DoS攻撃とは?DDoS攻撃との違いや対策を紹介
最終更新日:2024/05/02
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目次
DoS攻撃は、サーバーやネットワークに大量のトラフィックを送信することでサービスを利用不可能にする悪意ある攻撃手法です。近年、インターネットの普及とともにDoS攻撃の脅威は増大しており、企業や組織にとって大きな問題となっています。
本記事では、DoS攻撃の特徴や手法、DDoS攻撃との違いを解説するとともに、攻撃の背景にある動機や目的を探ります。また、DoS攻撃がもたらす深刻な被害と、それに対する効果的な対策についても解説。
インターネット社会において、DoS攻撃への理解を深め、適切な対策を講じることは極めて重要です。本記事を通じて、サイバー攻撃の脅威と対策について理解を深めましょう。
DoS攻撃とは
DoS攻撃(Denial of Service attack)は、サーバーやネットワークに大量のトラフィックを送信することで、サービスを利用不可能にする攻撃手法です。本章では、DoS攻撃の特徴や、犯人特定が難しい理由について掘り下げています。
主な攻撃手法
DoS攻撃には、さまざまな手法が存在しますが、その中でも代表的なものがメールボム攻撃とF5攻撃です。これらの攻撃手法は、サーバーやネットワークに大きな負荷をかけ、システムの可用性を損なう危険性があります。
メールボム攻撃
メールボム攻撃は、大量のメールを標的のメールサーバーに送信することで、サーバーの処理能力を超えさせ、メールサービスを利用不可能にする攻撃手法です。攻撃者は、自動化されたツールを使用して、短時間で数千から数万通ものメールを送信します。
これにより、メールサーバーはメールの処理に追われ、正規のユーザーのメールが送受信できなくなります。メールボム攻撃は、メールサーバーのリソースを枯渇させ、システムを機能不全に陥れる危険性があるでしょう。
F5攻撃
F5攻撃は、Webブラウザの更新ボタン(F5キー)を連打することで、サーバーに過剰な負荷をかける攻撃手法です。攻撃者は、短時間で大量のリクエストを送信し、サーバーの処理能力を超えさせます。
これにより、Webサイトが表示されなくなったり、サーバーがダウンしたりする可能性も。F5攻撃は、Webサーバーのリソースを消耗させ、正規のユーザーがWebサイトにアクセスできなくなる事態を引き起こします。
DDoS攻撃との違い
DoS攻撃とDDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)は、サービス妨害を目的とした攻撃手法という点で類似していますが、その実行方法には重要な違いがあります。
DoS攻撃は、単一の攻撃者が一つの攻撃元から大量のトラフィックや不正なリクエストを送信することで、標的となるシステムやネットワークを過負荷状態に陥れ、正常なサービスを提供できなくさせます。この攻撃は、比較的シンプルな手法で実行可能ですが、攻撃元が単一であるため、防御側がその攻撃元を特定し、ブロックすることで対策を講じることが可能です。
一方、DDoS攻撃は、複数の攻撃者が複数の攻撃元から同時に攻撃を行うという点で、DoS攻撃よりも複雑で大規模な攻撃となります。攻撃者は、ボットネットと呼ばれる多数の感染したコンピュータを利用して、分散された攻撃を実行。この攻撃手法では、攻撃トラフィックが複数の攻撃元から発生するため、防御側が個々の攻撃元を特定し、ブロックすることが困難となります。その結果、DDoS攻撃はDoS攻撃と比べて防御がより難しく、大規模な被害をもたらす可能性が高くなります。
DoS攻撃の犯人特定が難しい理由
DoS攻撃の犯人特定が難しい主な理由は、攻撃者が匿名性の高い手法を用いることにあります。攻撃者は、IPアドレスを偽装することで、自身の身元を隠蔽します。これにより、攻撃の発信元を特定することが非常に困難になるのです。
加えて、DoS攻撃は短時間で終了することが多く、攻撃の痕跡が残りにくいという特徴も。攻撃者は、攻撃を行った後、すぐに攻撃を停止させ、証拠を隠滅します。これにより、攻撃の実態を把握することが難しくなります。
これらの要因が組み合わさり、DoS攻撃の犯人特定を非常に困難なものにしているのです。DoS攻撃への対策として、サーバーやネットワークの冗長化、トラフィックの監視などが行われています。しかし、攻撃手法が高度化・巧妙化する中、完全な防御は困難であり、継続的な対策が必要とされています。
