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目標管理制度(MBO)について徹底解説!意味やメリット、OKRやKPIとの違いも紹介

目次

社員のパフォーマンス向上や主体的な取り組みは、企業の成長や存続に必要不可欠です。現在多くの企業が、社員のモチベーション維持や目標管理について悩んでいると思います。今回紹介するのは、それらの悩みを一気に解決する「MBO(目標管理制度)」という手法です。MBO(目標管理制度)の定義からメリット・デメリット、導入方法、実際のMBOシートの書き方などを詳しく解説していきます!

MBOとは

目標管理制度(MBO)の意味

目標管理制度(MBO)とは、個人またはグループで目標を設定し、その達成度で評価を決める手法です。1954年にP.F.ドラッガーが自身の著書で提唱した組織マネジメントの概念で、近年取り入れる企業が増えています。この制度では、個々の達成目標を明確にし、個人と組織の方向性を一致させることが重要です。最終的に、個人の目標と組織の目標をリンクさせることで、個人が組織の成功に貢献するという参画意識を持ちやすくなり、結果としてメンバーのモチベーション向上が期待できます。

目標管理制度(MBO)の目的

MBO(目標管理制度)は、組織における課題の克服や生産性の向上、社員の主体性向上・モチベーションアップ・問題解決能力向上を主な目的として活用されるケースが多いです。つまり、組織の目標達成・社員の能力向上・人事考課への反映という3つの目的をもったハイブリット型の制度として導入されています。また自分で目標を設定するため、「やらされ感」がなくなる上に、組織の成功に貢献するという参画意識を持たせることができます。

目標管理制度(MBO)の広まった背景

近年リモートワークが普及したことで、社員と上司のつながりが薄れ、上司から部下への評価がしずらい、また社員のモチベーションを維持させるのが大変などの課題を抱える企業は少なくありません。交流の頻度が減り、社員一人ひとりの主体性やモチベーションを高めることが求められているため、MBOの導入を検討する企業が急増していると考えられます。

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MBOの種類3つ

MBOは3種類に分けられているので、目的にあった型を選ぶ必要があります。その3つとは、課題達成型、人事評価型、組織活性型です。この3つの型をうまく組み合わせている企業や1つだけを取り入れている企業など活用方法は様々です。

1.課題達成型

組織達成型のMBOでは、まず組織の目標やゴールを定め、その大きな目標を達成するために部署やチームの目標を決定します。そこからさらに細分化して個人の目標を設定するので、ほとんどがトップダウン形式の実施になります。組織の階層がピラミッド型の企業には、非常に親和性が高いと言われています。組織の目標を全社員に共有し、社員の目標と方向性をすり合わせることが重要です。

(1)課題達成型のメリット

課題達成型のメリットは、個人やチームでの目標達成が、組織・企業の目標達成に直結する点です。個人の生産性を向上させることで、企業全体の生産性も向上でき、非常に有意義な目標管理制度になります。

(2)課題達成型のデメリット

課題達成型のデメリットは、基本的には個人で目標設定をするMBOですが、ほとんどの場合が上司からのノルマ形式のようになりがちです。しかし、達成できないような個人目標を設定すると、社員のモチベーション低下や離職を促してしまう可能性があります。

2.人事評価型

人事評価型のMBOでは、まず社員がそれぞれの個人目標を設定し、達成に向けて行動します。その達成度合いや取り組み方を人事評価に反映するというものです。課題達成型と並行して導入される場合が多いです。

(1)人事評価型のメリット

人事評価型のメリットは、社員が自ら目標を設定するため、モチベーション向上が期待できる点です。また、社員は納得のいく人事評価を得られやすいため、会社へのエンゲージメントも高まります。

(2)人事評価型のデメリット

人事評価型のデメリットは、社員の目標が達成できたとしても、組織・企業の目標にはほとんど寄与しないという点です。したがって、組織の目標達成を目的とする場合は、向いていません。

