離職防止ツールおすすめ22選を徹底比較|機能や選定ポイントも徹底解説！

離職者が後を絶たず、離職防止ツールの利用を検討する人事担当も多いでしょう。離職者が相次ぐと、社内の雰囲気の悪化や、企業イメージの低下につながる恐れがあります。人手不足による在職者のモチベーション低下や業績悪化を防ぐためにも、離職防止ツールを用いた対策が有効です。本記事では、離職防止ツールの概要や成功事例、導入のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。おすすめの離職防止ツールや選び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

離職防止ツールとは

離職防止ツールとは、従業員の定着率を高め早期離職者を低減させるためのツールです。離職防止ツールには、人事評価制度の整備に特化したツールや、従業員の心的状況を把握できるツールなどがあります。離職防止ツールで収集・分析したデータを用いて職場環境の整備や、早期離職の予備軍を発見し対策するなどの人事施策が可能です。

近年における離職者の状況

企業にとって、従業員の離職を防止する対策は急務の課題です。以下で、厚生労働省のデータをもとに離職理由の上位や最近の離職者数について解説するので参考にしてください。

(1)離職理由

厚生労働省が公表した「令和5年雇用動向調査結果の概況（15p）」によると、令和5年1月1日時点における常用労働者（パートタイムを含む）の「転職入職者が前職を辞めた理由」の上位3項目は以下のとおりでした。

• 職場の人間関係が好ましくなかった
• 労働時間、休日等の労働条件が悪かった
• 給料等収入が少なかった

男女ともに上記3項目が前職を辞めた理由の上位を占めています。従業員の離職時に退職理由を聞いても本音を聞けないケースがあるため、いかに在職者の心身の負担状況を把握し働きやすい環境を整えるかが重要です。

(2)離職率

同調査（12〜13p）によると、産業別入職率・離職率の差は0％と拮抗しているものの、産業によって状況は異なります。たとえば「宿泊業・飲食サービス業」は入職者が6％上回っている一方で、「金融業・保険業」は退職者が2.1％上回っている状況です。さらに、同省公表の「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によると、令和2年3月に卒業した中卒～大卒者の3年以内の離職率は、いずれも30％を超えています。

少子高齢化の進む日本において、会社を存続させるためにも優秀な人材を長期的に確保することが重要です。従業員のエンゲージメント率を向上させ、定着率を上げることは急務の課題と言えます。

離職防止対策に注力する必要性

離職防止対策を行わない場合、従業員の負担増加や企業のイメージ低下につながる恐れがあります。ここでは、企業が離職防止対策を行う必要性について解説するので参考にしてください。

1.採用・育成コストが無駄になる

短期間での離職が続くと、企業の経営圧迫や、在職者の士気を落とす可能性があります。企業が人材を採用する際の募集や面接、入社前の準備などにかかるコストは膨大です。採用者が入社した後も、未経験の場合はゼロから教えるため在職者の手間や時間もかかります。離職者が相次ぎ、在職者が「仕事を教えてもすぐに辞めてしまう」と思えば教え方や接し方に影響したり、在職者の仕事への意欲が下がったりするでしょう。

また、短期間で離職する従業員が増えると、今までかけてきた時間やコストが損失となりかねません。新たに人材を雇うコストも発生し、企業の経営を圧迫する恐れがあります。

2.在籍する従業員への負担が増加する

従業員が減ると一次的に在職者の負担が増加する点も、離職防止対策に注力すべき理由の一つです。特定の部署で離職者が多い場合は、職場の雰囲気が悪化し業務に影響を及ぼす恐れがあります。在職者への負担が増加すると一人ひとりの時間外勤務が増え、モチベーションが下がったり、心身に異常をきたしたりするケースもあります。また、在職者のみで仕事が回らず、納期の遅延や品質低下などを招きかねません。

長期間同じ状況が続けば在職者が疲弊し、企業への信頼も揺らぐでしょう。従業員からの信頼を失うと、離職者がさらに増える負のループに陥る可能性もあるため、早急な改善が必要です。

3.企業イメージが低下する

離職者の多い会社は内部に問題があると見られ、企業イメージが低下する恐れがあります。インターネットが発達した現代では、在職者や退職者が口コミサイトやSNSを利用して企業のイメージや職場環境を公表する場合があります。また、求人に離職者数を記載していたり、離職者が相次ぎ常に募集をかけたりしている場合「何か問題があるから人が足りないのか」と憶測を呼ぶケースもあるでしょう。

