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最新!CO2排出量管理システムおすすめ8選|導入メリットや機能を紹介

この記事で解説すること

CO2排出量管理システムは、企業が事業活動で排出する二酸化炭素(CO2)量を計測し、把握するためのツールです。CO2排出量管理システムにより、削減目標を設定しやすくなり、CO2削減に向けた施策を効果的に実施できます。また、削減実績のデータ化を整理・公表しやすくなる特徴もあります。

「CO2排出量管理システム」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

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    • 書類管理機能
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    • CDP支援機能
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SC算定Excelツール 初年度:無料
備考
2年目以降:応相談
算定に関する オンライン相談 応相談
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starter(Scope1・2) 月額5,000円/拠点
備考
初期費用:5~20万円
ユーザー数:無制限
Basic(Scope3まで) 月額20,000円/拠点
備考
初期費用:10~90万円
ユーザー数:無制限
Enterprise(4拠点以上) 要相談
備考
初期費用・利用料金は問い合わせ後にヒアリング
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価格や製品機能など、見やすい一覧表から、気になる製品をまとめてチェック!

目次

世界的に気候変動や環境問題への意識が高まっている現代では、経済活動にもCO2排出量を抑えたサスティナビリティな対応が求められています。

実際、脱炭素経営を実現するための第一歩として「CO2排出量管理システム」の導入を検討している企業も少なくありません。

しかし、システム選定を任されている担当者のなかには「自社にとって最適なシステムの基準が分からない」とお困りの方もいるのではないでしょうか。

そのような方に向けて、本記事では2024年最新版のおすすめCO2排出量管理システムを紹介します。CO2排出量管理システムの機能や導入メリットはもちろん、システム選定時の比較ポイントや導入事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

CO2排出量管理システムとは

CO2排出管理システム

CO2排出量管理システムとは、企業や組織における温室効果ガスの排出量を正確に測定し、管理・削減するためのツールです。

事業活動のなかで排出するCO2の量を測定することで、世界的な課題になっている脱炭素化・カーボンニュートラル実現に役立ちます。

なお、CO2排出量管理システムの必要性を正しく理解するには、脱炭素化やカーボンニュートラルといった用語の意味をインプットしておくことも重要です。

ここからは、CO2排出量管理システムの選定に必要な前提知識として、各用語の意味と理想的な未来を実現するために企業が行っている取り組みについて詳しく解説します。

脱炭素化とは

脱炭素化とは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を減らしてゼロに近づける取り組みです。脱炭素化のゴールとして、二酸化炭素排出が実質ゼロになった社会を「脱炭素社会」と呼びます。

また、気候変動対策(脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営を「脱炭素経営」と呼び、世界中で推奨されているのが現状です。

脱炭素化へ向けた活動が本格的に動き始めたきっかけは、2015年に行われた「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」です。気候変動問題の国際的な取決めである「パリ協定」が採択され、190以上の国・地域が5年ごとに各国で地球温暖化対策の目標を策定・提出し、対策に取り組んでいます。

参照:国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)|外務省
参照:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|経済産業省

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量を全体としてゼロにする取り組みです。「全体としてゼロ」とは、排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにすることを意味します。

カーボンニュートラルという言葉は、第203回臨時国会における菅内閣総理大臣の所信表明演説で使われたことをきっかけに、国内で浸透し始めました。

◾️2020年10月26日所信表明演説における「2050年カーボンニュートラル宣言」

我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。

引用元:「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?|経済産業省

また、中期目標として2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減することを掲げており、目標達成に向けて企業や自治体に協力を要請しています。

参照:第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組|経済産業省
参照:「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?|経済産業省

脱炭素経営の実現に向けた企業の取り組み

環境省の「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック」では、脱炭素経営を実現するための企業の取り組みを以下の6つのステップに分けて推奨しています。

ステップ1-1 情報の収集 自社の産業・業界内におけるカーボンニュートラルを目指す取り組みについて情報を集めるフェーズ
ステップ1-2 方針の検討 ・集めた情報を参考に自社の脱炭素経営の方針を検討するフェーズ