3.組織活性型

組織活性型のMBOは、組織目標を達成するためにそれぞれの社員が目標を設定し、組織の目標に対して積極的に行動させる目的で導入されます。ほとんどの企業がこの組織活性型MBOを導入しています。

(1)組織活性型のメリット

組織活性型のメリットは、社員の自主性やモチベーション向上を図れる点です。また、それぞれの社員の意識向上により、組織・企業全体の士気が向上し、生産性の向上が期待できます。

(2)組織活性型のデメリット

組織活性型のデメリットは、あまりありません。しいて言えば、社員の目標達成度合いを人事の評価には取り入れられないという点です。

MBO、OKR、KPIの比較

MBOと似たようなマネジメント手法にOKR(Objectives and Key Results)とKPI(Key Performance Indicator)が存在します。それぞれの特徴を紹介し、それぞれを比較していきます。

OKR

OKR(Objectives and Key Results)とは「目標と成果指標」という意味で、MBOから派生した目標管理手法です。定性的な目標と定量的な成果指標に基づき、社員やチームのパフォーマンス向上を図ります。インテル社の元CEOであるアンドリュー・グローブが提唱し、アメリカの多くの企業で導入されています。大きな特徴は挑戦的な目標設定や短いスパンでの振り返り、全体での目標共有があります。

おススメのOKRツール

①株式会社O: (オー)が提供しているCo:TEAMという製品は、1on1で納得感ある評価につなげることのできるツールです。モバオク!や東京海上日動、おかもと整形外科など、規模や業種に関わらず幅広く使われています。

②株式会社Resilyが提供しているResilyという製品は、OKRの立ち上げと運用を効率化するクラウド型のツールです。170社以上から選ばれている実績があり、安心してOKRの導入を任せられます。

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KPI

KPI(Key Performance Indicator)とは、重要業績評価指標を意味し、企業の最終目標達成に向けた進捗を測るための中間指標です。KPIは具体的な数値で設定され、プロジェクトの最終目標に至る過程の適切さを評価します。日々から月ごとの頻度でモニタリングされ、必要に応じて軌道修正を行います。MBOと異なり、KPIはプロジェクトの進捗管理に特化しており、短期間でのレビューが行われる点が特徴です。

3つのマネジメント手法の比較

MBO(目標管理制度) KPI(重要業績評価指標) OKR(目標と成果指標)
目的 個人が設定した目標の達成度合いで人事評価を行う プロジェクトの目標を達成させる 組織が設定した目標の達成(人事評価には関係ない)
目標の単位 個人・グループ 個人、グループ 部署
目標設定のスパン 年度単位(1年)または半期単位(6か月) プロジェクトによる 4半期単位(3ヶ月ごと)が一般的
目標を共有する範囲 本人と上司 ロジェクトを担当する部門や部署内 組織全体
定性的か定量的か 定量的、定性的 定量的 定量的、定性的
測定方法 企業による SMARTの法則※1 SMARTの法則※1
振り返り頻度 半期か1年ごと 毎月、毎週、毎日と短いスパン 毎週や毎月で上司と面談
達成基準 100%の達成が求められる。(50%くらいの確率で達成可能な目標を設定するべき) 100%(プロジェクトの達成する理想像を100%を設定するべき) 60~70%の達成が期待される。(高すぎるくらいの目標を設定するべき)

◎SMARTの法則

※1:SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドラン氏が提唱している目標達成のフレームワークです。

SMARTは「Specific(具体性)」、「Measurable(計量性)」、「Achievable(達成可能性)」、「Relevant(関連性)」、「Time-bound(明確な期限)」の頭文字をとったもので、設定した目標がそれぞれを満たしているのか、S→M→A→R→Tの順で確認する方法です。