企業イメージが低下すると新規採用の際、離職率の高さやイメージがネックとなり応募を避けられかねません。さらに、業界や業種によっては取引先やユーザーからの印象にもつながり、事業に影響を及ぼす可能性があります。

離職防止ツールを利用するメリット

離職防止ツールを導入すると、従業員のリアルな心境が可視化されたり、社内のコミュニケーションが活発になったりするメリットがあります。ここでは、離職防止ツールを利用する具体的なメリットを解説するので参考にしてください。

1.従業員の心境を指標として可視化できる

アンケート調査を実施できる離職防止ツールなら、従業員の回答から心境を把握できます。また、テキスト分析やAI機能を備えた離職防止ツールなら、離職した人が頻繁に発していた言葉やアンケート調査から単語を抽出し、離職しそうな人の心境を捉えられます。

従業員の心境を可視化すれば、離職の原因となる不安や不満要素を取り除くよう働きかけられるでしょう。また、経営層や人事担当が見えていない現場で働く人の心境を把握すれば、今後の働きやすい環境整備にも役立ちます。アンケートの回答が本音で書かれているかどうかは判断しにくいため、記名・匿名アンケートを併用しながら調査するのがおすすめです。

2.従業員のやる気を上げられる

離脱防止ツールで経歴や実績、面談結果などの人事データを一元管理し、最適な配属先の決定や人材育成を行えます。たとえば、大学での専攻分野や過去の経歴で培ってきたスキルと、面談でのやりとりや将来の希望などを一覧で確認できれば、従業員の特性や価値観が明確になるでしょう。

特性や価値観に沿って配属先を決定すれば、従業員は仕事へのやりがいや楽しみを見出しやすくなります。また、従業員の将来の希望にあわせたスキルアップ研修も実施でき、会社への満足度が高まるでしょう。アンケート調査の回答も用いながら適切な対応をすれば、モチベーションのさらなる向上につながります。

3.社内のコミュニケーションが活発化する

離職防止ツールで社内のコミュニケーションを活性化させられる点もメリットです。適性検査を用いて個人の傾向や価値観を分析し、コミュニケーションのアドバイスを行う離職防止ツールがあります。従業員のなかにはコミュニケーションが苦手で「何を話せばよいかわからない」と悩む人もいるでしょう。アドバイスを受けられれば、人と接する最初のハードルを取り除き、スムーズなコミュニケーションにつながります。

また、サンクスカードを贈り合いコミュニケーションを活性化させることも可能です。サンクスカードは、従業員同士で「仕事のよかった点」「助けてもらった感謝」などを伝え合うものです。社内のコミュニケーションが活性化すれば、従業員のストレス解消や満足度の向上に役立つでしょう。

4.離職しやすい人の傾向がわかる

エンゲージメント調査やストレスチェックなどの機能を備えた離職防止ツールなら、退職した従業員のデータを分析し、離職する前の傾向がわかります。たとえば、離職者が離職する前に「仕事のスピードが極端に下がっていた」「早退が増えた」といった傾向を把握できれば、現状で該当する従業員へのアプローチが可能です。なかには家庭の事情や仕事以外の要因も考えられるため、個別の対応が望ましいでしょう。

また、離職者の傾向から、職場環境や人間関係の課題が明確になるケースもあります。課題が判明すれば解消に向けて経営層や人事担当が対策できるため、従業員の離職防止につなげられるでしょう。

5.人事業務の効率化を図れる

離職防止ツールを活用すれば、人事業務を効率化できるメリットもあります。人事の仕事は人事評価や研修など幅広く、書類やExcelなどでバラバラに保存している場合、管理が煩雑化しやすくなります。

また、各情報を用いて面談や職場環境の改善をする際、データの転記ミスや操作誤りにより削除してしまうなどの可能性があるでしょう。職場環境を改善できても、業務が煩雑な場合は人事担当のストレスの原因になりかねません。人事データを一元管理できたり、一人ひとりの入社後の履歴を保存できたりする離脱防止ツールを用いれば、仕事が効率化するうえ制度改善や従業員へのフィードバックも行いやすくなります。

