ログ管理システムの導入事例6選｜企業の課題と解決策を徹底解説【2025年最新版】

2. 導入事例① Logstorage（導入企業：株式会社ハンズ様 / 旧：ハンズラボ株式会社）

本事例の導入企業であるハンズラボ株式会社は、2022年10月に親会社である「株式会社ハンズ」へ吸収合併されました。

株式会社ハンズは、住まいと生活に関連する商品を専門に扱う小売事業を展開する企業です。（資本金：4億円、売上高：919億円、従業員数：2,298名 ※2025年3月期/3月31日現在）。本事例は、合併前に同社のIT開発部門を担っていたハンズラボ株式会社の取り組みです。クラウド化をいち早く進めた企業が直面する、典型的な課題とその解決策を見ていきましょう。

クラウド化の裏で深刻化する「ログのサイロ化」

ハンズラボでは、2010年から本格的に「AWS」（Amazon Web Services）の活用を進めていました。しかし、事業の成長とともにAWSアカウントの数が増加。それに伴い、各アカウントから生成されるログデータが分散し、管理が追いつかなくなる「ログのサイロ化」が深刻な問題となっていました。

これでは、システムに何か問題が発生した際に、原因を追跡するだけで膨大な時間がかかってしまいます。さらに、企業の内部統制や、クレジットカード情報を取り扱う上で準拠が必須となる「PCI DSS」（Payment Card Industry Data Security Standard）の観点からも、「誰が・いつ・何をしたか」を横断的に追跡できない状態は、非常に大きなリスクでした。

AWS環境に特化したツールで一元管理を実現

これらの課題を解決するため、ハンズラボでは「インフォサイエンス株式会社」が提供する統合ログ管理システム「Logstorage」を導入しました。

選定の決め手は、自社の環境に最適化されていた点です。Logstorageは、様々なシステムのログに対応していますが、特にAWS環境との連携に優れていました。複雑な設定なしで、複数のAWSアカウントから自動でログを収集し、一元管理できる機能が、まさに同社が求めていた解決策だったのです。

監査対応の効率化と、揺るぎない運用基盤の確立

「Logstorage」の導入効果は絶大でした。これまでアカウントごとに分散していたAWSのログが、一つの管理画面に集約されたのです。

これにより、ログの横断的な検索や分析が極めて容易になり、不正アクセスの監視やシステムトラブル発生時の原因調査にかかる時間が大幅に短縮されました。PCI DSSが要求する厳格なログ管理要件をクリアできたことはもちろん、日々の運用負荷も大きく軽減され、安全で効率的なシステム運用基盤を確立することに成功しました。

この事例から学ぶべきポイント

クラウドサービスの利用が拡大すればするほど、ログは分散し管理が困難になります。この事例が示すように、クラウド化を推進する際には、早い段階で「ログの一元管理」を計画に組み込むことが不可欠です。そして、自社がメインで利用するクラウド環境（AWS、Azure、GCPなど）に強みを持つ製品を選定することが、導入成功の鍵となります。