KPIとOKRを測定する際は、SMARTの法則で具体的な数値で測定しましょう。

目標管理制度(MBO)の導入メリット・デメリット

目標管理制度(MBO)を導入するにあたって、知っておくべきメリット・デメリット、導入する際に注意するべきポイントを紹介していきます。

◎メリット

まず目標管理制度(MBO)を導入する際に期待できるメリットを紹介します。

1.目標とその結果が明確なため評価を容易にできる

目標の達成度が可視化でき、人事評価に活用できます。また、段階的な評価基準を用いるため、評価への納得度が高くなります。

2.社員の自己管理能力や生産性、自主性を向上できる

業務への自主的な取り組みや、目標達成に向けたセルフマネジメントスキルの向上が期待できます。

3.目標を達成することでモチベーションが向上する

上司からの命令やノルマだけでは高いモチベーションを保つことが難しいです。しかし、自身で目標を設定できるため、業務へのモチベーション効果が期待できます。

4.組織と個人の目標が統一できる

MBOでは、企業が立てた組織目標に基づき、社員それぞれが個々の目標を設定します。つまり組織や企業全体の目標と個人の目標の方向性が統一でき、エンゲージメントも高まります。

5.人材育成につながる

MBOでは管理職の業務の一部である、組織目標に基づいた個人目標の設定と、目標達成に向けた計画の実行を社員全員がやります。したがって、社員全員が管理職で求められるマネジメントスキルを習得でき、将来のマネージャー候補を育成しやすくなります。

◎デメリット

次に、目標管理制度(MBO)を導入した際に生じるデメリットを紹介します。

1.目標達成のための面談など、管理職の負担が増える

上司は部下の目標達成に向けて、定期的な面談、行動改善、進捗チェックなどを行う必要があります。また、目標達成後のフィードバック、次の目標へのアドバイスなども必要なので、部下に対して使う時間が増え、負担に感じる人もいます。

2.達成基準を明確にしにくい職種もある

人事、エンジニア職、クリエイティブ職では定量的な目標設定が難しいといわれています。しかしできるだけアクションと結び付けて、定量的に評価するための目標設定が求められます。

※職種別の目標設定の具体的な書き方を以下で紹介していますので、是非参考にしてください。

3.協調性が失われ、チーム力が低下する

MBOでは個人の目標や成果が重視されやすく、チームの協調性が失われ、チーム力が低下する恐れがあります。しかし、前提の目的としては組織力を向上させることであるので、チーム全体での目標も設定したり、進捗報告会を行ったりとマネジメントを工夫しましょう。

4.目標を低く設定して評価されようとする

MBOでは目標達成度が人事的な処遇に反映できるが、それを意識しすぎると絶対達成できるように低い目標を設定しがちになります。目標が高すぎる場合では、達成できず減給され、モチベーションが低下する可能性もあります。したがって、適切な難易度の目標設定をアドバイスすることが、上司の重要な役割になります。

5.個人と組織で目標がそろわない

組織全体と個人の目標が統一されていない場合、思うような効果が得られにくくなります。また組織内で目標の難易度にばらつきがあると、トラブルの原因になりますので、かえって組織全体のモチベーション低下をもたらしてしまいます。つまり、組織の目標と個人の目標の方向性を統一し、チーム全体でも目標の共有を行うことが、大変重要になります。

◎注意点

目標管理制度(MBO)導入後に失敗しないために、注意するべきポイントを紹介します。

1.階層的ではない組織や経営方針や戦略が頻繁に変わる企業はMBOの親和性は低い

MBOの導入には、トップダウン形式の目標設定や、上司との目標設定・フィードバックが必要のため、階級制度ゆるい企業や上司の少ない企業では、導入が難しいと考えられます。また、経営方針や経営戦略が頻繁に変わる企業は、社員の目標設定がその都度必要になるため、より短いスパンでの目標設定ができるOKRのほうが適していると考えられます。これらの理由で、階層がピラミッド型で経営方針が定まっている企業には、MBOの親和性が高いと言われています。