離職防止ツールを利用する注意点

離職防止ツールはメリットがある一方、コスト面や情報の取り扱いに関するデメリットが発生し得ます。ここでは、離職防止ツールの利用時に想定されるデメリットを解説するので参考にしてください。

1.コストが発生する

離職防止ツールはランニングコストだけでなく、初期費用や人数の増加によってコストが増加する場合があります。機能が充実したツールは高額になりやすく、コストがかさむため注意が必要です。導入当初は必要だと判断したものの運用で不要な機能があれば、コストだけが発生し無駄になりかねません。

また、離職防止ツールを運用する人事担当のスキルによっては、設定や活用に時間がかかるケースもあるでしょう。想定以上に導入に手間取る場合、ランニングコストや人事担当の時間を費やすことになります。無駄なコストや時間をかけないためにも、離職防止ツールの利用を検討する際は、自社に必要な機能の洗い出しや運用体制の整備が重要です。

2.個人情報が漏洩する恐れがある

離職防止ツールを利用する際、従業員の心境や評価など、個人的な人事データが流出する恐れがあります。ツールのパスワードが容易に解除できる設定だったり、人目のつく場所で人事データを閲覧したりした場合、他人に個人情報を見られかねません。情報の開示範囲を誤り、見せるべきではない従業員が偶然見てしまうケースも考えられます。

また、ツールのセキュリティ設定が弱く外部からの閲覧を許してしまうケースや、サイバー攻撃を受けて情報が流出する可能性もあるでしょう。情報流出の可能性があるルートをできる限り把握したうえで、人事担当の情報リテラシー向上やセキュリティ対策を万全にし、慎重にデータを扱うことが重要です。

3.データの解釈を誤る可能性がある

離職防止ツールが出力したデータの解釈を誤ると、見当違いなアクションを取ってしまう恐れがあります。たとえば、アンケート調査で「部署の居心地が悪い」と回答があった場合、人間関係なのかオフィス環境なのかを調べなければ、適切な改善策は取れません。

離職者の傾向を把握したつもりが関係のない事象だった場合、かえって不要な対策を講じてしまう可能性もあるでしょう。また、データの更新頻度が少ない場合、従業員や職場環境の状況が変化していることも考えられるため、活用する際は注意が必要です。

4.早急な効果は得にくい

離職防止ツールで分析する際は、データ量が必要なため効果測定に時間がかかります。たとえば、離職予備軍の調査は蓄積したデータを用いて対策を練ります。従業員の求める環境や配慮はアンケートにより素早く把握できますが、環境を改善後、従業員の負担解消やモチベーション向上につながったかどうかはすぐにわかりません。

また、対策の効果測定中に離職者が出る可能性もあり、離職防止対策は根気強く取り組むことが欠かせません。ツール導入後の離職率の低減が明確になるまで、対策を講じつつ長期的な視点で見守りましょう。

離職防止のためのアイデア

従業員の離職を防止するために、環境の構築やフォロー体制の整備など、自社での取り組みを強化することも大切です。ここでは、従業員の離職防止に向けた取り組みのアイデアを紹介します。

1.多様な人間関係が構築できる環境を用意する

離職防止に向けて、部署間の交流の場を設けたり、社内サークルを設立したりして、普段関わらない人との接点を持たせることが有効です。仕事の悩みを抱えた際、同じ部署の人に相談しにくいケースがあるでしょう。別の部署であれば気軽に話せるほか、息抜きやストレス発散にもつながります。また、他部署の雰囲気や仕事の進め方を知り、自分の所属部署に取り入れることも可能です。

従業員の部署異動を行い、仕事の環境を変えるのも多様な人間関係の構築に役立ちます。ただし、環境の変化が苦手な従業員もいるため注意が必要です。できる限り面談で意向を聞きつつ進めるとよいでしょう。

2.研修を充実させる

離職防止のために、従業員の立場にあわせて必要な研修を実施するのも大切です。管理職にはマネジメント研修やハラスメント研修などを行い、部下に対する接し方を見直すよう働きかけるのがおすすめです。上司と部下の信頼関係構築はもちろん、管理する部署の同僚間で人間関係の問題があれば、上司が対策を考える必要があります。研修を通じて対応方法を把握すれば、問題が発生した際も動きやすいでしょう。