DoS攻撃は、インターネット社会において深刻な脅威であり、ビジネスや社会活動に大きな影響を与えるものです。サイバー犯罪への対策を強化し、安全なインターネット環境を構築することが、今後ますます重要になるでしょう。
DoS攻撃が起きる理由5選
DoS攻撃は、インターネット上のサービスやシステムを利用不能にすることを目的とした悪意ある攻撃手法です。攻撃者はさまざまな理由からDoS攻撃を仕掛けますが、その背景には悪意や不正な目的が潜んでいることが少なくありません。ここでは、DoS攻撃が起きる代表的な5つの理由について解説します。
- 妨害するため
- 抗議するため
- 他の攻撃と併用するため
- 嫌がらせするため
- 脅迫するため
妨害するため
競合他社や政治的に対立する組織のWebサイトやサービスを攻撃し、その運営を妨害することで、相手の活動を阻害しようとする場合があります。攻撃者は、相手の評判を傷つけたり、経済的損失を与えたりすることを目的としています。
例えば、ある企業が競合他社のWebサイトをDoS攻撃によって一時的にダウンさせることで、顧客を自社のサービスに誘導しようとするケースが考えられるでしょう。これらは、ビジネスや政治的な目的を達成するための不正な手段として用いられ、倫理的に問題があると言えます。
抗議するため
政府や企業の方針に反対する個人やグループが、抗議の一環としてDoS攻撃を行うことがあります。攻撃者は、自分たちのメッセージを強く訴えるために、相手のシステムを一時的に利用不能にすることを目的としています。
例えば、環境保護団体が、環境に悪影響を及ぼしていると考える企業のWebサイトをDoS攻撃で妨害し、その企業の活動に抗議するケースが考えられるでしょう。しかし、このような行為は合法的な抗議活動とは言えず、法的な責任を問われる可能性があります。
他の攻撃と併用するため
DoS攻撃は、システムの脆弱性を探るための偵察行為や、他の攻撃を隠蔽するための煙幕として利用されることがあります。攻撃者は、DoS攻撃によってシステム管理者の注意を引きつけ、その隙に別の攻撃を仕掛けようとします。例えば、DoS攻撃で大量のトラフィックを発生させ、システム管理者がその対応に追われている間に、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃を行い、データを盗み出そうとするのです。
また、DoS攻撃を行いながら、システムの応答を観察することで、脆弱性を探ろうとするケースもあります。こうした攻撃は、DoS攻撃だけでなく、他の攻撃手法と組み合わせて用いられることで、より大きな被害をもたらす可能性があります。
嫌がらせするため
個人的な恨みや嫌悪感を持つ相手に対して、嫌がらせや報復としてDoS攻撃を行う場合があります。攻撃者は、相手に精神的・経済的な損害を与えることを目的としており、悪質なサイバー犯罪の一種と言えます。
例えば、過去に対立したことのある相手のWebサイトやサービスを、DoS攻撃で一時的に利用不能にすることで、相手に嫌がらせをしようとするケースが考えられるでしょう。個人的な感情に基づく犯罪行為であり、法的な処罰の対象となります。
脅迫するため
金銭や情報を得るために、企業や組織をDoS攻撃で脅迫するケースがあります。攻撃者は、システムをダウンさせた状態を維持すると脅し、身代金を要求することがあります。この種の攻撃は、サイバー犯罪の中でも特に悪質なものと言えるでしょう。
例えば、オンラインショップやサービスに対して、大規模なDoS攻撃を仕掛け、一定の金銭を支払わなければ攻撃を止めないと脅迫するケースがあります。企業や組織は、攻撃者の要求に応じるか、法的措置を取るかの判断を迫られることになります。どちらの選択をするにせよ、DoS攻撃による脅迫は、企業や組織に大きな損害をもたらす可能性があるでしょう。
DoS攻撃がもたらす被害3選
DoS攻撃による被害は多岐にわたりますが、ここでは特に重大な3つの影響について取り上げます。
- 社会的・政治的悪影響をもたらす
- サービスが停止する
- 対応に時間がかかる
社会的・政治的悪影響をもたらす
DoS攻撃は、政府機関や重要インフラのWebサイトを標的とすることで、社会的・政治的な混乱を引き起こす可能性があります。攻撃者は、政治的な目的や思想的な主張を達成するために、DoS攻撃を利用することがあるのです。