2.ルーティンワークがメインの業種には向いていない

MBOでは、それぞれの社員が個人の具体的な目標を立てる必要があります。しかし、ルーティンワークがメインの業態では、社員が具体的な数値目標を設定することが難しいため、導入には適していないと考えられます。つまり、定量的な目標が立てられる職種や業態であれば、MBOの導入には適しています。

3.組織目標と個人目標を結びつける

MBOでは企業・組織の大きな目標や課題を社員に公開して、企業課題克服に向けて組織目標や個人目標を設定することが大切です。その結果として、社員それぞれの目標達成が企業の成長につながります。

4.上司と部下で目標設定を行う

社員が1人で目標設定を行うと、目標の達成が目的になり、低い目標を設定したり、組織や企業の目標達成に関連付けできていないなどの問題が生じる可能性が高いです。したがって、上司が確認しながら、すり合わせを行う必要があります。以下で目標設定のポイントも解説しているので、是非読んで参考にしてください。

5.社員の自主性を尊重し、目標を上から押し付けない

上司と目標設定を行うのは、上記で述べたように非常に大事ですが、注意が必要です。社員の自主性を尊重せず、企業の目標や課題解決だけが目的になると、ノルマのような「やらせれている」目標設定になってしまいます。社員が自律的に目標に向かって努力できるようになることこそが、MBOの主な目的なので、その目的を忘れないように注意しましょう。

6.達成できなくても、プロセスも重視して評価を行う

MBOでは具体的な数値で評価が行われるため、点数が低かった社員はモチベーションが下がってしまう可能性があります。このようなことを避けるために、評価に関する正当な理由やフィードバックを行い、プロセスを褒めることが大切です。次の目標達成に向かって社員が努力できるように、上司は親身なフィードバックを行いましょう。

7.できるだけ具体的な目標設定をする

MBOでは評価者による具体的な評価が求められるため、目標設定がより具体的な方が判断も下しやすいでしょう。具体的には、「受注件数10件/月」など、定量的に示されている方が良いです。そうすることで社員も達成に向けて努力しやすくなります。

8.50%の確率で達成できそうな目標を設定する

MBOでは人事評価につながる場合も多いため、報酬が目的になり低い目標を設定してしまう恐れがあります。努力すれば達成できるレベルの目標設定を心がけましょう。目標が低すぎても社員は成長しませんし、目標が高すぎて達成できないと、社員のモチベーションが低下してしまいます。しっかりと上司がそれぞれの社員に適した目標設定をサポートしましょう。

目標設定のポイント

MBOの目標を設定する際に、重要なポイントは以下の通りです。これらのポイントをしっかりと守ることで、上司からの評価が得られやすくなります。

  • 目標達成までの計画が明確で具体的である
  • 努力すれば達成できるというレベルの目標難易度である
  • 目標達成の期限を定める
  • 従業員自身の成長と会社への貢献が同時に実現できる内容である

目標達成までの計画が明確である

達成困難だと思われる目標を設定することは、MBOの目標設定には適していません。またMBOでは、MBOシートに行動計画や具体的な数値目標を設定する必要があります。特に重要なことは、行動計画を立てる際にも定量的で、細分化された目標を設定することです。定量的な目標が難しい部署や職種では、達成条件などを定性的でも記述しましょう。これにより、評価者は非常に評価しやすい上に、従業員もするべきことが明確になります。

努力すれば達成できるというレベルの目標難易度である

MBOでは、目標達成の基準が他の目標管理制度と比較して異なります。OKRはチーム内で非常に高い目標を設定し、60~70%の確率で達成できれば良いという目標管理制度です。しかしMBOでは、基本的に100%の達成が求められます。しかし、絶対に達成できるような低い目標設定では、従業員も成長しませんし、企業の成長にはつながりません。したがって努力次第では達成できるようなギリギリの目標を設定することが重要です。この目標設定は従業員だけで設定するのが非常に難しいので、上司は指導をするようにしましょう。

