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デジタルピッキングシステム(DPS)とDASの違いとは?導入のメリットと導入事例も解説【2025年最新】

目次

物流センターではEC市場の拡大や多品種少量出荷の増加を背景に、ピッキング効率と品質維持が大きな課題です。そこで注目されるのが「デジタルピッキング」。光る表示器で「どこを」「いくつ」取るかをリアルタイムガイドし、作業スピードとミス削減を同時に実現します。この記事では基本定義からメリット・事例、導入のポイントまでを、実際の製品や企業事例を交えながらわかりやすくお伝えします。

1. デジタルピッキングの定義

デジタルピッキングは、倉庫内の棚やカートに設置した「光る表示器」を使い、

  • どこ(棚位置)
  • いくつ(数量)

をリアルタイムに指示する作業支援システムです。

DPS(Digital Picking System)

いわゆる「摘み取り式」で、作業者がランプ点灯箇所に移動し、表示された個数を取り出します。両手がフリーになるため、ピック精度とスピードが大幅に向上します。

DAS(Digital Assort System)

「種まき式」とも呼ばれ、複数の出荷先へ仕分けを行う際に、ボックスやカートの表示器が色や数で指示します。多品種少量出荷に適しており、誤仕分けリスクを低減します。

DAS物流で生産性向上!DASとは?メリットとおすすめ製品5選もご紹介【__current_year__年最新】

2. デジタルピッキング導入背景と現状の課題

デジタルピッキングを検討するにあたっては、まず従来のピッキング方式が抱える具体的なボトルネックを把握することが重要です。以下では「紙リスト+ハンディターミナル方式」の課題と、EC・多品種少量生産の拡大による新たなハードルを整理します。

2.1 紙・ハンディターミナル方式の限界

従来方式は導入コストが低い一方で、ヒューマンエラーや運用負荷の観点で大きな課題を抱えています。

紙リスト方式の課題

  • ヒューマンエラーが多発
    紙ベースのピッキングリストは、誤読や紛失によるミスが頻発します。
  • エラー率が高い
    論文によると、紙リスト方式のエラー率は先進的な視覚支援方式の7倍にも達するとの報告があります。

ハンディターミナルの課題

  • 充電・紛失リスク
    Bluetooth/無線式端末はバッテリー切れや紛失トラブルが避けられず、現場の安定稼働を阻害します。
  • 操作習熟と導入運用コスト
    ターミナルの重量や画面サイズの制約で、慣れるまでに時間がかかるほか、機器管理にも人手が必要です。

従来方式の課題まとめ

方式 主な課題
紙リスト方式 ヒューマンエラー多発(読み間違い・紛失)、エラー率7倍増加
ハンディターミナル 充電切れ・紛失リスク、重量・接続制限、操作習熟に時間が必要

2.2 EC・多品種少量生産の拡大

近年のEC市場拡大や消費者ニーズ多様化により、倉庫の出荷頻度とSKU数が急増し、従来方式による生産性維持が難しくなっています。

EC市場の急成長

  • 出荷量の急増
    グローバルEC小売売上高は2025年に7.4兆ドルへ成長すると予測されており、出荷頻度の飛躍的な増加が続いています。
  • 高回転率SKUの入れ替わり
    季節商品やプロモーションに伴い、取り扱いSKU数が常に変動。従来方式では在庫把握とピッキングの一致が難しく、生産性低下を招きます。

多品種少量生産の課題

  • 作業効率の低下
    1オーダーあたりのSKU数増加で、従来の一括ピッキング/仕分け方式ではトータルの作業歩留まりが悪化します。
  • エラーリスクの増大
    多数のSKUと頻繁なロケーション変更により、ピッキングミスや仕分けミスが一層顕在化します。

