リード管理ツールとは?種類・料金と、個人情報保護法で求められる管理
最終更新日:2026/08/03
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『デジタル化の窓口』は、この国のデジタル課題「2025年の崖」に備えるため2022年にサービスをスタートしました。1,500以上のIT製品、4,000以上の導入事例を掲載し、特長・選び方を分かりやすく整理して解説することで、自社に最適な製品・サービスを見つけるお手伝いをする紹介サービスです。
目次
展示会やWebサイトで集めた見込み客の情報は、集めた時点では価値が確定していません。誰がいつ何に反応したのかを追える形で保持し、古くなったものを落とし、営業へ渡す順番を決めて初めて売上につながります。この一連の作業がリード管理です。ところが実務では、名刺は個人のフォルダ、問い合わせはメール、商談状況は表計算ソフトと保管場所が割れ、同じ会社の同じ担当者が三重に登録されるといった状態が起こります。
この記事では、リード管理ツール(=見込み客の情報と接触履歴を一か所に集めて更新するためのシステム)の種類と守備範囲、管理項目の設計、個人情報保護法が事業者に求めている管理の内容、そして公開されている料金を、一次情報にあたって整理します。
1. リード管理とは何を管理することなのか
リード管理という言葉は、名刺データの保管だけを指す場合と、獲得から商談化までの状態遷移まで含める場合があり、社内で意味がそろっていないことが少なくありません。最初に対象を定義しておくと、ツール選びの判断がぶれなくなります。
1-1. 管理対象は「属性」「行動」「状態」の3種類
リードに紐づくデータは、性質の異なる3種類に分かれます。
- 属性データ:会社名・部署・役職・メールアドレス・電話番号のように、本人に固有で変化が緩やかな情報
- 行動データ:資料をダウンロードした、セミナーに申し込んだ、特定のページを閲覧したといった接触の記録
- 状態データ:そのリードが今どの段階にいるか(未対応・フォロー中・商談化・失注など)
この3種類は更新の頻度も、更新する人も違います。属性データは本人の異動や転職で不定期に変わり、行動データはシステムが自動で積み上げ、状態データは営業担当者が判断して手で変えます。ツールを選ぶときは「3つのどれを主に扱う道具なのか」を見ると、製品カテゴリの違いが理解しやすくなります。
1-2. リード獲得・ナーチャリングとの位置関係
リード獲得は名前と連絡先を手に入れる工程、リードナーチャリング(=獲得したリードに情報提供を重ねて検討度合いを引き上げる活動)は関心を育てる工程です。リード管理はその両方の下に敷かれる土台にあたります。獲得した情報が正しく保持されていなければナーチャリングの配信先が作れず、状態が更新されていなければ営業に渡す対象を選べません。
1-3. 「管理できている」と言える状態の判定
管理の良し悪しは感覚で語られがちですが、次の問いに即答できるかどうかで判定できます。
- 今月獲得したリードは何件か
- そのうち営業に渡したのは何件で、まだ渡していないのは何件か
- 同じ企業から複数のリードが来ている場合、それは1件として数えられているか
- 1年以上接触のないリードは何件あり、配信を続けてよいのか
この4つに数字で答えられない状態は、道具の問題ではなく管理設計の問題です。
管理する対象が増えるのは、そもそも新しいリードが入ってくるからです。入口を増やす手段として、検討層が集まるメディアへの製品掲載があります。
2. リード管理が崩れたときに現場で起きること
管理が崩れた状態は、いきなり大きな事故として現れるわけではありません。日々の小さな摩擦として積み上がり、担当者の作業時間を削っていきます。代表的な症状を4つ挙げます。
2-1. 同じ人が複数のレコードに分かれる
展示会で名刺交換した相手が、後日フォームからも資料請求をすると、名刺由来のデータとフォーム由来のデータが別々に登録されます。姓名の表記ゆれ、メールアドレスの個人宛と代表宛の違い、部署名の変更が重なると、機械的な突合では同一人物と判定されません。結果として同じ相手に同じ案内が二重に届き、社内では見込み客の件数が実態より多く見えます。
2-2. 誰がどの情報を持っているか分からなくなる
名刺を個人の端末やフォルダに置いたままにすると、担当者が異動・退職した瞬間にその接点が消えます。組織としては接触した事実が残っていないため、後任が同じ相手にゼロから接触することになります。
2-3. 営業への引き渡しが止まる
マーケティング側で「有望」と判断しても、どの条件を満たしたら営業に渡すのかが決まっていなければ、引き渡しは担当者の裁量になります。渡す基準が人によって違うと、営業側は届いたリードの質を信用しなくなり、やがて対応されなくなります。
