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(削除)oss

目次

システム運用やセキュリティ対策に欠かせないログ管理は、トラブルシューティングや情報資産の管理、サイバー攻撃の早期発見のために重要な役割を果たします。一方で、膨大なログを効率的に管理するには、高額な商用ツールが必要になる場合もあります。

コストを抑える方法の一つが、OSS(オープンソースソフトウェア)によるログ管理です。OSSは無料で利用できるだけでなく、柔軟なカスタマイズ性や豊富な機能拡張があり、多くの企業で導入されています。

本記事では、OSSの概要やメリット・デメリットを解説したうえで、おすすめのログ管理ツールを紹介します。コストを抑えながら効果的なログ管理を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

「ログ管理」の製品比較表

※税込と表記されている場合を除き、全て税抜価格を記載しています

  • 製品名
  • 注目ポイント
  • 料金プラン
  • プラン名金額
  • 無料トライアル
  • 最低利用期間
  • 基本的な機能
    • ファイル操作ログ
    • 端末を遠隔ロック
    • USB使用ログ
    • 操作時間レポート
    • 印刷ログ
    • ウイルス対策ソフト未導入確認
    • ソフトウェア利用割合表示
    • ログの絞り込み検索
    • ネットワーク検疫
    • ファイル遠隔削除
    • レポートテンプレート
    • 暗号化通信取得
    • 二段階認証
    • アプリ制御
    • AWS監視
    • ユーザグループ管理
    • 勤務時間管理
    • ログ解析サポート
    • PC更新管理
    • 業務適正度レポート
  • サービス資料
  • 無料ダウンロード
  • ソフト種別
  • サポート
低コストでしっかり管理
基本料金 6,000円~
機能利用料 利用機能数 × 台数 ×50円~100円
制限なし
Watchy(ウォッチ―)の資料サムネイル
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
圧倒的コスパを実感
初期費用 0円
備考
初期費用は発生しません。
利用料金 25,000円/月
備考
50ライセンス契約の場合です。1ライセンスでは500円/月となります。
制限なし
Eye“247” Work Smart Cloud(ログ管理)の資料サムネイル
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
ログ取得から監視まで
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
BlackBox Suiteの資料サムネイル
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
情報漏洩を未然に防ぐ
本体 900円/1ライセンス
備考
※100ライセンスの場合
※最小5ライセンスから
※初期費用0円
BizMobile Go! オプション(MDM) 300円/1ライセンス
備考
※最小5ライセンスから
※初期費用0円
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 0円
備考
初期費用はかかりません。
利用料金 月額500円(税込550円)/1アカウント
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
備考
料金についてはお問い合わせください。
利用料金 要相談
備考
料金についてはお問い合わせください。
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト オンプレミス型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
利用期間の制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
1ヵ月
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 要相談
利用料金 要相談
備考
ライセンス数やOSによって異なります。
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
初期費用 10,000円
月額費用 要相談
備考
基本費用1,500円に加え、1ライセンス700円になります。
最低利用期間の制限あり
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /
MylogStar Cloud 800円/月額
備考
MylogStar Cloud Standard
MylogStar Cloud 1,600円/月額
備考
MylogStar Cloud Plus
MylogStar FileServer 198,000円
備考
MylogStar 4 FileServer ライセンス (初年度保守込み)
MylogStar FileServer 39,600円
備考
MylogStar 4 FileServer 年間保守
MylogStar Desktop 24,000円
備考
MylogStar 4 Desktop ライセンス (初年度保守込み)
MylogStar Desktop 98,000円
備考
MylogStar 4 Desktop + Standalone Manager(初年度保守込み)
MylogStar Desktop 4,800円
備考
MylogStar 4 Desktop 年間保守
MylogStar Desktop 19,600円
備考
MylogStar 4 Desktop + Standalone Manager 年度保守
制限なし
クラウド型ソフト 
電話 / メール / チャット /

価格や製品機能など、見やすい一覧表から、気になる製品をまとめてチェック!

1.ログ管理とは?

ログ管理とは?OSSとは?