EC・多品種少量化の課題まとめ

課題 内容
多頻度出荷 EC拡大に伴う指示数増加で既存方式は対応困難
SKU多様化 季節・キャンペーンでSKU数変動、在庫・ロケーション管理の難易度が上昇

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要相談 要相談
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ライトプラン 30,000円/月額
備考
中規模事業者向けのプランです。プラスで出荷伝票数に応じた課金があります。
スタンダードプラン 50,000円/月額
備考
中規模以上の事業者向けのプランです。プラスで出荷伝票数に応じた課金があります。
1ヵ月
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備考
従量課金制です。お問い合わせください。
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基本利用料 90,000円~/月額
備考
1~5アカウントまでの料金です。追加アカウント料金は1アカウントにつき5,000円/月額です。追加ショップ・荷主料は50,000円/月額です。
1ヵ月
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mylogi basic 15,000円/月額
mylogi standard 30,000円/月額
6ヵ月
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初期費用 要相談
利用料金 要相談
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オンプレミス型ソフト 
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初期費用 300,000円
利用料金 50,000円/月額
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 35,000円
利用料金 要相談
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パブリック版クラウドサービス 50,000円/月額
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クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
5人 2,300,000円〜
10人 3,200,000円〜
15人 4,000,000円〜
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クラウド型ソフト パッケージ型ソフト 
電話 / メール / チャット /
別途お問い合わせ 別途お問い合わせ
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クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト パッケージ型ソフト 
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倉庫管理システムの製品比較は「倉庫管理システム(WMS)比較15選【2025年最新】選び方や導入事例を徹底解説!」が参考になります。

3. デジタルピッキング導入のメリット

デジタルピッキングを導入すると、作業効率、精度、コスト面で大きな改善が期待できます。以下では主なメリットを「生産性・スピード」「ヒューマンエラー抑制」「コスト削減とペーパーレス化」の3つに分けて解説します。

3.1 生産性・スピードの向上

デジタルピッキングは、作業者が「光った場所へ移動→取り出し→完了入力」のシンプルな流れで作業を進めるため、従来方式に比べて大幅な速度向上が見込めます。

  • 平均30~50%の処理速度向上
    Pick-to-Lightシステム導入により、オペレーターの生産性が30~50%向上した事例があります。これは、ライトモジュールが最適ルートを示すことで移動時間や判断時間を削減できるためです。
  • 新人研修にかかる時間も短縮
    シンプルな光信号による指示のため、新規スタッフはわずか30~45分のトレーニングで現場に立てるという報告もあります。

3.2 ヒューマンエラー抑制

表示器は「棚位置」と「数量」をリアルタイムに明示。これにより、紙リストや手入力に伴う誤読・打ち間違いを大幅に減らします。

  • エラー率を50~99%低減
    Pick-by-Light技術では、従来の紙ベース方式と比較してピッキングミスが最大50〜99%削減されたとの研究報告があります。
  • 精神的負荷の軽減
    ランプによる視覚的ガイドは作業者の認知負荷を下げ、疲労感や判断ミスのリスクを抑制します。

3.3 コスト削減とペーパーレス化

デジタルピッキング導入は、紙・印刷費の削減にとどまらず、両手フリー化による人件費効率の向上など、多角的なコストメリットをもたらします。

ペーパーレス化による直接コスト削減

項目 削減例
紙代・印刷費 年間数十万円~数百万円(倉庫規模に応じ)
保管スペース 書類保管キャビネット不要でスペース有効活用
管理・メンテ費 印刷機械・消耗品維持管理コストの削減

副次的に得られる人件費効率

  • 両手フリー作業でピック速度向上
    ハンズフリー化により、従来のハンディターミナル操作時間が削減され、結果的にオペレーター1名あたりの処理量が増加します。
  • 教育コストの低減
    作業手順が標準化されるため、トレーニング期間や教育担当者の工数を節約可能です。