2-4. 古い情報のまま送り続ける
数年前に取得したまま更新していないリストへ配信を続けると、宛先不明が増え、メール配信の到達率そのものが落ちます。個人情報保護法が求める正確性の確保という観点でも、放置してよい状態ではありません。この点は第5章で条文にあたって確認します。
3. リード管理ツールの種類と守備範囲の違い

「リード管理ツール」という名前の単一カテゴリがあるわけではありません。実際には、目的の異なる複数のカテゴリが部分的に重なりながらリード管理を担っています。守備範囲を取り違えると、導入後に「思っていた機能がない」という事態になります。
3-1. MAツール
MA(マーケティングオートメーション=見込み客への情報提供とその反応の記録を自動化する仕組み)は、行動データの蓄積と、それに基づく配信の自動化を得意とします。フォーム、メール配信、Webの閲覧履歴、スコアリングを1つの製品内で完結させられるため、獲得直後から検討度合いが上がるまでの期間を担当します。一方で、商談の金額や進捗といった営業側の情報管理は主目的ではありません。
3-2. SFA・CRM
SFA(セールスフォースオートメーション=営業活動と案件の進捗を記録・共有する仕組み)とCRM(=顧客との関係と取引履歴を一元管理する仕組み)は、状態データと取引履歴の管理を得意とします。商談の金額・確度・次回アクションを扱えるため、営業に渡した後の追跡はこちらが担当します。3つの違いはMA・SFA・CRMの違いを整理した記事で用途別に比較しています。
3-3. 名刺管理サービス
名刺管理サービスは、紙の名刺をスキャンしてデータ化し、社内で共有できる状態にすることに特化しています。属性データの入口を押さえる道具で、展示会や訪問で得た接点を組織の資産に変える役割を持ちます。データ化の精度と、既存のSFA・CRMへ連携できるかどうかが選定の分かれ目になります。製品ごとの機能差は名刺管理ソフトの比較ページで確認できます。
3-4. フォーム作成ツール
フォーム作成ツールは、問い合わせや資料請求の受け口を作り、送信された内容を一覧で管理します。獲得件数が少ない段階では、これだけでリード管理が成立する場合もあります。ただし行動データの蓄積や配信の自動化までは扱わないため、件数が増えると別のカテゴリへ移行することになります。
3-5. 汎用の業務アプリ基盤
表計算ソフトの延長で自社の管理項目を自由に定義できる業務アプリ基盤も、リード管理の受け皿になります。項目やステータスを自社の商流に合わせて作り込める反面、メール配信やWeb行動の追跡といった機能は標準では持たないため、外部サービスとの組み合わせが前提になります。
| 種類 | 主に扱うデータ | 得意なこと | 単独では扱いにくいこと |
|---|---|---|---|
| MAツール | 行動データ | 配信の自動化、反応の記録、検討度合いの可視化 | 商談の金額・進捗の管理 |
| SFA・CRM | 状態データ、取引履歴 | 案件の進捗共有、担当者の割り当て、実績の集計 | 獲得前のWeb行動の追跡 |
| 名刺管理サービス | 属性データ | 紙の名刺のデータ化と社内共有 | 検討度合いの判定、配信の自動化 |
| フォーム作成ツール | 属性データ | 受け口の作成と送信内容の一覧管理 | 継続的な接触履歴の蓄積 |
| 業務アプリ基盤 | 自社定義の項目 | 商流に合わせた項目・ステータス設計 | メール配信、Web行動の追跡 |
どのツールを選んでも、入ってくるリードの質は入口で決まります。比較検討の段階にいる読者から問い合わせが届く経路は、その質を上げる方法の一つです。
4. 管理項目とステータスをどう設計するか

ツールを入れる前に決めておくべきことがあります。何を項目として持ち、どのキーで同一人物とみなし、どの状態を経て営業に渡すかです。ここが曖昧なままでは、どの製品を選んでも同じ問題が再発します。
4-1. 最低限そろえる項目
BtoBのリード管理では、個人を特定する項目(氏名・メールアドレス)と、所属組織を特定する項目(会社名・部署・役職)を分けて持つのが基本です。加えて、いつ・どの経路で取得したかを表す取得日と取得元は必須にします。取得元が記録されていないリードは、後から施策ごとの効果を分解できません。
4-2. 名寄せのキーをどう決めるか
名寄せ(=別々に登録された同一人物・同一組織のデータを1件にまとめる作業)のキーとして最も安定するのはメールアドレスです。ただし代表アドレスが使われる場合や、転職で変わる場合があるため、単独では不十分です。実務では、メールアドレスの完全一致を第1のキーに、会社名と氏名の組み合わせを第2のキーに置き、第2のキーで一致したものは自動統合せず確認対象として一覧に出す、という二段構えが扱いやすくなります。
