株式会社OptiMax(本社・東京都文京区、代表取締役CEO・大須賀彰太)は2026年11月2日、技能伝承サービス「Dr.暗黙知(ドクターあんもくち)」の提供を始めたと発表しました。ベテランが経験で下している判断をAIが聞き取って会社の資産として残し、現場の担当者がAIチャットで尋ねられるようにするサービスです。従業員100人以上の製造業を主な対象に、1業務・3か月の試験導入(PoC)の受付も始めています。
文書にならない判断が技能継承の課題に
同社は2026年版ものづくり白書を引き、将来の技能継承に「不安がある」「やや不安がある」企業が85.5%、不安の理由の1位が「熟練技能者の高齢化・退職」(63.0%)だとしています。
同社は、手順書の改訂や動画マニュアル、社内の生成AIは文書や動画になったものしか扱えず、判断の分かれ目とその理由は熟練者の経験の中に残ったままだと説明しています。ベテランの判断をAIに引き継ぐには、まず熟練者から聞き取ってAIが使える形に残す必要があり、Dr.暗黙知はその聞き取りをAIが担うという位置づけです。
記録から作った地図の空白を熟練者に聞く
Dr.暗黙知では、まずAIが報告書や検査記録、日報、メールなどを読み込み、手順書があればあわせて使います。AIはこれらから、どの作業の次に何をするか、どんなときに判断が分かれるかをつないだ業務の地図(手続きグラフ)を作ります。
次に、記録だけでは手順が止まる所を重要な順に熟練者へ質問し、記録からわかることは聞きません。質問は認知科学の研究にもとづく問いの型で、「検査の数値と自分の判断が食い違ったことは?」「新人が間違えやすい所は?」のように場面を絞って聞くとしています。
現場では次の作業を根拠つきで案内
現場の担当者が状況を入力すると、AIチャットが今どの作業にいるかを特定し、次にやること、その次にやることを根拠つきで案内します。業務の地図は作業のつなぎ目ごとに、どんなときに通るか(条件)、どう進めるか(処置)、何を避けるか(注意点)を持ち、手順と注意点まで返せるように同社が独自に設計したものです。
リリースは説明用の例として出荷判定を挙げています。検査結果は規格内でも前ロットより数値のばらつきが大きい場合、文書検索なら「規格内のため合格」で止まりますが、Dr.暗黙知は製造記録で段取り替えの有無を確かめ、段取り替え直後のロットは判定者に上げる前に追加で確認する手順まで案内します。判定するのは権限を持つ担当者です。
熟練者の回答は承認者の確認を経て地図に加わり、AIチャットが答えられなかった相談も「まだ答えのない質問」として熟練者に届きます。
1業務・3か月の試験導入を受け付け
試験導入では、1〜2か月目に記録の受領、業務の地図の作成、熟練者へのAIインタビューと記録での検証を行い、3か月目に若手2名程度が現場で試用します。最終報告ではAIが答えられない相談の割合を測り、誤った案内も「答えられなかった」に数えます。企業側に求めるのは、今ある記録と熟練者1名、回答を確定する承認者、窓口1名です。学習に使われない契約のAIの利用や終了時のデータ返却・削除など、環境は企業のセキュリティ水準に合わせて構築するとしています。
技能伝承のツールを比べるときに見ておきたい点
編集部では、記録から先に業務の地図を作り、熟練者には記録で埋まらない所だけを聞く進め方に注目しています。ナレッジマネジメントツールの比較ハブには、暗黙知を形式知として整理・共有するための製品などが載っています。料金や導入企業はリリースに書かれていないため、比べる際は、対象業務の報告書や検査記録がどの程度残っているか、熟練者と承認者の時間をどれだけ確保できるか、試験導入の最終報告をもとに本格導入をどう判断するかを確かめておきたいところです。
出典: 株式会社OptiMax プレスリリース(PR TIMES・2026年11月2日配信)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000174045.html

