Web請求書システム比較10選｜失敗しない選び方を3軸で解説【2025年最新】

毎月の請求書発行のためにどのくらいの時間をかけていますか？Excelでの手作業による請求書作成や、目視での入金確認に多くの時間を奪われていないでしょうか。2023年10月から始まったインボイス制度への対応も加わり、従来のやり方では限界を感じている経理担当者の方は少なくありません。

この記事では、そんな請求書業務の悩みを根本から解決する「Web請求書システム」について、企業の規模や課題に合わせたおすすめのシステム10選を徹底比較します。自社に最適なシステムを見つけ、業務効率化への第一歩を踏み出しましょう。

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1. Web請求書システムが解決する3つの課題

「毎月の入金確認が大変」「法改正への対応が不安」という担当者の方も、多いのではないでしょうか？
それは業務のやり方を見直すサインかもしれません。手作業での請求書業務は、時間やコストがかかるだけでなく、ミスが起こりやすい状態です。

Web請求書システムは、単に紙をデータ化するツールではありません。請求書の発行から入金管理まで、面倒な業務フローそのものを自動化し、根本的な課題を解決する「システム」です。まずは、多くの企業が抱える3つの課題から見ていきましょう。

課題①：時間とコストのかかる「発行・郵送」業務

紙の請求書発行は、印刷・封入・郵送といった手作業の連続で、多くの時間とコストを奪います。請求書の枚数が増えるほど、担当者の負担は大きくなる一方です。

例えば、請求書1通を発行するのにどれくらいのコストがかかっているかご存知でしょうか。

この試算に基づくと、月100通の請求書を送るだけで、年間約17万円以上のコストと約40時間もの作業時間が発生しています。Web請求書システムを導入すれば、この発行・郵送プロセスが自動化され、これらのコストと時間を大幅に削減できます。

課題②：確認漏れが起こりがちな「入金管理・消込」

請求書を発行した後には、「消込（けしこみ）」という、さらに手間のかかる作業が待っています。これは、発行した請求内容と銀行への入金記録を一つひとつ目で見て確認する作業です。

手作業による消込には、以下のような問題がつきものです。

• ミスが起こりやすい： 振込名義が違ったり、複数の請求がまとめて入金されたりすると、確認漏れや入力ミスが起こりがちです。
• 発見が遅れる： 作業に時間がかかると、未入金の発見が遅れ、会社の資金繰りに影響する可能性があります。
• 催促がストレス： 未入金の取引先へ連絡するのは、精神的にも負担の大きい業務です。

Web請求書システムには、この面倒な消込作業を自動化する機能を備えたものもあります。ミスなく、スピーディーに入金状況を把握できるため、担当者の負担を軽くし、健全なキャッシュフローを維持します。

課題③：待ったなしの「法改正への対応」

近年、経理に関するルールは大きく変わっており、特に「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」への対応は必須です。これらに手作業で対応するのは、非常に困難です。

これらの法改正は、すべての事業者が守るべきルールです。多くのWeb請求書システムは、最初からこれらの法制度に対応しています。システムの案内に沿って操作するだけで、自然と法令に準拠した運用ができるため、法改正のたびに慌てる必要がなくなり、安心して本来の業務に集中できます。

2. 失敗しないWeb請求書システムの選び方｜3つの比較軸

Web請求書システムと一口に言っても、その機能や価格は多種多様です。「どれを選べば良いか分からない」とならないために、自社の状況と照らし合わせながら、システムを評価する「軸」を持つことが重要です。
この章では、自社に最適なシステムを見つけるための具体的な3つの比較軸をご紹介します。

比較軸①：企業の規模で選ぶ

まず考えるべきは、自社の企業規模です。個人事業主と大企業とでは、請求書業務に求める機能や価格帯が大きく異なります。自社の規模に合わないシステムを選ぶと、「機能が多すぎて使いこなせない」「必要な機能が足りない」といったミスマッチが起こりがちです。

次の表では、企業規模ごとに重視すべきポイントを比較しています。

この比較から分かるように、まずは自社がどの規模に該当し、‟何を最も重視すべきか”を明確にすることが、失敗しないシステム選びの第一歩です。

比較軸②：効率化したい業務範囲で選ぶ

次に、「請求書業務のどこを、どこまで効率化したいか」という目的を明確にしましょう。Web請求書システムは、大きく2つのタイプに分けられます。自社の課題がどちらのタイプで解決できるかを見極めることが重要です。