4-3. ステータスの定義は「誰が変えるか」まで決める
ステータスは数を増やすほど運用が破綻します。未対応・育成中・営業引き渡し済み・商談中・失注・配信停止のように、6程度に収めたうえで、それぞれを誰の判断で変えるのかを明記します。マーケティング側が変えてよいのは引き渡しまで、それ以降は営業側、といった線引きです。
4-4. 更新責任と入力タイミングを業務に埋め込む
更新は「気づいた人が直す」では続きません。名刺は取り込んだ当日、商談結果は当日中、配信停止の申し出は受領後すぐ、というように、既存の業務のどこで手を動かすかを決めておきます。個人情報保護委員会のガイドラインも、正確性の確保の具体策として「個人情報データベース等への個人情報の入力時の照合・確認の手続の整備、誤り等を発見した場合の訂正等の手続の整備、記録事項の更新、保存期間の設定等」を挙げています。
4-5. 「常に最新」を目指さなくてよい
同じガイドラインは、保有する個人データを一律に又は常に最新化する必要はなく、それぞれの利用目的に応じて必要な範囲内で正確性・最新性を確保すれば足りる、という趣旨を示しています。全件を追いかけるのではなく、配信対象や商談対象など、実際に使う範囲から更新の優先順位を付けるのが現実的です。
出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)
取得元を管理項目に持たせるなら、掲載メディア経由は流入元がはっきり分かれる経路です。
5. 個人情報保護法がリード管理に求めていること

リードの情報は個人情報にあたり、データベース化して業務に使えば個人データとして扱われます。ツール選定の前に、法律が事業者に何を義務づけているかを条文で確認しておきます。以下の条文は個人情報保護委員会が公開しているガイドライン(通則編・令和8年6月14日改正)から引用しています。
5-1. 正確性の確保と、使わなくなったデータの消去
法第22条は次のように定めています。「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。」
消去が求められる場面の例として、ガイドラインは「キャンペーンの懸賞品送付のため、当該キャンペーンの応募者の個人データを保有していたところ、懸賞品の発送が終わり、不着対応等のための合理的な期間が経過した場合」を挙げています。単発の施策で集めたリストを目的終了後も保持し続ける運用は、この趣旨から外れます。保存期間をあらかじめ決めておくことが、そのまま法対応にもなります。
5-2. 安全管理措置として求められる7つの領域
法第23条は「個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」と定めています。
ガイドラインの別添「講ずべき安全管理措置の内容」は、その中身を基本方針の策定、個人データの取扱いに係る規律の整備、組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置、外的環境の把握の7つに整理しています。ツール導入で自動的に満たせるのは技術的な部分の一部にすぎず、規律の整備や教育は別途必要です。
5-3. 従業者と委託先、双方への監督義務
法第24条は、従業者に個人データを取り扱わせるにあたって必要かつ適切な監督を行うことを求めています。ガイドラインは「従業者」に、雇用関係にある従業員だけでなく取締役や派遣社員も含むと明記しています。リード情報の閲覧権限を誰に与えるかは、この条文の範囲の話になります。
個人データの取扱いを外部に委託する場合は、法第25条が「個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。」と定めています。ガイドラインは、委託元が講ずべき措置の第一に「適切な委託先の選定」を挙げ、委託先においても法第23条に基づき自らが講ずべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう監督するものとしています。
製品比較の際に、機能や料金と同じ重みでセキュリティ体制の開示状況を見るべき理由がここにあります。また、委託する業務内容に対して必要のない個人データを提供しないことも当然の前提とされており、外部に渡すデータの範囲は契約前に決めておく必要があります。
5-4. 本人が知り得る状態に置くべき事項
法第32条第1項は、保有個人データに関して、事業者の氏名または名称および住所(法人の場合は代表者の氏名)、全ての保有個人データの利用目的、開示等の請求に応じる手続、その他政令で定める事項について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)に置かなければならないと定めています。自社サイトのプライバシーポリシーがこの要件を満たしているかは、リード管理ツールの導入時に合わせて点検しておく項目です。
