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経理代行の選び方・費用相場ガイド【中小・スタートアップ向け】|記帳代行・税理士との違い・依頼範囲・費用相場

目次

経理代行は、記帳から請求・支払、給与計算、決算の準備までを外部に任せるサービスですが、任せられる範囲も料金体系も会社によって大きく異なります。このガイドでは、経理実務を外部に委託したい中小企業・スタートアップの発注側の視点で、記帳代行や税理士との違いから、そもそも外注すべきかの見極め、依頼範囲の決め方、費用相場、失敗しない選び方までを一度に整理します。

まず相場観と「選ぶ物差し」を持っておくと、目先の月額の安さや呼び水価格に惑わされずに、自社に合う一社を見極めやすくなります。地域ごとの具体的なおすすめ会社は、この記事を入口に各地域の記事へつないでいきます。

1. 経理代行とは?記帳代行・税理士との違い

経理代行は、記帳だけでなく請求・支払・給与・経費精算・決算資料の準備までを担う経理実務の外部委託です。依頼先を選ぶ前に、記帳代行・経理代行・税理士がそれぞれ担える範囲を分けて理解すると、任せたい業務と税理士に連携すべき業務を整理しやすくなります。

記帳代行・経理代行・税理士の違い

依頼先 主な役割 依頼内容の例
記帳代行 会計帳簿を整える一工程 証憑をもとにした仕訳入力、会計ソフトへの入力、帳簿作成
経理代行 日常的なバックオフィス実務をまとめて担う 記帳、請求書発行、入金消込、支払処理、経費精算、給与計算、年末調整に向けた資料整理、月次・決算資料の作成補助
税理士 税務の専門判断と法定手続を担う 税務代理、税務書類の作成、税務相談

記帳代行は、会計ソフトへの入力や帳簿作成を中心とするサービスです。経理代行はその範囲を広げ、請求から支払、給与、経費、月次資料まで、社内の経理担当者が担う実務を業務単位で委託します。どこまで含めるかは事業者ごとに異なるため、「経理代行」という名称だけで判断せず、見積もり対象の業務まで確認しておきましょう。

一方、税理士には税務代理、税務書類の作成、税務相談という独占業務があります。経理代行へ日常業務を委託していても、申告や個別の税務判断は税理士の担当領域として切り分けます。制度上の詳しい線引きは第4章で確認しますが、ここでは「経理実務を整える相手」と「税務を判断・代理する相手」は別の役割になり得る、と捉えてください。国税庁「税理士の業務」

選定時は「どの工程を渡すか」から考える

経理代行を比較するときは、記帳の有無だけでなく、自社の業務フローのどこからどこまでを依頼するかという観点で見比べます。たとえば請求書発行だけを残すのか、支払予定の作成や振込処理まで委託するのか、給与計算は別にするのかによって、必要な体制や確認事項は変わります。

特に、税理士との連携方法を先に確認しておくと、役割の抜けや重複を防げます。経理代行には日々の証憑整理・入力・資料作成を、税理士には申告や税務判断を依頼する形が典型です。委託範囲、責任分担、税理士へ渡す資料と時期を、契約前に言葉にしておくことが後の比較の土台になります。

経理実務の外注を検討しやすくなっている背景

制度対応と業務のデジタル化により、経理は入力作業だけでは完結しにくくなっています。外注の可否を考える際も、単に人手を補う手段としてではなく、証憑の受け渡し・確認・保存までを安定して回せる体制かという視点が必要です。

インボイス制度は2023年10月に始まり、仕入税額控除では原則として帳簿と適格請求書等の保存が求められます。請求・支払業務を委託するなら、請求書をどのように確認し保存するかを、事前に把握しておく必要があります。国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」

また、電子取引データの保存は2024年1月から義務化され、電子的に受け取った請求書や領収書は電子データのまま保存する対応が必要です。委託後も保存義務は事業者側に関わるため、代行先がどのようにデータを受領・検索・保管するかは選定時に確かめるべき点です。財務省「令和6年1月スタート 電子帳簿等保存制度の内容と中小企業の対応策」

人材確保の難しさも、業務を外部の専門体制へ分担する動きを後押ししています。帝国データバンクの2024年10月調査では、正社員が不足していると答えた企業は51.7%でした。帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」

クラウド会計も、外部との情報共有をしやすくする基盤です。個人事業主を対象とした2025年3月末時点の調査では、クラウド会計ソフト利用率は38.3%でした。これは法人を含む全事業者の利用率ではありませんが、自社の利用ソフトや証憑連携の方法に対応できるかを、依頼先比較の基準にする理由になります。MM総研「個人事業主のクラウド会計利用率は38.3%へ、拡大基調続く」

次章では、この地図をもとに、どの業務を外注対象にするか、依頼範囲をどのように決めるかを考えます。

2. そもそも外注すべきか?クラウド会計での内製効率化で足りるかを見極める

経理代行を選ぶ前に、そもそも外注が自社にとって最適解なのかを一度立ち止まって確かめる価値があります。ここでの本当の目的は「経理を外注すること」ではなく、採用や教育の負担、担当者一人に業務が偏る属人化や退職のリスクを抱えずに、正確な数字を安定して回して経営判断に使える体制を持つことです。この目的から逆算すると、打ち手は外注だけではありません。クラウド会計を使った内製の効率化、記帳だけを外に出す中間解、経理代行やオンライン経理へのフル委託まで、いくつかの選択肢を並べたうえで、自社がどこに当てはまるかを見極めていきます。

まず「内製で足りるか」を問う

外注を検討する前に確かめたいのが、クラウド会計で自社がこなせる範囲がどこまで広がったかです。freeeは簿記の知識が浅くても取引登録から仕訳を自動作成し、マネーフォワードは複式簿記ベースで銀行明細を自動取込して仕訳するため、以前なら専任者が必要だった作業を兼務でも回せる場面が増えました。個人事業主のクラウド会計ソフトの利用率は38.3%まで拡大し、弥生・freee・マネーフォワードの上位3社で9割超を占めるほど普及しています。取引量が少なく社内に数字を読める人がいるなら、ソフトの導入と運用の見直しだけで解決することもあります。どのソフトをどう使い分けるかは別の章に譲り、ここでは「内製の効率化で足りるかどうか」だけを判断してください。

外注に倒す3つの根拠

内製では吸収しきれないと分かるのは、たいてい次の3点が重くなったときです。

1つ目は採用と教育の固定費です。経理専任を正社員で雇うと、月給30万円でも社会保険料の会社負担分だけで年約55万円、給与と社保で年約415万円、賞与や福利厚生まで含めると年約515万円に達します。経理正社員の平均年収も約432万円が目安で、人材紹介を使えば採用時に理論年収の30〜40%、年収400万円の人で約140万円の手数料が一度に乗ります。人件費は業務量が減っても下がらない固定費であるのに対し、経理代行費用は業務量に応じて調整しやすい変動費に近く、この差が外注を検討する起点になります。