ログ管理とは、PC操作やサーバーなどのITシステムから出力される「ログ」と呼ばれるデータの収集・管理・分析を意味します。ログには、主にシステムの動作履歴やユーザーの操作記録、エラーメッセージなどさまざまな情報が含まれています。

適切なログ管理により、トラブル発生時の早期発見や迅速な対応が可能です。さらに、ログを分析すると、情報漏洩や不正アクセスの防止、内部統制の強化、業務の最適化にも役立ちます。このように、ログ管理はコンプライアンス遵守や監査のためにも重要な業務の一環となっています。

OSS(オープンソースソフトウェア)とは

OSS(オープンソースソフトウェア)とは、ソースコードが公開されており、誰でも閲覧・変更・配布ができるソフトウェアです。OSSは、世界中の開発者や技術者によって継続的に改善や機能が追加され、高い品質が維持されています。

OSSは手軽に使え、商用ソフトウェアと比較してコストを抑えた導入・運用が可能です。多くのOSSは高性能であり、プログラムだけではなく、開発に必要な設計書やドキュメントも多く公開されています。

また、OSSは、企業や個人のニーズに応じた改修やカスタマイズができる柔軟性の高さも特徴です。ただし、利用時にはライセンスの規約を遵守する必要があり、適切な管理が求められます。特に企業でOSSを利用する際は、事前にライセンスの範囲を理解しておくことが大切です。

2. OSSによるログ管理のメリット

OSSのログ管理のメリット

OSSによるログ管理のメリットは、以下の通りです。

  • 信頼性が高い
  • コスト削減ができる
  • カスタマイズしやすい

ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。OSSを活用したログ管理を検討している方や具体的なメリットを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

信頼性が高い

OSSによるログ管理は、開発環境がオープンで常に更新されており、ソースコードの信頼性が高いことが特徴です。OSSは、不正なプログラムやぜい弱性が発見されると、迅速に修正されるため、ソフトウェア自体の信頼性が確保されます。

また、OSSコードが公開されているので、第三者による監査や評価が行われやすく、不正なプログラムを含んでいる可能性が低いのもメリットです。世界中の開発者によるサポートが受けられ、透明性や信頼性のあるログ管理を実現できます。

コスト削減ができる

OSSのライセンスは、基本的に無償で利用できるため、コスト削減につながります。商用のログ管理ツールは、初期費用やランニングコストがかかるのに対し、OSSは導入後のライセンス費用やリプレース費用などがかかりません。

また、OSSはサーバーの増設や機能追加などの追加費用がかからず、必要に応じてカスタマイズできるので、コストパフォーマンスに優れています。そのため、予算に限りのある企業にとって、高い費用対効果が期待できるOSSは魅力的な選択肢といえるでしょう。

カスタマイズしやすい

OSSはソースコードが公開されているので、ユーザーが自由にカスタマイズできます。豊富な拡張機能を活用すると、企業のニーズや要件に合わせた機能追加や改良が可能です。

また、OSSはツール同士の連携や改良もしやすく、開発における自由度の高さが特徴です。既存のツールと統合すると、より高度なログ分析や機能が追加でき、企業に合った柔軟なシステムを構築できます。OSSを活用すると、企業は業務効率化やセキュリティ強化を図れます。

3. OSSによるログ管理のデメリット

OSSログ管理のデメリット

OSSによるログ管理のデメリットは、以下の通りです。

  • 導入・運用の難易度が高い
  • ライセンスに準拠する必要がある
  • サポートが提供されない

それぞれのデメリットを詳しく解説するので、よく理解したうえで、OSSによるログ管理を行いましょう。

導入・運用の難易度が高い

OSSによるログ管理は基本的に高機能であるため、商用ツールと比較して導入・運用が難しい場合があります。OSSの導入は初期設定や環境構築に時間を要するほか、専門知識が必要になるため、システム管理者のスキルが求められます。

また、トラブル発生時に迅速な対応ができる体制を整えておくことも大切です。OSSを運用できる社内体制が整っていない場合、商用ツールよりも管理負担が大きくなる可能性があります。

ライセンスに準拠する必要がある

OSSは自由に利用できる一方で、ライセンスの遵守が不可欠です。OSSはさまざまなライセンスで提供されており、制約に従わない場合には法的な問題が発生する可能性があります。そのため、自社のセキュリティ基準や業務要件を把握したうえで、慎重な選択が必要です。

特に、OSSのライセンスにはそれぞれ異なる制約があり、事前の確認が不可欠です。例えば、GPL(GNU General Public License)はソースコードを改変して再配布した場合に、著作権を表示する必要があります。

