離脱率の平均はどのくらい？直帰率との違いや改善方法を紹介

Webサイトの成果を左右する重要指標のひとつが「離脱率」です。離脱率とは、ユーザーがあるページを最後にサイトを離れた割合を示す数値で、単なるPV（ページビュー）の増減以上にユーザー体験やコンバージョン率（CVR）への影響が大きい指標です。

しかし世の中には「離脱率の“平均”があるのか？」という誤解や、「自社サイトの数値が高いのか低いのか判断できない」というお悩みが多く聞かれます。

1. 離脱率とは？

Webサイトの各ページがセッション内の最後のページとなった割合を示す指標が「離脱率」です。ユーザーがどのページでサイトを去ったのかを把握することで、コンテンツの最適化や導線改善に役立ちます。

離脱率の定義と計算式

離脱率（Exit Rate）は、以下の計算式で求められます。

離脱率（％） = そのページからの離脱数 ÷ そのページの総ページビュー数 × 100
参考：Exit Rate in Google Analytics: Why It’s Not Bounce Rate

• 離脱数（Exits）：当該ページがセッション内の最後のページとなった回数
• ページビュー（Pageviews）：当該ページが表示された回数

直帰率とは？｜基本の理解と具体的な改善策を徹底解説

直帰率／回遊率との違い

離脱率は「そのページが最後になった割合」を示すのに対し、直帰率（Bounce Rate）は「最初のページだけ見て離脱した割合」、回遊率（Pages Per Session）は「1セッションあたりの平均ページ閲覧数」を表します。

「回遊率」とは？定義・計算方法・改善施策を徹底解説

• 直帰率 が高い → 最初のページで興味を失った可能性
• 離脱率 が高いページ → そのページ以降に行きたいコンテンツがない可能性
• 回遊率 が低い → サイト全体の導線が分かりにくい可能性

“平均”は存在する？業界・ページ別目安の考え方

実は、離脱率そのものの“平均値”は公開されていません。なぜなら、ページの目的や構造によって自然な離脱率が大きく変わるからです。

そのため、以下のように自社内ベンチマークやページタイプ別の傾向を参考にすることをおすすめします。

さらに、直帰率の業界別ベンチマークを活用することで、自社の“サイト全体のユーザー行動” を間接的に評価できます。例えば、飲食業界の直帰率平均は約 65.6％、IT関連は約 62.2％（Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?）といったデータがあります。

ポイント：離脱率そのものに固執せず、以下を組み合わせて、改善の優先順位をつけましょう。

• 「同ページ内での自社平均」
• 「業界別直帰率（参考）」

次章では、自社サイト内ベンチマークの設計フローをご紹介します。

離脱率を計算する方法と改善するコツ｜効果的なツールの活用も解説

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2. 自社サイト内ベンチマーク設計フロー

自社サイトの離脱率を「自社内ベンチマーク」として設計することで、“平均値はない”離脱率も具体的な改善指標に変わります。以下の３ステップで進めましょう。

1. ページタイプ別に離脱率を比較

まずは、サイト内の主要なページタイプごとに離脱率を集計します。一般的に以下のような傾向があります。

1. GA4や旧GAで「離脱数／ページビュー」をレポート化
2. ページタイプ別に一覧化して、タイプごとの自社平均を把握
3. 「LP⇔ブログ⇔完了ページ」での差分を可視化し、高離脱ページを特定

2. 業界別直帰率平均を参考にする手順

“離脱率そのもの”の平均は公開されていませんが、業界別の直帰率ベンチマークを活用することで、自社のサイト全体傾向を間接的に評価できます。

＜手順＞

1. GA4の「参照元／メディア」レポートで業界似のチャネル（Organic, Referral, Paid など）ごとの直帰率を取得
2. 下表の業界ベンチマークと比較し、自社直帰率の優劣を把握
3. 必要に応じて、流入チャネルの見直しやコンテンツ調整を検討

3. 定期モニタリングのすすめ

直帰率・離脱率は季節性やキャンペーン、サイト改修の影響で数値が変動します。Semrushによると、離脱率は「業界・ページ種類・季節性」によって大きく変わるため、定期的にモニタリングすることが重要です 。

1. アラート設定：GA4のカスタムアラートで急上昇・急低下を検知
2. ダッシュボード共有：Looker Studioで週次レポートを自動配信
3. PDCAサイクル：改善策→効果測定→次施策の順でスピーディに回す

以上の流れで「自社内ベンチマーク」を実装し、離脱率改善のためのPDCAを加速させましょう。

PDCAとは？持続的改善を実現する基本サイクル

3. 離脱率が高くなる主な原因と改善策

サイトの離脱率が高い背景には、ユーザーの期待値と実際の体験のギャップがあります。ここでは代表的な４つの原因と、それぞれの具体的な改善策を解説します。

1. コンテンツと検索意図のミスマッチ

ユーザーは「求めている情報があるはず」と期待してページを訪れます。しかし、コンテンツが検索意図とズレていると、その期待は一気に裏切られ、すぐに離脱されてしまいます。