2つ目は一人経理の属人化と退職リスクです。担当が一人だと業務がブラックボックス化し、急な休職や退職で支払いの遅延、給与計算の停止、資金繰りの不透明化が起こります。採用し直しても入社まで1〜3か月、その後のOJTに2〜6か月かかり、結局また一人体制に戻って属人化は解けません。3500社超のバックオフィスを見た公認会計士も、経理は件数では通常業務が9割でも時間配分は逆転し、イレギュラー対応に9割を費やすと指摘し、ベテランの暗黙知を2週間〜1か月の引き継ぎで移すのは難しいとしています。複数名のチームで受ける経理代行なら、一人に依存せず業務が止まりにくくなります。

3つ目は決算期や年末調整のように、特定の時期だけ工数が跳ね上がる業務です。平時の人員に合わせると繁忙期に回らず、繁忙期に合わせると平時が過剰になります。必要な時期だけ工数を足せる外注は、この山を平らにする手段になります。

内製と外注の「中間解」という選択肢

内製か純粋な外注かの二択で考えると選択を誤ります。必要な業務や時期だけ外に出す中間解があり、取引量が少ないうちは記帳だけを業者に任せるほうが、人を雇うより安く収まることもあります。自社が置かれた状況に近い一手から検討してください。

手段 費用の目安 向いているケース
クラウド会計で内製 ソフト利用料と自社の作業時間が中心 取引量が少なく、簿記の分かる担当や兼務でも回る
記帳代行(業者・税理士) 業者は月100〜250件で6,000〜20,000円、税理士は月3〜4万円台から 記帳は手放しつつ、数字は自社で見ておきたい
経理派遣・スポット 首都圏の経験者で時給1,800〜2,500円 繁忙期や欠員の穴埋めで、工数だけ足したい
経理代行・オンライン経理(フル) 月5〜30万円(範囲や稼働による) 属人化を解消し、記帳から決算補助まで安定して回したい

内製か外注かを見極める4つの軸

最終的な判断は、次の4つの軸を自社に当てはめて行います。どれか1つで決めるのではなく、掛け合わせて重心を探ってください。

  • 経理知識の有無。社内に簿記の分かる人がいればクラウド会計での内製に寄せられ、いなければミスの再発コストを考えて外注寄りに倒します。
  • 取引量。仕訳が少ないうちは内製やスポットで足り、件数が増えるほど変動費の外注が固定費の採用より費用を読みやすくなります。
  • 事業フェーズ。立ち上げ期は内製の効率化で十分でも、拡大して数字を経営判断に使い始めたら体制化や外注の検討時期です。
  • 将来の内製化計画。いずれ自社で経理を持つつもりなら、業務が可視化される形で外注し、後から引き継げるようにしておきます。

外注を選ぶときも「丸投げ」にしない

外注に倒す場合でも、任せきりにすると目的から遠ざかります。試算表の提出が3か月に1回や年に1回に遅れる委託先だと、赤字化に気づくのが遅れることがあり、依頼範囲を決めずにあれこれ頼んでオプションが積み上がり、自社でやるより割高になった例も報告されています。どこまでを誰に任せるか、外注先をどのタイプから選ぶかは別の章で扱いますが、資金繰りの判断や、試算表を読んだうえでの経営判断だけは、事業を最もよく知る自社に残すのが原則です。ここを手元に置くことが、冒頭に挙げた「数字を経営判断に使える体制」につながります。

3. 何をどこまで頼むか=依頼範囲の設計(記帳だけ丸投げ〜フルアウトソース)

経理代行は、作業を多く渡すほど便利になる一方で、承認権限や数字を読む役割まで外に出さない設計が欠かせません。まずは「人手が足りない作業」と「経営者・社内が持つべき判断」を分け、必要な範囲だけを委託することが、費用と統制の両方で失敗しにくい進め方です。

依頼範囲は作業の代行から段階的に広げる

「記帳だけを任せたい」のか、「請求・支払・給与まで日常業務をまとめて任せたい」のかで、必要な体制も見積もりの見方も変わります。経理代行では、記帳、請求書発行、売掛・買掛管理、経費精算、給与計算、振込データ作成、資金繰り表作成などを段階的に委託できます。決算書作成や税務申告まで含める場合は、税理士の関与が前提です。経理代行で委託できる業務の解説

委託の段階 主に任せる作業 社内に残す役割
記帳のみ 証憑整理、仕訳入力、会計ソフトへの登録 資料を期限どおり渡すこと、月次数字の確認、取引内容の説明
請求・入金管理まで 請求書発行、入金消込、売掛金の一覧化 値引き・請求条件の決定、未回収先への対応方針
支払事務まで 請求書の受領・照合、支払予定表、振込データ作成 支払承認、銀行での最終実行、資金繰り判断
給与・年末業務まで 給与計算、勤怠データの集計、年末調整の準備補助 勤怠・人事情報の確定、例外処理の承認、有資格者との契約確認
経費精算まで 申請内容の一次確認、領収書管理、精算データ作成 経費規程の決定、不正・例外経費の承認
月次・決算資料まで 試算表、月次報告資料、決算用資料の作成補助 数字の解釈、予算・投資・資金繰りなどの経営判断

いきなり最も広い範囲を契約する必要はありません。資料回収や記帳の流れが整ってから請求・支払へ広げるほうが、責任分界と追加料金を確認しやすくなります。業務内容を曖昧にしたまま依頼すると、オプション料金が重なったり、引き継ぎ漏れで手戻りが起きたりする例もあります。経理代行導入時の失敗事例

支払を任せても承認と出金は社内に残す

支払代行は負担を減らしやすい領域ですが、請求書確認から振込実行までを一者に集めると、誤払いや不正を見つけにくくなります。代行先には請求書の照合、支払予定表、振込データの作成までを任せ、最終承認と銀行での実行は経営者または社内責任者が行う設計が基本です。

  • 銀行ID、印鑑、クラウド会計の管理者権限をまとめて渡さない
  • 支払予定表を、承認者が支払日前に確認できる状態にする
  • 新規取引先、口座変更、高額支払は通常の支払と別の承認経路を設ける
  • 会計データと証憑データの所有権、閲覧権限、契約終了時の返却方法を契約前に決める

資金繰りの優先順位、重要支払の最終承認、経営KPIの確認、投資判断は社内に残すべき領域です。「判断」と「実行」を分けることで、外部の実務力を使いながら内部統制を保ちやすくなります。経理代行に任せる範囲と内部統制の考え方

丸投げでも、数字を見る習慣までは外注できません

経理を外注すると、社内に処理のノウハウが残りにくく、試算表を受け取るだけになれば数字から経営判断をする機会も失われます。実務者からは、資金繰り判断、節税の方向性、試算表の解釈や経営の意思決定は発注者自身が担うべきだという指摘があります。経理を丸投げする際に残すべき判断の解説

