いまさら聞けない！グリーン調達とは？｜基準やメリットも解説

「グリーン調達」とは、企業が資材や物品を仕入れる際に、環境負荷の少ない製品を積極的に選択することです。昨今、地球温暖化や異常気象を受けて環境意識の高まっており、実際に国際機関で脱炭素に関する取り組み目標が設定されています。目標達成には、政府や自治体の取り組みだけでなく、民間企業による取り組みも必要不可欠です。「グリーン調達」について理解を深め、環境経営を実現しましょう。

グリーン調達とは

言葉の意味

「グリーン調達」とは、企業が資材や物品を仕入れる際に、環境負荷の少ない製品を積極的に選択したり、環境負荷軽減の取り組みを積極的に行っている企業と優先的に取引することを意味します。「グリーン調達」に取り組むことで、自社製品のブランドイメージの向上に繋がり、環境意識の高い消費者が自社製品やサービスを安心して購入できるようになります。

注目される背景と目的

近年「グリーン調達」を行う企業や団体は、増加傾向にあります。背景には、世界的な環境意識の高まりが挙げられます。例えば、地球温暖化に関する基準として、京都議定書に代わって2015年に採択されたパリ協定で、世界共通の長期目標として平均気温上昇2℃以内、更に努力目標として1.5℃以内に設定されました。このような目標を達成し、地球環境を守るためには、政府主導の取り組みだけでなく、企業独自の取り組みも必要不可欠です。「グリーン調達」を行うことで、物品やサービスを「調達」する過程で、環境負荷を低減することができます。

メリット・デメリット

「グリーン調達」にはメリット・デメリットの両方が存在します。「グリーン調達」の特性を正しく理解することが重要です。

メリット

1.取り組みをアピールできる

「グリーン調達」最大のメリットは、地球環境に配慮した取り組みをアピールできることです。「グリーン調達」に取り組む姿勢を示すことで、自社製品のブランドイメージの向上や自社の信頼性向上が見込まれます。

2.信頼獲得で機会創出へ

「グリーン調達」を行うことで獲得した「信頼」を、新しい取引先の開拓や事業拡大などに活用することができます。特に、自社がサプライヤーを兼ねる（BtoBの物品やサービスを提供する）場合は、取引相手企業の「グリーン調達」にも繋がるため、商談の機会が増える可能性があります。また、地球環境に配慮した、別の物品やサービスの提案を受けたり、自社で開発する機会の獲得にも繋がります。

3.新しい規制を回避

「グリーン調達」を行うことで、政府や国際機関が定める新しい規制の影響のリスクを低減できます。近年、日本政府や各国際機関は、地球環境の保全のため、原材料、製造の過程、廃棄物の処理などあらゆる部分で規制を強化しています。環境に負荷がかかる化学物質を使用続ける場合には、規制強化に伴って生産活動が不安定になったり、予期せぬコストが発生したりするリスクがあります。しかし、法規制に先行して「グリーン調達」を行っている場合、こうしたリスクを回避しやすくなります。また、反対に環境に配慮した「調達」に取り組む際に、補助金などの優遇制度を受けることができる可能性があります。

このように、昨今、環境問題への取り組みと企業経営の結びつきは強くなっています。そのため、企業は「グリーン調達」などの環境に配慮した仕組みを取り入れ、環境問題のリスクを抑えつつ、事業を継続できる状況を整えることが必要です。

デメリットと対応策

「グリーン調達」では、環境に配慮した原材料や生産方法、輸送方法に限られるため、同じ機能や役割の物品やサービスを仕入れる場合、通常の「調達」と比べて「グリーン調達」にかかるコストが割高になることがあります。調達コストが上昇すると、利益率の低下に陥るリスクや、自社の製品やサービスに価格転嫁した場合に、価格競争面で競合他社に劣る可能性があります。

自社製品やサービスが「グリーン調達」であることをしっかり消費者にアピールすることはもちろん、便利機能の搭載や充実したサービス、優れたデザインなど、環境低負荷以外の差別化ポイントと組み合わせることで、デメリットを回避し、自社製品やサービスを選択する消費者の便益を高めることができます。

グリーン調達の判断基準

ここまで「グリーン調達」について解説してきましたが、では具体的にどういった「調達」が「グリーン調達」に該当するのでしょうか。

実は「グリーン調達」には統一された基準はありません。そのため、各社の事業内容に合わせて「グリーン調達」基準を制定しなければなりません。ですが、基準を決める際の参考として、環境省が発表している「グリーン調達ガイドライン（暫定版）」があります。このガイドラインでは、製品の環境負荷低減だけでなく、社内あるいは取引先に至るまでの幅広い「グリーン調達」を重視しています。

以下の表が示すは、環境省が提唱するグリーン調達基準の例です。詳細は、環境省が発布しているガイドラインでご確認ください。

環境省配布のガイドラインはこちらから
（2024年11月19日現在の情報）

関連する規格取得でグリーン調達を証明しよう

「グリーン調達」の取り組みを取引先企業や消費者に証明するための方法は存在します。明確な基準がない「グリーン調達」だからこそ、自社の取り組みが疑われないよう、以下の規格やルールになるべく準じることが有効です。

ISO規格ルール

ISO（国際標準化機構）が定めるISO規格で、「グリーン調達」と関連した国際的な認証規格があります。

ISO規格とは、ISO（国際標準化機構）が定める規格で、製品の安全性や品質、また組織運営体制などの水準を評価します。「グリーン調達」と関連する項目は、「ISO14001（環境マネジメントシステムに関する認証規格）」です。ISO規格に法的な拘束力はないため、必ず順守する必要はありませんが、規格を取得することで、消費者や取引先企業の信用を得やすくなったり、資材調達などの際に優位に働くことがあります。

エコアクション21ルール

「エコアクション21」とは、環境省が策定した「環境マネジメントシステム（EMS）」という仕組みのことで、組織や事業者が環境保全の取り組みを継続的に行うための方法を規定しています。

国際規格である「ISO14001」と異なり、「エコアクション21」は日本国内規格のため、認証を受けるハードルは低めと言えます。「エコアクション21」の認証を受けると、認証ロゴマークの仕様や低利融資制度の申請が可能なため、日本国内向けの製品やサービスには有効な手段と言えます。

調達の効率化は購買管理システムがおすすめ

「グリーン調達」で環境に配慮した製品だけをピックアップしたり、取引先企業との連絡・やり取りを一元化し、面倒で煩雑な作業を簡略化してくれるツールに「購買管理システム」があります。「購買管理システム」の詳細は、以下のサイトで解説しています。

購買管理システムの詳細はこちらから

まとめ

このように、「グリーン調達」を行うと様々なメリットがあることが分かりました。地球温暖化に起因した異常気象や自然災害は、企業の安定した経営を脅かす存在であり、もはや無関心を貫くことはできません。「グリーン調達」について正しく理解を深め、環境に配慮した製品やサービスの提供を目指していきましょう。