製品を導入することになった背景

松井建設株式会社では、2016年にBIM(Building Information Modeling)の導入が入札条件となる公共案件に遭遇したことをきっかけに、BIM活用への本格的な取り組みが始まりました。翌2017年にはICT推進室が新設され、支店ごとにリーダーを任命する体制が構築されました。以後、BIMによる施工の可視化と情報共有の可能性を実感した現場技術者の声が後押しとなり、BIM活用の全社展開へと進展していきました。

導入前に企業が抱えていた課題

従来は、所長や現場職員が頭の中で作業工程を組み立て、技術を暗黙知として継承することが一般的でした。図面は2Dベースであり、図面から3Dを想像する力が必要だったため、若手社員との認識共有が困難で、情報伝達に時間がかかるという課題を抱えていました。また、施工計画や仮設検討などの作業が属人化しており、技術伝承の効率も課題でした。

導入前の課題に対する解決策

ICT推進室では、BIMを単なる図面作成ツールとしてではなく、施工現場と本社の連携を強化するための情報共有基盤と位置づけました。現場の技術者自身がBIMモデルに触れることを重視し、オペレーターに頼りきらない運用体制を整備。BIMcloudを活用することで、本社と支店間で同時並行的にモデルを編集・調整できるようにしました。さらに、Archicadを基盤としつつ、施工シミュレーション向けのsmartCONPlannerやRhinocerosなども組み合わせ、実践的な活用環境を構築しました。

製品の導入により改善した業務

BIM導入により、施工計画、クレーンの配置や搬入計画、コンクリートの数量算出、構造スリットや配管ルートの可視化など、これまで属人的に行われていた作業が見える化され、効率的かつ正確に実施できるようになりました。特に、ベテランの知見と若手の操作スキルを融合させたモデル作成により、チームワークが向上。さらに、教育ツールとしても機能し、若手技術者がBIMを通じて技術を早期に習得できる環境が整いました。また、BIM-FMの実証も始まり、設備管理への活用も視野に入れた業務拡張が進行中です。