原価管理システムおすすめ11選！主な機能や比較ポイントを紹介
最終更新日：2024/12/20
目次
自社の利益拡大には、正確性の高い原価管理が重要です。正確な原価管理が重要ではあるものの、原価計算は複雑なため、手間がかかるだけでなく手入力となればヒューマンエラーが懸念されます。
複雑な原価管理の効率化を進めるために、原価管理システムを導入することで、実務担当者の業務負担軽減や迅速な経営戦略の立案が可能です。
本記事では、おすすめの原価管理システムを紹介します。主な機能や比較ポイントもまとめているので、業務の効率化や利益拡大につなげたい方はぜひ参考にしてください。
原価管理システムとは
原価管理システムとは原価計算や原価シミュレーション、収益性の分析など複雑な計算を効率化できるシステムのことです。原価管理には、リスク管理や利益管理などの目的があります。
原価の把握により利益率の改善や経営判断を行えるため、正確な原価データが必要です。原価管理は製造業や建設業を中心に幅広い業種で取り入れられており、経営戦略を考案するうえで重要な業務といえます。
集計や計算を自動化できる原価管理システムを導入することで、負担軽減だけでなく原価計算の精度が高まるため、業務の効率化や利益向上に寄与するでしょう。
原価管理システムの主な機能
原価管理システムは、原価計算だけでなくさまざまな機能が利用できます。
主な機能を以下で解説するので、原価管理システムに関する知識を深めたい方は参考にしてください。
原価計算
原価計算は、原価を自動で計算できる機能です。原価管理システムで可能な原価計算は、下表の通りです。
| 原価計算の種類 | 特徴 |
| 個別原価計算 | 個々の製品の原価計算が可能で、受注生産などで使用する傾向 |
| 総合原価計算 | 特定の期間内にかかった原価計算で、大量生産時に使用する傾向 |
| 全部原価計算 | 製品の製造にかかったすべての費用を原価として計算 |
| 部分原価計算 | 変動費部分のみ計算 |
| 実際原価計算 | 実際にかかった原価を集計し、製品の原価を計算 |
| 標準原価計算 | 事前に設定した目標原価に合わせて製品の原価を計算 |
原価計算ではあらゆる費用項目を状況に合わせて自動で計算できるため、より正確に利益を把握できます。
原価差異分析
原価差異分析は、目標とする原価と実際の原価の差異を分析できる機能です。原価差異の計算により原価が高くなっている原因を分析し、改善に役立てられます。
原価を抑えるためには、生産のどこの過程で非効率な状況が発生しているか把握する必要があります。原価差異分析を利用することで、差異が生じる発生要因を理解できるため、最適な改善策を考案できるでしょう。
損益計算
損益計算は、製品や部門別に損益を計算できる機能です。通常の原価計算機能だけでなく、製品ごとのプロダクトライフサイクルコストを把握できる点が、損益計算機能を活用するメリットになります。
プロダクトライフサイクルコストとは、売上と利益の変遷を以下4つの段階に分類する理論モデルのことです。
- 導入期
- 成長期
- 成熟期
- 衰退期
プロダクトライフサイクルを活用し、自社製品の原価管理を把握することで段階に応じた適切な戦略立案や改善ができます。また、損益計算では計算だけでなく損益計算書の作成も可能です。
配賦計算
配賦計算（はいふけいさん）は、部門や製品にかかる間接費を計算できる機能です。光熱費や人件費など、製品やサービスの生産に直接関連性のない費用を間接費といいます。
間接費を正確に判断するのは難しいため、企業ごとに基準を設けた処理が必要です。設定した基準によって計算結果は大きく異なるため、配賦基準は慎重に決める必要があります。
原価管理システムには配賦対象となる費用に対して、配賦基準を設定できる機能があるため、科目設定を変えずに計算できます。
原価シミュレーション
原価シミュレーションは、原価変動を予測して原価や収益への影響を分析する機能です。景気変動による原価の急騰に対して、早急な対応策を講じられるメリットがあります。
また、原価シミュレーションではリスク管理だけでなく、蓄積した原価データから標準原価や予算原価シミュレーションが可能です。シミュレーション機能により多角的な試算ができるため、中長期的な経営戦略を立案できるでしょう。
システム連携
原価管理システムは既存システムと連携が可能なため、販売管理システムや在庫管理システム、会計システムなどの経営情報を一元化できます。他社のERP（基幹系情報システム）と連携できるものもあるため、データ共有により業務の効率化が可能です。
それぞれ異なる企業のシステムを利用している場合でも柔軟に連携できるため、原価管理システムの導入を諦める必要はありません。データを一箇所に集められるため、効率良く管理と活用ができます。
セキュリティ対策
原価管理システムには、セキュリティ強化機能がついています。原価は企業にとって重要な情報となるため、漏洩しないよう高いセキュリティ対策の実施が重要です。
原価管理システムの主なセキュリティ対策は、以下の通りです。
- パスワード認識
- アクセスコントロール