原因

• ユーザーが検索結果で期待した情報と、ページ内の本文がズレている
• タイトルや見出しに魅力がなく、クリック後に「探していた内容ではない」と判断される

改善策：タイトル・見出しの最適化

• キーワード調査：Google サーチコンソールやKeywordmapなどで実際に検索されているクエリを把握
• 見出し（H1／H2）の一貫性：タイトルと本文の主題が一致するように、狙うキーワードを盛り込む
• FAQ形式の見出し：ユーザーの質問をそのまま見出しにして、検索意図をダイレクトに満たす

2. ナビゲーション・内部リンク不足

「もっと詳しく知りたい」「関連情報も見たい」と思っても、次のページへ進む道筋が見えないと、ユーザーは迷子になり、ページを離れてしまいます。内部リンクやナビゲーションの設計は、ユーザーの回遊行動を左右する重要な要素です。

原因

• ページ間を移動しづらく、ユーザーが「次に見るべきページ」が分からない
• メニューやパンくずリストが不十分で回遊を促せない

改善策：UX/UIの強化

• パンくずリストの導入：階層構造を明示し、現在位置と上位ページへのリンクを表示
• 関連コンテンツの自動表示：記事下部やサイドバーに、タグやカテゴリに基づく関連記事を出す
• スクロールナビゲーション：長いページには「目次リンク」を固定表示し、ページ内回遊を促進

3. ページ表示速度の遅さ

読み込みが遅いだけで、ユーザーはページを閉じてしまいます。特にスマートフォンユーザーは待つことにシビアで、3秒以上の表示遅延で半数以上が離脱するというデータもあります。

原因

• 大きな画像や未圧縮の動画を使用しており、初回表示までに時間がかかる
• キャッシュ設定が不十分で、リピーターでも毎回リソースをダウンロードさせている

改善策：画像最適化＆キャッシュ活用

• 画像圧縮ツール：TinyPNG・OptimizillaなどでJPEG／PNGを自動圧縮
• 遅延読み込み（Lazy Load）：画面外の画像はスクロール時に読み込む設定にする
• CDN／キャッシュ設定：Cloudflare や AWS CloudFront を活用し、静的リソースをエッジで配信

4. モバイル非最適化

現在、Web閲覧の多くはスマートフォン経由です。そのためPCだけを意識したページ構成では、スマホでの閲覧がしにくくなり、操作性の悪さからユーザーが離脱してしまうリスクが高まります。

原因

• スマートフォンで表示した際に文字が小さく、ボタンが押しづらい
• レイアウトが崩れてスクロール量が増え、離脱を招く

改善策：レスポンシブデザインの導入

• モバイルファースト設計：スマートフォン画面での見え方を先に考え、コンテンツを最適化
• タッチ操作に配慮したUI：CTA ボタンは指先サイズ以上（44×44px目安）に設定
• ビューポート指定：<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1"> を忘れずに

主な原因と改善策まとめ

上記の改善策を順に実施し、ABテストやヒートマップ分析を組み合わせながら、効果を検証していきましょう。次章では、これらの改善をより効率化するIT製品比較をご紹介します。

4. IT製品比較：離脱率改善に効くツール5選

離脱率改善には、サイト運営の「見える化」から「行動誘導」「テスト」「自動化」まで、多面的なアプローチが必要です。以下の５つのカテゴリで代表的なツールを比較し、自社に合った製品選びの参考にしてください。

1. Web接客ツール

訪問者ごとにポップアップやメッセージを出し分け、離脱タイミングで最適なアクションを促します。

• TETORI（月額1万円～）
  A/Bテスト・ヒートマップ連携が標準
  低予算で導入可能、無料トライアルあり
• CODE Marketing Cloud（要問い合わせ）
  CXデータ分析＋業界別テンプレート多数
  Google Analytics／MAツールとの連携が強み

2. ヒートマップ／行動分析ツール

ユーザーの視線やクリックを可視化し、離脱ポイントをデータで特定します。

• Hotjar（無料プラン＋Plus $39/月～）
  ヒートマップ、セッション録画、アンケート機能を一元提供
• AIアナリスト（月額10万円～）
  30,000サイト以上の導入実績、自動解析レポートで改善ポイントを提示

3. オールインワン解析プラットフォーム

Web解析からCRM連携までを包括的に管理し、離脱率に影響する要因を多角的に把握します。

• Google Analytics 4（無料）
  無償で高度なレポート作成・BigQuery連携が可能
• HubSpot Analytics（月額5万円～）
  MA／CRMとシームレスに連携し、顧客ライフサイクル全体を可視化