また、一般従業員には資格取得の支援やキャリアアップ研修などを行い、自身のスキルや知識を高めるよう促します。従業員の成長機会が増えれば仕事へのやりがいや生産性向上につながるでしょう。従業員が企業内でのキャリアイメージを描ければ、未来への希望を持てるため、離職率の低下が期待できます。

3.1on1ミーティングを行う

離職防止のために、1on1ミーティングで上司と部下の積極的なコミュニケーションを図ることも有効です。1on1は上司と部下が1対1で行うミーティングです。短期スパンで定期的に実施し、上司は部下に現状の悩みや仕事の進捗などを確認します。その際、部下に対してフィードバックやアドバイスを行うことで、部下の成長につなげられます。

ただし、上司が1on1ミーティングの意義や方法を把握していない場合は効果を発揮しにくいため、上司への研修やレクチャーが重要です。また、部署によっては「上司の長期出張が多い」「多忙すぎてすべての部下と面談するのに長期間かかる」などの課題が出るため、調整し運用しやすい体制を整えましょう。

4.評価制度を整備する

離職率を低減させるために、人事評価制度を見直し整備することも欠かせません。不明瞭な評価制度やそもそも制度化していない場合、従業員は昇給や賞与の支給基準がわからず不満を抱く恐れがあります。また、上司の好き嫌いで部下を評価していたり、年功序列制で階段式に昇格したりしている場合、従業員のモチベーション低下や能力が高い従業員の離職を招きやすいでしょう。

離職の要因を取り除くためにも評価制度を整え、実力に応じた給与や役職アップの基準などを明確化することが大切です。自社のキャリアパスも明確化しておくと、従業員が自分の将来像をイメージしやすく離職率の低下につながります。ただし、一度に制度を刷新すると長く在籍している従業員からの反発も見込まれるため、段階を踏むことも視野に入れましょう。

5.新入従業員のフォローを充実させる

早期離職防止のために、新しく入社した従業員をフォローするためのサポート体制を整えるのも重要です。入社時のオリエンテーションをはじめ、教育担当をつけたりマニュアルを整備したりして育成に努めましょう。

適切なフォローや声かけができていないと、新しく入社した社員が戸惑いや不満を持ち早期退職につながるため注意が必要です。特に、新卒の学生を採用する際は自社で成長し長期的に働いてもらうためにも、マニュアルを用いた教育だけでなくフォローやコミュニケーションが欠かせません。在職者のリソースや現場の考え方なども影響するため、新しく人材が入る予定の部署にはあらかじめ説明や懸念事項の共有を行うとスムーズでしょう。

6.働く環境を整備する

従業員の勤務時間や場所など、働く環境を見直すのも離職防止につながります。たとえば、以下のような事例が挙げられます。

• テレワークやフレックスタイム制の導入
• 休暇制度の充実や取得しやすい環境の創出
• 休憩スペースやお菓子販売所の設置
• 現場の冷暖房や設備の改善
• ルーティンワークや煩雑な作業のDX化　など

柔軟に働き方を選べる環境なら、従業員のライフステージの変化にも対応できるでしょう。育児・介護や自身の体調などの都合で離職を考えていた人もとどまる可能性があります。ただし、自社の事業形態や職種によっては適用の有無が異なるケースもあるため、従業員から不満が出た際の対応も考慮しておくことが大切です。

7.企業の方向性を明示する

自社の長期目標や方向性を従業員に示し、安心感を与えることも離職防止に有効です。仕事へのモチベーションやキャリアイメージの構築にもつながります。たとえば「△年後に△△業界への進出を見込んでいる」との方針を従業員に伝えた場合、新しい仕事への挑戦や意欲を持つ従業員が現れるでしょう。

また、業績が振るわない場合も、現状と今後の見通しを従業員に説明すれば、離職を踏みとどまる人もいると考えられます。従業員に自社への愛着を持ってもらうためにも、自社の状況を可能な限り従業員に開示し、信頼してもらうことが重要です。

8.離職防止ツールを活用する

上記対策は離職防止につながりますが、導入する際は人事の負担が大きくなりがちなため、離職防止ツールを用いて効率化するのがおすすめです。業務を効率化すれば、人事担当は社内の働き方や環境整備に使う時間をより捻出でき、さらなる改善策の検討もできるでしょう。

また、前述のように離職防止ツールの活用は従業員にもメリットがあり、仕事に対するモチベーション向上やコミュニケーションの機会創出などが可能となります。「評価制度の構築のみ」「人事データを活用し情報を一元化できる」など、ツールによって備える機能は異なるため、自社に合ったツールを選ぶことが重要です。