- アクセス管理
- 監査証跡機能
- データ改ざん防止機能
- 外部出力設定
- 操作履歴
- データ更新履歴
原価管理システムには、内部統制の課題解決につなげられる機能も備えられています。
原価管理システムを導入するメリット・デメリット
原価管理システムの導入により企業はどのような効果が得られるのか、理解しておく必要があります。
ここでは、原価管理システムを導入するメリットとデメリットを紹介します。自社に適したシステムを判断できるよう、参考にしてください。
メリット
原価管理システムを導入するメリットは、以下の通りです。
- 迅速な経営戦略の立案
- 実務担当者の業務負担軽減
- 他システムとのスムーズな情報共有による業務効率化
原価計算は計算方法が複数あり、手間がかかるため、担当者の業務負担が大きくなりがちです。原価管理システムの導入により、業務負担が減るだけでなく正確な原価を把握できます。生産性を向上させ、利益拡大につなげたい企業にとって、原価管理システムの導入は有効な手段の一つといえるでしょう。
デメリット
原価管理システムの種類は幅広く、自社に適したシステムでないと効果が期待できません。企業や業種によって、原価管理の算出方法や運用方法が異なるためです。
自社に合っていない原価管理システムを導入すると、効果を最大化できないだけでなく、かえって手間をかけてしまい費用対効果を得られない可能性があります。
選定に失敗しないよう、導入を検討する際は各原価管理システムの特性を理解しておくことが重要です。
原価管理をエクセルで行うメリット・デメリット
ここでは、原価管理をエクセルで行うメリットとデメリットを紹介します。
エクセルで原価管理をしている方は、原価管理システムとの違いを踏まえたうえで導入を検討してみましょう。
メリット
原価管理をエクセルで行うメリットは、以下の通りです。
- コストを抑えられる
- 教育時間を削減できる
- 自社に適したレイアウトができる
多くの企業において原価管理システムよりも、エクセルを使い慣れている方が多い傾向があるため、操作方法や入力方法を教える手間がかかりにくい点は、エクセルの強みといえます。
また、原価管理のテンプレートがネット上で配布されているため、専門知識がなくても自社に適したものをダウンロードしてレイアウト可能です。コストを抑えたり教育時間の手間を削減したりしたい企業は、エクセルの利用に向いています。
デメリット
原価管理をエクセルで行うデメリットは、以下の通りです。
- ミスが発生しやすい
- 属人化しやすい
- デーや共有が難しい
原価管理をエクセルで計算する場合、手入力となるため、ヒューマンエラーが懸念されます。特に、担当者が限定され属人化している状態の場合は、業務効率や業務品質を悪化させる恐れがあるでしょう。
また、エクセルはファイルのため、データの持ち出しが容易な点もネックといえます。数値を正確に判断したい企業やセキュリティ対策が不十分な企業は、原価管理システムの利用がおすすめです。
原価管理システム比較時のチェックポイント5選
原価管理システムには、さまざまな種類があります。効果を最大化させるためには、自社に適した製品の導入が重要です。
以下で原価管理システムを比較する際のチェックポイントを5つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.導入目的に適した機能が実装されているか
原価管理システムは、製品によって特性が異なります。導入目的に適した機能が実装されていなければ、業務効率化や利益拡大にはつなげられません。
そのため、導入を検討するにあたって、自社が抱えている課題を明確にしたうえでどのような機能が必要なのか確認しておくことがポイントです。例えば、導入事例をチェックすると自社の課題に近い機能が実装されているか判断できます。
また、原価管理システムは他システムとの連携により導入効果を最大化できるため、どのようなシステムと連携できるのかも注目しましょう。
2.クラウド型とオンプレミス型どちらが自社に適しているか
原価管理システムの提供形態には、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれの特徴は、以下の通りです。
| 提供形態 | 特徴 |
| クラウド型 |
|
| オンプレミス型 |
|
提供形態を選ぶ際は、コストだけでなくシステム管理体制やセキュリティ面などを自社の課題と照らし合わせて検討しましょう。
3.原価の配賦パターンをどのように設定できるのか
原価管理システムを比較する際は、配賦パターンがどのようになっているか確認します。原価との差異をなくすためには、原価の配賦を合わせる必要があるためです。
配賦を細かく設定する場合、時間がかかってしまうため、自動配賦機能が搭載されているかも比較するとよいでしょう。
製品の中には、複雑な自社の運用にあわせて配賦基準が設定できる機能を実装しているものもあります。業務を効率的に進められるよう、原価の配賦パターンのチェックもポイントです。
4.導入支援があるか
