手書きや非定型の帳票も高精度でデータ化 AI-OCRでデジタル化を加速する
最終更新日:2025/09/01
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『デジタル化の窓口』は、この国のデジタル課題「2025年の崖」に備えるため2022年にサービスをスタートしました。1,500以上のIT製品、4,000以上の導入事例を掲載し、特長・選び方を分かりやすく整理して解説することで、自社に最適な製品・サービスを見つけるお手伝いをする紹介サービスです。
目次
デジタル技術を活用して、業務効率化や新しい価値を創出するDXの取り組み。その第一歩は、社内に残っている手書きメモや紙に印刷された伝票類を、デジタルで利用可能になるようデータ化することだ。そのために必要なツールの1つがOCR(光学文字認識)だが、最近はAI技術を活用したAI-OCRの活用が進んでいる。従来のOCRでは難しかった手書き文字や、様々なレイアウトの帳票も高い精度で読み取ってデータ化してくれる。ASAHI Accounting Robot 研究所が提供する「AISpect」は、シンプルな操作で非定型帳票の読み取りにも対応しながら低価格で利用できるAI-OCRとして高い評価を得ている。同社の鈴木達也氏に聞いた。
生成AIの活用で読み取り後の作業も指定できる
実際のところ、AI-OCRについては各社から製品が販売されているが、税理士法人あさひ会計を母体とする同社が、なぜAISpectの開発にいたったのか。鈴木氏は「もともと、弊社でも他社のAI-OCRサービスを導入していたのですが、読み取りで苦労したり操作方法が複雑で、なかなか現場に導入できないといった悩みがありました。特に会計業務では、会社ごとに様々な書式の伝票を処理する必要があるのですが、他社のOCRではなかなかうまくいきませんでした。それらの課題を改善するために、様々な帳票の読み取りが可能で、誰でも使えるシンプルなUIを持つAI-OCRを目指して自社で開発したのがAISpectです」と振り返る。
まずは、自社業務において使いやすいものを作る。それが、結果的に他社製品との差別化を生み出したようだ。「当時のAI-OCRは、手書き文字の読み取りに力を入れた製品が多かったのですが、われわれは特に活字の読み取りにフォーカスを当てて開発しました。もちろん、手書きの精度も他社と比べて遜色はありませんが、AISpectの場合は、特に会計業界で多いFAXで送られてくる注文書や資料などの読み取りに大きな強みを発揮します」(鈴木氏)

実際、AISpectはどのように多様な帳票の読み込みに対応するのか。例えば、あらかじめ用意されたAIモデルを使用する標準版の他に、帳票ごとに専用のAIを開発することで任意の項目や複雑な書類の読み取り、そして読み取り結果の自動連結までが可能なカスタマイズ版も用意されている。「カスタマイズ版では学習に基づき、どの帳票なのかをAIが自動で判定するため、人が事前に帳票の仕分けを行う必要がなく、複数の帳票を一括で読み取ることができます」(鈴木氏)
また、最近はAI-OCRの機能に生成AIを活用した製品も多い。AISpectのアプローチは、自由にプロンプト(命令文)を書いて、抽出したい項目や補正を行いたい内容を指示できるようにすることだ。「実際の業務では文字を読み取らせた後に、レイアウト変換などの作業が必要になる場合がほとんどです。そこに生成AIを活用することで、『値が異なっている場合は修正して』『AとBの項目が合致しているかチェックして』と指定するなど、一歩進んだ活用が可能になります」(鈴木氏)
AI-OCRで図面の読み取りと自動修正も可能に
AISpectの導入ユーザーからの声として、FAXの読み取りについて特に評価が高いと鈴木氏は説明する。「全国に展開している支店からの情報が、月間数万枚近くFAXで送られてくるお客様がいらっしゃるのですが、その際に少しずつ異なるフォーマットの帳票が送られてくるので、定型で読み取りを行うと正しく読めないという問題がありました。それがAISpectでは、ほぼ読み取れるということで、大変喜ばれています。逆向きにしてFAXで送られてくる帳票も、AIが判断して自動で回転させるプログラムも開発しました」(鈴木氏)
また、AISpectは図面の読み取りにも強みを発揮する。「製造業の事例では、昔ながらの手書き図面から最新のCAD図面まで、多様なレイアウトで送られてきた図面データをAISpectで読み込ませることで、全て同一レイアウトで出力させるような活用の仕方もあります。他にも建設会社の図面では、縦書きだったり横書きだったりで記載されている寸法の情報などをAISpectで解析して、1つのレイアウトに統一して転記し直す事例もあるなど、非定型の読み込みに強みを発揮しています」(鈴木氏)
さらに、AISpectが多様なフォーマットのデータに対応していることも、大きな強みになっているという。「例えば、アップルが採用している画像フォーマットのHEIF形式にも対応しているので、iPhoneのカメラで撮ったレシートなども読み取れます。実際に、ある町の商店街のキャンペーンで、レシートを写真でアップロードして懸賞に応募するような企画のバックグラウンドでAISpectを使っていただきました。それによって、応募者が持つスマートフォンに対応できました。また、ペーパーレスを推進する会社で導入実績が多い、富士フイルムBI社が提供するDocuWorksフォーマットにも対応しています」(鈴木氏)
このように、様々な用途で利用できるAISpectの強みはまだまだある。ウェブ画面上で読み取りたいファイルをドラッグ&ドロップするだけで、結果がパソコンにそのままデータ保存される。そうしたシンプルな操作性に加えて、低価格で利用できることも大きな強みだ。「一般的なAI-OCRは月額3万円ほどの固定費用がかかり、それに加えて項目単位でも課金されるサービスが多いと思います。特に項目単位の課金だと、複雑な表を読み取ると非常に高額になってしまうこともありますが、AISpectは枚数単位での課金になっているので、そうした心配もありません」(鈴木氏)