・自社ができる取り組みや提供できる価値を考える

ステップ2-1 CO2排出量の算定 ・自社のCO2排出量を算定するフェーズ

・業務日報や請求書などから算出可能

ステップ2-2 削減ターゲットの特定 ・自社のCO2排出源となる事業活動や設備などを把握するフェーズ

・事業所単位や事業活動単位で分析する

ステップ3-1 削減計画の策定 ・具体的なCO2削減対策を洗い出すフェーズ

・自社で実施可能な削減対策をリストアップし、削減計画を策定する

ステップ3-2 削減対策の実行・見直し ・策定した実施計画に沿って削減対策を実行するフェーズ

・削減対策の効果を検証しながら継続的に見直しを行う

参照:中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック|環境省

CO2排出量管理システムは、おもにステップ2〜3の取り組みに必要なリソースと知識量をカバーするのに役立ちます。専門的な知識のない企業でも脱炭素経営を実現するための指針として機能するシステムといえるでしょう。

CO2排出量管理システムが注目される理由4つ

昨今、CO2排出量管理システムが注目されているおもな理由として、以下の4点が考えられます。

  1. 気候変動の抑制に助力するため
  2. CO2排出量を正確に算出するのが困難であるため
  3. 取引先からの要請に応えるため
  4. 導入コストやハードルが下がりつつあるため

ここからは、気候変動に関する背景から昨今の技術進化による導入コストの低下まで、それぞれの理由を深掘りして解説します。

1.気候変動の抑制に助力するため

CO2排出量管理システムが注目される1つめの理由は、気候変動の抑制に助力するためです。

現在、世界各国で二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスによる気温上昇が深刻化しています。さまざまな異常気象が確認されているなか、人や生態系への深刻な影響も懸念されているのが現状です。

そのような世界中で脱炭素社会を実現するための取り組みが推進されているなか、時代に沿った健全な企業活動を行うには気候変動への対応が必要不可欠です。

経済活動への影響も拡大すると予測されており、自社や目先の利益だけでなく、地球全体における長期的な影響を意識したサステナブル経営が求められています。

CO2排出量管理システムは、脱炭素経営に取り組むための第一歩として、幅広い業界・企業から注目されているのです。

2.CO2排出量を正確に算出するのが困難であるため

CO2排出量管理システムが注目される2つめの理由は、自社のCO2排出量を正確に算出するのが困難な点です。

脱炭素経営への取り組みを始めるにあたって「何から始めるべきか」や「どこを改善するべきか」といった具体的な方針が分からない企業も少なくありません。

まずは、現状を把握するために自社のCO2排出量を測定しようにも、専門的な知見がないと正確な数値を算出するのは困難です。

CO2排出量管理システムは、CO2排出量の算出や数値管理を簡略化・効率化するのに役立ちます。これまで、自社だけでは取り組めなかった脱炭素経営を実現するハードルを下げるためのシステムとして、注目を集めているのです。

3.取引先からの要請に応えるため

CO2排出量管理システムが注目される3つめの理由は、取引先からの要請に応える必要があるからです。

世界規模でCO2排出量を抑制するためには、自社だけでなく、サプライチェーン全体での取り組みが必要です。サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達から消費者の元に届くまで、経済活動における一連の流れを意味します。

実際に、製品やサービスの生産・流通・販売・顧客サポートなど、一連の過程に携わる企業全体へ脱炭素経営が要請されるケースも少なくありません。サプライチェーン全体の取り組みのなかでは、自社のCO2排出量や削減量を他社に共有したり、レポートを作成したりしなければならない場面もあります。

CO2排出量管理システムは、それらの作業を簡略化・効率化するのに役立つツールとして、脱炭素経営を目指す多くの企業から注目されているのです。

GHGプロトコルと3つのスコープ

サプライチェーンのCO2排出量を正確に算出するためには「GHGプロトコル」と「Scope1〜3」の分類を把握しておく必要があります。

GHGプロトコルとは、世界基準における温室効果ガス排出量の算定基準であり、Scope1〜3のカテゴリーに分類されます。各Scopeの詳細は以下の通りです。

Scope1 燃料の燃焼や製品の製造などによって、企業・組織が直接排出する温室効果ガス
Scope2 他社から供給された電気や熱・蒸気を使うことで、間接的に排出される温室効果ガス
Scope3 原材料仕入れや販売後に排出される温室効果ガス

