OKRとは?意味から具体的な導入方法までわかりやすく解説
最終更新日:2023/07/28
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目次
この記事では、OKRの意味から具体的な導入方法までをわかりやすく解説します。OKR(Objectives and Key Results)は組織の目標達成に向けた効果的な管理手法であり、多くの企業で導入されています。目標を定めて業務に取り組み、進捗を管理し、適切な評価を行うことで、従業員のパフォーマンスと企業の業績が向上していきます。
この記事では、OKRの基本的な意味、メリット、導入の注意点、導入方法、成功事例を徹底解説していきます。
OKRとは?
基本的な意味
OKR(Objectives and Key Results)は、「目標」と「成果指標」を意味する管理手法です。組織がビジョンを達成するために、具体的な目標を定め、その成果を定量的に測定します。目標で大まかな方向性を設定し、成果指標は成果の達成度を具体的に示すため、従来の目標管理手法とは異なります。OKRは企業と従業員個人の目標をリンクさせて、一体となってプロジェクトに取り組むことが可能です。
発祥
OKRは1970年代にアンディ・グローヴ氏によってインテルで初めて導入されました。その後、ジョン・ドーア氏がGoogleに持ち込み、企業の急成長を支える重要な戦略手法となりました。現在は多くの企業がOKRを取り入れ、自社の成長に繋げています。
OKRのメリット
OKRの採用により組織は戦略の透明性が向上し、全員が共通の目標に向かって協力することができます。目標の定量的な測定により、成果が明確になり、成果を上げるためのアクションにフォーカスできます。また、柔軟性があり、短期間で戦略の調整が可能です。
- 目標を効率的に設定できる
- 全社的な目標共有で達成度が高まる
- 自社に合った人事評価制度を構築できる
- パフォーマンスとモチベーションが高まる
- 社内コミュニケーションが活性化する
目標を効率的に設定できる
OKRを導入すると、定期的に目標設定の見直しや擦り合わせが行われます。定期的に新たに目標設定を共有し、達成するために努力を続けることができます。
全社的な目標共有で達成度が高まる
OKRは企業・部門・個人が一丸となって目標へ向かうための概念なので、方向性をそろえて目標設定を行うことが極めて重要です。従業員それぞれが企業の目標を把握し、それぞれが達成すべき目標が明確化された状態で臨めるため、これまでより大幅に目標達成率が高まります。
OKR管理ツールを用いると、全社のOKRを集約してわかりやすいツリー構造で表示できます。それにより企業の目標から細分化して、個人の目標を定めることができます。
自社に合った人事評価制度を構築できる
OKRはあくまで目標管理のためのフレームワークなので、それ自体を人事評価の基準にするものではありません。しかし、OKRを人事評価制度と併用することで、自社とマッチする人事評価制度を実現しやすくなります。
ただし、社内で複数の評価制度が混在すると、データ活用や管理が難しくなります。OKR管理ツールには、評価制度の一元管理に強みを持つ製品もあります。ツールを活用することで今までより多角的で正確な人事評価が可能となり、適材適所の人材配置も行いやすくなるでしょう。
パフォーマンスとモチベーションが高まる
OKRのフレームワークを適切に導入すると、従業員それぞれが何をすべきか把握できます。さらに個人の努力と結果がチーム・企業にどのように貢献できるかイメージしやすくなります。したがって、自分の努力が組織に貢献していることを実感でき、モチベーションを維持し続けることができます。
社内コミュニケーションが活性化する
OKRの導入には社内コミュニケーションを活性化させる効果もあります。そもそもOKRの目的のひとつが、全社が一丸となって目標を共有することで、チームや部門を超えたコミュニケーション機会を創出することです。
OKR管理ツールには、コミュニケーションのサポート機能も搭載されているため、社員同士の意思疎通が円滑化します。結果的に、社員同士のつながりが今まで以上に深まり、モチベーションの維持と向上にもつながるでしょう。
MBOやKPIとの違いは?