契約前には、月次報告が「いつ」「どの形式で」「誰に」届くかを確認してください。試算表の提出が遅いと、赤字や資金不足への気付きも後ろ倒しになります。月次報告を受ける担当者を社内で決め、売上、粗利、固定費、売掛金、預金残高など、自社で毎月見る数字をあらかじめ定めておくと、外注後も経営の解像度を保てます。報告遅延が経営判断に及ぼす影響の解説

給与・年末調整・決算は担当の切り分けを確認

給与計算そのものは経理代行に依頼できますが、給与に付随する健康保険、厚生年金、雇用保険などの申請書類作成・提出を報酬を得て反復継続して行うことは、社会保険労務士の独占業務です。社会保険手続きまで含めるなら、担当する社会保険労務士または社会保険労務士法人が明示されているかを確認しましょう。社会保険手続きと社労士業務の解説

同様に、年末調整に伴う源泉徴収票や法定調書の作成・提出、税務申告は税理士業務に当たります。経理代行が「年末調整対応」「決算対応」と案内していても、どこまでが作業補助で、どの税理士が税務書類の作成・提出を担うのかを確かめておきましょう。税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務です。国税庁「税理士の業務」

自社の依頼範囲を仮決めする3つの質問

見積もりを集める前に、次の質問へ答えられるようにすると、必要なサービスだけを比較できます。

  • 毎月遅れやすい作業は何か。記帳、請求、支払、給与、経費精算のうち、まず外したい実務を一つ決めます。
  • 誰が数字を確認し、誰が支払を承認するか。担当者不在の場合も含めて定めます。
  • 税理士・社労士が必要な業務をどこまで含めるか。既存の顧問先との役割分担も整理します。

この時点では、「記帳と月次資料まで」「記帳・請求・支払データ作成まで」のように仮決めで十分です。範囲が決まれば、次に委託先のタイプが自社に合うかを第5章で見極め、業務量に対して費用が妥当かを第6章で確認します。

4. 税理士に記帳も頼むか、経理代行か=役割分担と連携(申告は税理士)

経理代行と税理士は競合ではなく、担える仕事が法律で分かれている相手です。記帳や請求・支払、給与計算、決算の補助までは資格がなくても引き受けられますが、確定申告や税務相談は税理士だけの仕事です。ここを混同すると委託先選びの段階から間違えます。この章では、どこまでを経理代行に任せ、どこから税理士に接続する設計にすべきかを、法律の線引きから整理します。

税理士だけができる3つの仕事

まず押さえたいのは、税理士には法律で独占が認められた業務がある点です。国税庁は、税理士の業務を税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つと定めています。税務代理は申告や申請を納税者に代わって行うこと、税務書類の作成は確定申告書や決算書など税務署へ提出する書類をつくること、税務相談は納税額の計算や節税といった個別具体的な相談に応じることを指します。

この3つは、たとえ無報酬でも税理士以外は行えません。いわゆる無償独占で、「無料で税務相談にも乗ります」と案内する無資格の業者がいたとしても、その行為自体が違法になり得ます。違反した場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され得るため、無料をうたって税務判断まで踏み込む相手は、むしろ避けるべき目印だと考えてください。

経理代行に頼める範囲と、踏み込めない一線

裏を返せば、税務署に対して行うわけではない日々の経理実務は、税理士でなくても引き受けられます。記帳や給与計算、試算表・財務諸表の作成は独占業務に当たらず、経理代行に任せられる領域です。一方で、確定申告書の作成や申告の提出代行、納税額の算出、節税の助言、「この領収書は会議費で落として大丈夫か」といった税務上の判断は税理士だけの仕事にあたります。経理代行が担えるのは記録と実務までで、税額の計算や申告に踏み込めば違法になる、という一線を委託契約で確かめておく必要があります。

経理代行と税理士、2通りの組み方

この線引きが分かると、体制の組み方は大きく2通りに絞れます。自社の経理量と、実務をどこまで外に出したいかで選び分けるのが基本です。

  • 税理士に記帳もまとめて頼む形。税理士のいる経理代行会社や顧問契約に記帳を付帯させ、日々の記帳から決算・申告までを一つの窓口で回します。申告と経理が一体で動くため、取引量がそれほど多くない小規模の会社と相性が良い組み方です。
  • 経理代行に実務を任せ、申告は税理士に接続する形。日々の記帳・請求・支払・給与を経理代行に任せ、申告と最終チェックは提携または自社の税理士が担う分業です。経理の量が多く実務を厚く回したい会社に向きます。無資格の代行会社を使うなら、申告を提携税理士が行う体制になっているかを、契約前に確認しておくと安心です。

どちらを選ぶにしても、経理代行と税理士は仕事を奪い合う関係ではなく、記録と実務を代行が、申告と税務判断を税理士が担う連携が前提です。顧問料を払っているのに記帳が一向に軽くならない、という不満の多くは、顧問契約の範囲に日々の記帳が含まれていないために起こります。記帳まで任せたいのか、申告だけを頼みたいのかを先に決めておくと、こうしたズレを防げます。申告や顧問そのものの選び方は税理士の選び方・費用相場の解説に譲り、本記事では経理実務をどこまで、どの相手に任せるかに絞って読み進めてください。

5. 委託先タイプの選び分け

委託先は、価格だけでなく「どこまでを任せ、どの頻度で数字を使いたいか」で選び分けます。Ch3で決めた依頼範囲と自社の取引量・成長段階を重ねると、候補にすべきタイプが絞れます。記帳だけを低コストで外出しするのか、日々の経理実務を一括で委ねるのか、月次の経営数字まで求めるのかを先に決めましょう。

まずは4タイプを「任せる範囲」と「数字を使う速さ」で比べる

タイプ 主な得意範囲 料金の考え方 向く企業
記帳代行特化 仕訳入力、帳簿作成、領収書・請求書の整理 仕訳数に応じた従量・段階課金 経理担当者や税理士との役割分担があり、記帳作業だけを減らしたい企業
フル経理代行 記帳、請求、支払、経費、給与、決算補助 業務範囲・稼働時間・処理件数による月額制 担当者不在で、日常経理をまとめて任せたい企業
月次決算・管理会計/BPO型 経理プロセス全体の整備、月次締め、レポート、運用改善 体制設計・報告頻度・処理量を含めた個別見積もり 拠点や部門が増え、数字を経営判断に定期利用したい企業
オンライン経理 クラウド会計を軸に、記帳から請求・振込・給与まで必要分を選択 定額、実働時間、仕訳単価などから選ぶ形が多い 資料をデータで共有でき、業務量の変動に合わせたい企業

記帳代行は記録業務に特化し、フル経理代行は請求・支払・給与などまで対象を広げる、という違いがあります。自社に残す判断業務と、外へ出す定型業務を混同しないことが選定の出発点です。TOKIUM「記帳代行サービス比較」