• 発行特化型： とにかく請求書の発行・送付の手間をなくしたい企業向け
• 入金管理強化型： 請求書発行後の入金確認や催促まで自動化したい企業向け

下の表で、それぞれのタイプの特徴を比べてみましょう。

もし「まずは請求書を送る手間をなくしたい」のであれば発行特化型、「請求後の面倒な作業もまとめて効率化したい」のであれば入金管理強化型が、それぞれ候補の中心となります。

比較軸③：システム連携で選ぶ

最後に、現在利用している他のシステムと連携できるかを確認しましょう。特に会計ソフトや販売管理システムと連携できれば、データを二重入力する手間がなくなり、業務効率は飛躍的に向上します。

連携方法には、主に「API連携」と「CSV連携」の2種類があります。

• API連携： システム同士が直接データをやり取りする方法。リアルタイムで情報が同期され、手作業が不要です。
• CSV連携： 一方のシステムから出力したデータファイル（CSV形式）を、もう一方のシステムに取り込む方法。手動での作業が必要になります。

それぞれの連携方法のメリット・デメリットを以下の表で整理します。

請求書の発行枚数が多い場合や、経理業務全体をシームレスに繋げたい場合は、API連携に対応しているシステムを選ぶのが理想的です。自社で利用中のソフトが、検討しているWeb請求書システムとAPI連携可能か、必ず事前に確認しましょう。

3. 【規模別】おすすめWeb請求書システム10選

ここからは、前章で解説した3つの比較軸に基づき、企業の規模別に具体的なおすすめWeb請求書システムを紹介します。それぞれのシステムが持つ特徴を比較し、自社に最適な選択肢を見つけるための参考にしてください。

【個人事業主・小規模法人向け】低コストで始められるシステム3選

まずは、個人事業主や設立間もない法人など、スモールビジネスを展開する方におすすめのシステムです。コストを抑えつつ、請求書業務の基本をしっかり効率化できる、操作の分かりやすさに定評のある3つのサービスを比較します。

Misoca

「Misoca」は、会計ソフトで有名な弥生株式会社が提供するクラウド請求書作成ソフトです。シンプルな画面で、見積書・納品書・請求書を直感的に作成できます。特に、同社の会計ソフト「弥生会計」との連携がスムーズで、請求業務から会計処理までを一気通貫で行いたい個人事業主の方に最適です。有料プランの全機能を1年間無料で試せる「初年度無償キャンペーン」も魅力です。

INVOY

「INVOY」は、請求書の発行だけでなく、受け取りや支払い管理といった基本的な機能をすべて無料で利用できる点が最大の特徴です。コストをかけずに請求書業務の電子化を始めたいと考えている方に最適なサービスと言えるでしょう。操作画面も非常にシンプルで分かりやすく、ITツールに不慣れな方でも安心して導入できます。郵送代行など、一部サービスは有料オプションとして提供されています。

請求QUICK

「請求QUICK」は、SMBCグループのSBIサーブウィング株式会社が提供するサービスです。月50通までの請求書発行に加え、銀行口座と連携した入金消込、会計ソフト用の仕訳データ作成までが無料で利用できます。金融機関グループならではの信頼性の高さもポイントです。まずは無料で請求業務全体を効率化してみたい、というニーズに高いレベルで応えてくれます。

【中小企業向け】機能と価格のバランスが良いシステム4選

次に、事業が成長軌道に乗り、請求書の発行枚数が増えてきた中小企業におすすめのシステムです。請求書発行の効率化はもちろん、会計ソフト連携や入金管理など、経理業務全体の生産性向上に貢献する、機能と価格のバランスに優れた4つのサービスを紹介します。

マネーフォワード クラウド請求書

「マネーフォワード クラウド請求書」は、会計、経費精算、給与計算など、バックオフィス業務を幅広く支援する「マネーフォワード クラウド」シリーズの一つです。最大の強みは、シリーズ内の他サービスとのシームレスなデータ連携です。請求書を発行すると、その内容が自動で会計ソフトに仕訳として反映されるため、転記作業が不要になり、経理業務全体を大幅に効率化できます。

freee請求書

「freee請求書」も、クラウド会計ソフトで高いシェアを誇るfreee株式会社が提供するサービスです。見積書から請求書への変換、売掛金の管理、そして「freee会計」への自動仕訳登録まで、一連の流れがスムーズに行えるよう設計されています。UI（操作画面）が直感的で分かりやすいと評判で、経理の専門知識がない方でも使いやすい点が特徴です。