離職防止ツールの選定ポイント

離職防止ツールは、導入目的を明確にしたうえで操作性やフォロー体制の有無などを比較・検討しましょう。ここでは、離職防止ツールを検討する際に確認したいポイントを解説します。

1.目標を達成できる機能が備わっているか

離職防止ツールの比較前に、離職防止ツールでどのような結果を得たいのかを明確にしておくことが重要です。離職防止ツールは以下の2種類に大きく分かれます。

• ストレスや身体的な負担といったマイナス要因を可視化するツール
• 従業員間のコミュニケーションを増やしたり人事評価を透明化したりして、モチベーションを向上させるツール

また、離職防止ツールには1つの業務に特化したツールや、採用・人事評価・人材配置など複数の機能を備えるツールがあります。離職理由は心身の状況もあれば給与面の場合もあるでしょう。導入前にアンケートを行い、自社の状況にあわせて利用するツールを選択するのがおすすめです。

2.使い勝手がよいか

離職防止ツールが使いやすい設計やデザインかどうかをチェックしましょう。離職防止ツールが複雑な機能や操作方法である場合、従業員にストレスを与えたり、人事担当の負担が増えたりする可能性があります。有意義な機能を備えていても、利用時の負担が大きければ形骸化してしまう恐れもあるため、事前に操作性を確認しましょう。

さらに、ツールが算出したデータの読み解きやすさや、従業員のフォローすべき箇所がわかりやすいかなどもチェックすることが大切です。データを活用しにくく見当違いな対策を講じた場合、離職率の低減につながらないケースがあります。離職防止ツールにはトライアル期間を設けているツールがあるため、使い勝手を確かめたうえで本格導入するのがおすすめです。

3.フォロー体制が整っているか

離職防止ツールの導入時・導入後のサポート体制が整っているかどうかも確認すべきポイントです。「ツールの使い方で困った際にすぐ質問できる」「ツール活用に関するレクチャーがある」など、ツールの提供元によってサービスが異なります。

ツールに関する質問を運営元へ問い合わせる際に、人事担当や上司などを通さず従業員みずから聞ける環境であれば、手間の発生や認識の相違による誤回答を防げるでしょう。さらに質問内容をQ&Aで蓄積すれば、スムーズな運用が図れます。また、ツール運用で離職予備軍やストレスをかかえている人が判明した際、自社で対応できない場合もあるでしょう。その際、離職防止ツール提供元のフォロー体制を確認しておくと安心です。

4.既存の人事関連システムとの連携ができるか

離職防止ツールが給与システムや人事管理システムなど、既存で使用しているツールと連携したり、データを統合できたりするかも確認すべき項目です。

別々のツールを使用すると業務が煩雑化しやすく、人事担当の負担が増加します。ツール導入の予算や目的にもよりますが、人事関連システムと連携できるツールを利用すればデータを一元化管理でき、入力・転記ミスを低減させられるでしょう。正確に情報を活用できれば、対策の充実化や離職防止効果の向上にもつながります。

離職防止ツールの導入事例3選

では、実際に離職防止ツールを導入することで、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか？ここでは、離職防止ツールの導入事例を3つ紹介します。業種や会社の規模などもそれぞれ異なるので、自社の形態に近いものを参考に、自社への導入を検討していただければと思います。

CASE1.大森クローム工業株式会社　従業員数：60名　導入製品：Geppo

大森クローム工業株式会社では、2018年11月より従業員の声を吸い上げ、離職防止と組織改善を目的としてGeppoを導入しました。パルスサーベイを活用し、全従業員と内定者を対象に定期的なアンケートを実施。回答結果を基に従業員との対話を深める運用を行っています。従業員が会社への意見を気軽に発信できる環境を整備し、フィードバックを全社的に共有することで、会社と従業員間の信頼関係を強化。結果として、離職リスクの軽減だけでなく、組織の一体感向上や業務効率化にも繋がっています。

①Geppoの導入前の課題

導入前、大森クローム工業株式会社では、従業員の声を効果的に収集する仕組みが不十分で、従業員満足度の低下や世代間ギャップが組織課題として挙げられていました。従来のアンケートでは、従業員が本音を伝えることに消極的であり、重要な課題が見えにくい状況が続いていました。また、従業員間のコミュニケーション不足が生じ、会社としての改善に必要なデータが得られないという課題も存在していました。このような背景から、効果的に従業員の意見を吸い上げ、改善につなげるツールの必要性が高まっていました。