記帳代行特化が向く企業

経理の流れは社内で把握できており、会計ソフトへの入力や帳簿作成だけが負担になっている場合に合います。税理士への申告依頼や、社内での請求・支払管理がすでに機能しているなら、必要以上に広い契約を結ばずに済みます。

料金は仕訳数による従量制・段階制が中心です。目安として、1仕訳50〜100円、月100仕訳程度で約1万円、401仕訳以上で月3万円程度からとされます。取引件数が増え続ける事業では、件数上限と超過単価を確認してから比較してください。パーソルビジネスプロセスデザイン「経理代行の料金相場」

一方、請求漏れの確認、振込承認、取引先対応まで委ねたい場合は、記帳特化ではカバーしきれません。帳簿が完成しても日常の経理負担が減らないなら、次のタイプを検討する段階です。

フル経理代行が向く企業

記帳に加え、請求書発行、支払準備、経費精算、給与計算、決算資料の準備まで、日常経理を一つの窓口へ寄せたい場合に適します。退職や欠員で業務が止まりそうなときも、個別作業ではなく一連の流れとして引き継げるかを見てください。

経理業務全般を委託する月額は、範囲や稼働時間により5万〜30万円程度が目安とされています。見積もりでは「基本料金に含まれる件数・回数」「請求、振込、給与、年末対応の追加料金」「問い合わせ対応の範囲」を同じ条件でそろえると、表面上の月額だけで比較せずに済みます。タクシタ「経理アウトソーシングの料金相場」

ただし、資金繰りの優先順位、投資の可否、経営判断までを任せる契約ではありません。経営者側は承認者と判断者を明確にし、委託先には正確で期限内の処理を担ってもらう設計が基本です。

月次決算・BPO型が向く企業

取引や人員が増え、単に帳簿を作るだけでは足りなくなった企業には、毎月の締めと数値の報告を重視するBPO型が候補になります。部門別の集計、承認フローの整備、証憑回収のルール化など、経理プロセス全体を整える役割を期待するタイプです。

このタイプでは、月次試算表をいつ受け取れるかが選定の中心になります。基本的な月次試算表作成は月2万〜4万円、経営分析レポート付きは月4万〜8万円という目安がありますが、実際には処理量、拠点数、報告内容で大きく変わります。価格だけでなく、締め日から報告日までの約束を提案書に明記してもらいましょう。株式会社Wheat「経理代行の費用相場」

月次決算を頼んでも、数字を見て価格改定や採用、投資を決めるのは自社です。経営会議で必要な指標、部門別に見たい単位、報告を受ける期限を先に言語化できる企業ほど、このタイプを活かせます。

オンライン経理が向く企業

オンライン経理は、場所ではなく業務設計で選ぶタイプです。会計ソフト、証憑、承認記録をクラウドで共有し、記帳のみから請求・振込・給与まで必要な範囲を組み合わせます。拠点が分かれている企業や、繁忙期だけ業務量が増える企業にもなじみます。

料金体系は月額定額、実働時間、仕訳単価があり、記帳特化で月1.5万〜5万円、記帳・振込・請求書・給与計算まで含む場合で月15万〜30万円が相場とされています。比較時は料金方式そのものより、資料回収、差し戻し、承認、緊急対応を誰がどのツールで担うかを確かめておきましょう。タクシタ「オンライン経理代行サービス」

電子取引で受け取った請求書や領収書は、電子データのまま保存する必要があります。オンライン型を選ぶ際は、保存先、検索方法、退職・契約終了時のデータ返却までを確認し、自社にも保存義務が残る前提で運用を決めましょう。弥生「電子取引のデータ保存について知りたい」

Ch3の依頼範囲から、候補タイプを絞る方法

  • 依頼範囲が仕訳入力・帳簿作成に限られ、社内で日々の経理を回せるなら、記帳代行特化から比較します。
  • 請求、支払、経費、給与まで担当者の代わりを求めるなら、フル経理代行またはオンライン経理を候補にします。
  • 月次で利益や資金の状況を把握し、複数部門・複数拠点の運用も整えたいなら、月次決算・管理会計/BPO型を優先します。
  • 依頼範囲が月ごとに変わる、または資料をデータ共有できるなら、オンライン経理の料金方式と運用体制を比較します。

どのタイプでも、経理代行が担えるのは記帳、請求、支払、給与、経費、決算補助などです。申告書作成、税務代理、個別具体的な税務相談は税理士の独占業務であるため、税務対応が必要な場合は税理士との分担を契約前に明確にしてください。国税庁「税理士制度Q&A 2 税理士の業務」

ここで決めるのは「どの会社に頼むか」ではなく、「自社にはどの委託の形が合うか」です。候補先ごとの実績、認証、利用ソフトとの連携、情報管理体制は、Ch8の確認軸で比較します。

6. 費用相場は「依頼範囲 × 仕訳数 × 規模」で読む

費用相場は、単価表を眺めるだけでは判断できません。依頼する業務の範囲、毎月の仕訳数、従業員・売上などの規模を重ねて総額で見ると、自社にとって妥当な見積もりかを比べやすくなります。

まず「仕訳数」で記帳代行の土台を読む

記帳代行は、月間仕訳数に応じて段階的に料金が上がる体系が一般的です。仕訳とは、売上・経費・預金の入出金などを会計帳簿へ記録する単位であり、請求書や領収書の枚数と必ずしも一致しません。

月間仕訳数 記帳代行の月額目安
〜100仕訳 約1万円
101〜200仕訳 約1万5,000円
201〜300仕訳 約2万円
301〜400仕訳 約2万5,000円
401仕訳〜 約3万円〜

パーソルビジネスプロセスデザインは、記帳代行を1仕訳あたり50〜100円、上表の仕訳数別月額を目安として示しています。同様の単価・区分は税理士ドットコムでも紹介されています。見積もり前に、直近3か月の会計ソフトや通帳から月平均の仕訳数を把握しておくと、比較の前提をそろえられます。

次に「依頼範囲」を重ねて月額総額を見る

同じ仕訳数でも、記帳だけを任せるのか、給与・請求・支払や月次処理まで任せるのかで総額は変わります。記帳のみは月1万〜5万円という目安がある一方、別の調査では月5,000〜2万円とされており、取引量や受け渡し方法、含まれる作業によって幅が出ます。HELP YOU株式会社Wheatのいずれも、範囲と規模による変動を前提にしています。

依頼範囲 月額の読み方
記帳のみ 月約1万〜5万円。仕訳数を起点に確認します。
記帳+給与などの月次実務 月約4万〜10万円を初期目安に、従業員数と処理内容を重ねて確認します。
経理業務全般のフルアウトソース 月約10万〜30万円。請求・支払・給与・月次管理など、実際に委ねる範囲で判断します。

