AVANT Cruiseの機能・価格を解説 脱Excelを実現する次世代の経営管理システム【2025年最新版】

5. 面倒なデータ連携を自動化！主要ERP（SAP・Biz∫）との連携機能

経営管理システムの導入において、IT担当者や経理部門にとって一番のハードルとなるのが「他システムからのデータ取り込み」です。基幹システムごとのデータ構造の違いや、CSV出力の手間がボトルネックとなり、プロジェクトが長期化することも少なくありません。「AVANT Cruise」は、このデータ統合を劇的に楽にするための「連携アダプタ」や「接続ツール」の機能を強化しています。

特に、最近追加された新機能を含め、企業のシステム環境に応じた代表的な連携方法を紹介します。次の表では、各連携手法の対象システムとメリットを整理しています。

国産・海外製問わず、主要なERPや会計システムとの接続性を高めることで、データ収集の自動化を強力に支援しています。

5-1. 【新機能】国産ERP「Biz∫」なら、置くだけで自動連携

国内大手企業で広く採用されているERPパッケージ「Biz∫（ビズインテグラル）」を利用している企業では、以下のような悩みがよく聞かれます。

• 悩み：
  「Biz∫からデータを抽出するために個別のプログラム開発が必要で、費用が高額になり期間もかかる」

こうした課題を解決するため、2025年9月より提供が開始されたのが「Biz∫連携アダプタ」です。

• 解決策（新機能）：
  このアダプタを利用することで、個別の連携プログラムを開発することなく、「AVANT Cruise」へBiz∫の会計データ（総勘定元帳）を明細レベルで自動連携できるようになります。

「NTTデータ・ビズインテグラル社」と「アバント社」の協業により開発されたこの機能は、アダプタを「置く」感覚で導入できるため、エンジニアのリソースを割くことなくスムーズなデータフローを構築可能です。これにより、国産ERPユーザーは開発コストを抑えつつ、経営管理の高度化を迅速に実現できます。

5-2. SAPなどの海外ERPとも「直接」つながる (Freighter)

グローバル展開している企業など、海外製ERPを利用している現場では、データ構造の複雑さがネックになります。

• 悩み：
  「SAPやOracleのデータ構造が複雑で抽出が難しく、結局担当者が手作業でCSVを出力・加工している」

このような状況には、アバントが提供するデータ連携ツール「Freighter（フライター）」が最適解となります。

• 解決策：
  「Freighter」を使用すれば、SAP S/4HANAやOracle Database、Microsoft SQL Serverといったデータベースに対し、インターフェース（I/F）開発なしで直接接続し、必要なデータを安全に抽出できます。

手作業を介さずにデータベースから直接データを吸い上げるため、人為的なミスを排除できるほか、夜間バッチなどの定期実行設定により、常に最新のデータを経営管理システムへ反映させる運用が可能になります。

5-3. グループ製品「DivaSystem LCA」とはシームレスに同期

既に連結会計システムとして「DivaSystem LCA」を導入している企業にとって、「AVANT Cruise」は最も親和性の高い選択肢です。

• 最強の相性：
  同じ「アバント社」の製品であるため、標準機能としてシームレスに連携するように設計されています。

具体的には、勘定科目や組織図といったマスタ情報の共有はもちろん、制度連結（決算）で確定した数値を管理会計（予算管理）へ取り込んだり、逆に管理会計上の見込データを連結シミュレーションに活用したりといったデータの相互利用がスムーズに行えます。既に「AVANT Cruise」を利用中であれば、追加導入のハードルが最も低く、かつ相乗効果を最大化できる組み合わせと言えるでしょう。

6. 気になる価格は？ 導入前に知るべき3つの留意点

導入を具体的に検討する段階で、最も気になるのが「費用」と「導入のハードル」です。「AVANT Cruise」は柔軟性の高いシステムですが、事前に押さえておくべき留意点がいくつか存在します。

留意点①：価格は「非公開」の問い合わせベース

多くのクラウドサービスではWebサイト上で料金プランが公開されていますが、「AVANT Cruise」に関しては、公式サイトおよび販売プラットフォームである「Microsoft Marketplace」においても、具体的な価格は公開されていません。

掲載情報は「問い合わせ」形式となっており、以下の要素によって費用が変動する「個別見積もり」となります。

• 導入する対象範囲（全社導入か、一部事業部か）
• 利用するユーザー数
• 「Freighter」などのオプション機能の有無

そのため、自社の要件（ユーザー数や連携したいシステム数など）を整理した上で、ベンダーへ直接問い合わせを行い、概算見積もりを取得する必要があります。予算取りを行う際は、早めにコンタクトを取ることを推奨します。

留意点②：「最短1週間」のスモールスタートも可能

「本格的な導入には稟議が必要だが、まずは効果を検証したい」という企業向けに、スモールスタートの選択肢が用意されています。

標準的な導入期間は「最短3ヶ月」ですが、特定のテーマに特化したパッケージである「AVANT Cruise 事業別ROICコンテンツ」などを利用する場合、ヒアリングシートへの入力から最短1週間での利用開始が可能です。

• メリット：
  初期投資と構築期間を抑えて、システムの操作感や分析の有効性を確認できます。
• ステップ：
  まずは特定部門や特定テーマ（ROIC管理など）で導入し、その後に全社展開へ広げるといった段階的なアプローチが可能です。

留意点③：初期のデータ設計と「日本語のみ」の運用

システム導入を成功させるためには、機能面以外の制約も確認しておくことが重要です。特に以下の2点は、導入プロジェクト開始前に必ず確認すべき項目です。

1. 初期のデータ設計（マッピング）の必要性「ノーコードで変更が容易」という特徴はありますが、導入初期には「自社の勘定科目をどの粒度で取り込むか」「どのような分析軸（ディメンション）を設定するか」といったデータ設計が不可欠です。柔軟性が高い分、初期設計がおろそかになると後の分析精度に影響するため、導入パートナーと相談しながら慎重に設計する必要があります。
2. 対応言語は「日本語のみ」Microsoft Marketplaceの製品情報ページには、対応言語として「Japanese（日本語）」のみが記載されています。海外現地法人のスタッフが直接システムに入力する運用を想定している場合や、多言語でのレポート出力が必要な場合は、運用上の工夫や翻訳ツールの併用が必要になる可能性があるため、事前にベンダーへ確認してください。

次の表は、導入検討時に確認すべきチェックポイントをまとめたものです。

この表の項目を事前にクリアにしておくことで、導入後のミスマッチを防ぎ、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。