目的 | 期間 | 達成水準 | |
MBO 目標管理制度 |
自身で設定した目標の達成度を測る |
1年 |
100%達成 |
KPI 重要業績評価指標 |
業務プロセスが適切に実施されているかを測る | プロジェクトによる |
100% |
OKR 目標と成果指標 |
容易には達成できない目標(ストレッチゴール)を掲げ、
全社員が目標を共有し計画を進行する |
1~3か月 | 60~70% |
【徹底解説】KPIとは?【意味を簡単に】設定、指標例、KGI違い
OKRの導入方法
導入前の準備
OKRの導入には計画と段階的な実行が必要です。企業・部門・個人それぞれが密接に関連し合った、適切な目標と成果指標を設定することが大切です。そのためには、個人としてではなくチーム・部門、さらに企業全体が一丸で目標に向かうという意識が欠かせません。
まずは事前に目標を「見える化」しておくことが重要です。管理職や役員で企業全体の目標を設定し、具体的な目標を社内全体に共有しましょう。
目標設定のポイント
目標は挑戦的で具体的なものを設定しましょう。OKRは60~70%の達成度が理想なので、簡単に達成できるような目標は避けましょう。
また、組織のビジョンとリンクさせることが重要です。上司とミーティングを重ねながら、企業の目標に貢献できるような目標を設定しましょう。
組織全体への展開手法(カスケード)
カスケードとは、組織全体の目標と部門、個人の目標を連携させる手法です。経営層の目標が部門の目標に分解され、部門の目標が個人の目標に分解されます。これにより、全員が組織の目標に向かって連携することが可能になります。
OKRの進捗管理とレビュー
OKRの進捗管理は週次または月次が一般的です。上司と目標達成までの進捗を確認し、課題や障害を特定します。レビューでは、進捗状況を可視化し、目標達成に向けたアクションプランを策定します。
OKR後のフィードバック
OKR運用において、定期的なフィードバックを行うことが極めて重要です。たとえ目標と成果指標をあらかじめ入念に設定しておいたとしても、運用途中で達成状況に応じた見直しが必要だからです。
フィードバックを行うときに重要なことは、結果ではなくチームのパフォーマンスとモチベーションを最適化することです。これらが高ければ結果はおのずと出るので、必ずしも成果が優れている必要はありません。そのためにも、定期的に目標設定を見直しましょう。
OKRの活用方法
チームのパフォーマンス向上
OKRはチームのパフォーマンス向上に効果的です。共通の目標を設定することでチームの結束力が高まり、メンバーが協力して成果を上げることが可能になります。進捗管理によって課題を早期に発見し、改善策を検討することでチームの成果を最大化します。
OKRと個人目標の連携
個人の目標と組織の目標を連携させることで、全員が組織のビジョンに向かって一体となります。個人の目標が組織の目標とリンクしているため、各メンバーの取り組みが組織全体の成果につながります。
イノベーションの推進
OKRはイノベーションを推進するための強力なツールです。挑戦的な目標設定がチームの創造性を刺激し、新たなアイデアやアプローチを生み出す原動力となります。成果を評価する成果指標によって、イノベーションの成果を可視化し、評価することが可能です。
戦略的意思決定
OKRは戦略的意思決定を支援します。目標設定プロセスにおいて、経営層やチームメンバーがビジョンと戦略を明確化することで、組織の方向性が定まります。定量的な成果指標の進捗データは、意思決定の根拠となる重要な情報源となります。
長期的な運用と改善
OKRは長期的な運用と改善が重要です。定期的なレビューや振り返りを通じて、OKRの効果を評価し、課題や改善点を把握します。社会や組織目標が変化する度に柔軟にOKRを調整・再設定することが必要です。
OKR導入の注意点
導入におけるよくあるミス
OKR導入には注意が必要です。目標が不適切に設定されたり、カスケードがうまく行われなかったりすることがあります。また、OKRの目標が短期的な結果に偏りすぎると、長期的な戦略の遂行が困難になる可能性があります。
OKRの設定時に考慮すべきポイント
OKRを設定する際には、目標が具体的、測定可能、挑戦的であることが重要です。また、組織全体のビジョンとの一致や部門間の連携を考慮することで、目標の重複を避けることができます。
OKRの失敗事例とその教訓
OKRの失敗事例として、目標が過度に抽象的だったり、進捗管理が疎かになったりするケースがあります。これらの教訓を踏まえ、具体的で測定可能な目標設定と進捗管理の徹底が重要です。
成功するためのベストプラクティス
OKRの成功には、組織文化の変革と経営陣のリーダーシップが欠かせません。透明性とコミュニケーションを重視し、全員がOKRに参画することが重要です。また、進捗管理と振り返りを徹底し、改善サイクルを回すことが成功の鍵となります。
OKRを活用した成果と成長
OKRを活用することで、組織は目標達成に集中し、成果を上げることが可能になります。また、進捗管理を通じて問題解決と改善を行いながら、組織と個人の成長を促進します。OKRの活用は継続的な成果と持続的な成長に繋がるでしょう。