最先端技術とお客様の橋渡しをしたい
文字や図形などのデータ化は、デジタル活用の入り口として重要だ。今後はAI活用の入り口にもつながっていくと見られる。「今はAIを使って、具体的に何か業務改善をしなさいと言われても、イメージが湧かない人も多いと思います。でも、紙の帳票や資料が多くて困っていると悩んでいるお客様のもとに伺って、目の前でAI-OCRを使ってデータ化を試してみると、これもできないかあれもできないかと話がどんどん進んでいきます。われわれとしても、それをデジタルやAI活用のファーストステップにしていただければ、ありがたいと思っています」(鈴木氏)

一方で、AIの進化は予測できない部分がある。今後もAISpectがAIを有効活用していくにあたっては、どんなことが重要になるのか。「AIはGPT-4oからGPT-4.1にバージョンアップした際に、かなりの進化を遂げました。このまま進化が続けば、専門家が予測しているように、2027年にはシンギュラリティが自然発生しているかもしれません。そうなると、AI-OCRを使わなくてもそのまま生成AIでなんでも読み取れるようになってしまう可能性もあります。そうなった時にわれわれが生き残るには、やはり誰でも簡単に使えるUIや、細かな気配りなどで、現場で使いやすいものにしていく必要があると感じています」(鈴木氏)
鈴木氏は、「どんなにいいものを作ったとしても、それを使う人がいなければ、埋もれてしまいます。だからこそ現場を大切にして、いかに使っていただくかを常に考えています」と、ユーザー目線の重要さを語る。「このような最先端の技術を、いかに身近に感じてもらえるか。私たちは、最先端技術とお客様との橋渡しをする役割を担いたいと思っています。だからこそ、みなさんがAIを使えるようになるためにできることを、どんどんやっていきます」(鈴木氏)
◎記事で取り上げられているのAISpect詳しい情報こちら
株式会社ASAHI Accounting Robot研究所のAISpectは、生成AIを活用し非定型帳票の読み取りに対応したAI OCRです。OCR読み取り操作は、ドラッグアンドドロップだけで行うことができ、AIの読み取りが完了したら、指定したフォルダに自動でファイルが保存されます。AISpectは非常に高い識字率を有しており、FAXや写真のOCRにも活用されています。1枚の画像に複数の証票がスキャンされている場合も読み取りが可能です。業種・業務ごとの個別ニーズにも柔軟に応え、既存帳票の再現やカスタマイズも行うことができます。 製品のおすすめポイント
1
OCR読み取りはドラッグアンドドロップで簡単 AIspectは生成AIを活用し非定型帳票の読み取りに対応したAI OCRです。シンプルなUIながら、帳票の細かなレイアウト調整や複雑なデータ連携も可能で、業務に即した帳票をスピーディーに作成できます。OCR読み取り操作は、ドラッグアンドドロップだけで行うことができます。
2
OCRの枠を超え、アナログ書類のデジタルデータ化を支援 生成AIによる読み取り項目の指定、RPAによる後続処理の自動化など、AI OCRの枠を超え、あらゆるアナログからのデジタルデータ化を支援します。Power Automate for desktop との連携に対応やフォルダ監視オプションによる自動化も実現し、様々なニーズへの対応できます。
3
ルールに応じたカスタマイズや帳簿またぎも可能 既存帳票の取り込みや、ユーザー独自のルールに応じたカスタマイズにも対応可能です。ページまたぎにも対応していたり、帳票の仕分けも自動化できます。帳票レイアウトの自由度が高く、独自エンジンとの連携も可能なため、自社システムにフィットする帳票環境を構築できます。
ソフト種別
クラウド型ソフト
基本的な機能
帳票種類分け(タグ付け)
英語対応
縦書き対応
自動補正機能
非定型帳票対応
手書き文字対応
画像読み取り
準定型帳票対応
撮影画像対応
Excel変換
PDF編集
RPA連携
推奨環境
PCブラウザ Windowsアプリ
サポート
メール
トライアル
有り
最低利用期間
なし
よく導入している業種
卸売
製造
小売・流通
建設
株式会社ASAHI Accounting Robot 研究所
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