【2024】現場管理とは？業務内容や施工管理との違いを徹底解説！！

2024年、建設業界は「2024年問題」と呼ばれる課題に直面しています。働き方改革関連法の適用範囲が広がり、時間外労働の上限規制が建設業にも適用されることで、業界全体に大きな影響が及んでいます。このような状況下で、現場管理の重要性が一層高まっています。工程の効率化、安全対策の徹底、そして予算の適切な配分が求められる中で、現場管理者の役割は、今まで以上に複雑かつ重要なものとなっています。現場管理には何が求められているのでしょうか。本記事では、現場管理の業務内容や、現場管理を楽にする方法など、現場管理に携わる方は必読の内容となっています。

現場管理とは？施工管理との違いは？

現場管理とは改めて何でしょうか。現場管理は読んで字のごとく意味は理解できますが、現場管理が実際にどういったものか正確に分かっていますか？ここでは現場管理とは何かを簡単に解説するとともに、現場監督と一緒に使われることの多い施工管理との違いについて解説していきます。

1.現場管理とは

現場管理とは、工事現場の責任者が現場に関わるすべての業務を管理し、工事の進行を円滑に進めるための業務です。現場管理者は主に４大管理と呼ばれる「工程管理」「原価管理」「品質管理」「安全管理」の４つの管理だけでなく、現場におけるすべての業務の正確な管理が求められます。現場管理者は、工事を定められた期間内に完了させることだけでなく、事故を防止し、高品質な施工を実現することが求められます。適切な段取りや社内外との円滑なコミュニケーション能力、責任感といったさまざま能力が必要とされます。

2.施工管理と現場管理の違い

現場管理と似た言葉で施工管理という言葉も存在します。建設業界ではどちらの単語も良く耳に挟む言葉ですが、違いは知っていますか？施工管理の業務は、工期内で工事を滞りなく、完了させることです。そのため施工管理というと、「工程管理」と「品質管理」を主に扱っているという印象を受けます。この点において違いは無いといえます。違いがある点として、施工管理は現場管理だけでなく、設計図から施工図を作成するなどの事務作業を扱います。そのため、現場での管理を行うのが現場監督で、現場でも事務作業を行うのが施工管理と言うのが一般的です。しかし正確に両者は定義されていないため、業者によって混在している場合もあります。

現場管理の業務内容

ここからは現場管理とは実際にどういった業務を扱うのか紹介します。現場管理の主な仕事は現場のあらゆることを正しく管理することですが、大きく4つの管理すべき項目があり、「4大管理」と言います。更にその他の収容な業務について紹介します。現場監督が行う主な業務については、ここで紹介します。

1.4大管理

4大管理とは「工程管理」「原価管理」「品質管理」「安全管理」から構成されています。どれも工事を行う上で蔑ろにしてはいけないもので、工事を完了させるために不可欠なものです。ここでそれぞれの項目について理解しましょう。

a.工程管理

工程管理とは、工期に応じて工事全体の進捗から、今後の工事の進め方やスケジュールを作成する業務です。小規模な工事から大規模な工事まで、建設には多くの人員を要します。そのため、工程管理が正しく行われない場合、職人さんとの連携が上手できず、工期内に工事を完了させることが難しくなります。進捗を適宜把握し、正確なスケジュールを作成することが求められます。

b.原価管理

原価管理とは、予算の範囲で工事にかかる費用を管理する業務です。工事は安全に工期を守ることはもちろん大事ですが、ただ工事を完了させれば良いというわけではありません。人件費、材料費などを予算と照らしてしっかり利益を確保しなければいけません。会社にとっては一番重要な項目といっても過言ではありません。

c.品質管理

品質管理とは設計書のデザイン、材質、機能などの品質を実際に作ったものが担保できているかどうかを管理する業務です。各品質評価項目ごとに定められた方法に応じて品質試験を行います。もし設計書と全く異なる物を作ってしまった場合、大変です。品質管理も現場管理において重要な項目です。

d.安全管理

安全管理とは建設現場で事故が発生しないように環境を整える業務です。建設業界の事故率は他の業界よりも高いです。また、事故が発生する場合、命に係わることもあります。工期内に終わらせることに集中して安全管理を怠ってしまうことは絶対にやってはいけません。作業中の声掛けや各人の安全意識など現場監督が責任を持って取り組みましょう。