フルアウトソースの月10万〜30万円は株式会社Wheatタクシタで示されている目安です。記帳と給与などを組み合わせる場合は、記帳料金に従業員数連動の給与計算料金が加わるため、単一の「セット価格」として決めつけず、作業を分けて総額を確認してください。

「規模」は従業員数・売上規模で見る

給与計算は仕訳数ではなく従業員数の影響を受けやすい業務です。パーソルビジネスプロセスデザインでは、給与計算は1人あたり月1,000〜2,000円、年末調整は1人あたり500〜2,000円を目安として紹介しています。PRONIアイミツでは、給与計算は1人あたり月1,000〜1,800円、年末調整は1人あたり1,500〜2,500円が目安です。

したがって、「給与計算は1人約1,000円、年末調整は1人約1,500円」といった数字は出発点にはなりますが、人数区分、最低料金、年末調整に含まれる手続きで変わります。従業員数を伝えたうえで、毎月の給与計算と年末調整を分けて見積もってもらうと、比較しやすくなります。

決算補助も規模と依頼先で幅があります。パーソルビジネスプロセスデザインによれば、決算代行の相場は5万〜20万円で、資料作成補助を含む年次決算サポートは株式会社Wheatで5万〜15万円とされています。「決算代行10万円〜」と見る場合も、決算資料の整理までか、申告を担う税理士との連携までかを確認する必要があります。

スポットと月次継続で異なる料金体系

決算補助のように期限がある業務は、単発で依頼するスポット料金になりやすく、毎月発生する記帳・給与・請求・支払とは見積もりの立て方が異なります。KANBEIは、決算代行を1回5万〜20万円のスポット相場とし、給与計算や請求・支払は人数・件数に応じた従量課金の例を示しています。

税理士へ決算申告のみをスポットで依頼する場合、タクシタは売上1,000万円以下で10万〜20万円、3,000万〜5,000万円で20万〜30万円、5,000万〜1億円で25万〜40万円を目安としています。記帳を継続して頼む場合は月々の記帳料が別に積み上がるため、単発の決算料金だけで年間コストを比べないことが大切です。

見積もりは「自社条件」をそろえて比較する

相場表は目安にとどめ、自社の依頼範囲、月平均仕訳数、従業員数、売上規模を同じ条件で伝え、複数社から総額見積もりを取りましょう。その総額は、経理専任者を1名採用する費用とも比較できます。月給30万円の社員は、給与と会社負担の社会保険料で年間約415万1,000円という試算がWorkship ENTERPRISEで示されており、月換算では約34.6万円になります。

外注費が安いかどうかではなく、必要な業務を必要な量だけ任せた総額と、内製する場合の固定費を同条件で比べることが、費用相場を選定判断に変える方法です。別料金になりやすい項目の確認や、費用を抑えるための考え方は第7章で扱います。

7. 追加費用と「別料金の罠」・費用を抑えるロジック

見積書の基本料だけで比較すると、仕訳数・人数・期限・例外対応によって総額が想定より上がることがあります。依頼したい業務を具体的な作業単位に分け、基本料に含まれる範囲と追加条件を同じ表で確認すれば、契約後の「別料金」を判断しやすくなります。

基本料ではなく、総額が増える条件を確認する

経理代行の費用は、固定の月額だけで決まるとは限りません。記帳は仕訳数、給与計算は対象人数のように業務量に連動する料金体系があり、月額内の上限を超えた分が追加されることがあります。決算申告や年末調整も、基本契約とは別料金になるのが一般的とされています。弥生「税理士費用の相場」

たとえば記帳代行では、仕訳数に応じた段階制や従量制が見られます。1仕訳あたり50〜100円、月100仕訳まで約1万円、200仕訳まで約1万5,000円といった目安が示されており、取引量の増加がそのまま月額の上昇につながり得ます。これは相場を当てはめるための数字ではなく、自社の通常月と繁忙月で仕訳数がどう変わるかを見積もるための材料です。パーソルビジネスプロセスデザイン「記帳代行の料金相場」

「別料金」になりやすい項目

追加費用そのものが不適切なのではなく、条件が曖昧なまま契約することが問題です。見積書では、次の項目ごとに「基本料に含むか」「上限」「超過時の単価」「発生する場面」を確かめます。

確認する作業 総額が変わる主な条件 発注前に確認したいこと
記帳・仕訳入力 月間仕訳数、資料提出の遅れ、未整理の証憑 月額内の仕訳数、超過単価、修正仕訳や過年度分の扱い
給与計算 対象人数の増減、勤怠集計、入退社や給与改定 基本料金に含む人数、人数超過時の単価、勤怠データの作成担当
年末調整・法定帳票 年末の対象者数、書類回収、追加の手続き 月額とは別か、従業員ごとの料金、回収・問い合わせの担当範囲
決算補助・申告連携 決算資料の整備度、税理士との連携、期限直前の依頼 決算補助の成果物、申告業務との切り分け、特急対応の条件
請求・支払・経費 請求件数、振込件数、承認差戻し、支払予定の変更 作成・承認・実行の担当、件数単価、緊急対応の料金
資料の受領・訪問・例外対応 紙の郵送、原本保管、訪問、通常手順にない依頼 郵送費・保管費・訪問費、連絡回数や対応時間の上限

給与計算は従業員数に応じた従量課金になりやすく、年末調整や社会保険・法定帳票などの付随作業が別料金になる場合があります。請求・支払まで任せるなら、件数だけでなく、承認待ちや支払予定の変更を誰がどこまで処理するのかも明文化しておくと、想定外の作業を減らせます。株式会社管理のプロ「経理代行の料金相場」

見積もりを比較するときの発注前チェックリスト

  • 依頼する業務を「毎月」「年に数回」「例外時」に分けて書き出しているか
  • 記帳の月額内仕訳数と、超過分の課金方法を確認したか
  • 給与計算の対象人数、入退社時の対応、年末調整の料金を確認したか
  • 決算補助と税務申告を別の業務として扱い、担当者と費用を確認したか
  • 請求書発行、振込データ作成、支払実行、承認の担当を分けて確認したか
  • 郵送・原本受領・訪問・緊急対応・修正依頼の料金条件を確認したか
  • 月額だけでなく、通常月・繁忙月・年次業務を含めた年間総額で比べたか

特に、年末調整や決算のように期限がある業務は、直前の依頼で特急料金が加わることがあります。年間で必要になる業務を先に並べ、月額見積もりに年次・スポット費用を足して比較することが、総額判断の出発点になります。パーソルビジネスプロセスデザイン「経理代行の費用相場」

