棚卸しについて徹底解説!具体的な手順・評価計算法も紹介!
最終更新日:2024/10/16
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目次
棚卸しは、企業にとって欠かせない業務の一つです。適切な在庫管理を行うことで、経営資源を有効に活用し、販売機会の損失やコストの無駄を防ぐことができます。しかし、棚卸しの具体的な手順や方法を理解しないまま進めると効率が悪く、ミスを招くこともあります。この記事では、棚卸しの基本的な考え方から、実際に行う手順、そして評価方法まで、分かりやすく解説します。棚卸しを正確に行い、在庫管理を改善するためのポイントを理解して頂ければ幸いです。
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棚卸しとは
棚卸しとは、企業や事業者が保有する在庫や資産を一定期間ごとに確認し、その数量や価値を評価するプロセスを指します。この作業は、経営効率を高めると同時に、財務報告や経営判断にも大きく影響を与えるため、非常に重要です。このように、棚卸しは「在庫の状況を正確に把握するための手段」として、決算や経営改善に直結する活動となります。
棚卸しの実施方法
この章では、棚卸しの実施方法について紹介します。手順ややり方、棚卸しの種類について具体的に紹介するので、是非参考にしてください。
棚卸しの手順
まず、棚卸しを行う時の手順について解説します。棚卸しには主に以下の6つの工程があります。
- 事前準備
- 棚卸しの方法の選定
- 実施日とスケジュールの計画
- 在庫の計測と仕分け
- 棚卸し結果の評価
- 棚卸しの結果を報告
順番に解説します。
1.事前準備
棚卸しを成功させるためには、入念な準備が不可欠です。まず、棚卸しの責任者と担当者を任命し、作業範囲を明確に割り振ります。また、マニュアルを作成しておくことも、作業を円滑に進めるために必要です。
2.棚卸しの方法の選定
棚卸しには大きく分けて2つの種類があります。
実地棚卸し
現場で実際の在庫を確認する方法で、最も確実です。手作業で行うため、時間と労力がかかりますが、正確な結果が得られます。
帳簿棚卸し
在庫管理システムや帳簿を基に在庫を確認する方法です。リアルタイムで在庫データが更新されている場合に有効ですが、システムが正確でなければ誤差が生じる可能性があります
帳簿棚卸しには、さらに2つの種類があります。
リスト方式
事前に作成された在庫リストを元に、実際の在庫と照合する方法です。正確なリストが必要ですが、効率よく作業を進めることができます。
タグ方式
各商品にタグを付け、その数量を記録する方法です。実物を確認しながら作業を進めるため、数え間違いが起こりにくいというメリットがあります。
3.実施日とスケジュールの計画
棚卸しは、業務を止めて一斉に行う「一斉棚卸し」と、業務を続けながら少しずつ行う「循環棚卸し」の2種類があります。一斉棚卸しは短時間で終わるメリットがありますが、業務停止による機会損失がデメリットです。循環棚卸しは時間がかかる一方、業務を続けながら実施できるため、負担が分散されます
4. 在庫の計測と仕分け
実際に在庫を数え、同時に不良在庫(劣化したり、使えなくなった在庫)と正常な在庫を分けます。この作業は、在庫の品質管理にも役立ち、次の仕入れ計画や保管方法の見直しに繋がります。
5. 棚卸し結果の評価
在庫数を確認した後、その在庫の金銭的な評価を行います。評価方法には、「原価法」と「低価法」があります。原価法は仕入れた際の金額で計算し、低価法は期末の時価と比較して低い方を採用します。
6.棚卸しの結果を報告
棚卸しの結果を帳簿に反映し、必要な調整を行います。また、差異が発生した場合、その原因を特定し、再発防止策を講じることも重要です。棚卸しは、正確な在庫管理や経営判断に欠かせない重要な作業です。効率化のためにデジタルツールの導入も検討すると良いでしょう。棚卸し作業は計画的に進め、担当者間の連携をしっかり行うことで、スムーズに進められます。
棚卸し在庫の評価計算法