原価管理システムによって導入支援は異なるため、比較しておきましょう。ITに関する担当者が自社にいなければ、原価管理システムを導入する際に不明点やトラブルが発生する可能性もあります。
導入に時間がかかってしまうと、かえって業務効率が低下してしまう要因となります。専任スタッフが導入を支援したり、マニュアルの作成をサポートしてくれたりと、導入支援は製品によってさまざまです。
自社担当者のIT知識を踏まえたうえで、導入・運用時にどのような支援を受けられるかを比較検討しましょう。
5.拡張機能はあるか
導入後、継続的に利用するためには、製品の拡張機能についてもチェックしておきましょう。事業拡大や管理項目の増加など新たな要件が発生した際、機能を追加する必要が出てくるためです。
例えば、バージョンアップは年に何回可能か、またはフォーマットの変更はできるのかといった拡張性を比較します。拡張機能を考慮しないと後々コストがかさむ可能性があるため、柔軟に対応できるシステムの選択がおすすめです。
タイプ別原価管理システムの特徴
原価管理システムは、大きく3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴は下表の通りです。
| タイプ | 特徴 |
| 業界特化型タイプ |
|
| プロジェクト管理型タイプ |
|
| 汎用型タイプ |
|
原価管理システムは自社に適したタイプを選ばなければ、効果を実感できない可能性があります。自社のニーズにマッチするタイプを理解しておくと、比較検討するシステムを絞れるでしょう。
製造業向け原価管理システムおすすめ3選
ここでは、製造業向けのおすすめ原価管理システムを3つ紹介します。
各システムの特徴や強みをまとめたので、製造業向けの原価管理システムをお探しの方は参考にしてください。
1.ProSee
ProSeeは、製造業の原価計算に特化した原価管理システムです。管理会計システム構築も可能なため、原価や業績情報のデータベース化を活用して経営判断を実施したい企業におすすめです。
| サービス名 | ProSee |
| 提供企業 | ソートウェア株式会社 |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ（無料版あり） |
| サービスページ | https://prosee.info/ |
2.J-CCOREs
J-CCOREsは、鉄鋼業の原価計算をベースに金属や半導体、化学などの業種に適合する原価管理システムです。連携するための標準データフォーマットを用意しているため、既存システムのデータを活用して原価計算をしたい場合に適した製品となります。
| サービス名 | J-CCOREs |
| 提供企業 | JFEシステムズ株式会社 |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ（実際原価計算を導入する場合15,000,000円～） |
| サービスページ | https://www.jccores.com/ |
3.スマートF
スマートFは、製造現場のあらゆるデータを集約できる原価管理システムです。必要な機能のみを導入し、徐々に機能を追加検討したい企業にもおすすめの製品といえます。
| サービス名 | スマートF |
| 提供企業 | 株式会社ネクスタ |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 初期費用：300,000円～
月額費用：48,000円～ |
| サービスページ | https://smartf-nexta.com/cost |
建設業向け原価管理システムおすすめ3選
ここでは、建設業向けのおすすめ原価管理システムを3つ紹介します。
各システムの特徴や強みをまとめたので、建設業向けの原価管理システムをお探しの方は参考にしてください。
1.レッツ原価管理Go2
レッツ原価管理Go2は総合工事業や設備工事業、識別工事業などあらゆる建設業に最適な原価管理システムです。シンプルなデザインになっているため、使いやすさを重視したい企業におすすめです。
| サービス名 | レッツ原価管理Go2 |
| 提供企業 | 株式会社レッツ |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 製品価格：660,000円～
年間保守：33,000円～ |
| サービスページ | https://www.lets-co.com/ |
2.MA-EYES
MA-EYESはプロジェクトや製品、案件など単位別で原価管理できる原価管理システムです。プロジェクト管理と原価管理の両方を実施したい企業に適した製品となります。
| サービス名 | MA-EYES |
| 提供企業 | 株式会社ビーブレイクシステムズ |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ |
| サービスページ | https://www.bbreak.co.jp/maeyes/solution/genkakanri.html |
3.どっと原価シリーズ