上流から下流まで15のカテゴリに細かく分類されている

Scope1、2は自社の活動を通じて排出する温室効果ガスを対象にしています。したがって、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量を選定するには、特にScope3を注視する必要があります。

参照:知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは|経済産業省

4.導入コストやハードルが下がりつつあるため

CO2排出量管理システムが注目を集める4つめの理由は、システムの導入コストやハードルが下がりつつある点です。

脱炭素経営が注目を浴びている現在では、さまざまなニーズに応えるCO2排出量管理システムの開発が進んでおり、導入コストも下がりつつあります。

また、脱炭素経営を促進するための施策として、政府や自治体主導の補助金や導入トライアルといった公的な支援制度が整備されつつある点も重要なポイントです。

たとえば、CO2排出量管理システムにIT導入補助金を活用することで、上限150万円、450万円(※申請内容により変動)の支援を受けられます。

システム自体の導入コストの低下に加え、タイミングや要件次第で利用できる補助金や制度が増加した結果、予算的に諦めていた中小企業でも、ツールを使った脱炭素経営に取り組みやすくなったといえるでしょう。

参照:中小企業等のカーボンニュートラル支援策|経済産業省・環境省
参照:中小企業CO2排出量管理システム導入支援事業|神奈川県

CO2排出量管理システムの導入メリット5つ

CO2排出量管理システムの具体的な導入メリットは、以下の5点です。

  1. CO2排出量の見える化ができる
  2. 企業の認知度・イメージの向上に繋がる
  3. 取引先や売上拡大に繋がる可能性もある
  4. 脱炭素経営に向けた意識をグループ全体で醸成できる
  5. エネルギーコストの削減にも期待できる

ここからは、5つの導入メリットについて詳しく解説します。

1.CO2排出量の見える化ができる

CO2排出量管理システムを導入するメリットの一つが、CO2排出量の見える化を実現できる点です。

前述した通り、CO2排出量を算出するには専門的な知識が求められますが、管理システムを活用すれば、電気料金の請求書などをツールに読み込むだけで自動計算できます。

また、システム内で算出結果や推移データを管理できるため、Excel入力などのデータ管理作業から解放される点も大きなメリットです。

なかには、活動量と排出単位などのデータを自動収集し、CO2排出量をリアルタイムで自動算定できたり、データをそのまま外部に共有可能なレポートとして作成したりできるシステムもあります。

自社のCO2排出量を正確に測定するだけでなく、最小限のリソースで客観的に分かりやすくアウトプットできるのは、非常に利便性が高いポイントといえるでしょう。

2.企業の認知度・イメージの向上に繋がる

CO2排出量管理システムを導入した結果、企業の認知度・イメージの向上に繋がる可能性もあります。

CO2排出量管理システムの導入は脱炭素化に向けて積極的に取り組んでいる証明になります。世界的な課題に取り組んでいるクリーンな企業として、自社のイメージアップが期待できるでしょう。

また、省エネや脱炭素に取り組んで排出削減を達成した企業は、メディアや行政機関から表彰されるケースもあります。その結果、自社の認知度アップにも効果を発揮する可能性も考えられるでしょう。

3.取引先や売上拡大に繋がる可能性もある

CO2排出量管理システムを導入することで、取引先や売上拡大といった副次的な効果にも期待できます。

前述した通り、環境問題への意識が向上している昨今は、自社だけでなくサプライヤーに対してもCO2排出削減を求める動きが拡大しつつあります。

そのため、システムを活用し、効率的にCO2排出量を削減することで、環境問題への意識が高い企業に対して、自社・自社製品の訴求力を向上できるでしょう。既存の取引先からの要請に応えることで良好な関係性を構築できるだけでなく、新規取引先の獲得にも期待できます。

また、投資や融資の際、気候変動対応をどのように行っているかが重要視される傾向が強まっているため、システム導入によって目にみえる成果を残すことで資金調達の際、有利に働くケースもあります。

4.脱炭素経営に向けた意識をグループ全体で醸成できる

CO2排出量管理システムを導入するメリットとして、自社またはサプライチェーン内における環境問題への意識を醸成できる点も考えられます。

システム導入によってCO2排出量を可視化できるようになるため、自社・グループ内全体の方針や課題も浮き彫りになります。経営層・管理者・現場スタッフの各階層で、目標達成に向けた自律的なアクションを起こすためのトリガーとして効果を発揮するでしょう。