②Geppoの採用の決め手

Geppoを採用した理由は、簡便性と従業員が本音を伝えやすい設計にあります。月3問という手軽なアンケート形式やポップなデザインが従業員の心理的負担を軽減し、率直な意見を引き出す助けとなりました。また、匿名性の高いコメント収集機能により、従業員間の信頼が深まりました。さらに、データを活用して迅速に組織改善策を打ち出す運用が可能であり、具体的な改善プランの立案に役立つ点も採用の決め手となりました。導入初期から直感的で使いやすいツールとして高く評価されています。

③業務中におけるGeppo使い方

大森クローム工業株式会社では、Geppoを活用して従業員の声を吸い上げ、迅速な対応を実現しています。企画管理部のマネージャーが回答結果を一元管理し、アラートが出た従業員に対して迅速な1対1の面談を実施。従業員の抱えるモヤモヤや背景をじっくりと聴き取ることで、課題の本質を把握しています。また、収集されたコメントは匿名化した上で全社朝会で共有し、会社としての方針や対応を透明性高く説明。これにより、従業員の納得感が向上し、組織全体のエンゲージメント向上に繋がっています。

参考：離職防止だけでなく会社と従業員のコミュニケーションを活性化させることで両者の信頼関係をより強固なものにした製造業の運用のコツ

CASE2.株式会社アドナース　従業員数：50名～199名　導入製品：ラフールサーベイ

株式会社アドナースは、介護・福祉業界において従業員のメンタルヘルスケアと離職防止を目的に「ラフールサーベイ」を導入しました。従業員のストレスを把握し、働きやすい環境を整えることを重視し、簡単に回答可能なショートサーベイや、結果を基にしたフィードバックを活用しています。回答率90%以上を維持し、従業員のセルフケア意識向上や組織全体の課題改善に取り組んでいます。これにより、離職率の抑制とともに、職場の一体感やエンゲージメントが高まっています。

①ラフールサーベイの導入前の課題

導入前、アドナースでは従業員が自らのストレスに気付く機会が少なく、いきなり退職に至るケースが課題となっていました。特に、表面上は健康に見える従業員のメンタル不調を早期に把握する手段が不足していたのです。また、従業員の声を効果的に吸い上げ、組織の改善に役立てる仕組みも整備されていませんでした。このような背景から、従業員が自らの状態を理解し、会社側も早期に対応できる仕組みの導入が必要不可欠とされ、「ラフールサーベイ」の採用に至りました。

②ラフールサーベイの採用の決め手

「ラフールサーベイ」を採用した理由は、回答のしやすさと結果の分かりやすさです。短時間で回答可能なショートサーベイ形式や、結果が即座に従業員にフィードバックされる仕組みが高く評価されました。さらに、回答結果に基づくアドバイスやセルフケア用のコンテンツが提供される点も魅力でした。また、手頃な価格で導入できることや、メンタル・フィジカル・エンゲージメントに絞った設問構成が、業務の合間に活用しやすいツールとして最適でした。

③業務中におけるラフールサーベイ使い方

アドナースでは、「ラフールサーベイ」を従業員のストレスチェックと早期ケアのツールとして活用しています。毎月のショートサーベイにより従業員の状態を把握し、必要に応じて管理者が個別面談を実施。回答結果は個人にも共有され、セルフケアを促進するアドバイスやリコメンドコンテンツが提供されます。さらに、端末配布時にラフールアプリを事前にインストールすることで回答率を向上させています。結果的に、従業員の意識改革や働きやすい環境づくりに繋がっています。

参考：『ラフールサーベイ』導入事例 株式会社アドナース様｜『ラフールサーベイ』を効果的に活用し、目指すは離職ゼロ

CASE3.株式会社キャスティングロード　従業員数：199名　導入製品：Motify HR

株式会社キャスティングロードは、全国13支店を展開する人材派遣企業です。同社は従業員間の信頼関係を深め、エンゲージメントを向上させる目的で「Motify HR」を導入しました。コロナ禍による物理的な距離の拡大や、役職者の離職が続いた状況の中で、コミュニケーション不足を解消し、帰属意識を高める必要性を感じていました。導入後、従業員のエンゲージメントが向上し、離職率が確実に低下するなど、組織改善の大きな成果が得られています。