以上のように、デジタルピッキングは「生産性向上」「エラー抑制」「コスト削減」を同時に実現し、倉庫・物流現場の業務効率化を強力にサポートします。

ピッキングのコツ実践ガイド!速さと正確性を両立する方法【__current_year__年最新更新】

4. 選定ポイント

導入時には、「方式選定」「表示器方式」「既存システム連携」「環境対応」の4つの観点で比較・検討しましょう。

4.1 DPS vs DAS の適用シーン比較

DPS(摘み取り式)とDAS(種まき式)は、オーダー特性や仕分け対象によって適切な方式が異なります。

  • DPS(Digital Picking System) は、単一オーダーの「摘み取り」作業向けで、少品種・大ロット環境で高い処理速度を発揮します。
  • DAS(Digital Assort System) は、複数オーダーを一括で「種まき」仕分けする方式で、多品種少量の仕分け業務に適しています。
  • 例えば、AIOI Systems の事例では、薬品物流センターでDASを用いて店舗別仕分けを高速化し、ミス率を大幅に削減しました。

AIOI Systems の事例は「仕分けの達人|デジタルピッキングシステムと物流DX、製造DXのアイオイシステム」から詳細を確認いただけます。

4.2 有線式/無線式表示器のメリット・デメリット

表示器の通信方式選びは、現場のレイアウト自由度と安定性を天秤にかける必要があります。

種類 メリット デメリット
有線式 安定した通信・電源いらず 配線工事が必要でレイアウトが固定化
無線式 フリーレイアウト・持ち運び可 バッテリー管理・電波干渉リスクあり

4.3 既存WMS/ERP連携の可否

リアルタイム連携により、在庫情報の一元管理とオペレーション自動化が可能です。

  • 多くのPick-to-LightシステムはREST APIやSOAP APIで主要WMS/ERPとシームレスに連携できます。
  • Oracle Cloud WMSでは「波動処理(Wave)→アロケーション」をPTLに直接送信し、コンテナ単位でピッキングが自動制御されます。
  • 連携完了時には在庫・出荷実績が即時反映され、手動調整の手間や二重入力を大幅に減らせます。

4.4 環境・温度対応

設置現場の温度環境に合わせた耐環境性能の確認は必須です。

  • 冷凍倉庫向けのF1級(−25℃対応)耐環境型表示器を選ぶと、極低温下でも安定表示できます 。
  • ポカヨケシステム用のRFIDリーダーなどは、防塵防水IP65以上のモデルがおすすめです。
  • また、GeekplusSkyCube冷蔵ロボット は −18℃対応の高耐久設計で、極寒環境での自動化に貢献します。

RFIDリーダーについて詳細は「RFIDリーダーの基礎知識|RFIDとは?タイプと特徴|RFID Room」をご覧ください。

5. おすすめ製品・企業紹介 – 4選

ここでは、市場シェアや導入実績の高い代表的なデジタルピッキングソリューションを4製品ご紹介します。各製品の特徴を押さえた上で、自社の課題や環境に合った選択の参考にしてください。

5.1 シャープ「無線デジタルピッキングシステム(RW-DT01A/RW-DC01A)」

rwdt01a

内蔵電池+太陽電池のハイブリッド給電で、日常的な充電作業を不要にしたケーブルレス表示器です。

  • 太陽電池+一次電池併用
    アモルファスシリコン太陽電池とリチウム電池の組み合わせで、通常照度(300lx以上)で動作し、約5年の電池寿命を実現します。
  • UHF帯無線通信
    923.6~928.0MHz帯を利用し、16mW以下の出力で通信。配線不要のためレイアウト変更も容易です。
  • 高速レスポンス&多彩な表示
    200msの即応性を持つ7色LEDと4桁7セグメント液晶で、点灯/点滅/消灯、点滅速度変更に対応します。

シャープの無線デジタル表示器については「無線デジタル表示器 RW-DT01A|デジタルピッキングシステム(DPS):シャープ」よりご確認ください。

5.2 富士電機「DAS/DPS対応デジタルピッキングシステム」

solution-dps-das

「種まき方式(DAS)」と「摘み取り方式(DPS)」の両方に対応し、用途やSKU特性に合わせて切り替えられる点が強みです。

  • DAS×DPSのハイブリッド運用
    単一システムで両方式を実現。多品種少量混載から、大ロット連続ピッキングまで柔軟に対応します。
  • スマートデバイス連携オプション:JANコード読み取りや入出荷・棚卸データをリアルタイムで処理でき、紙レス化を徹底します。
  • WMS/在庫管理システムとのシームレス連携:上位システムからの出荷予定や実績データをAPI連携し、在庫の二重管理を解消します。