5-5. 漏えいが起きたときの報告は年間1万件規模
管理の失敗は報告義務につながります。個人情報保護委員会が公表した令和6年度年次報告の概要によれば、同年度に個人情報取扱事業者等に対する監督として処理した漏えい等事案に関する報告は14,198件で、前年度の7,075件から増えています。この件数には、1件のランサムウェア被害事案に関する漏えい等報告2,745件が含まれると注記されています。
直近の四半期でも規模は変わっていません。令和7年度第2四半期における個人情報の漏えい等報告の処理件数は4,533件で、うち個人情報取扱事業者に関するものが3,921件でした。委員会は、要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等が多く生じており、その大半は病院や薬局における誤交付によるものだと説明しています。
加えて、不正アクセス等によるものや、クレジットカードの誤送付など財産的被害が生じるおそれがある事態に該当するものも多く見られるとしています。リード情報の管理においても、誤送信という日常的な操作ミスが報告義務に直結し得る点は押さえておく必要があります。
出典:令和6年度年次報告の概要について(個人情報保護委員会・令和7年6月)/令和7年度第2四半期における漏えい等報告の処理状況(個人情報保護委員会・令和7年12月10日)
6. 公開されている料金から見る費用の目安
リード管理に使われる製品は、カテゴリによって課金の単位が異なります。ユーザー数課金が中心のSFA・CRMや名刺管理と、保有件数や配信数で決まるMAツールでは、同じ人数でも総額が大きく変わります。ここでは各社が公式サイトで公開している料金を、記載どおりに並べます。
6-1. 業務アプリ基盤:kintone
サイボウズの「kintone」は、月額料金がライトコース1,000円、スタンダードコース1,800円、ワイドコース3,000円(いずれも1ユーザーあたり・税抜)と公開されています。
最低契約ユーザー数はライトとスタンダードが10ユーザー、ワイドは1,000ユーザーで、初期費用は無料です。年額契約の場合は1ユーザーあたりライト12,000円、スタンダード21,600円、ワイド36,000円(税抜)と記載されています。
6-2. SFA・CRM:Zoho CRMとGENIEE SFA/CRM
「Zoho CRM」は年間契約時の月額換算で、スタンダード1,760円、プロフェッショナル3,260円、エンタープライズ5,660円、アルティメット7,360円(1ユーザーあたり・税抜)と公開されています。3ユーザーまで使える無料プランも用意されています。
ジーニーの「GENIEE SFA/CRM」は、スタンダード3,450円、プロ9,000円、エンタープライズ12,000円、プレミアム32,000円(いずれも1IDあたりの月額・税抜)で、最低契約期間は1年と記載されています。最低利用ユーザー数と初期費用については、料金ページに記載がありません。
6-3. 名刺管理:CAMCARD BUSINESS
「CAMCARD BUSINESS」は、STANDARDが1ユーザーあたり月額1,700円、PROFESSIONALが2,500円(いずれも税抜)で、いずれも5ID以上・年間契約のみ・初期費用0円と記載されています。100ID以上向けのENTERPRISEは料金の記載がなく、問い合わせ扱いです。機能面の詳細はCAMCARDの料金と評判をまとめた記事でも取り上げています。
6-4. 費用を見積もるときの注意点
ユーザー数課金の製品は、営業部門全員に配るのか、一部の担当者だけに配るのかで総額が数倍変わります。閲覧のみの利用者にも同額のライセンスが必要かどうかは、契約前に確認すべき項目です。また最低契約期間が1年と定められている製品では、試用期間中に運用が回るかどうかを見極める必要があります。
| 製品 | 下位プランの月額(税抜) | 上位プランの月額(税抜) | 契約条件として記載されている事項 |
|---|---|---|---|
| kintone | 1,000円/1ユーザー | 3,000円/1ユーザー | 最低10ユーザー(ワイドは1,000ユーザー)、初期費用無料 |
| Zoho CRM | 1,760円/1ユーザー | 7,360円/1ユーザー | 年間契約時の月額換算、3ユーザーまでの無料プランあり |
| GENIEE SFA/CRM | 3,450円/1ID | 32,000円/1ID | 最低契約期間1年 |
