製品を導入することになった背景

株式会社JTBは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや働き方を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んでいました。国内旅行商品のプランや料金交渉、移動手段の手配、旅行先でのアクティビティや追加旅行素材の交渉など、多岐にわたる業務を効率化するため、業務フローの標準化と自動化を目指し、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入を決定しました。

導入前に企業が抱えていた課題

JTBグループは、総合旅行業からソリューション提供型のビジネスモデルへの転換を目指していましたが、これにはデジタル技術の活用が不可欠でした。特に、全国にわたる出発地と目的地の組み合わせによる商品企画には、全国の組織で必要なすべての機能を備える必要があり、業務フローの標準化と自動化が大きな課題となっていました。

導入前の課題に対する解決策

JTBは、管理者の負荷軽減と処理スピードの早さを重視し、2017年から国内外のRPAツールについて情報収集を開始しました。初期には国産ツールと海外製ツールを導入し、その後、適用業務の範囲を増やし、開発を内製化する方針を採りました。プログラム開発が可能でない人でも短時間で開発できる「Automation Anywhere Enterprise」が採用され、開発と運用のしやすさ、処理スピードの早さが決め手となりました。

製品の導入により改善した業務

RPA導入により、JTBは4つのフェーズを通じて業務改革を進めました。第1フェーズでは宿泊仕入れ業務など効果が大きく、開発の難易度が高い業務をターゲットに導入し、拠点によっては残業時間が60%削減される効果を得ました。第2フェーズでは開発難易度が小さく、コスト効果も小さい業務を対象にし、第3フェーズで難しい開発の内製にチャレンジしました。第4フェーズでは社内業務のボトルネックを把握し、その解消にプロジェクトチームを組成しました。これらの取り組みにより、社内の5部門のうち3部門で約100のロボットが稼働し、大幅な業務効率化を実現しました。