また、気候変動という社会課題に取り組む姿勢を明確に示すことで、社員の信頼や共感の獲得、モチベーション向上にも期待できます。

5.エネルギーコストの削減にも期待できる

CO2排出量管理システムを導入することで、自社のエネルギーコスト削減効果にも期待できます。

システムによって、自社のエネルギー使用率を正確に把握できれば、現状における無駄な電力・燃料消費が浮き彫りになります。設備投資や生産プロセス等を改善することで、自社の活動全体におけるエネルギー効率を高められるでしょう。

その結果、光熱費や燃料費を削減できるため、CO2排出量管理システムは自社にとってもメリットが大きいツールといえます。

CO2排出量管理システムの機能5つ

CO2排出量管理システムのおもな機能は、以下の5つです。

  1. CO2排出量の算定機能
  2. レポート作成
  3. サプライチェーン全体の排出量管理
  4. カーボンオフセット機能
  5. カーボンマネジメント機能

カーボンオフセット機能やカーボンマネジメント機能など、一般的には聞き慣れない機能の詳細も解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.CO2排出量の算定機能

CO2排出量管理システムに搭載されている代表的な機能の一つが「CO2排出量の算定機能」です。

CO2排出量の算定機能とは、電気代や燃料使用量など、消費エネルギーを温室効果ガスの排出量に変換する機能を指します。

また、上記のデータを月や項目ごとにグラフ化できる機能が付随しているシステムもあります。ほかにも、算出に必要な請求書や画像データの一括登録・自動振り分けができる利便性の高い機能を備えるシステムも多いのが特徴です。

CO2排出量の算定機能はシステムの根幹となる機能なので、特に重視するべきポイントといえるでしょう。

2.レポート作成機能

多くのCO2排出量管理システムには、レポート作成機能が搭載されています。

レポート作成機能とは、現状のCO2排出量や取り組みの状況、削減量を分析し、まとめたレポートを作成できる機能です。なかには、CDPやTCFD、SBTiなどの国際イニシアチブや環境省の提出基準を満たす公的なレポートを自動作成できるシステムもあります。

また、書類の画像データやスキャンデータの文字を認識し、テキストに書き起こす「OCR機能」も利便性が高い機能です。レポート作成にかかる手間を削減できるため、本質的な削減対策を実行するリソースを捻出するのに役立つでしょう。

3.サプライチェーン全体の排出量管理

CO2排出量管理システムには、サプライチェーン全体のCO2排出量を管理する機能も搭載されています。

原材料の購入や物品の輸送といった、サプライヤーが排出するCO2を自動で追跡して測定できるため、グループ企業全体のCO2排出量を算定するために必要なリソースを大幅に削減できるでしょう。

また、サプライチェーンの排出量を対象ごとにGHGプロトコルのScope1〜3に分類し、表やグラフに出力できる機能を備えているシステムもあります。

他にも、サプライヤーとの連携やデータ共有をスムーズに行える「CO2トラッキング機能」も利便性が高い機能です。

いずれもScope3のCO2排出量を管理する立場の企業にとっては、有用性の高い機能といえるでしょう。

4.カーボンオフセット機能

CO2排出量管理システムには、カーボンオフセット機能が搭載されている製品もあります。

カーボンオフセットとは、自社の取り組みのなかで排出する温室効果ガスを削減しきれない場合、炭素削減プロジェクトへの投資によって排出量を相殺する仕組みです。温室効果ガス削減量をクレジット(排出権)として発行して、売買できるのが特徴です。

CO2排出量管理システムのカーボンオフセット機能では、カーボンクレジットの選定・導入のサポートと、オフセット量の計算や取引データを管理できます。

なかには、カーボンオフセットを自動化できるシステムもあり、カーボンクレジットの取引や管理にかかる工数を削減するのに役立つでしょう。

5.カーボンマネジメント機能

カーボンマネジメント機能も、CO2排出量管理システムの重要な機能の一つです。

カーボンマネジメント機能とは、以下のような施策の効果測定・分析をサポートするための機能です。

  • 削減目標と実績の対比
  • 排出量削減のシミュレーション
  • 施策の効果分析 など

なかには、現状のCO2排出量や削減目標などから、おすすめの省エネ施策や代替となる再エネを提案してくれるコンサルティング要素の強い機能を搭載しているシステムもあります。