①Motify HRの導入前の課題

キャスティングロードでは、全国に拠点が増加するにつれ、従業員間の関係が希薄になり、役職者の離職が相次ぐという課題がありました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限により、支店間のコミュニケーションが著しく減少。これにより、従業員のモチベーションが低下し、ネガティブな雰囲気が社内全体に広がっていました。エンゲージメントを高め、帰属意識を再構築するためには、新たな仕組みが必要だと判断し、HRシステムの導入を検討しました。

②Motify HRの採用の決め手

Motify HRを採用した最大の理由は、1on1ミーティングやニュースフィードなど、エンゲージメント向上に必要な機能が揃っている点と、コストを抑えたスモールスタートが可能な点です。社内の規模に合わせて柔軟に導入できるため、最小限の投資で運用を開始できたことが決定打となりました。また、専用アプリを利用することで、従業員がスマートフォンなどからいつでもアクセスできる利便性も高く評価されています。これにより、遠隔地の従業員とのつながりも強化されました。

③業務中におけるMotify HR使い方

Motify HRは、1on1ミーティングの運用や日常の健康管理に活用されています。月1回の1on1ミーティングでは、システム内に用意されたテンプレートを活用し、従業員との対話を記録。さらに、ニュースフィード機能を活用して各拠点の活動を共有することで、従業員間の交流が促進されています。また、顔写真や趣味を登録できる機能を利用し、物理的に離れた支店同士が趣味を通じてつながる場も生まれています。

参考：株式会社キャスティングロード 様 | MotifyHR（モティファイHR）エンゲージメント向上システム

おすすめの離職防止ツール22選

カオナビ

製品詳細はこちら

離職防止ツールタレントマネジメントシステム人事評価システム

トライアル	有り
サポート	メール

製品のおすすめポイント

• 組織に眠っている人材情報をオープンにすることで組織能力の最大化を実現
• 人材データベースの鮮度と解像度を保ち続ける仕組み
• システムだけではない手厚いサポートとコミュニティで最高のパフォーマンスを発揮

導入事例5件をみる 資料ダウンロード

HRBrain

製品詳細はこちら

労務管理システム離職防止ツールタレントマネジメントシステム人事評価システム

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• アナログ業務をクラウド化し、人事業務の効率化を図る
• データ活用を前提とした人材データの一元管理を可能に
• データにもとづいた適材適所を実現。活躍人材の傾向も見える化

導入事例5件をみる 資料ダウンロード

ラフールサーベイ

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 多角的なデータ分析で組織の強みと課題を可視化
• 従業員のセルフマネジメントを促進する充実の機能
• 充実したサポート体制と豊富な対策提案

導入事例0件をみる

Unipos

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 感謝と称賛をポイント化する「ピアボーナス®」
• 行動指針の浸透を促進するハッシュタグ機能
• 心理的安全性を支えるリアルタイムタイムライン

導入事例0件をみる

Geppo

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 課題を可視化する効果的なサーベイ設計
• 導入後の手厚いサポート体制
• 直感的で高機能な管理画面

導入事例0件をみる

Wevox

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 簡単・迅速なサーベイ回答とリアルタイム分析
• AIを活用した課題特定と個別サポート
• カスタマイズ性と多角的な分析機能

導入事例0件をみる

テガラみる

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 心の状態を可視化する「お天気だより」
• 第三者によるフォローで信頼関係を強化
• 柔軟な機能で組織全体を支援

導入事例0件をみる

いっと

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	無し
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 退職者の本音を引き出す高度なインタビュー
• 定量と定性データを活用した課題解決
• 柔軟なサポート体制とオプション機能

導入事例0件をみる

ミツカリ

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• ミスマッチを防ぐ「適性検査機能」
• エンゲージメント向上を促進する「従業員サーベイ」
• データに基づく意思決定を支える「分析ツール」

導入事例0件をみる

シナジーhrサンクスツール

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 感謝を可視化する「サンクスカード機能」
• 個人の行動と貢献を記録する「個人ページ」
• 企業理念を浸透させる「カスタマイズ機能」