富士電機の「デジタルアソートシステム(DAS/種まき方式)とは | 富士電機」にて詳細をご確認ください。

5.3 AIOI Systems「Pick to Light System」

aioi-digital-picking

72か国で導入実績を持つAIOI Systemsのラインナップは、多様な現場ニーズをカバーします。

  • 有線/無線ライトモジュール
    低配線技術で安定通信と省メンテナンスを両立。カートやラックへの後付けも容易です。
  • シャッターアソートシステム(SAS)
    個別スロットに備えたシャッター機能で、誤仕分けを物理的に防止するポカヨケを実現します。
  • Eペーパー表示&Projection Picking
    電子ペーパーの省エネ表示や、プロジェクションによる棚照射でさらに作業性を向上させるオプションがあります。

アイオイシステムの製造DXについては「デジタルピッキング|デジタルピッキングシステムと物流DX、製造DXのアイオイシステム」より詳細をご確認いただけます。

5.4 Witron「Dynamic Picking System(E-DPS)」

witron-integrated-logistics-dps-dynamic-picking-system

WitronのE-DPSは、AS/RS(自動倉庫)と統合しつつ、多層構造で動的補充を行うことで、スペース効率と作業性能を両立します。

  • Goods-To-Man型トートピッキング
    高速動的補充で、固定ロケーションに入らないSKUも必要時に自動で前面に供給します。
  • 省スペース設計
    ピックフロントを最小化し、倉庫内フットプリントと歩行距離を削減。省人化・省エネを同時に実現します。
  • 幅広い温度帯・SKU対応
    食品・冷凍・化学品など、業界を問わず導入可能な耐環境性能を備えています。

Witron「Dynamic Picking System(E-DPS)」については「DPS Dynamic Picking System From: Witron | Food Logistics」より詳細をご確認いただけます。

主要製品スペックまとめ

メーカー 製品名 接続方式 主な機能 環境対応
シャープ RW-DT01A/RW-DC01A 無線(UHF) 太陽電池併用給電、7色LED、200msレスポンス 動作温度0~50℃
富士電機 DAS/DPS対応デジタルピッキングシステム 有線/無線選択可 DAS・DPS両対応、スマホ連携、WMS連携 動作温度‐25~50℃
AIOI Systems Pick to Light System 有線/無線両対応 シャッターSAS、Projection、Eペーパー 標準0~50℃、オプションで広範囲
Witron Dynamic Picking System(E-DPS) AS/RS統合 動的補充、フットプリント削減、多層構造 業界別耐環境(凍結対応含む)

これらの製品は、それぞれ得意領域と現場条件が異なるため、「現場の運用形態」「既存システム連携」「環境条件」などを踏まえて最適なソリューションを選定してください。

倉庫管理システムの導入事例9選|導入前の課題や導入後の効果を紹介【__current_year__年最新】

6. 導入ステップとコスト試算

デジタルピッキング導入では、調査・設計からPoC、本稼働まで明確なフェーズを踏むことで、リスクを抑えつつ効果を最大化できます。以下では、各ステップで行うべきポイントと目安期間、コスト概算方法を解説します。