どっと原価シリーズは、建設業向けの製品で高い導入実績を持つ原価管理システムです。ニーズに適した機能のみ追加できるため、コストパフォーマンスの高いシステム導入を実現したい企業におすすめです。
| サービス名 | どっと原価シリーズ |
| 提供企業 | 株式会社建設ドットウェブ |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 参考月額：7,000円～ |
| サービスページ | https://www.kendweb.net/feature/ |
プロジェクト管理型タイプの原価管理システムおすすめ3選
ここでは、プロジェクト管理型向けのおすすめ原価管理システムを3つ紹介します。
各システムの特徴や強みをまとめたので、プロジェクト管理型タイプの原価管理システムをお探しの方は参考にしてください。
1.マネーフォワード クラウド個別原価
マネーフォワードクラウド個別原価は、クラウド型原価管理システムです。個別原価計算をはじめ、プロジェクト申請からプロジェクト原価進捗管理まで、一連の業務をワンストップで利用できる製品をお探しの企業におすすめです。
| サービス名 | マネーフォワード クラウド個別原価 |
| 提供企業 | 株式会社マネーフォワード |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ |
| サービスページ | https://biz.moneyforward.com/project-cost/ |
2.クラウドERP ZAC
クラウドERP ZACはプロジェクトごとに工数や経費などを一元管理し、個別原価計算をする原価管理システムです。案件ごとにデータを一元化したい企業に適した製品となります。
| サービス名 | クラウドERP ZAC |
| 提供企業 | 株式会社オロ |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 初期費用：100,000円～（※条件によっては導入支援費用あり）
月額費用：ライセンス費用＋保守費用 |
| サービスページ | https://www.oro.com/zac/introduce/calculate_automation.html |
3.freee販売
freee販売は、案件別に原価管理が可能なクラウド型原価管理システムです。複雑な設定や構築が不要なため、すぐに原価管理システムを導入したい企業におすすめです。
| サービス名 | freee販売 |
| 提供企業 | フリー株式会社 |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ |
| サービスページ | https://www.freee.co.jp/sales-management/cost-management/?referral=aw_brand_hanbai |
汎用型タイプの原価管理システムおすすめ2選
ここでは、汎用型タイプのおすすめ原価管理システムを2つ紹介します。
各システムの特徴や強みをまとめたので、幅広い業種で利用できる原価管理システムをお探しの方は参考にしてください。
1.アラジンオフィス
アラジンオフィスは、幅広い業界での支援実績を持つ原価管理システムです。業種別のカスタマイズ事例などもあるため、さまざまな業界で利用できる原価管理システムをお探しの企業におすすめです。
| サービス名 | アラジンオフィス |
| 提供企業 | 株式会社アイル |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 要問い合わせ |
| サービスページ | https://aladdin-office.com/ex/project/ |
2.楽楽販売
楽楽販売は、幅広い業界での導入実績があるクラウド型原価管理システムです。受注や発注に関するあらゆるデータを一元管理できるため、リアルタイムでデータを確認したい企業に適したシステムとなります。
| サービス名 | 楽楽販売 |
| 提供企業 | 株式会社ラクス |
| 特徴・強み |
|
| 料金 | 初期費用：165,000円
月額費用：70,000円～ |
| サービスページ | https://www.rakurakuhanbai.jp/business/genka.php |
まとめ
本記事では、原価管理システムの機能や比較ポイントを紹介しました。
原価管理システムには原価計算だけでなく、個別原価計算や総合原価計算など、さまざまな機能が実装されています。また、製品の提供形態やタイプも異なるため、自社に適したものを選ぶ必要があります。
導入効果を最大化できるよう、「導入目的に適した機能が実装されているか」「原価の配賦パターンをどのように設定できるのか」といった点から比較することが大切です。
自社の課題を踏まえたうえで、最適な原価管理システムを選び、利益拡大や業務の効率化につなげましょう。
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