費用を抑える4つの考え方

依頼範囲を、人手が足りない作業へ絞る

最初から経理全般を委ねるのではなく、記帳だけ、給与計算だけ、支払処理の準備だけというように、自社で継続できない業務から切り出します。社内に判断や承認を残し、定型的な入力・集計・資料整理を外部へ任せる設計なら、不要なオプションを抱えにくくなります。必要な業務に絞ることと、クラウド連携を活用することは、費用を最適化する方法として紹介されています。マネーフォワード クラウド会計「経理代行の費用相場」

クラウド会計で、手入力が必要な仕訳を減らす

記帳費用が仕訳数や入力工数に連動する契約なら、銀行口座・カード・経費精算のデータを会計ソフトへ連携し、手入力を減らすことが費用低減につながります。導入前には、委託先が自社のソフトと連携できるか、つないだ後も人が確認すべき取引は何か、どの作業が料金に反映されるかを見極めてください。クラウド会計や経費精算システムのデータ連携によって手入力が減り、より低い料金プランが適用される場合があるとされています。マネーフォワード クラウド会計「経理代行の費用相場」

ここでのクラウド会計は、外注費を下げるための受け渡し方法です。内製と外注のどちらを選ぶかという判断や、ソフトを経営管理にどう活かすかとは分けて考えると、委託範囲と費用条件を整理しやすくなります。

証憑を電子化し、渡し方を標準化する

領収書や請求書を月ごとに集め、同じ手順・期限で共有できる状態にすると、確認や差し戻しにかかる作業を抑えやすくなります。電子取引で受け取った請求書・領収書などは電子データで保存する必要があるため、委託先が電子保存を前提に受領・保管・検索できる運用かも契約前に確かめます。弥生「電子取引のデータ保存について知りたい」

毎月契約にせず、繁忙期やスポットで使う

業務量が年間を通じて一定でないなら、決算前の資料整理、担当者不在時の記帳、給与計算の繁忙期など、負荷が集中する期間だけ依頼する方法もあります。ただし、スポット依頼は資料の整備状況や利用時期によって費用が変わりやすいため、通常時に誰がどこまで準備するかを決めてから見積もりを取ることが大切です。

費用を下げる鍵は、単に安い月額プランを探すことではありません。自社に必要な業務量を把握し、作業を増やす条件を契約前に可視化し、入力・受領・承認の流れを整えることです。そのうえで比較すれば、基本料が低くても年次業務や超過料金で割高になる契約を避けやすくなります。

8. 失敗しない選び方=チェックポイントと丸投げの罠の回避

失敗しない選び方は、作業を任せられるかだけでなく、任せた後も自社が数字・期限・費用を把握し続けられる体制かを見極めることです。経理代行は業務負担を減らせる一方、範囲や報告の設計が曖昧なまま契約すると、追加費用、月次の遅れ、数字が見えない状態につながります。比較時は、見積額だけでなく次の9点を同じ条件で確認しましょう。

まずは「何を、どこまで、いつまでに」任せるかをそろえる

複数社を比べる前に、依頼したい業務、月間の取引・仕訳数、従業員数、請求書や領収書の受け渡し方法、月次報告の希望日を整理します。これがないと、各社の見積条件がそろわず、安く見えたサービスに必要な業務が含まれていないことがあります。

確認軸 発注前に確認すること 避けたい失敗
① 対応業務範囲 記帳、請求書発行、支払準備、給与計算、経費精算、決算補助のうち、誰がどこまで担当するかを業務単位で確かめます。例外的な支払や取引先ごとのルールも伝えます。 「経理全般」という認識にずれが生じ、必要業務がオプション扱いになったり、引き継ぎ漏れで処理が止まったりする点です。
② 料金体系 月額に含まれる仕訳数・従業員数・請求件数、超過単価、初期設定、年末調整、決算補助、制度対応の別料金を、月額と年額の両方で書面確認します。 基本料金だけで比較してしまい、業務が始まってから従量課金やオプションが積み上がってしまうことです。料金は定額か従量か、初期・継続・オプションを合算して比べる考え方が示されています。TOKIUM「経理代行の選び方」
③ 導入実績・同業種対応 自社に近い業種・規模で、どの業務をどの方法で受託したかを聞き取ります。取引形態、締め日、従業員の雇用形態など、自社特有の条件も質問します。 一般的な記帳はこなせても、自社特有の例外処理や必要な締め切りに対応しきれないことです。
④ インボイス・電子帳簿保存法対応 受領・発行した請求書等を、どのシステムに、誰が、どの手順で保存・確認するかを把握します。電子取引データの保存責任は委託しても自社に残るためです。弥生「電子取引のデータ保存について知りたい」国税庁「インボイス制度について」 電子で受け取った証憑の保存方法があいまいなまま運用を始めてしまい、後から資料を探し出せなくなる点です。
⑤ 会計ソフトの持込可否 現在使っているfreee、マネーフォワード、弥生などを、そのまま利用できるかを尋ねます。閲覧権限、入力担当、データの帰属、契約終了時の引継ぎ方法まで聞くと安心です。 業者指定のソフトへ移行する前提で契約してしまい、データ移行や社内運用の負担が想定以上にふくらむことです。指定ソフトでなければ対応できない場合がある点は、freee「経理代行サービスとは」でも案内されています。
⑥ セキュリティ体制 Pマーク・ISMSの取得状況だけでなく、NDA、データ送受信、保管場所、権限管理、退職者を含むアクセス削除の手順を洗い出します。 給与、口座、売上・仕入情報を渡した後で、誰がどこまでアクセスできるのか分からない状態です。Pマークは個人情報、ISMSは組織の情報資産全般を対象とするため、両者の範囲も判断材料になります。マネーフォワード クラウド「PマークとISMSの違い」
⑦ 税理士・社労士との連携 自社の税理士・社労士と、どの資料を誰がいつ共有するかをすり合わせます。紹介先を使う必要があるか、自社の専門家と連携できるかも明確にします。 税務や社会保険の確認が必要な場面で担当があいまいになり、締め切り直前に手戻りが発生する点です。
⑧ 試算表へのコメント・示唆 毎月の試算表をいつ受け取れるかに加え、前月差、予算との差、確認すべき異常値などをどの程度共有してもらえるか、実際の納品見本で確かめます。 資料を渡して試算表を受け取るだけの関係になり、赤字や資金繰りの変化への気づきが遅れることです。丸投げでも数字を見る目を社内に残す必要性が指摘されています。BackofficeForce「経理代行に丸投げするメリット・デメリット」
⑨ レスポンス速度・月次の納期 通常の問い合わせへの返信目安、緊急支払時の連絡方法、資料提出後の月次締め日、遅延時の連絡ルールを聞いておきます。口頭説明でなく、提案書や運用設計に記載してもらうと比較しやすくなります。 月次が数か月遅れ、利益やコストの変化を過去の数字としてしか見られないことです。外注後に試算表の提出が遅れ、経営状況を把握しにくくなる事例も報告されています。税理士法人SS総合会計「経理のアウトソーシングで大失敗!」