6.1 現状調査と要件定義

導入前に現場の実態を把握し、必要要件を固めます。

まずは現場ヒアリングや作業観察を通じ、現行のピッキングフローや課題点を整理します。
次に、注文頻度やSKU数、WMS/ERP連携要件、温度環境などを整理し、「何を」「どこまで」自動化するかを明確にします。

utm-source-image

ソリューション提案・導入の流れ(画像)については「導入フロー|積水樹脂キャップアイシステム」が出典元になります。

6.2 機器選定とレイアウト設計

要件定義を踏まえ、ハード・ソフト両面の最適構成を検討します。

  • 表示器方式選定
    有線/無線、固定/カート搭載型など、現場の配線可否やレイアウト変更頻度に合わせて選びます 。
  • 表示器台数の算出
    SKU数や同時稼働人数から必要台数を試算。
  • レイアウト設計
    高回転SKUは主要通路沿いに集約し、移動距離を最小化します。これにより作業時間を平均30%削減した事例があります。

レイアウト設計については「Implementing an Efficient Warehouse Picking System」を参考にしました。

6.3 PoC/実証実験フェーズ

小規模環境で導入効果と運用性を検証します。

  • 範囲設定
    代表的な通路や一部ゾーンに限定し、ライト応答や無線品質をチェックします。
  • 期間目安
    2~4週間程度で作業時間短縮率やミス削減率を計測し、本導入の可否を判断します。
  • フィードバック反映
    現場スタッフの意見を取りまとめ、レイアウトや設定パラメータを最適化します。

6.4 本稼働までのスケジュール例

一般的な導入スケジュールは4~6ヶ月程度が目安です。

フェーズ 期間(目安) 根拠
現状調査・要件定義 2~4週間 Cap AI Systemの現状分析フェーズより
機器選定・レイアウト設計 3~6週間 Prime Roboticsの詳細計画フェーズより
PoC/実証実験 2~4週間 実証実験ガイドより
本番構築・テスト 8~12週間 ApteanのWMS実装平均期間より
トレーニング・切替 2~4週間 Supply Chain Junctionの初期運用期間より
総合計 約4~6ヶ月

6.5 初期費用・運用費用の概算方法

初期費用は「ハード」+「ソフト」+「設置/ネットワーク」+「教育」の4要素で試算します。

費用項目 概算 根拠
表示器ユニット(100台) ¥5,000,000(1台¥50,000想定) ITaku 運用コスト解説より
ソフトウェアライセンス ¥1,000,000~¥3,000,000 工程連携API利用料想定
設置・ネットワーク ¥2,000,000~¥5,000,000 LAN整備・Wi-Fi構築コスト
トレーニング ¥500,000~¥1,000,000 現場研修日数×人件費
合計(概算) ¥8,500,000~¥14,000,000
運用費用 年間機器保守10~15%+電池交換コスト 初期ハードコストの10~15%
注意点 表示器台数増加でコスト増加 多品種時はモジュール数に依存

段階導入:初期投資負担を抑えるため、まずは高回転ゾーンのみで導入し、ROIが確認できたら全館展開する手法も有効です。

以上のステップとコスト試算をもとに、自社の導入計画を具体化し、稟議資料やベンダー選定に生かしていただければ幸いです。

運用費用の概算については「デジタルピッキングシステムとは?仕組みを理解して導入を進めよう」も参考にしました。

費用対効果とは?計算方法や戦略、ROAS・CPA・ROIについても解説

7. 事例で見るROI検証

実際の導入事例を通じて、デジタルピッキングの投資対効果(ROI)を具体的に見ていきましょう。

7.1 富士達(焼肉チェーン)での導入効果

logistics-solution-detail

富士電機のDAS/DPSを、焼肉チェーン「七輪焼肉安安」など160店舗を抱える株式会社富士達の物流センターに導入した事例です。

導入背景

紙リスト方式による仕分け作業でヒューマンエラーが多発し、人員増加によるコスト膨張が課題でした。

効果

  • 作業時間を30%短縮
  • 3ヵ月で人員1名分の人件費相当を回収
  • 新規スタッフも即戦力化(導入1ヵ月で生産性90%到達)

富士達での導入前後比較

指標 導入前 導入後 改善率
ピッキング時間 1オーダーあたり10分 1オーダーあたり7分 30%短縮
ミス件数(週) 平均15件 平均3件 80%減少
人件費回収期間 導入3ヵ月
新人研修期間 5日 1日 80%短縮