高い効果を見込める施策の立案・策定に役立つため、専門的な知識やリソースが不足している企業にとっては、有用性の高い機能といえるでしょう。

CO2排出量管理システムを選ぶ7つのポイント

自社に導入するCO2排出量管理システムを選ぶ際は、以下の7つのポイントを意識しましょう。

  1. 必要な機能を備えているか
  2. 自社のScopeに対応しているか
  3. 操作しやすいか
  4. 拡張性はあるか
  5. サポート体制は充実しているか
  6. 導入コストはいくらぐらいかかるか
  7. 他社の事例を確認したうえで判断しているか

機能から選ぶのも大切ですが、規制に対応しているか・拡張性はあるかなど、その他の重要なポイントも紹介します。自社にとって最適なシステムを選定する際の参考として、ご活用ください。

1.必要な機能を備えているか

CO2排出量管理システムを選定する際のポイントとして、自社に必要な機能を備えているか判断することが重要です。

一言でCO2排出量管理システムといっても、CO2排出量測定の効率化に特化したシステムから、カーボンオフセットにまで対応しているものまで、幅広い種類が存在します。

そのため「CO2の排出量データを管理したい」や「レポートとして出力したい」など、自社の目的や用途にあった機能を備えたシステムか確認したうえで、ツールを選定しなければなりません。

自社にとって過不足のない機能を備えた製品を導入することで、無駄なコストを削減すると同時に、高い費用対効果を見込めるシステム運用を実現できるでしょう。

2.自社のScopeに対応しているか

CO2排出量管理システムを選定するにあたって、自社のScopeに対応可能な製品か確認しておく必要があります。

システムによって、GHGプロトコルのScope1〜3のうち、対応できる範囲が異なります。そのため、自社の事業がどのScopeに該当するのか、将来的にどのScopeまで対応しなければいけないのかを把握したうえで、適用可能なシステムを選ぶことが重要です。

特に、サプライチェーンも含めたCO2排出量管理を行う場合は、下表のScope3における15のカテゴリー内の対応範囲も確認しておきましょう。

Scope3カテゴリ 該当する活動(例)
1. 購入した製品・サービス 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2. 資本財 生産設備の増設
3. Scope1,2 に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)

調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)

4. 輸送、配送(上流) 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5. 事業活動から出る廃棄物 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送、処理
6. 出張 従業員の出張
7. 雇用者の通勤 従業員の通勤
8. リース資産(上流) 自社が賃借しているリース資産の稼働

(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半)

9. 輸送、配送(下流) 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10. 販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工
11. 販売した製品の使用 使用者による製品の使用
12. 販売した製品の廃棄使 使用者による製品の廃棄時の輸送、処理
13. リース資産(下流) 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14. フランチャイズ 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
15. 投資 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
その他(任意) 従業員や消費者の日常生活

参照:サプライチェーン排出量算定の考え方|環境省

3.操作しやすいか

操作性の高さも、CO2排出量管理システムを選ぶ際に重視するべきポイントの一つです。

具体的には、専門用語を知らなくても簡単に操作できるシステムなのかを確認しておきましょう。

特に、社内全体やサプライヤーを巻き込んでCO2排出量の削減に取り組む場合は、多言語に対応しているシステムが望ましいです。知識レベルや使用言語によらず、誰でも簡単に扱えるシステムを選定することで、社内・サプライチェーンへスムーズに浸透しやすいでしょう。

操作性の良し悪しが分からない場合は、無料トライアルを利用して、実際の使用感を確かめておくのもおすすめです。

4.拡張性はあるか

CO2排出量管理システムの選定ポイントとして、拡張性の有無も重要な項目の一つです。

柔軟に機能を拡張できるシステムであれば、各企業の特徴や強みに合わせたシステムを簡単にカスタマイズできます。独自の管理項目や管理レポートを作成できれば、自社の目的や用途に合わせて、最適な機能を有するシステムを活用できるだけでなく、他社との差別化にも繋がるでしょう。

