談をExcelで管理していました。公式事例では、会社名の表記ゆれ、ファイルの破損、引き継ぎ漏れが発生し、顧客対応の遅れも招いていたと記載されています。同時編集によるファイル破損や、入力者・入力日が分からなくなる状態も挙げられています。
同社は「Kairos3 Sales」(提供:カイロスマーケティング株式会社)を導入し、タスクを登録するToDo機能を使って商談情報の共有と社内制度の運用を行いました。成果として、導入後4年間でクロスセールス活用による商談を約1,200件創出し、そのうち約600件が具体的な提案段階に進み、最終的な受注は約240件に上ったと公表されています。
出典:株式会社ジェイテクト様の導入事例(Kairos3 公式サイト)
7-2. 三井物産プラスチック:配信前に顧客担当者へ確認する運用
プラスチック原料の販売を軸に、農業用資材から半導体材料まで幅広い商材を扱う三井物産プラスチック株式会社は、海外製のMAツールを導入していたものの使いづらさを感じていました。公式事例では、フォームを一度作った後に編集するには最初の手順から作業をやり直す必要があったこと、名刺管理ツールとの連携機能が不十分で名刺情報の取り込みや整理に手間取っていたことが課題として記載されています。
同社はKairos3を導入し、メールマガジンの配信、Zoom連携によるウェビナー開催、自社Webサイトでの情報発信、アンケートの実施を行いました。運用面で特徴的なのは、メールマガジンの配信前に、その顧客を最もよく知る顧客担当者へ、誰にどんな内容を送るかを確認してもらう手順を挟んでいる点です。本記事の4章で扱った分業と差し戻しを、配信前の確認という形で実装した例といえます。
成果として、フォームの作成時間が30分から5分に短縮されたこと、メールマガジンの配信頻度が倍以上に増え現在は月3〜4通を目安に計画していること、配信に対して10〜20件ほどの返信が届くこともあり、そこから具体的な商談につながるケースもあることが公表されています。
出典:三井物産プラスチック株式会社様の導入事例(Kairos3 公式サイト)
7-3. 構造計画研究所:部門ごとに散った顧客データを標準化
建設・製造・情報・通信分野でのシステム開発を手がける株式会社構造計画研究所(従業員577名、2019年7月現在)は、商材ごとに営業部があり各部門が独自に施策を実施する体制でした。
公式事例では、各部門の顧客データを統合・管理できておらず、ツール内の顧客データに重複や古いリードが残っていたこと、運用担当者のリテラシーに差がありツールを活用できている部門とそうでない部門があったこと、データ形式や入力項目に統一性がなく部門横断的な分析や活用が難しかったことが課題として記載されています。
同社は「List Finder」の導入にあたり、基本操作をまとめた利用者マニュアルと社内ルールを定めた運用ガイドラインを作成し、3か月に1度の講習会またはビデオ視聴で学べる体制を整え、立ち上げ期の社内サポートを優先して実施しました。
ツールの導入そのものではなく、部門をまたぐ入力ルールと教育の設計に力点が置かれている点が、6章で述べた論点と重なります。なお、件数や率といった具体的な数値は公式ページに記載がありません。
出典:株式会社構造計画研究所様の導入事例(List Finder 公式サイト)
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8.【まとめ】質の定義と引き渡し基準を先に決める
BtoBのリード獲得は、決めるのが組織であること、検討期間が長いこと、対象企業に上限があることの3点で個人向けと構造が違います。この構造を前提にすると、着手すべき順序は獲得件数を増やすことではありません。
先に決めるのは次の2つです。
- どの条件を満たしたリードを営業に渡すかという、質の定義
- 渡した後の接触期間と、商談にならなかった理由を獲得側へ戻す経路
この2つが決まって初めて、チャネルごとの評価ができるようになります。定義は過去の受注案件と失注案件を並べ、マーケティングと営業の双方で確認する場を設けて作ります。
そのうえで、自社サイトの検索流入が立ち上がるまでの期間を補う手段として、業界メディアへの製品掲載も選択肢になります。デジタル化の窓口では、SaaS・ITツールを提供する企業からの掲載相談を受け付けています。掲載条件や掲載後の導線については、下記より個別にご相談いただけます。
よくある質問
BtoBのリード獲得が個人向けと違うのはどこですか?