例えば、選挙期間中に選挙管理委員会のWebサイトがDoS攻撃を受け、選挙結果の発表が遅れるといった事態が発生すれば、社会的な混乱や政治的な不信感を招く恐れがあります。また、電力会社や交通機関のWebサイトがDoS攻撃を受けることで、それらのサービスが停止し、国民生活に大きな支障をきたす可能性も。DoS攻撃がもたらす社会的・政治的な悪影響は、国民の安全や社会の安定を脅かす深刻な問題であると言えます。
サービスが停止する
DoS攻撃を受けたWebサイトやオンラインサービスは、大量のトラフィックによって過負荷状態に陥り、サービスの提供が困難になります。これにより、企業の業務が停滞し、顧客満足度の低下や収益の損失につながる可能性があるでしょう。例えば、ECサイトがDoS攻撃を受けた場合、商品の閲覧や購入ができなくなり、売上が大幅に減少する恐れがあります。
また、銀行のオンラインバンキングシステムが攻撃された場合、顧客は預金の引き出しや送金ができなくなり、大きな不便を強いられることに。さらに、緊急時の重要なサービス、例えば災害時の情報提供サイトや救急医療機関の連絡システムなどが利用できなくなることで、人々の生活や安全に深刻な影響を与える恐れもあります。
対応に時間がかかる
DoS攻撃が発生した場合、その対応には多大な時間と労力を要します。攻撃を検知し、その原因を特定するためには、専門的な知識と技術が必要です。また、攻撃を遮断するためのセキュリティ対策を講じる必要もあります。これらの対応には、多くの時間と人的リソースが費やされることになります。その間、サービスの停止が続き、企業や組織は大きな損失を被ることになるのです。
さらに、DoS攻撃によるシステムの停止は、データの損失や破損といった二次的な被害につながる恐れもあります。システムを復旧するためには、バックアップからのデータ復元や、破損したデータの修復など、多くの作業が必要となります。こうした一連の対応には、膨大な時間と労力が費やされることになるでしょう。DoS攻撃への対応の遅れは、企業や組織に大きな損失をもたらすだけでなく、顧客からの信頼を失うことにもつながりかねません。
DoS攻撃への対応・対策4つ
DoS攻撃への対応・対策として、以下のような方法が挙げられます。
- アクセスを遮断する
- IPアドレスのアクセス制限をかける
- 脆弱性診断を行う
- 対策サービスを活用する
アクセスを遮断する
DoS攻撃に対する防御策として、海外サーバーを経由する攻撃が多いことから、特定の国からのアクセスを遮断する方法があります。
例えば、日本国内のユーザーを主な対象とするWebサイトであれば、日本からのアクセスのみを許可し、それ以外の国からのアクセスを制限することが、攻撃を防ぐ有効な手段です。
このようにアクセスを地域に基づいて制限することで、不正に乗っ取られたIPアドレスからの攻撃リスクを低減できます。国外からのアクセスが必要ない場合、この方法は比較的簡単に実装でき、効果的です。
ただし、この方法を採用する際には、海外の顧客やユーザーがサービスを利用できなくなる可能性があるため、Webサイトやサービスの対象ユーザーを考慮して慎重に決定する必要があるでしょう。グローバルなサービスを提供している場合は、地域ごとにアクセス制限を調整するなどの対応が求められます。
IPアドレスのアクセス制限をかける
攻撃を行っているIPアドレスを特定し、そのアドレスからのすべてのアクセスをブロックすることも、DoS攻撃への一般的な対応策の一つです。この方法は、特定のIPアドレスからの攻撃を効果的に遮断できるため、DoS攻撃の影響を軽減する効果が期待できます。
ファイアウォールやルーターの設定で、攻撃元のIPアドレスを拒否リストに追加することで、そのアドレスからのトラフィックをすべてブロックできます。また、アクセスログを分析することで、異常なアクセスパターンを示すIPアドレスを特定し、自動的にブロックするシステムを導入することも可能です。
しかし、攻撃者がIPアドレスを頻繁に変更する場合や、複数のIPアドレスを使用する場合には、この対策だけでは十分ではない場合があります。攻撃者はプロキシサーバーや感染したコンピュータを経由してIPアドレスを変更しながら攻撃を継続することがあるため、IPアドレスのブロックは一時的な効果しか得られない可能性があります。
そのため、IPアドレスのアクセス制限は、他の対策と組み合わせて多層的に実施することが重要です。
脆弱性診断を行う