棚卸し在庫の評価は、企業の財務状況を正確に反映するために非常に重要です。在庫の数量だけでなく、その在庫がどれだけの価値を持っているのかを正しく計算することが、財務報告や経営判断に直結します。以下では、棚卸し在庫の評価方法について、具体的なポイントごとに解説していきます。
1.評価の時期とタイミング
棚卸し在庫の評価は、通常決算時に行われますが、業種や企業の規模によっては、四半期ごとや月次での評価を行う場合もあります。例えば、在庫の動きが激しい小売業や飲食業などでは、定期的に在庫を評価することが必要です 。
2. 評価の重要性
適切な棚卸し在庫の評価は、企業の財務状況を正確に反映するため、非常に重要です。正確な在庫評価ができないと、資産の過大評価や過小評価につながり、経営判断や投資判断に悪影響を与える可能性があります。また、税務上も正確な在庫評価が必要です。過大な在庫評価を行うと、利益が実際よりも多く見積もられ、過大な税負担を招くことがあります 。
次に、具体的な評価方法について解説します。棚卸在庫の評価計算法は主に2つあります
- 原価法
- 低価法
順番に解説します。
1.原価法
原価法は、在庫を仕入れた時点での価格を元に評価する方法です。これは、在庫の購入価格をそのまま評価額として用いるため、計算が比較的簡単で広く使われています。たとえば、ある商品を1個10円で100個仕入れた場合、その在庫の評価額は 1000円 となります 。
この方法は、特に価値が変動しにくい在庫に適していますが、商品の価値が変動する場合には適切ではないことがあります。例えば、保管している間に市場価格が下がった場合でも、原価で計上するため、実際の価値とずれが生じることがあります 。
2.低価法
一方で、低価法は、仕入れ時の原価と、期末時点での時価を比較し、より低い方の価格を評価に用います。この方法は、在庫の劣化や市場価格の変動に対応できるため、在庫が経年劣化する商品や、ニーズが下がりやすい商品に向いています。
例えば、商品を10円で仕入れたが、期末時点でその価値が8円に下がった場合、この低い8円を評価額として計上します。このように、低価法を使用することで、棚卸し資産の評価が現実的な価値に近づくため、財務諸表に与える影響を小さくすることができます 。
棚卸しの注意点
棚卸しは在庫を正確に把握し、経営や財務報告の基礎を支える重要な業務です。しかし、正しく行わなければ、在庫数のズレや誤解、ひいては経営判断のミスにつながる可能性があります。この章では、棚卸しを行う際に注意すべきポイントについて解説します。
- 棚卸しのルールを統一する
- ヒューマンエラーを防ぐ
- スケジュールと担当者の明確化
- 在庫の品質を確認する
- 不良在庫の処理
- コスト管理の意識
これらのポイントを意識する必要があります。順番に解説します。
1.棚卸しのルールを統一する
棚卸しを行う際は、事前にルールを統一しておくことが大切です。ルールが明確でないと、担当者ごとに数え方や記録の仕方にばらつきが生じ、正確な在庫把握ができなくなります。特に、大規模な倉庫や多品種の在庫を抱える企業では、ルールの徹底が重要です。事前に統一ルールを作成し、棚卸し前に全員に周知させることで、ミスを防ぐことができます
2. ヒューマンエラーを防ぐ
棚卸しは多くの場合、手作業が必要になるため、ヒューマンエラーが発生しやすい業務です。例えば、数え間違い、記入漏れ、計算ミスなどです。これを防ぐためには、担当者を複数名にしてクロスチェックを行うことや、棚卸し専用のデジタルツールを活用することが効果的です。デジタル化により、バーコードやQRコードを使用して自動でデータを集計できるシステムを導入すれば、ミスを大幅に減らすことができます
3.スケジュールと担当者の明確化
棚卸しを円滑に進めるためには、スケジュールの事前設定と担当者の割り当てが不可欠です。棚卸し作業には時間がかかるため、事前にスケジュールを調整し、担当者ごとの役割分担を明確にしておくことで、効率的に作業を進められます。また、企業によっては通常業務と並行して棚卸しを行うことが求められるため、過剰な負担がかからないような配慮も必要です。
