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国産ノーコードOSSで実現する、業務アプリケーション開発

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最近は様々なシステムにおいて、ノーコードやローコードによる開発が可能なアプリケーションが増えてきた。これらは、プログラミングの専門的な知識がなくてもGUI(画面操作)を活用したマウス操作のみでシステム開発が可能で、ITエンジニア不足の中、非IT人材でもデジタル化を推進できるツールとして注目を集めている。インプリムが開発・提供するOSS(オープンソースソフトウェア)のノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」も、Webブラウザで利用可能なデータベース型の業務アプリを手軽に作成できるツールとして幅広い分野に浸透している。代表取締役社長の内田太志氏に聞いた。

ソースコードも公開しているフリーソフトでシステム構築をサポート

DXが進んでいない企業においては、顧客管理や案件管理、問い合わせ管理などの業務も、Excelで行っているケースが多いだろう。こうした管理業務を、エンジニアに依存せず短期間でWebアプリとして構築できるのがプリザンターだ。内田氏はプリザンターの特徴について、「管理業務のWebアプリ化に加え、ワークフローやファイルの管理、お知らせ配信などExcelではできない機能も備えており、チームで行う業務を効率化するアプリケーションが作れます」と説明する。

プリザンターは、ソースコードを公開しているオープンソースソフトウェアであり、無料で使えるフリーソフトであることも強みになっている。また、オンプレミスでの利用も可能なため、「金融機関や自治体、病院など、外部ネットワークの利用に制約がある場合でも、クラウドと比べて安心して利用できることから、プリザンターを選ばれるケースが増えています」と、内田氏は語る。

一方で、OSSの場合、一般的に海外で開発されたものがほとんどだ。「特に、こうしたツールを国内でOSSとして事業化できている例は、あまり多くないと思います。でも、プリザンターは国産であるからこそ、日本語の扱いにも違和感のない、使い勝手のよいツールになっています」(内田氏)

インプリム 代表取締役社長 内田 太志 氏

自社で動作環境を構築すれば、完全無料で制限なく全機能が使えるプリザンターだが、どのようにマネタイズしているのか。その点について、内田氏は「実際に使い始めると良さが分かるので、どんどん使い込んでいくようになります。それによって業務に関わるデータが溜まっていき、さらにシステムとしての重要性が増します。そうやって、最終的には有償サポートを受けるようになったり、周辺ソリューションの購入などにもつながっていきます」と説明する。

さらに、プリザンターはレスポンスの速さとカスタマイズ性の高さから、SIerからの評価も高い。「プリザンターは、ExcelのVBA機能のようにスクリプトを使って自由に拡張できます。現在約130社以上のパートナー企業が、プリザンターをベースにお客様の業務アプリケーションの開発や運用をサポートしており、そこもマネタイズにつながっています」(内田氏)

Webアプリでありながらエクセルのようにシンプルな画面なので、操作に迷ったりすることがない。マウス操作だけで素早く簡単にアプリを作って、すぐに使える。(https://pleasanter.net/より)

オンプレミスによるセキュアな活用が強みに

プリザンターは情報システム部門の担当者がいろいろと情報を収集して、とりあえず無料だからと使い始めるケースも多いという。「そうした場合、稟議申請の必要もなく現場の裁量だけで導入され、気がつくと様々な業務で使われるようになっています。したがって、他社の製品とコンペになるようなこともあまりありません」(内田氏)

ある病院における導入事例では、電子カルテは導入しているが、それ以外のシステムについては予算が付きにくく、自分たちで業務システムを開発する必要に迫られていた。そうした中で、プリザンターのノーコード・ローコードによるシステム開発に注目。「自らプリザンターで電子カルテと直接連携する仕組みを開発し、訪問医療のタスクやスケジュール管理、医師のアサインなどをシステム上で行うようになりました。病院なので、オンプレミスで活用できることも選択の条件でした」(内田氏)

他にも金融機関の事例では、窓口業務の担当者を減らすために受付業務だけに集中させ、通帳の確認などセンターへの問い合わせが必要な業務をシステム化しようとしていた。「当初はSaaS型のノーコードツールへの移行を検討されていたのですが、やはり日頃から多くの個人情報を扱っているのでクラウドでは難しいということになりました。結局、カットオーバーの3カ月前くらいに私たちに相談が来ることになり、プリザンターで1カ月くらいでアプリケーションが開発できたので、短期間でのシステム導入で感謝いただきました」(内田氏)

プリザンターを海外でも通用するツールに

Excelは汎用ツールだが、内田氏は「苦手な領域がいくつかあります」と説明する。「その1つが履歴の管理で、過去がどうだったのかが追いづらい。またワークフローが組めないので、データを修正したら次の担当者にメールを送って作業を引き継ぐといったこともできない。特定の行や列だけ閲覧や更新を許可するといったアクセス制御もできません。プリザンターには、そうした課題を解決するための機能が備わっているため、Excelから移行いただく際のモチベーションになっています」

Excelによる管理業務は、「必要なデータを人間がコピーアンドぺーストして貼り付ける作業が、結構なストレスになっています」と内田氏は説明する。「そこが解決できなければ、デジタル化はできたとしてもシステム化ができていないのです。きちんとシステマティックに業務が流れるようになれば、データ内容や業務手順が変更されても追従できるようになります。Excelではそれが難しかったので、プリザンターの導入がDXを大きく進化させると思います」

有償サポートにおいても、「お客様からある業務をシステム化したいと相談された際には、本当にそのやり方が業務全体にとってメリットがあるのだろうかという視点で、評価することが重要と思っています」と内田氏は語る。「全体像から見ると、こっち側の業務をなくして別の業務を持ってきた方がいいんじゃないですかと、業務改善そのものに踏み込んでいきます。また、ツールさえ入れれば業務がはかどると考える人も多いので、そこをきちんとサポートしていくことも私たちの役割と感じています」

プリザンターの元となるシステムは、内田氏がインプリムを創業する前の富士通グループ在籍時に、社内のエンジニアがExcelやメールで苦労していた現状を改善するために自ら開発したという。今後について内田氏は、「同じようなOSSプロダクトとの、協業を目指しています。様々なプロダクトと連携することで、OSSだけでのシステム化を訴求していければと考えています」と語った。

さらに、内田氏はプリザンターを海外に広げていくことにも、力を入れたいという。「プリザンターを国内だけで展開するのではなく、世界的に認められるOSSになりたいという気持ちがあります。そもそも、プリザンターはデータを溜めるプラットフォームなので、時代に左右されず長く使われていくアプリケーションになれると思っています。これからも挑戦を続けていきます」

 

プリザンター


https://pleasanter.org

株式会社インプリム
https://implem.co.jp/

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