DoS攻撃対策として脆弱性診断を行うことは、システムやネットワーク内のセキュリティ上の弱点を事前に特定し、修正することによって、攻撃を防ぐ効果的な手段です。脆弱性診断により、攻撃者が利用可能なセキュリティの弱点を早期に見つけ出し、それらを修正することが可能になります。
脆弱性診断ではさまざま手法を用いて、システムの潜在的な脆弱性を網羅的に検査します。DoS攻撃では、脆弱性を突いてシステムのリソースを消費させるため、脆弱性を減らすことが攻撃の予防につながるでしょう。
この診断プロセスを通じて、システムのセキュリティを強化するための対策が明らかになります。具体的には、ソフトウェアの最新の安全なバージョンへの更新、不要なサービスの停止、適切なファイアウォール設定の適用などです。結果として、システムはDoS攻撃に対してより強固な防御を持つことになります。
さらに、脆弱性診断を行うことで、どのような攻撃が可能であるかを理解し、DoS攻撃を含む潜在的な脅威に対する具体的な対応計画を立てられるでしょう。これにより、実際に攻撃が発生した際に迅速に対応することが可能となります。
脆弱性診断は定期的に実施し、新たな脆弱性が発見された場合は速やかに対処することが重要です。また、診断結果に基づいてセキュリティポリシーを見直し、継続的にシステムのセキュリティを強化していくことが求められます。
対策サービスを活用する
WAF(Web Application Firewall)やCDN(Content Delivery Network)などのDoS攻撃対策サービスを活用することで、効果的に攻撃を防ぐことができます。
WAF
Webアプリケーションに特化したファイアウォールで、アプリケーション層での攻撃を検知・防御します。通常のファイアウォールでは防ぎきれないSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃を防ぐことが可能です。
WAFは、Webサーバーとインターネットの間に配置され、HTTPトラフィックを監視します。受信したリクエストがあらかじめ定義されたルールセットに違反している場合、そのリクエストをブロック。これにより、DoS攻撃によるリクエストの洪水を防ぐことが可能です。
CDN
コンテンツを複数のサーバーに分散して配信するサービスで、大量のトラフィックを分散処理することができます。CDNを利用することで、DoS攻撃によるトラフィックを吸収し、Webサーバーへの負荷を軽減できます。
CDNは、世界中に分散配置された多数のサーバーで構成されているのが特徴。ユーザーからのリクエストは、最も近くて負荷の少ないサーバーに振り分けられ、そのサーバーがコンテンツを配信します。これにより、レスポンス時間が短縮され、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
脆弱性診断ツールおすすめ5選
DoS攻撃対策として脆弱性診断を行うことは、システムやネットワーク内のセキュリティ上の弱点を特定し、修正することによって、攻撃を防ぐ効果的な手段です。そこで本章では、おすすめの脆弱性診断ツールをご紹介します。
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脆弱性診断ツール/サービス
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2 シナリオ作成からレポートまで、実績で磨き上げられた充実のフロー
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まとめ:DoS攻撃の対策が大切
DoS攻撃は、インターネット社会において深刻な脅威であり、ビジネスや社会活動に大きな影響を与えます。攻撃手法や犯人特定の難しさ、攻撃の動機など、DoS攻撃の概要を理解することが重要です。
また、DoS攻撃がもたらす被害は、社会的・政治的な悪影響やサービスの停止、対応の長期化など、多岐にわたります。これらの被害を最小限に抑えるためには、アクセス制限、脆弱性診断、対策サービスの活用など、適切な対策を講じる必要があります。
サイバー犯罪への対策を強化し、安全なインターネット環境を構築することが、今後ますます重要になるでしょう。DoS攻撃の脅威を理解し、適切な対策を講じることで、インターネットをより安心・安全に利用できる社会の実現につながります。
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