目標達成の期限を定める

目標設定の際には必ず期限が必要です。評価するスパンは企業内で設定されていて、一般的には年度単位(1年)または半期単位(6か月)になります。それに合わせて目標設定の期限も年度単位または半期単位の企業が多いようです。

従業員自身の成長と会社への貢献が同時に実現できる内容である

MBOの目標設定では、基本的に従業員の自主性を尊重するべきです。しかし、企業の成長に全く関係のない目標設定では企業に利益なく、従業員のモチベーション向上には寄与しないことが多いです。自身の目標達成が企業の成長に寄与しているという感情を持つことで、従業員のエンゲージメントも上がります。上司はこの点を十分意識して、部下の目標設定の際に指導をしましょう。

目標管理制度(MBO)の運用手順

1.企業・組織全体の目標や理念を理解する

社員の目標達成が組織・企業の目標達成に貢献できることがMBOでは非常に重要です。従って、初めに企業・組織全体の目標を社員に理解してもらう必要があります。具体的には、経営層が管理職に経営目標を共有し、管理職はそれを部下に共有し、社員の目標設定の基準として理解してもらうとよいでしょう。

2.それぞれの社員が目標を設定する

社員の自主性を重視して、社員主体で目標設定を行いましょう。自分で設定した目標を達成しようと、努力させることがMBOでは大切です。この時点で上司に確認してもらい、組織全体の目標達成に寄与できているか、達成可能なのかなどすり合わせを行いましょう。

3.目標の具体的な数値や期日を設定する

MBOの評価は目標達成度を見て、定量的な評価をフィードバックします。したがって、目標設定の時点で具体的な数値を盛り込んだほうが良いでしょう。また期限を設定することも非常に大切です。MBOの評価期間は企業によって異なりますが、主に年度単位(1年単位)か半期単位(6か月単位)が多いので、評価期間までを期限にすることが多いです。

4.目標を期日までに達成するための計画を立てる

目標の具体的な数値と期限が決まったら、それを達成するために計画を練りましょう。多くの企業がExcelの「MBOシート」を配布しているので、それを利用して計画を詳細に立てましょう。達成できないような詰め込みすぎた目標を立てると、後に修正するのが大変なので、遂行可能な計画を立てるようにしましょう。この時点で上司に確認してもらい、修正を行ってもらうのも効果的です。

※以下で、「MBOシート」の具体的な書き方を以下で紹介していますので、是非参考にしてください。

5.計画を実行する

計画が立てられたら、それを計画通りに遂行していきます。できるだけ修正を行う必要がないように、マネジメントしましょう。

6.上司は進捗を管理しながら、指導、軌道修正を行う

上司は部下が順調に計画を遂行しているのか、頻繁に確認する必要があります。毎週、毎月のペースで面談を行い、悩み事や困りごとをヒアリングし、アドバイスをしましょう。もし、目標の軌道修正が必要な場合は、それをサポートしましょう。この作業を怠ると、社員の達成度やモチベーションが低下する可能性が高いので、必ず行いましょう。

7.評価期間に入ったら、目標の達成度合いや取り組み方について上司が評価する

目標の期限になり評価期間に入ったら、社員の目標達成度合いやプロセス、取り組み態度を上司が評価します。客観的で具体的な数値として評価・フィードバックを行います。1~5やS~Dなど段階的に評価できるような基準を設けると、評価側は数値化しやすくなります。この時、部下が評価に納得できるように理由や改善点などをしっかりと伝える必要があります。評価の良し悪しとは関係なく、部下の頑張りを褒めてあげ、次の目標に向けてアドバイスを行うことが重要です。

目標管理制度(MBO)の導入率と導入事例

◎導入率

人事評価ツールの1つでもあるMBO(目標管理制度)は、2018年に労務行政研究所で行われた調査によると、79.3%の企業が導入しているとのことです。OKR(目標と成果指標)はMBOよりは導入率が低く、38%程です。全体的に5000人以上の大企業でこのような目標管理のための仕組みは導入されつつある。多くの企業が他の人事評価制度と並行して、社員のモチベーションや自主性の向上のために導入しているそうです。