また、拡張性が高ければ、企業の体制・規模の変化や海外への進出などにも柔軟に対応できます。現状だけでなく、将来的な可能性も見据えて、幅広いシチュエーションに適応可能なシステムを選定しましょう。

5.サポート体制は充実しているか

CO2排出量管理システムを選定する際は、サポート体制の充実度も重視しましょう。

多くのCO2排出量管理システムでは測定・モニタリングの代行や、CO2削減の取り組み支援・コンサルティングといったサポートメニューを提供しています。

ただし、サポートの具体的な内容や料金はサービスによって大きく異なるため、自社の要望・予算にマッチするかを確認しておくべきです。どの程度まで支援してほしいのか自社の要望を明確にしたうえで、理想的な形で取り組みを進められるようなサポート体制のシステムを導入しましょう。

特に、CO2削減に関する専門的な知見やノウハウがない企業は、重視するべきポイントです。

6.導入コストはいくらぐらいかかるか

システム選定ポイントとして、コスト面を確認しておくことも大切です。

CO2排出量管理システムは、月額固定費用タイプの製品・サービスが多い傾向にあります。システムによって価格は変動しますが、最も安価なプランで5,000円/月程度が相場です。

また、システム導入時の初期費用も無料〜数十万円と幅広いため、複数製品を比較したうえで、自社にとって最も費用対効果が高いものを選定することが重要です。

なお、基本的にWebサイト上に料金を掲載していないケースが多いため、自社が求める範囲の機能を備えたシステムをいくつかピックアップし、見積もりを比較検討しましょう。

7.他社の事例を確認したうえで判断しているか

CO2排出量管理システムを選定する際は、他社の事例を確認したうえで判断することも大切です。自社と同じ業種や規模システム導入事例を参考にすることで、失敗の少ない製品選択が可能となります。

また、導入事例は脱炭素経営に向けた取り組みと、システム運用の具体的な参考例として活用できるのも大きなメリットです。現状の対策だけでなく、将来的に課題になりそうな懸念点も抽出できるため、先を見越した対応を実現できる可能性も高まります。

特に、CO2排出量管理システムは導入後のイメージが湧きづらいツールなので、入念に事例を確認したうえで、自社にとって最適な製品を選択しましょう。

CO2排出量管理システムの導入事例

ここからは、業種毎にCO2排出量管理システムの導入事例を3つ紹介します。

各企業が抱えていた課題と、システム導入によって得られた改善効果を紹介するので、CO2排出量管理システムを選定する際の参考としてご活用ください。

通信業への導入事例

おもにメディア事業と宇宙事業を展開しているA社では、投資家からの強い要請に応える形で脱炭素経営に取り組み始めました。

取り組みのなかで、Scope1〜2のCO2排出量の算定は、Excelで手動管理をしていました。

しかし、多数の関係者を巻き込みながら算定作業をしなければならないScope3において、手作業の限界を感じ、CO2排出量管理システムの導入に踏み切りました。その結果、データ入力にかかるリソースを削減でき、Scope3の算定も無理なく進められるようになったそうです。

また、A社ではTCFD提言に基づく情報開示とCDPへの回答にも対応しており、以前までは、知識・経験やノウハウのないメンバーでどのように対応すべきか迷う場面も少なくありませんでした。

対策として、CDP回答支援までワンストップで提供している企業のシステムを導入したところ、自社の課題を改善できる効果的な戦略を策定できるようになり、CDPスコアも上昇したそうです。

参考:衛星通信のライフサイクルと「スカパー!」のCFPを算定。暮らしを支える事業として2025年度脱炭素を目指す

建築業への導入事例

建築会社のB社では、サステナビリティや脱炭素に関する競合企業の取り組みに触発される形で、脱炭素経営の第一歩を踏み出しました。

しかし、初めての取り組みに具体的に何から始めればよいのかが分からず、環境コンサルタントに相談したところ、CO2排出量管理システムを紹介され、導入に踏み切りました。

B社では、ひとまず中小企業版SBTの申請に対応する形で取り組みを始めたため、Scope2までの算定が必要でした。ITシステムに不慣れなこともあり、機能が多すぎず、シンプルな操作性のシステムを導入した結果、自社のCO2排出量をスムーズに算定できる体制が実現しました。