4.在庫の品質を確認する
棚卸しの際は、単に数量を数えるだけでなく、在庫の品質や状態も確認することが重要です。特に、長期間保管している商品や劣化しやすい商品に関しては、品質の低下が販売機会の損失につながる可能性があります。定期的な棚卸しを通じて、不良在庫や使用期限切れの在庫を特定し、適切な対処を行いましょう。
5.不良在庫の処理
棚卸しを行う際には、不良在庫の処理も忘れずに行いましょう。劣化して売り物にならない商品や、ニーズがなくなって動かなくなった在庫は、評価額を適切に見直す必要があります。これを放置していると、資産として過大評価され、結果として利益の過大計上や不正確な財務報告につながる可能性があります。
6.コスト管理の意識
棚卸し作業には、人的コストや時間的コストが発生します。そのため、できる限り効率化を図ることが重要です。棚卸し専用のシステムやツールの導入によって、作業の効率を上げ、コストを最小限に抑えることが求められます。また、定期的に棚卸しを実施することで、過剰在庫の発生を防ぎ、コスト削減に繋げることが可能です。
棚卸しをしないことで起こる問題
棚卸しは、企業の在庫管理や財務報告において非常に重要な役割を果たします。棚卸しを行わない、あるいは正確に実施しないことで、さまざまな問題が発生します。この章では、棚卸しを怠ることで生じる様々な問題について紹介します。棚卸しを怠ることで、主に5つの問題が生じます。
- 財務報告が不正確になる
- 在庫過剰や欠品の発生
- コストの増加
- 財務面でのリスク
- 不良在庫の発見が遅れる
順番に解説します。
1.財務報告が不正確になる
棚卸しを行わないと、企業の財務報告において正確な在庫情報が反映されなくなります。特に決算期に在庫の確認ができていない場合、資産の過大評価や過小評価が発生し、利益や損失が実際とは異なる形で報告される可能性があります。これにより、株主や投資家に誤ったメッセージを送ることになり、信頼を損なう恐れがあります
2.在庫過剰や欠品の発生
棚卸しを怠ることで、過剰在庫や欠品が発生しやすくなります。例えば、実際の在庫数を把握していないため、必要以上の在庫を発注してしまったり、販売機会を逃してしまったりします。これらの問題は、経営効率を低下させるだけでなく、顧客満足度の低下や機会損失につながる可能性があります。
在庫過剰や欠品を防ぐには、正確な在庫管理が重要になります。在庫管理について知りたい方は、以下の記事をご覧ください
3.コストの増加
棚卸しを行わないと、適切な在庫管理ができなくなり、不要なコストが発生します。例えば、過剰在庫がある場合、その保管コストや管理コストが増加します。在庫の管理には多くのコストが必要になるため、無駄な在庫を保有しないことが非常に大切になります。
4.財務面でのリスク
棚卸しを行わないことで、税務面でもリスクが生じます。特に、正確な在庫評価が行われていない場合、税務申告において誤った利益や損失が計上される可能性があります。これにより、税務調査で指摘を受けるリスクが高まり、過剰な税負担や罰金の支払いを求められることもあります。
5. 不良在庫の発見が遅れる
定期的に棚卸しを行わないと、不良在庫や劣化した商品の発見が遅れる可能性があります。例えば、使用期限が切れている商品や、破損して販売できない商品が倉庫内に長期間放置されてしまうと、価値のない資産としてカウントされ続け、財務状況が悪化する原因となります。
正確に在庫管理を行うために
棚卸しは、在庫管理や財務の適切な運営において不可欠な業務です。棚卸しをしないと、財務報告が不正確になるだけでなく、過剰在庫や欠品が発生しやすくなり、コストの増加につながってしまいます。また、在庫の品質や状態の確認を怠ると、不良在庫が増え、企業の資産が過大評価される危険もあります。定期的な棚卸しを行い、正確な在庫状況を把握することで、コストの削減や経営判断の精度を向上させることが可能です。
この記事を参考にして、正確に棚卸しをして頂ければ幸いです。
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