| CAMCARD BUSINESS | 1,700円/1ユーザー | 2,500円/1ユーザー | 5ID以上、年間契約のみ、初期費用0円 |
出典:kintone 料金プラン(サイボウズ)/Zoho CRM 料金プラン(ゾーホージャパン)/GENIEE SFA/CRM 料金プラン(ジーニー)/CAMCARD BUSINESS 料金プラン
ツールの費用を検討する前に、そもそも管理すべきリードが十分に入ってきているかを確認する価値があります。
7. 公開事例に見る、崩れた管理の立て直し方
ここでは、ツール提供各社が公開している導入事例から、リード管理が崩れていた状態と、その立て直し方が読み取れるものを取り上げます。数値が公開されているものと、定性的な記述にとどまるものが混在するため、その区別も併せて示します。
7-1. 担当者ごとに道具と手順が違っていた例
安否確認システム「安否コール」を提供する株式会社アドテクニカは、「Kairos3」の導入事例で、導入前の状態を「担当者ごとにメールの送り方や使っているツールがバラバラで、運用が属人化していた」と説明しています。
セミナー申込者の情報は表計算ソフトで管理しており、手作業が多発していたことも挙げられています。導入後はメール配信の作業時間が1時間から15分に短縮され、配信頻度は月1回から週1回に増加、開封率は平均で10%向上したと記載されています。道具を統一したこと自体より、作業時間が短くなった結果として配信頻度を上げられた点が本質的な変化です。
7-2. 名刺と商談情報が個人持ちだった例
創業1900年でガソリンスタンド運営や法人向けの潤滑油・重油販売などを手がける明石石油株式会社は、同じくKairos3の事例で、導入前は「名刺・商談情報は各営業担当者が個別管理しており、組織での共有が不十分だった」「顧客情報はExcelで管理し、営業会議用の報告資料は別途作成していたため、情報が分散していた」と述べています。
導入後の効果としては顧客情報の集約、営業案件の可視化、会議の効率化が挙げられていますが、具体的な成果数値は公開されていません。
7-3. 展示会で集めた名刺が死蔵していた例
製造業向けの外観検査装置を開発・製造する株式会社ヒューテック(従業員206名)は、「List Finder」の導入事例で、「展示会で名刺交換した方に対するフォローは出展直後に一度おこなうだけで定期的なメール配信などはとくにせず、有効活用できているとはいいにくい状態だった」と説明しています。
過去に商談した相手へのアプローチ先の選定も各営業担当者の判断に委ねられ、平準化できていなかったとされています。こちらも導入後の具体的な成果数値は公開されておらず、取り組みの方針が示されている段階です。
7-4. 立て直しの順番
3社の事例に共通するのは、情報が個人や部門に分散していた点と、判断基準が個人の裁量に委ねられていた点です。立て直すときの順番は、まず保管場所を1か所に決め、次に管理項目とステータスの定義をそろえ、その後に自動化を足す、という流れになります。
自動化を先に入れても、統合されていないデータの上では動きません。移行時は全件を一度に移すのではなく、直近1〜2年に接触のあるリードから移し、古いデータは保存期間の方針を決めたうえで扱いを判断するのが現実的です。
出典:株式会社アドテクニカ 導入事例(Kairos3)/明石石油株式会社 導入事例(Kairos3)/株式会社ヒューテック 導入事例(List Finder)
自社で業務システムやSaaSを提供している場合は、以下からデジタル化の窓口への掲載についてご相談いただけます。
製品を提供している企業のご担当者は、こちらから「デジタル化の窓口」への掲載についてご相談いただけます。
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8.【まとめ】管理項目を決めてから道具を選ぶ
リード管理ツールは、属性・行動・状態という性質の異なる3種類のデータのうち、どれを主に扱うかでカテゴリが分かれています。MAツールは行動データ、SFA・CRMは状態データと取引履歴、名刺管理サービスは属性データの入口を担い、単独ですべてを賄える製品はありません。
SFAの比較ページやCRMの比較ページ、MAツールの比較ページで、自社が埋めたい範囲を先に決めてから候補を絞ると判断が早くなります。複数のシステムに散った顧客データを統合する層まで検討する場合は、CDPツールの解説記事も参考になります。
あわせて、リードの情報は個人データとして法律の対象になります。正確性の確保と不要になったデータの消去(法第22条)、安全管理措置(法第23条)、従業者の監督(法第24条)、委託先の監督(法第25条)、本人が知り得る状態に置くべき事項(法第32条第1項)は、ツールを入れれば自動的に満たされるものではなく、社内の規律と運用で担保する部分が残ります。