導入に向いている企業・向いていない企業・導入企業
向いている企業・向いていない企業
OKRの本質は、従業員の意見を取り入れながら経営方針を固めていくボトムアップ方式。従来の経験則が通用しない不確実性の高いマネジメントにて、OKRを「自ら最適解を考え、市場環境に適応するための手法」として導入する企業が増えています。つまり、リソースの限られたスタートアップ企業やマネジメント体制が整っている企業に向いています。また、多様な国籍や文化を持つ社員が働くグローバル企業では、異なる価値観を持つ者それぞれが納得できる業績の評価を行う必要があり、導入に向いています。これは、変化の激しい時代において「社員と企業が一体となって、モチベーションを保ちながら邁進する」ことが重要視されているからです。
一方で、OKRの導入には時間やコストがかかります。つまり、OKR設定や振り返りを頻繁に行えない企業やトップダウンでビジョンを浸透させたいと考えている企業、時間をかけずに目標管理を行いたい企業には向いていません。
導入企業
メルカリ
メルカリでは、2015年からOKRを導入し、急成長に伴う目標のズレを解消するため、社員とのコミュニケーションを重視しています。OKRはグループ全体から個人に至るまで設定され、3か月ごとに評価されます。重要視している観点として、達成率50%程度でワクワクするOKRを設定することが挙げられ、マネージャーが個別にアドバイスを行いながら、現実的でバランスの取れた目標を設定することを目指しています。
Sansan
名刺管理サービスを提供するSansanは、2015年からOKRを導入しています。生産性向上のために多くの定量目標を設定していましたが、現場の社員にはその理由が見えづらくなっていました。これを解消するため、OKRを導入して業務と企業目標のつながりを見える化し、社員のモチベーションを向上させました。個人のOKRは3か月ごとに設定すると手間がかかるため設定せず、OKRを人事評価と直結させる独自の手法を用いています。
花王
花王は、2021年に「社員活力の最大化」を目指してOKRを導入しました。目的は社員が夢や目標を臆せず掲げることを促進し、「事業貢献」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」「One team & My Dream」の3つの観点で目標を設定することです。導入前は目標達成率が評価基準だったため、目標が達成可能な範囲に留まりがちでしたが、新制度では高い目標を掲げる例が増え、社員のモチベーションが向上しています。
ユーザベース
ユーザベースでは、クラウド型経済情報プラットフォーム「SPEEDA」の事業部にて、2016年からOKRを導入しています。総務チームは、オフィスの美化と強力なチーム体制を目標に掲げ、IP電話の導入とクリーンデーの実施で課題を解決しました。労務チームは、新入社員のケアを強化するため、「強くてやさしい労務チーム」を目指し、ウェルカムランチやSlackでの自己紹介共有、組織図の公開などを行い、新入社員のサポート体制を整えました。
OKRの未来と展望
今後のトレンドと予測
OKRは現在も成長し続けており、今後もさらなる普及が予測されます。特に中小企業やスタートアップにおいて、戦略の実行力を高める手法として注目されています。さらなる発展と多様性が期待されるトレンドです。
新たな目標管理手法の可能性
OKRの成功により、新たな目標管理手法の模索が進んでいます。AIやビッグデータの活用、従業員のエンゲージメント向上などが今後の研究テーマとして挙げられます。これらの新しい手法を取り入れることで、より効果的な目標管理が実現するでしょう。
普及とグローバルな動向
OKRは世界的に普及し、多くの企業が取り入れています。特にシリコンバレーや欧州諸国での普及が進んでおり、グローバルな動向として注目されています。異なる文化や産業におけるOKRの適用例が増えることで、より多様な実践が展開されるでしょう。
影響と持続可能な価値
OKRの普及は組織の成果に大きな影響を与えています。目標管理の透明性と成果の可視化により、組織のパフォーマンス向上に寄与しています。また、持続可能な成果を上げるためには、OKRの理念と手法を組織文化に根付かせることが重要です。
まとめ
この記事では、OKRとは何かから具体的な導入方法までを解説しました。OKR(Objectives and Key Results)は組織が目標を達成するための管理手法であり、目標とを結びつけて戦略を実行します。今回は、具体的な導入手順や、目標の設定方法、カスケードによる組織全体への展開手法、進捗管理と課題解決の重要性について詳しく解説しました。
OKRの活用により、組織や個人が目標達成に向けて効果的に取り組むことができるでしょう。具体的な手法や成功事例を参考にしながら、OKRを活用して成長と成果を実現してください。
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