4. A/Bテストツール

パターン比較で「どのデザイン／文言」で離脱が減るかを科学的に検証します。

• Optimizely（月額15万円～）
  豊富な実験オプションとパーソナライズ機能
• VWO（月額10万円～）
  非エンジニアでも扱える直感的UIで迅速導入

5. マーケティングオートメーション

メールやポップアップ、スコアリングを組み合わせ、離脱抑止から再アプローチまで自動化。

• HubSpot Marketing Hub（月額20万円～）
  シナリオ設計・通知機能を標準装備、CRMと統合
• Speeda（要問い合わせ）
  BtoBリード特化の企業データベースで精度の高いアプローチ

5. 主要10製品の機能・価格・メリット・デメリット

各製品の無料トライアルやデモ依頼を活用し、自社サイトの環境での使い勝手を必ず検証してください。次章では、これらツールを使った導入事例をご紹介します。

6. 導入事例：ツール活用で離脱率改善に成功した企業3選

サイトの課題に合わせて最適なツールを導入し、離脱率の抑制とCVR向上を両立した3社の事例をご紹介します。

ECサイト×TETORI：CVR＋12％、離脱率－18％を実現

課題：ファッションECサイトA社では、カート遷移後の離脱が30％を超え、CVR改善が急務に。
対策：Web接客ツール「TETORI」を導入し、ヒートマップ連携でポップアップ表示タイミングを最適化
成果：

• コンバージョン率が12％向上（例：CVR 1.8％→2.02％）
• 離脱率が18％ポイント改善（例：35％→17％）

SaaS企業×AIアナリスト：PDCAサイクルを高速化

課題：クラウド型SaaS企業B社は、ユーザー行動を深掘りするために数十のレポートを手動で作成しており、改善案の採択までに約2週間かかっていた。
対策：アクセス解析ツール「AIアナリスト」を導入し、自動解析レポートで“離脱ポイント”を自動抽出。
成果：

• 改善ポイントの抽出時間を80％短縮（従来3日 → 導入後24時間）
• PDCAサイクルを週次→日次に高速化し、テストごとの推進力が飛躍的に向上

BtoBサイト×CODE Marketing Cloud：ホワイトペーパーDL率＋130％

課題：人材サービス企業D社は、オウンドメディア上で提供するホワイトペーパーのダウンロード率が5％にとどまり、リード獲得数の伸び悩みが深刻だった。
対策：Web接客ツール「CODE Marketing Cloud」を活用し、会員未登録ユーザーへホワイトペーパーDL用ポップアップを動的に表示

成果：

• ホワイトペーパーDL率が5％→11.5％まで+130％向上
• 更に、離脱率は導入前の62％から48％へ改善

これらの事例から分かるように、ツールは“離脱を防ぎつつ、次のアクションへ誘導するシナリオ設計”の要として活用できます。次章では、これらを踏まえた実践チェックリストをご紹介します。

7. 離脱率改善のための実践チェックリスト

離脱率の改善は、「計測→仮説検証→定常運用」のサイクルで進めることが重要です。以下の3フェーズを参考に、実際のアクションプランをチェックしましょう。

初回：現状離脱率の計測と自社平均の算出

• 目的：まずは“離脱が発生している場所”と“自社サイト内での相対評価”を明確にする
• 主なアクション：
  GA4で「離脱数／ページビュー」のレポートを作成（探索レポート推奨）
  ページタイプ別（LP／ブログ／完了ページ）に自社平均を算出
  高離脱ページをピックアップし、原因仮説をリスト化

中期：ツール選定→PoC（概念実証）→ABテスト

• 目的：データドリブンで改善策を検証し、効果の高い施策を見極める
• 主なアクション：
  目的別に最適な製品を選ぶ（例：Hotjarで行動可視化、OptimizelyでABテスト）
  小規模ページでテスト導入し、運用感・初期成果を確認
  本格導入前に複数パターンを比較し、統計的に有意な改善策を特定

長期：定常モニタリング→ナレッジ共有

• 目的：改善を「一過性」にせず、組織全体で継続的にPDCAを回す
• 主なアクション：
  Looker Studio等で週次・月次ダッシュボードを自動配信
  GA4のアラート設定で“離脱率の急騰”を検知
  社内へ成功事例・ノウハウをナレッジ共有し、新規施策に活用

目的と目標の違い｜目的設定の重要性と効果的な進め方

実践チェックリスト（一覧）

以上のチェックリストをもとに、“誰が・何を・いつまでに”行うかを明確化し、週次・月次で進捗を確認してください。離脱率改善は一度きりの施策ではなく、継続的な取り組みこそが成果を生みます。

8. まとめ

離脱率改善の要点を振り返ると、以下の2点が特に重要です。

これらを実践することで、数値に振り回されない、自社に最適化された離脱率改善が可能です。ぜひ本記事でご紹介したチェックリストやツール比較を活用し、継続的なPDCAでサイトのパフォーマンス向上を目指してください！