主なライセンスと制約内容は以下の通りです。

ライセンス 主な制約
GPL(GNU General Public License) ・ソースコードの改変・再配布は著作権を表示

・再配布する場合は、同様のライセンス形式を指定

MPL(Mozilla Public License) ・ソースコードの改変・再配布は著作権を表示

・ライブラリのソースコード開示は不要

BSD License ・ソースコードの改変・再配布は著作権を表示

・他のソフトウェアやライブラリ、改変部分のソースコードは開示不要

これらのライセンスの違いを理解し、用途に応じて適切なOSSの選択が重要になります。

サポートが提供されない

OSSは商用ツールのような公式サポートが提供されないため、トラブル発生時には注意が必要です。多くの場合、開発者コミュニティやフォーラムを活用する形になり、問題の解決に時間がかかることがあります。

企業におけるOSSの利用時に技術的な問題が発生した場合は、自社で解決するか、OSSコミュニティの情報を活用する必要があります。有料のサポートを活用する方法もありますが、追加コストがかかるため、予算に応じた検討が必要です。
OSSのログ管理ツールを利用する際は、サポート体制の確保も重要なポイントになります。

4.【OSS】おすすめログ管理ツール8選

ここでは、OSSによるおすすめのログ管理ツールを8つ紹介します。商用ツールだけではなく、OSSにも優れたログ管理ツールがあり、機能や特徴、得意分野などはさまざまです。

事前にそれぞれの特徴を押さえておくことで、「導入を検討したものの、運用の難易度が高すぎる」「導入したものの、自社のシステムと適合しない」といったリスクを減らせます。

以下で、各ツールの特徴や機能、公式サイトなどをまとめているので、自社に合ったツール選びの参考にしてください。

4.1 Graylog

Graylogは、OSSによるログデータの収集・分析・解析をするためのツールです。拡張性があり、システム監視やトラブルシューティング、セキュリティ対応の効率化に役立ちます。

サービス名 Graylog
提供企業 Graylog社
機能 ログ収集・解析、ダッシュボード表示、アラート設定、不正アクセスの検出など
特徴 ・使いやすいインターフェースを備えており、直感的に操作できる

・大容量のログでも高速に解析できる

・リアルタイムでログを監視・解析できる

・ダッシュボードに重要なデータをグラフや表で表示して視覚化できる

注意点 ・初期設定の難易度が高く、初心者にはややハードルが高い

・ログデータ量が多いと、サーバーのメモリやストレージの消費が増える

・継続的なメンテナンスが必要であり、一定の専門知識が求められる

公式サイト https://graylog.org/

4.2 Fluentd

Fluentdとは、ログデータを収集・分析するだけではなく、データベースなどへ転送できるツールです。すべての機能がプラグインで実装されており、柔軟な運用ができます。

サービス名 Fluentd
提供企業 Treasure Data社
機能 ログ収集、データ出力・転送など
特徴 ・多数のプラグインで、幅広いシステムと柔軟に連携できる

・リアルタイムで大規模なデータ処理ができる

・Elasticsearch やKibanaを組み合わせることで、ログの可視化ができる

・WindowsやMacなどの多様なOSに対応している

注意点 ・プラグインのバージョン管理が複雑である

・大規模なデータ処理にはリソースを多く消費するため、最適化が必要である

公式サイト https://www.fluentd.org/

4.3Logstash

Logstashは、リアルタイムでデータ収集ができるツールで、大量かつ多様なログデータを収集できます。

サービス名 Logstash
提供企業 Elastic社
機能 ログ収集・解析・変換など
特徴 ・さまざまな種類のログデータを処理できる

・多くのプラグインにより、さまざまなシステムと統合できる

・プラグインを作成・共有できる

注意点 ・大量データ処理時にメモリやCPUを多く消費する

・Logstash単体では、可視化や検索機能がなく、他ツールとの併用が必要である

公式サイト https://www.elastic.co/jp/logstash

4.4 Elasticsearch

Elasticsearchは、収集したログの検索・分析ができるツールです。検索速度や分析機能、大規模なデータ管理に優れ、ログ管理やリアルタイム分析の基盤として広く活用されています。

