製品を導入することになった背景

日本都市設計株式会社では、図面の修正作業における人為的ミスや情報の不整合といった問題が長年の課題となっていた。こうした状況を打開するため、設計図面を一元管理し、誰もが同じ情報を同時に扱える仕組みの必要性が高まり、2014年にBIMの導入を決断した。選定されたのは、社員全員による多数決で決まった「Archicad」であり、直感的な操作性と高い互換性が評価された。導入にあたっては、すべての設計社員のPCにソフトを導入し、約2,000万円の初期コストをかけて環境を整備するという強い覚悟をもってスタートを切った。

導入前に企業が抱えていた課題

二次元CADを使用していた当時の設計業務では、図面を修正するたびに関係書類をすべて手作業で直す必要があり、その過程で修正漏れが頻発するリスクがあった。また、情報が個人に依存していたため、特定の社員に業務が集中する属人化の問題や、社員同士の協働が進まず、チームワークにも課題が残っていた。業務の効率化が進まない状況は、生産性の低下や、働き方改革の遅れにもつながっていた。

導入前の課題に対する解決策

これらの課題を解消するため、日本都市設計はBIMをフル導入し、社内で使用する設計ソフトをArchicadのみに統一するというルールを定めた。全社員が同じプラットフォームを使うことで、設計情報をリアルタイムかつ正確に共有できる体制を整えた。さらに、BIMcloudを活用することで、どこにいても複数人が同じモデルに同時アクセスして作業できるようになり、効率的な協働が実現した。ソフトの操作習熟に向けては、グラフィソフトのトレーニングプログラムの受講や営業担当からの個別指導も受け、段階的な導入と理解浸透を図った。

製品の導入により改善した業務

製品導入により、設計図面の整合性が飛躍的に向上し、修正ミスの削減と業務の可視化が実現した。これまで一人で抱えていた業務を、社内の誰もが把握し、互いにサポートし合える体制が整い、社員の働きやすさと生産性が大きく改善された。また、自社の設計データを施工・設備会社にそのまま引き継げるようになったことで、プロジェクト全体のシームレスな連携が可能となり、施工の効率化にもつながった。結果として、北海道発注のBIM試行業務の受注など、外部からの評価も高まり、企業としての競争力強化にも貢献している。