違いは手法ではなく買い手の構造にあります。決めるのが一人ではなく組織であること、検討期間が数か月から1年程度に及ぶこと、声をかけられる企業の母集団に上限があることの3点です。この3点を前提にしないまま獲得件数だけを追うと、名簿は増えるのに商談が増えない状態になります。
資料請求までは進むのに、その先で話が止まってしまいます。原因は何ですか?
多くの場合、担当者の熱意ではなく、担当者が社内を通すための材料が渡っていないことが原因です。BtoBでは現場の担当者、情報システム部門、決裁者がそれぞれ違う論点を見ています。最初に接点を持った担当者を説得できても、その先の部門に渡す材料がなければ検討は止まります。
関与者ごとに用意すべき資料は何種類ですか?
3種類です。導入後の運用の流れが分かるもの(現場の担当者向け)、仕様と連携方式をまとめたもの(情報システム部門向け)、費用の内訳と同規模・同業種の導入実績を並べたもの(決裁者向け)です。1つの資料に全部を詰め込むと、どの層にとっても読みづらくなります。問い合わせを受けてから作るのではなく、あらかじめ揃えておくと検討が止まる時間を短くできます。
「リードの質」はどう定義すればよいですか?
企業属性(業種・従業員規模・拠点数・既存システムの有無)、役職と部門、行動の記録(料金ページの閲覧、複数回の再訪問、事例資料の追加ダウンロード)の3つの軸で定義します。出発点は、過去の受注企業を並べて共通点を洗い出すことです。定義が文書になっていなければ改善もできません。
質の定義はマーケティング部門だけで決めてよいですか?
営業と合意して決めます。片方だけで決めると、渡された側が納得しません。過去の受注案件と失注案件を並べ、どの条件が揃っていたかを両者で確認する場を一度設けるのが確実です。その場で決めるのは、どの条件を満たしたら営業に渡すか、渡した後どのくらいの期間で接触するか、条件に届かないリードは誰が持ち続けるか、の3点です。
獲得件数は増えているのに商談化率が下がっています。どこを見ればよいですか?
原因は3か所に絞られます。オファーの内容が対象外の層を引き寄せている、広告の配信先が広がりすぎている、フォームの入力項目が減って判別できなくなっている、のいずれかです。件数の増減だけを見ていると、この3つを切り分けられません。
担当者が一人か二人しかいません。マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの分業はできますか?
人で分けるのが難しい場合は、時間で分けます。獲得と初期接触に充てる時間を週の中で固定し、商談対応で埋めないという運用です。役割の分業ができないなら時間の分業に置き換える、という考え方になります。同じ人が全部を担当していると、目の前の商談が優先され、獲得と初期接触が後回しになります。
リードを渡した後、商談にならなかった理由はどう扱えばよいですか?
理由が獲得側に戻る経路を用意します。数種類の選択肢にして記録するだけでも、次の施策の判断材料になります。この記録は獲得チャネルごとの評価にも使え、件数は多いが商談にならないチャネルと、件数は少ないが受注につながるチャネルを、費用と並べて比較できるようになります。
獲得チャネルはどの順番で増やすべきですか?
既存の受注顧客がどこから来たかを確認することが基準になります。過去の受注案件をたどって最初の接点を並べると、自社にとって機能しているチャネルが見えます。そこを厚くしてから次の1つを加える、という順序であれば、増やした分の効果を前年と比較して評価できます。4つのチャネルを同時に始めると、判断材料が揃う前に手を広げることになります。
リード情報のデータ基盤で最初に決めるべきことは何ですか?
企業名の表記ゆれをどう扱うか、取得元をどう記録するか、部門をまたぐ入力項目をどう揃えるかの3点です。特に取得元は後から復元できない情報なので、獲得の時点で記録する仕組みが必要です。また、最終接触日から一定期間が過ぎたリードを抽出して状態を確認する棚卸しの頻度と担当も、あわせて決めておきます。
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