サービス名 Elasticsearch
提供企業 Elastic社
機能 全文検索など
特徴 ・ビッグデータ解析に対応できる検索性能である

・部分一致検索や近似値の検索ができる

・ログの傾向やパターンを幅広く把握できる

・障害を検知し、安全性を保った運用ができる

注意点 ・運用が複雑で、設定に専門知識が必要である

・大規模な検索処理をする際に、メモリやCPUを多く消費する

公式サイト https://www.elastic.co/jp/elasticsearch

4.5 InfluxDB

InfluxDBは、時系列ベースで収集したログを保存・分析できるツールで、拡張性が高く、リアルタイム分析に有効です。

サービス名 InfluxDB
提供企業 InfluxData社
機能 ログの保存・分析など
特徴 ・大規模な時系列データを素早く処理できる

・大容量のデータを効率的に扱える

・アラート、可視化、データ集約など多彩な機能がある

注意点 ・バージョン間の互換性があり、移行時に調整が必要である

・長期保存時は、ディスク使用量が増大しやすい

公式サイト https://www.influxdata.com/

4.6 Kibana

Kibanaは、Elasticsearchと連携して使用するツールです。直感的な操作性で、データ分析や可視化ができる特徴があります。

サービス名 Kibana
提供企業 Elastic社
機能 ログ解析・分析、ダッシュボード作成など
特徴 ・保存しているログを解析し、線グラフや円グラフなどで可視化できる

・時系列ログに対応しており、高度な分析ができる

・機械学習機能があり、異常を検知できる

注意点 ・初期設定時に多数の設定が必要である

・バージョンのアップデート時に不具合が生じる可能性がある

公式サイト https://www.elastic.co/jp/kibana

4.7 Grafana

Grafanaは、データベースに保存されているログの解析ができるツールです。直感的な操作性と多彩な可視化機能を備え、さまざまなデータソースの統合・分析に役立ちます。

サービス名 Grafana
提供企業 Grafana Labs社
機能 ログ解析、アラート機能など
特徴 ・プラグインを活用し、外部システムやサービスと連携できる

・複数のデータベースに対応しており、解析が簡単である

・表示する期間や時間帯などを変更できる

注意点 ・大規模な運用の場合、複雑化する可能性がある

・一部の高度な分析を行う場合、別のツールが必要である

・標準機能では、詳細なログ分析が困難である

公式サイト https://grafana.com/ja/grafana/

4.8 OpenObserve

OpenObserveは、Elasticsearchをベースに開発された全文検索エンジンです。大量のデータ検索や解説を高速で処理できます。

サービス名 OpenObserve
提供企業 Zinc Labs社
機能 全文検索、フィルタリング、アラート設定など
特徴 ・少ないメモリで高速に検索できる

・検索機能が豊富である

・アクセス権限ができる

・データ調査や可視化するためのツールがある

注意点 ・初期設定の難易度が高く、調整が必要である

・大量アクセス時にサーバーに負荷がかかる

公式サイト https://openobserve.ai/

5. ログ管理oss導入ステップとコストシミュレーション

ログ管理ossは無償ライセンスで始められるため、まず小規模なPoC(概念実証)で動かし、実環境に耐えられるかを検証する企業が増えています。ここでは最小構成での導入手順と、OpenObserveを使った長期保管コスト削減の具体例を示します。

ステップ1 要件を30分で棚卸し

最初に「1日あたりのログ量」「保存期間」「検索同時接続数」など基礎要件を洗い出します。CNCFの調査でもコスト管理と可観測性が主要課題に挙がっています。

ステップ2 クラウドVMを月額3,000円台で確保

AWS「Lightsail」のLinuxバンドルなら2 vCPU・4 GBメモリが月額24 USD(約3,700円)で利用できます。ブロックストレージは8 GBあたり0.10 USD/月と計算しやすいのも利点です。

ステップ3 Graylogスタックを15分で起動

GraylogはDocker Composeで簡単に立ち上げられ、シングルノードPoCなら4 GBメモリとマルチコアCPUで動作します。公式テンプレートをそのまま投入すれば、Web GUIとREST APIが利用可能です。

ステップ4 Fluent Bitでログを投入

Fluent BitのGELFプラグインを使うとDockerコンテナやSyslogからGraylogへ直接送信できます。設定ファイルにName gelfHost graylogを追記するだけで即時連携が完了します。

ステップ5 ダッシュボードで検索速度を計測

GitHubコミュニティによるテストでは、Graylog単体でも中小規模(数GB/日)の環境で応答時間1秒未満を維持できたと報告されています。検索クエリとアラートルールを一通り試し、必要な可視化要件を満たすか確認しましょう。

ステップ6 OpenObserveで長期保管コストを圧縮

OpenObserveはElasticsearch比で約140倍のストレージ効率を実現し、オブジェクトストレージと組み合わせて大幅なコスト削減が可能と公式ドキュメントが示しています。