◎導入事例

MBOでは、個人目標が重視されて組織やチームとしての連携が足りなくなります。一方で、OKRではチームやプロジェクト内で目標を設定するので、組織内の連携や目標のばらつきは少ないです。しかし、成果を上げるための負担が非常に大きくなったり、上司からの支援やフィードバックが行き届かなかったりと問題が生じている。これはMBOやOKRなどの目標管理の仕組みは形骸化がしやすいからです。

形骸化させないためには、評価する側の上司がしっかりと研修受け、部下との面談をしっかりと行い、フィードバックをすることが求められます。

具体的な企業としては、

グリー株式会社
・ヤフー株式会社
・株式会社ユー・エム・アイ
・SCSK株式会社
・株式会社ディー・エヌ・エー

などの企業が導入しています。

◎グリー株式会社での目標管理制度(MBO)の導入事例

◎グリー株式会社での目標管理制度(MBO)の導入事例
引用:https://seleck.cc/1189

ここからは、目標管理制度(MBO)の具体的な導入事例を紹介します。グリー株式会社では、短期的ではなく中長期的な人材育成や社員のキャリア実現を目的として、目標管理制度(MBO)を導入しました。

①目標管理制度(MBO)を導入した理由/背景

グリー株式会社は、事業成長と人材育成の両立を目指し、2007年に目標管理制度(MBO)を導入しました。この制度の導入は、短期的な事業目標達成だけでなく、中長期的な人材育成や社員のキャリア実現を意図しています。特に2014年に事業の転換と多角化を決定した際、人材育成やマネジメントに課題が見えてきたため、社員一人ひとりのキャリア形成と適材適所の人材配置を全社的に実現する必要がありました。これにより、MBOに加えて1on1ミーティングを導入することで、個人の成長と組織目標の達成を両立させる体制を整えました。

②目標管理制度(MBO)の導入方法/手順

グリー株式会社のMBOは、半年サイクルで実施されます。まず期初に部門目標が提示され、上長と話し合いながら各自の目標、達成基準、アクションプランを設定します。進捗確認や目標の見直しは、週次の1on1ミーティングで行われ、個人の目標は組織の目標達成に資するものとされています。各目標には5段階の達成基準が設定され、例えば売上予算の達成に対しては、100%達成で「3」、110%達成で「4」、90%達成で「2」といった形で評価されます。また、目標設定は数値目標だけでなく、アクションベースの目標も含めて設定され、評価が多角的に行われます。

③目標管理制度(MBO)を導入による影響/効果

グリー株式会社において、MBOと1on1の併用により、組織と個人の成長が促進されています。アンケート調査では、社員の7割が1on1に満足していると回答しており、「上司への信頼感が高まった」や「自分のことを理解してもらえる機会が増えた」といった声が寄せられています。特に、1on1を通じて上司と部下の信頼関係が深まり、業務の進捗確認やキャリアの話し合いが円滑に行われるようになりました。これにより、従来のマネジメントスタイルにとらわれず、チャレンジの機会を積極的に提供できる体制が整い、組織全体の成長につながっています。

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MBOシートの書き方(職種別)

目標の設定から達成までに必要なツールにMBOシートがあります。MBOシートは、「目標管理シート」や「評価シート」とも呼ばれ、上司との面談やフィードバックに利用します。多くの場合Excelのようなスプレッドシートの形式で作成します。そのMBOシートの書き方を職種ごとに紹介していきます。