富士達(焼肉チェーン)での導入効果「デジタルピッキングシステムによる出荷仕分けの効率化 | 物流倉庫の改善・導入事例集 | 物流ソリューション | 富士電機」から詳細をご確認ください。

7.2 その他物流センターでの成果

他の業種・規模の物流センターでも、デジタルピッキング導入により高いROIが報告されています。

企業・業種 導入方式 主な成果 出典
健康飲料メーカー物流センター DPS(一括ケースピッキング) ケース当たりピッキング時間を25%削減 (pub-mediabox-storage.rxweb-prd.com)
アパレル品スーパー向け物流センター DPS+ハンディ連携 ロケーション登録作業を自動化し、工数30%削減 (pub-mediabox-storage.rxweb-prd.com)
冷凍食品通販物流センター L-PICK(冷凍対応DPS) バッチピッキング処理時間を40%短縮 (pub-mediabox-storage.rxweb-prd.com)
  • ケース1:健康飲料メーカー
    パレット単位のケースピッキングをDPS化。取り扱いSKU数が120→150に増加したにもかかわらず、処理時間は25%短縮しました。
  • ケース2:アパレル品スーパー
    商品ロケーション登録を自動化するPick-and-Checkを導入。検品を同時に行いながら作業できるため、検品ミスも減少し、工数30%を削減しました。
  • ケース3:冷凍食品通販
    −25℃対応のL-PICKシステムを採用し、冬場の凍結リスク下でも安定稼働。バッチ処理で仕分け作業を一括実行し、処理時間を40%短縮しました。

これらの事例から、業種・規模を問わず「デジタルピッキング」は早期に投資回収が可能であり、累積効果として人員削減、処理能力向上、ミス削減が得られることがわかります。

8.【まとめ】物流現場の作業効率化とミス削減を実現するために

本記事では、物流現場の作業効率化とミス削減を同時に実現する「デジタルピッキング」のメリットや選定ポイント、具体的な導入ステップ、そして代表的な製品・導入事例を幅広くご紹介しました。

まず、紙リストや従来のハンディターミナル方式が抱えるヒューマンエラーや生産性低下の課題を整理し、その解決策としてDPS(摘み取り式)とDAS(種まき式)の特長を解説しました。次に、有線/無線表示器の選び方や既存WMS/ERPとの連携要件、─25℃などの耐環境性能といった導入検討時の重要ポイントを明確化。さらに、シャープや富士電機、AIOI Systems、Witronといった各社ソリューションを比較し、自社の運用形態や現場条件に合わせた最適な製品選定の指針を示しました。導入ステップでは、現状調査から要件定義、PoCでの検証、本稼働までの標準スケジュールとコスト試算手法を提示。最後に、具体的な導入事例を通じて、早期に投資対効果(ROI)を回収しながら作業時間やミス件数の大幅削減を達成できることを実証しました。

これらを踏まえ、まずは現場の課題を整理し、段階的にデジタルピッキングを試験導入することで、無理なく高い成果を得られる運用を目指してください。

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よくある質問

DPSとDASの切り替えは容易ですか?

一部の製品(富士電機など)は同一システム内でDPS⇔DASを切り替え可能です。ただし、表示器台数や運用フローを再設定する必要があります。

デジタルピッキング導入期間の目安は?

現状調査から本稼働まで4~6カ月が一般的です。PoCに2~4週間、その後本番構築に約8~12週間かかります。

既存のWMS/ERPと連携できますか?

多くのPick-to-LightシステムはREST/SOAP APIを通じて、主要WMS/ERPとリアルタイム連携が可能です。

デジタルピッキングは冷凍倉庫(−25℃)でも動作しますか?

富士電機の耐環境型表示器は ‐25℃ 対応 fujielectric.co.jp 、WitronのE-DPSも凍結環境での実績があります。

デジタルピッキングのメンテナンスや運用保守はどうすればよい?

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