ステップ7 30日保管シミュレーション

次の表は1日あたり10 GBのログを30日保存する場合の概算です。AWS Lightsailのブロックストレージ価格0.10 USD/GBを採用しています。

ストレージ費用はUSD→JPYを1 USD = 155 JPYで換算し、円未満は四捨五入しています。

保管方式 必要容量 ストレージ費用 (USD/月) ストレージ費用 (円/月) 削減率
Elasticsearch相当 300 GB 30.0 4,650
OpenObserve 2.1 GB (140分の1) 0.21 33 99%

OpenObserveを併用することで、月額4,600円超だった長期保管コストをわずか数十円まで圧縮できる計算です。

まとめ:小さく始めて大きく削減

ログ管理ossは月額3,000円台のVMからPoCを始め、運用要件が固まった段階でOpenObserveなど高圧縮系OSSを追加することで、中長期のストレージ費用を劇的に抑制できます。

6. ログ管理oss選定チェックポイント

ログ管理ossを長期運用するには「スケーラビリティ」「可観測性」「監査証跡」「運用負荷」の4軸で評価し、ロール分離(誰が収集し、誰が閲覧し、誰が管理するか)まで設計することが不可欠です。

スケーラビリティ

Graylogはマルチノード構成で高可用性を確保でき、データ階層化によって大容量でも性能を維持します。
Grafana Lokiは水平分散とマルチテナントを前提に設計され、コスト効率も高いと評価されています。

可観測性

Fluentdは500本超のプラグインで多彩なデータを取り込み、Observe社ドキュメントでも拡張性が強調されています。
OpenObserveはSQLライク検索とVRL変換で分析を簡素化し、数行のクエリで高速検索が可能です。

監査証跡

Kibanaは監査イベントをカテゴリ・タイプ別に記録し、検索フィルタを用いた証跡管理に対応しています。
OpenObserve Enterprise版とクラウド版はRBAC(Role-Based Access Control)機能を備え、ユーザー権限を細かく制御できます。
syslog-ngはTLS暗号化転送を公式ガイドで推奨し、通信経路での改ざんリスクを低減します。
国産GUIのSyLASはElasticsearch連携時でも日本語UIで監査設定を行える点が評価されています。

rsyslogはスレッドとバッチサイズ調整で毎秒数十万メッセージを処理できますが、パラメータ最適化が必要です。
Fluentdはv6系への移行計画が発表済みで、長期運用にはバージョン管理とアップグレード手順の確認が欠かせません。

以下のテーブルは、主要8製品を4軸で採点し、ロール分離機能の有無を整理したものです(★5が最高評価)。

OSS名 スケーラビリティ 可観測性 監査証跡 運用負荷 ロール分離機能
Graylog ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ あり(役割別)
Fluentd ★★★☆☆ ★★★★★ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ なし(外部導入)
ELKスタック ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ Kibana Space & RBAC
OpenObserve ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆※ ★★★☆☆ あり(Enterprise/Cloud)
Grafana Loki ★★★★★ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★★★☆ なし(Grafana側で制御)
rsyslog ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ なし
syslog-ng ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ なし
SyLAS ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆ あり(GUI)

※OpenObserve OSS版はRBAC未提供。Enterprise/Cloud版のみ対応。

ロール分離の注意点

まず「収集(Fluentd・rsyslog)」「集約/保存(Loki・OpenObserve)」「分析(Graylog・Kibana)」「管理(SyLASなどGUI)」を担当者ごとに分離し、最小権限でアクセスさせます。RBAC未対応のOSSを使う場合は、ネットワーク分離やVPN経路専用化で代替しましょう。Kibanaの監査ログやOpenObserveのRBACを活用すると、誰がどのログを検索・エクスポートしたかを追跡でき、内部統制の証跡として有効です。

以上の4軸とロール分離を意識すれば、自社要件に最適なログ管理ossを絞り込みやすくなります。

7. 国内企業のログ管理oss導入事例と成功パターン

日本企業でもログ管理ossを活用して障害対応の迅速化とコスト最適化を実現する動きが加速しています。ここでは代表的な5社の実例から、導入効果を数値で把握し、共通する成功パターンを整理します。