漏えい等の報告が年間1万件規模で処理されている現状を踏まえれば、権限設計と保存期間の方針は導入と同時に決めておくべき項目です。
まず着手すべきことは1つです。管理項目とステータスの定義を紙1枚に書き出し、それを満たせる製品だけを候補に残してください。
デジタル化の窓口では、SaaSやITツールを提供する企業からの製品掲載のご相談を受け付けています。自社製品を検討中の企業に届けたいとお考えの方は、以下よりお問い合わせください。
よくある質問
リード管理とは何を指しますか。
見込み客の情報を、属性データ(会社名・部署・連絡先)、行動データ(資料ダウンロードやセミナー参加などの接触履歴)、状態データ(未対応・育成中・営業引き渡し済みなど)の3種類に分けて保持し、更新し続けることを指します。名刺データの保管だけではなく、営業へ引き渡す判断までを含みます。
リード管理ができているかどうかはどう判定しますか。
今月獲得したリードは何件か、うち営業に渡したのは何件か、同じ企業からの複数リードを1件として数えられているか、1年以上接触のないリードは何件あるか。この4つに数字で即答できなければ、道具ではなく管理設計の問題です。
MAとSFA・CRMはリード管理でどう使い分けますか。
MAツールは行動データの蓄積と配信の自動化を得意とし、獲得直後から検討度合いが上がるまでを担当します。SFA・CRMは状態データと取引履歴の管理を得意とし、営業に渡した後の商談の進捗を追います。両方を単独で賄える製品は少なく、埋めたい範囲を先に決める必要があります。
名寄せのキーは何を使うのが適切ですか。
最も安定するのはメールアドレスの完全一致です。ただし代表アドレスが使われる場合や転職で変わる場合があるため単独では不十分です。メールアドレスを第1のキー、会社名と氏名の組み合わせを第2のキーに置き、第2のキーで一致したものは自動統合せず確認対象として一覧に出す二段構えが扱いやすくなります。
ステータスはいくつくらい設けるべきですか。
未対応・育成中・営業引き渡し済み・商談中・失注・配信停止のように6程度に収めるのが実務的です。数を増やすほど運用が続きません。同時に、それぞれを誰の判断で変えるのかを明記してください。
個人情報保護法はリードデータの更新について何を求めていますか。
法第22条は、利用目的の達成に必要な範囲内において個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければならないと定めています。ただしガイドライン(通則編)は、保有する個人データを一律に又は常に最新化する必要はなく、利用目的に応じて必要な範囲で良いとしています。
安全管理措置はツールを導入すれば満たせますか。
満たせません。ガイドラインの別添は、基本方針の策定、取扱いに係る規律の整備、組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置、外的環境の把握の7つを挙げています。ツールで自動的に満たせるのは技術的な部分の一部にとどまり、規律の整備や従業者教育は別途必要です。
クラウド型のリード管理ツールを使うときに注意すべき法上の点は何ですか。
個人データの取扱いを外部に委託する場合、法第25条が委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。ガイドラインは適切な委託先の選定を第一に挙げ、委託先にも自らが講ずべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう監督するものとしています。また、委託する業務内容に対して必要のない個人データを提供しないことも前提とされています。
リード管理に使えるツールの料金はどの程度ですか。
公式サイトで公開されている料金では、kintoneが1ユーザーあたり月額1,000円から3,000円(税抜・最低10ユーザー)、Zoho CRMが年間契約時の月額換算で1,760円から7,360円(税抜)、GENIEE SFA/CRMが1IDあたり月額3,450円から32,000円(税抜・最低契約期間1年)、CAMCARD BUSINESSが1ユーザあたり月額1,700円から2,500円(税抜・5ID以上・年間契約のみ)となっています。
既存のリードデータを新しいツールに移すときの順番は。
全件を一度に移すのではなく、まず保管場所を1か所に決め、次に管理項目とステータスの定義をそろえ、その後に自動化を足す順番になります。データは直近1から2年に接触のあるリードから移し、古いものは保存期間の方針を決めたうえで扱いを判断するのが現実的です。
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