MakeLeaps

「MakeLeaps」は、リコーグループの企業が提供するクラウド型請求管理サービスです。請求書作成はもちろん、承認フローの設定やチームメンバーの権限管理など、複数人での利用を前提とした機能が充実しています。企業の成長に合わせてプランを柔軟に変更できるため、将来的な事業拡大を見据えている中小企業に適しています。

board

「board」は、特にIT業やコンサルティング業など、案件単位で業務を進める中小企業に最適な業務管理システムです。見積作成から請求、入金管理、さらには案件ごとの原価管理や損益計算までを一元管理できます。請求業務の効率化だけでなく、経営状況をリアルタイムで可視化し、的確な経営判断をサポートします。

【大企業向け】内部統制とセキュリティに強いシステム3選

最後に、従業員数が多く、複数の部署で請求書業務を行う大企業向けのシステムです。厳格なセキュリティ要件や複雑な承認フローへの対応、既存の基幹システムとの連携など、大企業に求められる高度な要件を満たす3つのサービスを紹介します。

楽楽明細

「楽楽明細」は、株式会社ラクスが提供する電子請求書発行システムで、導入社数も多くトップクラスのシェアを誇ります。請求書だけでなく、納品書や支払明細など、あらゆる帳票を電子化できるのが特徴です。現在利用中の販売管理システムや自社開発システムを改修することなく、CSVファイルやPDFを取り込むだけで簡単に連携できるため、既存の業務フローを大きく変えずに導入できます。

請求管理ロボ

「請求管理ロボ」は、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、特に毎月定額の請求が発生するサブスクリプションビジネスや、継続的な取引が多い企業に強みを持つシステムです。請求書の発行から集金、消込、催促までの一連のプロセスを完全に自動化します。決済システムとの連携も強力で、クレジットカード決済や口座振替など、多様な決済手段に対応できる点も大きな特徴です。

intra-mart（イントラマート）

「intra-mart」は、NTTデータ イントラマートが提供するシステム共通基盤（ワークフロー/BPM）です。単体の請求書発行システムとは異なり、企業のあらゆる業務プロセスをデジタル化するためのプラットフォームであり、その一機能として請求書業務の電子化・自動化を実現します。独自の承認フローや他システムとの複雑な連携など、自社の業務に合わせて徹底的に作り込みたい大企業向けのソリューションです。

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4. 【課題別】あなたの企業に合うWeb請求書システムはコレ！

この章では、より具体的な課題や目的にフォーカスし、「あなたの会社に最適なのはこのシステム」という答えを提示します。各システムがどのような悩みを解決してくれるのか、導入後の姿をイメージしながら読み進めてください。

4-1. 会計ソフトと連携し経理を丸ごと効率化したいなら

すでに「マネーフォワード クラウド会計」や「freee会計」といったクラウド会計ソフトを利用している、あるいはこれから導入を検討している場合、請求書システムとの連携は必須です。請求書を作成しただけで会計帳簿への記録（仕訳）が自動で完了すれば、転記ミスや二重入力の手間がなくなり、経理業務全体が劇的にスピードアップします。

4-2. とにかく請求書の発行・送付の手間をなくしたいなら

毎月の請求書発行件数が多く、「印刷して、三つ折りにして、封筒に入れて、切手を貼って…」という作業に多くの時間を費やしているなら、「発行特化型」のシステムがおすすめです。これらのシステムは、Webでの一括送信はもちろん、取引先の希望に応じて郵送を代行してくれる機能も充実しており、担当者を単純作業から解放します。

4-3. 請求〜入金消込・催促まで自動化し債権管理を強化したいなら

「入金されたかどうかの確認が大変」「未入金の取引先への催促が精神的に辛い」
このような悩みには、「入金管理強化型」のシステムが効果的です。銀行口座と連携して入金消込を自動化し、支払い遅延のある取引先には自動で催促メールを送ることで、担当者の負担を大幅に軽減し、健全なキャッシュフローの維持に貢献します。

4-4. まずは無料で始めたい・コストを抑えたいなら

「Web請求書システムを試してみたい」「事業を始めたばかりで、なるべくコストは抑えたい」
このような方には、無料プランが充実したシステムがおすすめです。基本的な請求書作成・発行機能は無料で十分に利用できるため、スモールスタートに最適です。

4-5. 複雑な承認フローや内部統制に対応したい大企業なら

複数の部署や担当者が関わる大企業の請求書業務では、「誰が、いつ、何を承認したか」という記録（ワークフロー）をシステム上で管理し、内部統制を強化することが不可欠です。また、会計システムや販売管理システムといった既存の基幹システムとの連携も重要な要件となります。