SyLAS+Graylogで障害解析を短縮

製造業A社はGUIで操作できる「SyLAS」を前段に置き、検索性能に優れた「Graylog」を統合しました。10種類の異なる形式のログを一元化し、フィールド検索とダッシュボード可視化を導入した結果、担当者がコマンドでログを探していた従来の作業を大幅に短縮でき、障害要因の特定時間を「数時間から数十分」へと短縮できたと報告されています。SyLASはrsyslogのログをWebから閲覧できる国産OSSで、Web通知機能によりログ監視も自動化できます。

OpenObserveでTB級ログ高速検索

国内SaaS企業B社はストレージ費用が課題だったため「OpenObserve」を採用し、180GBの検証データでElasticsearch比1/140の容量に圧縮できることを確認しました。公式事例でも、米Avatar社がOpenObserveで可用性99.99%を維持しながら監視コストを60%削減したと公表しており、TB〜PB規模でも水平スケール可能です。

Fluentdでスケールするメルカリ

「メルカリ」ではAPIサーバやバッチ処理のログをFluentd経由でElastic/BigQueryへ送り、マルチプロセス構成で大量ログをさばいています。運用チームはGo製エージェントfluent-agent-hydraを併用し、省メモリで高速転送を実現しています。同社は独自プラグインも開発し、スループット制約の解消と分析基盤の柔軟性を両立させました。

Grafana Lokiでコストを抑制

WILLGATE社は従来ツールの高メモリ消費とVMコストを課題視し、インデックスを持たない「Grafana Loki」に移行しました。Promtailで転送したログをGrafanaから即時検索でき、サーバにSSHせずに確認出来るため運用工数が減少したと報告されています。

syslog-ng SSBで公共系テラバイト運用

自治体向けネットワークを運用する独立行政法人では、テラバイト級のログを高速に集約する目的でアプライアンス版「syslog-ng Store Box(SSB)」を導入しました。セミナー資料によれば、従来の自作Syslog基盤よりも高スループットでSIEM連携が容易になり、大容量ログの一元管理と監査効率化を同時に達成したとされています。

導入各社の比較ポイントを下表にまとめます。

ログ量や効果を俯瞰すると、ストレージ削減と検索速度向上が両立している事例が多いことが分かります。

企業/業種 採用OSS構成 処理ログ量 定量効果 成功要因
製造A社 SyLAS+Graylog 10形式×数GB/日 原因特定時間を数時間→数十分 GUIによる高速フィルタと通知設定
SaaS B社 OpenObserve 180GB検証→TB級予定 ES比1/140の容量、検索即応 列指向圧縮+S3バックエンド
メルカリ Fluentd+自社プラグイン 数百万行/分 マルチプロセスで転送詰まり解消 Go製エージェントとMP構成
WILLGATE Grafana Loki Webログ中心 VMメモリ負荷を大幅削減 インデックスレス設計とPromtail
公共法人 syslog-ng SSB テラバイト級/日 集約+SIEM連携で監査効率化 専用アプライアンスの高IOPS

成功パターンまとめ

  1. PoCで実データを流す:小規模検証から始め、圧縮率や検索応答を社内KPIと照合する企業が共通して高ROIを実現しています。
  2. 役割分離とRBAC:GraylogやOpenObserveのロール管理を使い、収集・閲覧・管理を分離することで監査証跡を保ちつつ運用負荷を抑えられます。
  3. ストレージ階層化:圧縮ストレージ(OpenObserve)やオブジェクトストレージ連携(Loki + S3)で長期保管コストを削減する設計が効果的です。
  4. プラグイン/エージェントの最適化:Fluentdの独自プラグインやGoエージェントの活用により、高負荷下でもスループットを維持できます。

これらの事例に共通するのは、「自社要件を数値化し、段階的にログ管理ossを組み合わせていく」姿勢です。PoC→本番の2ステップで効果検証と運用フロー整備を並行させることが、成功への近道と言えるでしょう。

8. まとめ

本記事では、ログ管理やOSSの概要、メリット・デメリットを解説しました。OSSによるログ管理は、コストを抑えつつ高度なログ収集・分析を実現できます。

また、OSSは無料で使えるだけでなく、必要に応じて機能を拡張したり、自社に合わせてカスタマイズできたりする点がメリットです。しかし、導入や運用には一定の専門知識が求められ、サポートもコミュニティ頼りになる場合があります。

企業にとってセキュリティ対策や業務効率化を図るうえで、OSSを活用したログ管理は有効な選択肢の一つです。自社のニーズに合ったOSSツールを見つけ、最適なログ管理体制を構築しましょう。

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