導入事例0件をみる

Motify HR

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 従業員の働きがいを可視化する「エンゲージメントサーベイ」
• 新メンバーを定着させる「オンボーディング機能」
• 成長を促進する「1on1面談とOKR管理」

導入事例0件をみる

THANKS GIFT

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 感謝のコミュニケーションを促進
• 離職予兆の可視化と早期対策
• 経営理念の浸透と情報共有

導入事例0件をみる

WILL CANVAS

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 管理職を支える組織開発機能
• 豊富な施策例による具体的な支援
• 「ありたい姿」に応じた設問設計と結果の可視化

導入事例0件をみる

GRATICA

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 感謝を「エモーショナル」に伝える新しい体験
• 直感的なインターフェースと簡単な操作性
• 承認欲求を満たし退職率を抑制

導入事例0件をみる

NALYSYS（ナリシス）

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 性格と職務適性の可視化による精密なマネジメント
• 簡潔で負担のないモチベーションの可視化
• 人事施策の効果測定とデータ活用

導入事例0件をみる

PULSE AI

製品詳細はこちら

離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• AI診断による離職リスクの早期発見
• エンゲージメント向上のためのサポート機能
• 簡単な運用と導入プロセス

導入事例0件をみる

リファ楽

製品詳細はこちら

リファラル採用ツール離職防止ツール

トライアル	無し
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• LINEを活用した直感的な操作と広範な活用性
• シンプルで効率的な管理機能
• 低コストと手厚いサポート

導入事例0件をみる

LLax forest

製品詳細はこちら

健康管理システム離職防止ツール

トライアル	有り
サポート	メール

製品のおすすめポイント

• 従業員の健康と満足度を一元管理できるエンゲージメントサーベイ
• データ分析と直感的なフィードバックで組織課題を明確化
• 個別ニーズに合わせたカスタマイズ可能なオンラインコンテンツ提供

導入事例0件をみる

ミイダス

製品詳細はこちら

離職防止ツールタレントマネジメントシステム

トライアル	有り
サポート	電話　メール

製品のおすすめポイント

• 社員を分析して、組織の特徴や活躍する人材を特定できる
• 詳細な検索項目からフィットする人材を検索でき、圧倒的なコストパフォーマンス
• いつでもどこでもスマホで応募者とやりとり、必要なとき必要な人材に業務を依頼できる

導入事例0件をみる

HRMOSタレントマネジメント

製品詳細はこちら

離職防止ツールタレントマネジメントシステム人事評価システム

トライアル	無し
サポート	電話　メール

製品のおすすめポイント

• さまざまな情報を一元管理できる従業員データベース
• 目標・評価の提出状況を可視化することで現場も人事も全体の把握が可能
• 1on1を支援・活用するさまざまな機能を搭載

導入事例5件をみる

タレントパレット

製品詳細はこちら

離職防止ツールタレントマネジメントシステム人事評価システム

トライアル	有り
サポート	メール

製品のおすすめポイント

• 人材を把握したい・優秀な社員を見つけたいを実現する人事情報の一元化
• スキルを見える化し社員のパフォーマンスを向上
• 採用のミスマッチを防止し自社に合う人材の採用する採用力強化機能

導入事例5件をみる

SmartHR

製品詳細はこちら

労務管理システム離職防止ツールマイナンバー管理システム

トライアル	有り
サポート	電話　メール　チャット

製品のおすすめポイント

• 直感的にわかる画面設計と入力アシストでストレスのない操作が可能に
• 収集・管理・活用を全てペーパーレスに、脱アナログで業務効率化を実現する
• 充実したサポートコンテンツによりSmartHRを最大限に活用することができる

導入事例6件をみる

まとめ

本記事では、離職防止ツールの概要やメリット・デメリット、ツールの検討方法などを解説しました。離職防止ツールを利用すれば、従業員の心的状況の可視化や、職場のコミュニケーションの活性化などが可能です。一方で、使い方によっては情報漏洩のリスクがあり、データの解釈を誤ると見当違いな対策を講じてしまう点に注意してください。

離職防止ツールの導入を検討する際は、自社の目的を明確にしたうえで、使い勝手や人事ツールとの連携の可否などを確認しましょう。ツール導入後は収集したデータを用いて、本記事で紹介した離職防止のアイデアを試すのもおすすめです。離職防止対策を適切に行い、従業員にとって働きやすい職場環境の構築を目指しましょう。