◎MBOシートの項目

・基本情報

氏名、所属部署、役職、勤続年数などの基本情報を記述しましょう。

・個人目標

自身で設定した目標を具体的に数値などを入れて記述しましょう。

・難易度

複数の目標がある際に、それぞれの難易度を全体を100%としたときで評価しましょう。

・アクション

具体的な行動を記述しましょう。定量的なほうが評価しやすいですが、難しい場合は達成条件などを記述しましょう。

・達成期限

具体的な日付や期限を記述しましょう。短すぎず、長すぎないように調整することが大事です。

・達成のためのスケジュール

達成するために必要なアクションと細分化された期限を設けて、具体的に記述しましょう。

・結果

期限内でどの程度目標を達成できたのかを記述し、1〜5やS~Dなど段階的に評価しましょう。

・振り返り

結果に対する自己評価と上司のフィードバックを記述しましょう。特に次のアクションにつながるコメントを記述するとよいでしょう。

・コメント欄

評価者は部下の今後の改善点やプロセスをほめるなど、次につながるようなコメントを行い、スムーズなコミュニケーションを行いましょう。

◎営業職における目標設定の具体例

営業職は、数ある職種の中で最も個人目標の数値を設定しやすい職種です。具体的には、粗利、売上、受注件数などについて、具体的な数値を設定すると良いでしょう。さらに、スケジュールの項目には、数値目標を達成するためのアクション(クライアントへの訪問件数など)も具体的な数値で記載すると、目標が達成しやすくなります。

◎企画・マーケティング職における目標設定の具体例

企画・マーケティング職も、個人目標の設定がしやすい職種です。具体的には、SNSのフォロワー数や問い合わせ件数、売上、プロジェクトのリリース、アイディアの採用率などについて具体的な数値目標を設定しましょう。アクションの項目には、売り上げ達成という目標に対して、フォロワーや問い合わせ件数の目標を数値で記載しましょう。

◎クリエイティブ職における目標設定の具体例

クリエイティブ職は個人目標を数値として出しにくい職種ですが、プロジェクトの売り上げ全体から貢献粗利を算出し、それを数値目標で設定する方法や、制作における作業効率を数値化して目標設定する方法などがあります。また、プロジェクトごとに作業内容が異なるので、それぞれ関連した職種の評価基準を用いる企業では、該当する職種の目標設定を行ってください。具体的には、「期限までに校正体制を整える」や、「内容のブラッシュアップにより、売り上げを10%あげる」などがよいでしょう。

◎エンジニア職における目標設定の具体例

エンジニア職は個人目標を数値化するのが難しい職種の一つです。従って、部品の材料コスト削減や資格の習得、納期短縮などを具体的なアクションを踏まえて目標設定するのが良いでしょう。具体的には、「学習ツールを毎日視聴して、プログラミング言語を期限までにマスターする」や、「作業効率をあげて納期を1週間短縮する」などがよいでしょう。

◎事務職における目標設定の具体例

事務職はエンジニア職と同様に個人目標を数値化するのが難しい職種です。定性的でもよいので、具体的なアクションや業務プロセス改善と関連させて目標を設定をするとよいでしょう。具体的には、「マニュアルの作成と周知を期限までに行う」や、「マニュアルの見直しを行い、作業効率を20%向上させる」などがよいでしょう。

◎管理職における目標設定の具体例

管理職は個人の目標と部下の目標管理の二つの軸が必要になります。個人の目標は企業・組織全体の事業計画につながる売上を数値化して記載しましょう。一方で部下の目標管理については、部下とのコミュニケーションをやミーティングによるサポートを数値化して記載しましょう。具体的には、「週1のプロジェクトミーティングを行い、チーム目標の達成度を30%向上させる」や、「部署の粗利目標1000万円を達成する」などがよいでしょう。

まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございました。今回は、社員のモチベーション向上や主体的な成長を促す「MBO(目標管理制度)」について詳しく解説してきました。MBOの中にも種類があったり、MBOから派生してできたOKRやKPIという手法なども説明してきましたので、それぞれの企業・組織・プロジェクトに適した目標管理法を導入してみてください。導入するだけでは効果が出にくい方法なので、しっかりと上司からのフィードバック体制を整備して、形骸化しないように注意しましょう。日本の多くの企業が導入しているMBO(目標管理制度)の導入を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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