「丸投げ」は判断まで外に出すことではありません

経理実務を委託しても、支払いの優先順位、資金繰り、投資や採用の判断は自社が担います。試算表を見て、分からない変動を質問し、次月に確認する数字を決める担当者を社内に残してください。試算表にコメントを添えるか、定例で数字を説明するかは、単なる付帯サービスではなく、経営数字を見失わないための選定条件です。

面談では「直近3か月の試算表は、どの形式で、いつ、どのようなコメント付きで受け取れますか」と質問しましょう。回答が抽象的な場合は、サンプルの匿名化版や月次報告の進め方を聞きます。領収書や請求書を渡せば終わりという運用ではなく、自社側の確認担当と確認日を決められる事業者が候補になります。

見積もりは同じ前提条件で比較する

料金の妥当性は、月額の安さではなく、依頼範囲と処理量に対する総額で見ます。記帳代行は仕訳数による段階制・従量制が多く、給与計算は従業員数、決算補助や年末調整はスポット料金になることがあります。たとえば記帳代行では、仕訳数に応じて月額が変わる料金例が紹介されています。パーソルビジネスプロセスデザイン「経理代行の料金相場」

  • 月間の仕訳数、請求書数、支払件数、従業員数を自社の実績で提示します。
  • 通常月と、決算月・賞与月・年末調整月の費用を分けて見積もってもらいます。
  • 超過時の単価、資料が不足した場合の扱い、急ぎの対応が必要になった際の費用、初期設定費用、電子保存まわりの費用を確認します。
  • 契約開始後に増えそうな業務を挙げ、「このケースではいくら増えるか」を尋ねます。

依頼範囲が曖昧なまま業務を追加し、オプション費用が重なって割高になる失敗例もあります。阪神 経理・労務アウトソーシングオフィス「経理代行を依頼する際のよくある成功事例と失敗事例」見積書には「含む」「含まない」「超過時」の3区分を作り、候補ごとに並べて比較すると判断しやすくなります。

専門家との役割分担は、契約前に確認する

経理代行が担えるのは、記帳、請求・支払、給与計算、経費精算、決算資料の準備などの経理実務です。税務代理、税務書類の作成、個別具体的な税務相談は税理士業務に当たるため、依頼先がどこまで対応し、税理士へ何を引き継ぐのかを確かめてください。線引きの詳細は第4章「税理士との役割分担」で解説します。

会計ソフトの活用方法、権限設計、証憑の流れなどは、持込可否の確認とは分けて第9章「会計ソフトと業務設計」で検討します。契約期間、中途解約、違約金、責任分担などの契約条件は第10章「契約時の確認事項・FAQ」を確認してください。

9. クラウド会計との関係=自社の会計ソフトを活かせるか

経理代行に依頼する場合でも、日々の仕訳や証憑のやり取りは会計ソフトを介して進みます。外注しても自社のクラウド会計を活かせるかどうかは、受け渡しの手間と、データが最後に誰の手元へ残るかを左右する選定ポイントです。すでに使っているソフトを続けられるのか、それとも業者のソフトに合わせるのかを契約前に確かめておくと、後の手戻りを防げます。

使うソフトはほぼ3強、業者も対応前提

小規模な事業者であれば、自社が使う会計ソフトは上位3社のいずれかである可能性が高いのが実情です(法人では勘定奉行やPCAなど、これら以外のソフトも広く使われます)。MM総研の調査(2025年3月末)によると、会計ソフト利用者のうちクラウド型を使う個人事業主の割合は38.3%で、前年の33.7%から広がっています。事業者別シェアは弥生55.4%、freee24.0%、マネーフォワード14.3%と、上位3社で9割超を占めます。経理代行の側もこの3強への対応を前提にしていることが多く、対応の可否そのものより「自社の使い方にかみ合うか」を問う段階に来ています。

継続して使えるか、業者のソフトに移すか

記帳代行では、データを滞りなく共有するためにクラウド型の会計ソフトを使うのが一般的です。ただしアスピックの解説が指摘するとおり、どのソフトに対応するかはサービスごとに異なります。すでに自社でソフトを導入しているなら、そのまま続けられるのか、それとも業者指定のソフトへ移す前提なのかを見積もりの段階で確認しておきます。移行を求められる場合は、過去データの引き継ぎ方法や、契約終了後に自社へデータを戻せるか(アカウントの持ち主が自社か業者か)まで含めて確かめておくと、いざ乗り換えたいときに動けない事態を避けられます。

API連携と証憑の電子共有で受け渡しが軽くなる

自社のクラウド会計を活かす最大の利点は、外注先とのデータ受け渡しがそのまま軽くなることです。クラウド会計ソフトは銀行口座やクレジットカードと連携し、取引明細を自動で読み込んで仕訳します。メリービズの解説によれば、口座やカードだけでなく決済やPOSとの連携もでき、こうしたAPI連携によって手入力と仕訳の工数が減り、代行先との証憑・データのやり取りも簡素になります。

証憑のやり取りも、紙の受け渡しからクラウド共有へ移せます。たとえば弥生のスマート証憑管理は電子帳簿保存法の電子取引・スキャナ保存の区分に対応したうえで、会計事務所とのデータ共有にも使え、証憑の受け渡しや内容確認の作業を効率化できるとされています。実際にある解説では、月1,000件規模で1件30秒の手入力が自動仕訳でほぼゼロになり、月8時間・約2万円の削減になるという試算例も示されています(1社の試算で、実際の効果は取引件数や連携状況によって幅があります)。連携が効くかどうかは、自社ソフトと業者の運用がかみ合うかで決まります。

電子取引データの保存義務は自社に残る

会計ソフトの選び方には、法対応をどこまで外注先に頼れるかも関わります。2024年1月1日から、電子データで受け取った請求書や領収書は原則として紙に印刷しての保存が認められず、電子データのまま保存することが申告を行う全事業者に義務づけられました(マネーフォワード クラウド会計の解説)。ここで見落としやすいのは、経理代行に委託していても保存義務そのものは事業者本人に残る点です(弥生の解説)。だからこそ、自社のクラウド会計や証憑管理で電子データを押さえたうえで、実務のシステム対応は外注先に担ってもらう分担が現実的です。経理代行会社はインボイス制度などの法改正に対応したシステムや体制を備えていることが多く(freeeの解説)、自社ソフトを軸にしながら最新の法対応は任せる形が取りやすくなります。

ここまでは「すでにあるソフトをどう活かすか」を整理してきました。これから会計ソフトを選び直す、あるいは外注に合わせて乗り換えを考えるなら、対応範囲や連携先を候補ごとに見比べておくと判断がぶれません。下の比較表では主要な会計ソフトを並べて確認でき、気になる製品の資料をまとめて取り寄せられます。自社の運用と外注先の前提の両方に合う一本を、ここで絞り込んでおくとよいでしょう。