2.その他業務内容

先ほど現場管理の主な業務である４大管理について紹介しましたが、現場管理の仕事はそれだけではありません。ここでその他の業務内容について紹介します。

顧客管理

顧客というと取引の相手だけでなく近隣の住民なども当たります。工事を行う上でどうしても騒音や振動が発生してしまい少なからず近隣住民に影響を与えてしまいます。近隣住民に反感を持たれたまま仕事をするのは決して良くありません。事前に住民説明会などを実施し、理解を求めることが必要です。

現場管理費とは

現場管理費とは、工事現場を管理するためにかかる費用のことを言います。工事原価の一部に当たり、工事とは直接関係のない費用などが該当し、現場管理費率は約5～10％が目安となっています。保険料や職人さんの給料などが対象となります。工事現場を管理する費用と言っても具体的にはどんな費用がかかるのでしょうか。ここでは現場管理費とは何か具体的に紹介していきます。

1.現場管理費の１７項目

現場管理費に当たる費用は１７項目あります。それぞれどういった費用か紹介していきます。

1. 租税公課
2. 保険料
3. 労務管理費
4. 給料手当
5. 退職金
6. 安全管理に関する費用
7. 法定福利費
8. 事務用品費
9. 福利厚生費
10. 交際費
11. 補償費
12. 通信交通費
13. 動力用水光熱費
14. 外注経費
15. 工事登録等に関する費用
16. 公共事業労務調査に要する費用
17. 雑費

1.租税公課

租税公課とは税金のことを言います。固定資産税や自動車税などが該当します。

2.保険料

工事現場における様々な保険も現場管理費に該当します。工事保険から自動車保険など工事における各種保険が含まれます。

3.労務管理費

労務管理費とは現場で働く人の給料以外にかかる費用のことを言います。例えば、作業用具代、作業服代、食事代などの現場で必要なものは対象となります。さらに、現場で事故が発生してしまった場合に労働災害保険以外の事業者からの給付も労働管理費の対象となります。

4.給料手当

現場に携わる現場監督、作業員などの人員に対して支払われる給料も現場管理費に含まれます。基本給はもちろん、各種手当も対象となります。建設現場で発生する危険手当なども該当します。

5.退職金

退職金は給料と対象が同じで現場に携わる、現場監督などに支払われる退職金や退職急遽咽頭金挿入額が現場管理費の対象となります。また、現場管理に該当する退職金は定年退職だけでなく、自己都合退職や解雇なども現場管理費の退職金に該当します。

6.安全訓練に関する費用

工事を安全に行うために行う研修や訓練を行うためにかかる費用です。現場では事故の発生率も高いため、安全訓練は積極的に行っていく必要があります。

7.法定福利費

法定福利費とは、法律で定められた加入が義務付けられている福利厚生に関する事業者が負担する費用です。例えば、作業員の雇用保険や健康保険料などが法定福利費に該当します。

8.事務用品費

事務用品費とは現場事務所で使用する事務用品にかかる費用です。文房具屋コピー用紙などが当たりますが、消耗品として計上する場合もあります。

9.福利厚生費

福利厚生費とは従業員の福利厚生を充実させるための費用です。そして現場管理費に該当する福利厚生費とは、法定福利厚生に該当しない法定福利厚生費用が対象です。社員旅行などの会社独自の福利厚生が挙げられます。

10.交際費

交際費とは仕事上で関わりのある取引先との交際した際にかかる費用が該当します。例えば顧客への接待や宴会などにかかる費用が挙げられます。

11.補償費

補償費とは、工事の際にどうしても発生してしまう騒音などによる周りへの影響を補償する費用です。しかし、保障費に該当する費用は通常発生してしまう範囲の影響に限られ、その範囲を逸脱した場合には補償費には該当します。

12.通信交通費

通信交通費とは、業務に必要なコミュニケーションにかかる費用のことを指します。取引先との電話の通信費だけでなく、従業員のバスやタクシーによる交通機関での移動にかかる費用も通信交通費に該当します。

