ワークフローシステムは自作できる?エクセルなど6つの作り方を紹介
最終更新日:2024/05/29
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目次
ワークフローシステムは社内の稟議や申請を電子化し、業務を効率化するシステムです。ワークフローシステムは、既存製品を利用するだけでなく、自社で構築することができます。この記事では、ワークフローシステムを自作するメリットやデメリットについて詳細に解説しています。また、TeamsやPowerAutmate、Excelなどでワークフローシステムを自作する方法も解説しています。
ワークフローシステムとは?
ワークフローシステムとは、組織内の稟議→決済や申請→承認の一連の流れを電子化し、業務の効率化を図るシステムです。「稟議システム」や「電子承認システム」と呼ばれる場合もあります。現在、リモートワークの普及に伴い、内部統制の強化や生産性向上を図るために、多くの企業が導入を進めています。
ワークフローシステム導入により、ミスの防止や承認申請業務の円滑化が可能になるほか、ペーパーレス化も実現します。また、更新履歴の管理機能を利用して、改ざんの防止や早期の不正発見を目的ととしてワークフローシステムを導入する企業も増えています。
ワークフローについて詳しい解説はこちら
ワークフローとは?効果的な構築方法や運用のポイントも解説
ワークフローシステムを自作するメリット4つ
ワークフローシステムの自社構築は技術・知識が必要であったり、脆弱性のリスクがあったりする一方で、長期的なコストを削減できたり、ニーズに合わせて自由にカスタマイズができるというメリットもあります。
本章では、ワークフローシステムを自作するメリットについて具体的に解説します。
1.コスト削減
初期開発にはコストがかかるかもしれませんが、長期的にはライセンス料やサブスクリプション費用が不要になるため、コスト削減が期待できます。また、必要な機能だけを開発することで、無駄な支出を抑えることができます。
2.自社に合ったものを作れる・アップデートが自由にできる
ワークフローシステムを自作すると、自社の具体的なニーズや業務フローに合わせて作ることができます。また、既存のソリューションでは対応できない特定の要件や独自のビジネスプロセスに柔軟に対応できます。アップデートの際も必要に応じて都度更新でき、外部ベンダーのスケジュールに依存せず、自社のペースで改良を行えます。
3.技術的ノウハウが蓄積できる
システムの開発・運用を通じて、社内にITやワークフロー管理に関するノウハウが蓄積されます。これは将来的なシステム開発や他のプロジェクトにも応用できます。
4.ユーザーエクスペリエンスの向上
ユーザー(従業員)のフィードバックを迅速に反映しやすく、使いやすいシステムを提供できます。社員の声をもとに、柔軟な機能追加・変更も可能です。これにより、業務効率が向上します。
これらのメリットを考慮すると、特に特殊な業務プロセスを持つ企業や、高いセキュリティ要件が求められる企業にとって、ワークフローシステムの自作は大きな利点があります。
<ワークフローシステムを自作するデメリット7つ
ワークフローシステムは、コスト削減ができたり、自社に合ったシステムを構築できたりするなど様々なメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。
本章では、ワークフローシステムを自作するデメリットについて解説します。
1. 初期コストと時間の負担
開発の際には、多大な時間とコストがかかります。要件定義から設計、開発、テスト、導入までのプロセスは非常に長く、リソースを大量に消費します。
2. 技術的な知識が必要
開発の際、コストや時間のほかに高度な技術的知識と経験も必要です。これを持つ人材を確保するのは難しく、場合によっては新たに人材を雇用したり、社員のスキルを向上させる必要があります。
3. メンテナンスとサポートの負担
自社でシステムを構築すると、システムの維持やバグ修正、ユーザーサポートなどを自社で行う必要があります。これには継続的なリソース投入が必要で、外部ベンダーのサポートを受ける既製品と比べると負担が大きい点に注意が必要です。
4. 更新や拡張のリスク
技術の進化に対応するための更新や新機能の追加が必要ですが、これには再び大きなコストと時間がかかります。また、既存のシステムとの互換性を保つのも難しい場合があります。
5. 開発リスク
プロジェクトが計画通りに進まないリスクがあります。要件が変わったり、技術的な問題が発生したりすると、予定よりも大幅に遅れたり、最悪の場合はプロジェクトが中止になることもあります。
6. 品質保証の難しさ
高品質なシステムを開発するのは難しく、特にバグのない安定したシステムを構築するのは高度な技術が必要になります。品質保証のためのテストにも多くの時間とリソースが必要です。
7. フィードバックの母数が少ない