特に、サポート面は重宝されており、自社で使用している電気利用料を算定するにあたって、一部のデータを取得できないといった問題が生じた際も、すぐに代替案を提案してもらえたことで、作業がスムーズに進んだそうです。

参考:建築会社が踏み出した脱炭素経営の第一歩 ~CO2算定からはじめる社内を巻き込んだ取り組みとは~ 

食品製造業への導入事例

飲料食品メーカーのC社では、従来から自社商品の品質維持に繋がるよりよい原料調達のためにCO2の測定と削減に取り組んできました。

しかし、複雑なオペレーションやデータ不足から、Scope3を含めた全体の排出量は把握し切れておらず、このような状況を改善するためにCO2排出量管理システムの導入に踏み切りました。

その結果、自社のサプライチェーンにおけるCO2排出量はもちろん、排出要因や排出量削減の可能性といった全体像を把握することに成功しました。

また、システムを通したサプライヤーからのデータ収集支援だけでなく、足りない情報を補完できる機械学習機能によって、製品単位の詳細かつ正確なCO2排出量を測定できるようになったそうです。

参考:ポッカ: スコープ3のデータ不足も補完できる製品カーボンフットプリント(CFP)測定

「CO2排出量管理システム」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

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starter(Scope1・2) 月額5,000円/拠点
備考
初期費用:5~20万円
ユーザー数:無制限
Basic(Scope3まで) 月額20,000円/拠点
備考
初期費用:10~90万円
ユーザー数:無制限
Enterprise(4拠点以上) 要相談
備考
初期費用・利用料金は問い合わせ後にヒアリング
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CO2排出量管理システム比較

トライアル 有り
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製品のおすすめポイント

  • 詳細な排出量データの収集と分析が可能
  • 柔軟にカスタマイズされた削減戦略を立案できる
  • 法規制にも対応し、CSR支援も同時に行える

CO2排出量管理システム

トライアル 有り
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製品のおすすめポイント

  • リアルタイムでデータを収集し、モニタリングすることが可能
  • 質の高い分析機能と、レポート機能を備えている
  • 法規制対応とCSR活動の支援を行っている

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • エネルギー消費量、CO2排出量を簡単に確認できる
  • CO2排出量を精密に算出することができる
  • 環境戦略のサポートも行うことができる

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • エネルギー消費を常に観察することができる
  • データを分析し、それをレポートにまとめることができる
  • 持続可能な社会を実現し、コストの削減も可能

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • データ分析と収取を、効率的に行うことが可能
  • 法規制に準拠したレポートを作成することができる
  • ユーザーフレンドリーなインターフェースをカスタマイズ可能

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • リアルタイムでデータを可視化し、分析することができる
  • 分析結果をレポートにまとめることができる
  • 企業の個別ニーズに合わせた柔軟な対応が可能

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • リアルタイムで排出量をモニタリングできる
  • 法規制に対応したレポートを作成することができる
  • 機能をニーズに合わせてカスタマイズすることが可能

CO2排出量管理システム

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製品のおすすめポイント

  • シンプルで、誰にでも使いやすい設計となっている
  • 各企業のニーズに合わせて柔軟に対応することができる
  • 長年にわたって培った豊富なノウハウがある

まとめ:自社に適したCO2排出量管理システムを導入しよう

CO2排出量管理システムとは、企業や組織における温室効果ガスの排出量を正確に測定・管理・削減するためのツールです。CO2排出量の算定やレポート作成、サプライチェーン全体の排出量管理をサポートする基本機能だけでなく、カーボンオフセットやカーボンマネジメントにも対応できる多彩な機能を備えています。

CO2排出量管理システムの導入によって、脱炭素経営を実現するために必要な専門的な知識や、リソース不足を解消できるでしょう。

ただし、CO2排出量管理システムの機能や対応範囲は製品によって大きく異なります。導入効果を最大化するには、自社の目的に応じて適切な性能を備えるシステムを選定することが重要です。

本記事で紹介したおすすめシステムや比較ポイント、導入事例も参考にしつつ、自社の目的に合った費用対効果が高いCO2排出量管理システムを導入しましょう。

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