13.動力用水光熱費

動力用水光熱費とは、現場や事務所でかかる水道費、光熱費、電気代などの費用のことを指します。しかし、現場管理費ではなく、共通仮設費という項目に計上する場合もあります。

14.外注経費

外注経費とは、専門工事業者などの外部業者に工事を依頼する場合や現場監督を外部に委託した場合にかかる費用です。しかし、外注管理費は労務管理費に含めるパターンもあります。

15.工事登録等に関する費用

工事登録等に関する費用とは工事の実績を登録するためにかかる費用です。

16.公共事業労務調査に要する費用

公共事業労務費調査に要する費用とは現場の従業員の社会保険加入の有無や給与を調査するための費用です。

17.雑費

雑費は他の現場管理費に該当しない現場でかかる費用が該当します。現場の会議費などが当たります。

2.一般管理費との違い

現場管理費と似た用語として一般管理費というものがあります。ここでは一般管理費とは何か、現場管理費と一般管理費の違いについて紹介します。

a.一般管理費とは

一般管理費とは会社そのものを維持管理、運営するにあたりかかる費用です。例えば社員の給料や交通費、減価償却費などが挙げられます。一般管理費は会社の収益を大きく左右する重要な費用であり、一般管理費が膨らむと会社全体の利益が減少するため、工事費用に対してどれくらいの割合にあるかどうかしっかり把握する必要があります。

b.一般管理費と現場管理費の違い

ここまで、説明した通り現場管理費とは工事現場でかかる工事とは直接の関係がないが、工事現場を管理するのに必要な費用のことを指します。一方、一般管理費とは会社そのものを維持管理する、運営するための費用のことを指しています。そのため、給料など同じ項目がどちらにもある場合もありますが、現場に関わる場合は現場管理費、それ以外の場合一般管理費となります。

現場管理がきついとされる理由6選

2024年問題や労働人口の減少など様々な問題を抱える建設業界ですが、その原因はどういったところにあるのでしょうか？ここでは建設業界の現場管理の問題について紹介していきます。

1.労働時間が多い

現場管理は現場の工程管理、原価管理、品質管理、安全管理という4大管理に加え、建設をスムーズに行うために様々な業務を行う必要があります。また、現場の作業だけでなく事務作業も行う必要があり、労働時間がどうしても増えてしまいます。しかし、2024年から建設業界においても、時間外労働の上限規制が、働き方改革関連法による改正後の労働基準法により法定化されるため、働きやすい環境が整備されつつあります。

2.休日が少ない

建設業界は他業界に比べ休日が少ない傾向にあります。原因として厳しい工期に間に合わせるためにスケジュール設定がされてしまうことが挙げられます。そのため、工期に間に合わせるために、休日を削り、作業を行わなければいけません。また、建設業界で広がる人材不足の影響によって有給が取りにくい環境になってしまっていることも考えられます。

3.人間関係が難しい

現場管理は発注者や外注先の業者など様々な人とコミュニケーションを取る必要があります。また従業員と取引先との間に立って両者の要望を実現しなくてはならず、非常に気を使わなければならないため、板挟みなってしまい精神的に辛く感じることが多くなってしまいます。

4.給料が見合ってない

国税庁の民間給与実態調査（令和4年）によると建設業界の平均給与は約510万円とされており、給料としては他業界と比較すると高い給与を得ているといえます。しかし不満が多く出ています。その原因として労働時間が多いことが挙げられます。そのため実際の労働時間と給料が見合っていないことに対する不満が出ていると考えられます。

5.資格等の勉強が多い

近年の建設の施工技術が高度化や複雑化が進んできており、円滑な工事と要望に沿った工事完成品を実現するには、正確な現場管理が求められます。そのため、国土交通省によって建設工事に従事する人の技術向上のために技術検定を実施しており、この資格を取得するために勉強する必要があります。また、担当現場によって新しい工法の勉強をする必要があったりと、勉強をしなくてはならない場面が多くあります。
以下の3つは現場管理に求められることが多い資格です。