商用のワークフローシステムは、多くの企業に導入されており、ベンダーは多数のユーザーからのフィードバックを基に改善を行っています。しかし、自作システムではそのような恩恵を受けにくいという特徴があります。
これらのデメリットを考慮すると、特に中小企業や技術リソースが限られている企業にとって、既製のワークフローシステムを導入する方が現実的である場合が多いです。
自作する際の注意点
現在運用されている申請内容・ワークフローシステムの確認
各部署で実際に使われている申請内容や、現在運用されているワークフローを確認しておきましょう。最初にシステムの要件を明確に定義すると、システム構築がしやすくなります。業務プロセスのうち、どの部分を自動化・最適化するのかを具体的にしてから作業に取り組みましょう。
ビジネス拡大の可能性
将来的な拡張やユーザー増加に対応できるよう、システムのスケーラビリティを考慮しましょう。また、負荷テストを行い、システムが高負荷に耐えられることを確認すると良いでしょう。また、技術選定の際にも、プログラミング言語、フレームワーク、データベースなど、将来的な拡張性やメンテナンス性を考慮した選定が重要です。
セキュリティ対策
データの暗号化、認証・認可機能、ログ管理など、必要なセキュリティ対策を実装しましょう。
また、申請項目やワークフローが追加される場合の更新手順を定めておくことも重要です。
ワークフローシステムを自作する方法6選
1.Googleフォームを使用する
Google フォームでテンプレートを作成し、スプレッドシートと連動させることでワークフローを構築する方法です。
①稟議書など作成したい申請書のテンプレートをGoogleフォームで作成する
②Googleフォームの「スプレッドシートを作成」からスプレッドシートに連動させ、データ蓄積部分を構成する
という流れです。なお、メール送信機能や承認機能を追加したい場合は、Googleフォームのスクリプトエディタからコードを入力する必要があります。
2.Excelを使用する
Excelで関数や条件付き書式などの機能を利用して、フォーマットを作成する方法です。
Approval関数でパスワード付きの承認ボタンを設置したり、「開発」タブの「マクロ」から電子印鑑を作成して捺印したりとカスタマイズ性が高いことが特徴です。
一方で、承認ボタンや電子印鑑などの機能を追加する際は、Googleフォームで作成する方法と同様、コードを書く必要があるため、ある程度の知識が必要です。
3.OSSを使用する
ExmentやActivitiなどのオープンソースのワークフローを使用して、ワークフローを構築する方法です。ソースコードが公開されており、カスタマイズやバグなどに迅速に対応できる点がメリットですが、プログラミングの高度な専門知識が必要になります。また、脆弱性が発見されやすく、開発元からサポートを受けられない点に注意が必要です。
4.Teamsを使用する
社内の連絡ツールにMicrosoft Teamsを利用している企業であれば、Teams内でワークフローシステムを構築することができます。
①「承認アプリ」をインストールする
②承認テンプレートフォームを作成する
③承認設定をする
④テンプレートの公開
という流れです。「出張申請」「残業申請」などテンプレートごとにチャネルを作っておくと項目ごとに見やすくなります。フォーム作成から承認まで、すべてTeamsのアプリ内で行うことができる点が特徴です。
5.SharePointとPowerAutmateを使用する
SharePointとPowerAutmateを使用して承認ルートを作成する方法です。
①SharePointからフォーマットを作成する
②PowerAutmateで承認ルートを作成する
③必要に応じて決済条件リストなどを作成する
PowerAutmateはドラッグアンドドロップでルート作成ができ、コードを書く必要がないため、プログラミングの知識がなくても安心です。また、SharePointアプリを使って、スマホ・タブレットからも申請できます。承認にはOutlookかTeamsから行うことができます。
6.PowerAppsとPowerAutmateを使用する
①PowerAppsで申請画面の項目を用意する
②PowerAutmateで承認ルートを作成する
③PowerAppsからPowerAutmateとの接続を更新する
PowerAppsでは「ボタン」タブからボタンコントロールを簡単に追加でき、申請画面を作る際にコーディングの必要がありません。
まとめ
自作のワークフローシステムは、特定のニーズに対して高い柔軟性とカスタマイズ性を提供し、長期的なコスト削減やセキュリティ向上にも寄与します。ただし、初期の開発コストやリソースの確保が必要となるため、これらの点を考慮して、ワークフローを自作するか、既存の製品を利用するか判断することが重要です。
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