経理代行を活かすには、自社で使うクラウド会計ソフトの選定も重要です。以下の会計ソフト比較もあわせてご覧ください。

「会計ソフト」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

  • 製品名
  • 注目ポイント
  • 料金プラン
  • プラン名金額
  • 無料トライアル
  • 最低利用期間
  • 基本的な機能
    • 伝票入力
    • 帳簿作成
    • 入金管理
    • 支払管理
    • 経営分析
    • 資金管理
    • 予実管理
    • 決算書作成
    • 税務申告
    • 固定資産管理
    • データ連携
    • 自動取込
    • 自動仕訳機能
    • データ書出し
  • サービス資料
  • 無料ダウンロード
  • ソフト種別
  • サポート
基幹業務をまるごとDX
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
PCAクラウド会計 13,860円~(税込)/月額
備考
会計クラウドサービスを、月額の「利用ソフトとサーバーのライセンス費用」にて利用するプランです。
PCAサブスク会計 9,900円~(税込)/月額
備考
会計ソフトをオンプレミスで、月額料金(サブスク)にて利用するプランです。設備を自社構築・運用する場合に最適です。
PCA会計DX 224,400円~(税込)
備考
会計ソフトをパッケージソフトとして購入するプランです。設備を自社構築・運用する場合に最適です。
制限なし
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
要相談 要相談
制限なし
クラウド型ソフト パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
要相談 要相談
制限なし
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
要相談 要相談
要相談
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
要相談 要相談
要相談
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
ベーシック 1,800円/月額
プラス 2,500円/月額
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 40,000円
利用料金 要相談
制限なし
パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
スモールビジネス 2,980円/月額
備考
部門管理が不要な企業や、請求業務の少ない小規模事業者向けプランです。
ビジネス 4,980円/月額
備考
バックオフィス業務全般を効率化したい、中小企業向けプランです。
IPO準備・中堅〜大企業向け 別途ご案内です。
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
スタンダード セルフプラン 30,600円/年間
備考
小規模法人・個人事業主向けです。
最初の1年間は無料で試せます。
スタンダード ベーシックプラン 40,500円/年間
備考
小規模法人・個人事業主向けです。
最初の1年間は無料で試せます。
スタンダード トータルプラン 53,900円/年間
備考
小規模法人・個人事業主向けです。
最初の1年間は半額で試せます。
プロフェッショナル セルフプラン 41,500円/年間
備考
中小規模法人向けです。
最初の1年間は無料で試せます。
プロフェッショナル ベーシックプラン 54,200円/年間
備考
中小規模法人向けです。
最初の1年間は無料で試せます。
プロフェッショナル トータルプラン 75,000円/年間
備考
中小規模法人向けです。
最初の1年間は半額で試せます。
制限なし
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
スタートアップ 2,500円/月額
備考
3ユーザーまで利用可能です。
ビジネス 5,000円/月額
備考
5ユーザーまで利用可能です。
エンタープライズ 50,000円/月額
備考
ユーザー上限なしで利用可能です。
1年間
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 別途お問い合わせ
備考
別途お問い合わせ
詳しい料金については要問い合わせです。
制限なし
パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
ミニマムプラン 1,980 円 / 月
ベーシックプラン 3,980 円 / 月
プロフェッショナルプラン 39,800 円 / 月
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /

価格や製品機能など、見やすい一覧表から、気になる製品をまとめてチェック!

10. よくある質問(FAQ)と、地域で具体的な会社を探すには

経理代行は、任せる範囲と確認すべき数字を分けておけば、外注後も経営判断に必要な情報を手元に残せます。ここでは依頼前によくある疑問を簡潔に整理し、比較検討から具体的な候補探しへ進むための入口をご案内します。

記帳だけを頼める?

できます。記帳のみ、給与計算のみといった形で、必要な業務だけを部分的に切り出して依頼することも可能です。まずは自社で滞りやすい作業を洗い出し、月間の仕訳数、資料の渡し方、確認・修正の担当を決めたうえで見積もりを比較しましょう。依頼範囲の考え方は第3章「どこまで任せるか」で確認できます。

丸投げすると、社内で数字が分からなくなりませんか?

外注先から仕上がった帳簿だけを受け取る運用では、数字の変化に気づきにくくなります。月次試算表を提出してもらう時期、未処理資料の一覧、支払予定、見極めが必要な取引について、毎月どの形式で共有してもらえるかを契約前にすり合わせておきましょう。社内に残すべき判断と「見える納品物」は、第8章「運用・連携・セキュリティ」で整理しています。

今の会計ソフトのまま依頼できる?

対応できるかどうかは会社ごとに異なります。利用中の会計ソフト名とプラン、銀行・カード連携の有無、権限の渡し方、データの帰属先を伝えたうえで、初期設定から月次締めまでの担当分担を取り決めておきましょう。対応ソフトの有無だけで判断せず、データを自社で閲覧・引き継ぎできる状態を保てるかどうかも確かめておく必要があります。確認項目は第9章「比較・契約前の確認」をご覧ください。

税務申告までやってくれる?

記帳や請求・支払、給与計算などの経理実務は委託できますが、税務代理、税務書類の作成、個別具体的な税務相談は税理士の業務です。申告まで必要な場合は、担当税理士との連携体制や、誰がどこまで責任を持つかを明確にしてください。線引きは第4章「税理士との役割分担」で把握できます。制度上の範囲は国税庁「税理士制度Q&A」も参照してください。

口座や給与情報を渡しても情報漏洩は大丈夫?

絶対に事故が起きないとは言い切れないため、認証の有無だけでなく、実際の管理体制を把握しておくことが大切です。閲覧権限、退職者の権限削除、データの保管場所、再委託の有無、事故時の連絡手順を尋ね、契約書にも反映されているかを見ましょう。プライバシーマークやISMSは、情報管理体制を確認する一つの手がかりになります。詳しい見方は第8章「運用・連携・セキュリティ」で解説しています。

どのくらいの規模から外注を検討すべき?

従業員数だけで決める必要はありません。月次処理が遅れる、担当者しか支払手順を知らない、経営者が本業の合間に締め作業をしている、といった状態なら検討のタイミングです。部分委託から始めて、作業時間、ミスの減少、月次数字を把握できる速さで判断すると、自社に合う範囲を見つけやすくなります。判断材料の詳細は第2章「外注を検討する目安」にまとめています。

基本を押さえたら地域別の記事で候補を絞り込む

ここまでの基準で依頼範囲、必要な連携、予算感を整理できたら、続いては地域別のおすすめ記事で具体的な会社を比較していきます。所在地だけでなく、対応業務、会計ソフト、税理士との連携、月次報告の方法が自社の条件に合う候補を選びましょう。

地域別のおすすめ記事を見る比較用資料をダウンロードする条件に合う比較表をリクエストするの順に進めると、問い合わせ前に確かめておきたい条件がまとまります。

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