• 施工管理技士
• 主任技術者
• 監理技術者

6.肉体労働

建設業界は資材運びなどが多くあり、肉体労働に分類されます。そのため通常の業務だけでも非常に大変です。さらに夏場は気温による厳しさも加わります。工事中は夏でも変わらず作業着を着用する必要があり、熱中症になってしまうケースもあります。

現場管理を楽にする方法2選

ここまで、現場管理の厳しさについて紹介してきましたが、少しでも現場管理の負担を軽減できる方法があります。近年IT化が急速に進んでおり、建設業界も例外ではありません。事務作業で、現在膨大な紙の資料で管理しているのが、スマートフォン一台で管理できるようになったらどれだけ快適になるでしょうか。このような現場管理を楽にできる方法をここでは紹介します。

1.現場管理アプリの導入

現場管理は現場管理アプリを導入することによって効率化が実現されます。報告書の作成から関係者とのチャット、そして写真や図面などの管理など現場管理の大部分の業務を一つのアプリで管理することが可能です。また、従来は紙で管理していた資料をアプリで一元管理が可能になるため、探す手間も減らすことができます。

詳しくはこちら　【2024年】施工管理アプリ徹底比較12選！無料の製品も紹介

2.BIM/CIMの導入

BIM/CIMとは「Building/Construction Information Modeling」の略称であり、計画、調査、設計などの建設工事の様々な場面で３Dモデルを導入し、事業全体で関係者間の情報共有を円滑にすることができる取り組みです。BIM/CIMの導入が実現すれば、業務の大幅な効率化が期待でき、業務時間を削減することができます。

詳しくはこちら　BIM/CIMとは？BIM/CIMソフト比較12選【図解あり】

現場管理の魅力3選

ここまで、現場管理の厳しさなどについて紹介してきましたが、現場管理には魅力的な点もあります。

1.現場完成後の達成感

現場管理の仕事は現場の全ての管理が求められ、大きな責任がある仕事です。しかし、その責任さ故に工事が適切に完了したときの達成感は計り知れません。大変ではありますが、やりがいのある仕事です。

2.社会貢献を感じられる

私たちが毎日見る建物や道路は全て誰かが創り上げたものです。そんな誰かの生活を支えている物を自分の手で作ることはやりがいを感じることができます。

3.労働環境が改善されてきている

2024年から建設業界にも時間外労働の上限規制が導入され、働き方改革が進んできています。そのため、今後の建設業界は今よりも充実した労働環境が実現するかもしれません。また、建設業界は労働人口が減少しているため、企業側も新たな労働者獲得のため、より労働者にとって働きやすい環境づくりをしていくことが今後期待できます。

おすすめの現場管理アプリ【無料】

ここでは無料で即日導入が可能であるおすすめの現場管理アプリを3つ紹介します。

1.クラフタ

株式会社クローバのクラフタは日本コンシュマーリサーチのアンケートで現場管理アプリの使いやすさ、口コミ、始めやすさの部門で1位を獲得している完全無料のアプリです。LINEと似たメッセージ機能で使いやすく、現場の写真管理は専用のフォルダに写真が自動で格納されるため、管理が非常に簡単です。

2.テラ施工管理

TerraDX Solutions株式会社のテラ施工管理は完全無料で使える現場管理のアプリです。スマホ一台で施工から完工まで行え、写真管や案件管理が簡単なアプリです。またテラ施工管理は写真のストレージが無制限であるため多くの写真の管理が可能です。

3.HOUSEGATE

株式会社HOUTH GATEのHOUTH GATEは契約書管理から施工後のアフタフォローの提案まで行えるアプリです。施工に関する基本情報から喫煙ルールなど共有したい情報を簡単に情報共有でき、円滑に工事を進めることができます。

有料の製品はこちらの記事で紹介しています。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。現場管理について理解は深まりましたか？現場管理は現場の管理や外部の業者とのやり取りなど責任のある仕事です。そのため辛いことも多くなってしまいます。しかし、一方で完工後の達成感などやりがいの大きい仕事でもあります。現場管理は現在IT化や2024年問題など様々な要因によって変革を迎えています。現場管理で苦労してる場合は現場管理アプリの導入などによってより良い労働環境を実現しましょう。