
Shachihata Cloud
シヤチハタ株式会社
導入企業株式会社阪電工
承認フローの見直しと段階導入で、年間約350時間の工数と紙約115,000枚を削減

Shachihata Cloud は、シヤチハタ株式会社が提供する、電子印鑑・電子決裁・電子契約に対応したクラウドサービスです。現在の承認フローに合わせて回覧ルートを柔軟に設定できるワークフロー機能をはじめ、スケジュールや情報共有に活用できるグループウェア機能を備えています。さらに、オプションとして、電子帳簿保存法対応の文書管理機能やAIを活用した入力支援機能、主要なクラウドコンテンツ管理・ストレージサービスとの連携機能を提供しています。セキュリティ面では、IPアドレス制限や二要素認証によるアクセス制御などにも対応しています。また、営業管理や予実管理などの機能を、自社の業務に合わせてセミオーダーで構築・利用することも可能です。導入数は116万件を超え、製造業、建設業、医療・福祉、教育機関など幅広い業種で利用されています。
| 会社名 | 株式会社阪電工 |
| 業種 | 建設業(総合設備工事) |
| 概要 | 株式会社阪電工は、1946年設立の総合設備工事会社です。本社は大阪市北区にあり、兵庫県西宮市に営業所を置いています。電気設備工事を軸に、空調給排水衛生工事、電気通信設備工事、機械器具設置工事、消防施設工事を手がけ、駅や商業施設、オフィスビル、ホテルなどの新築工事からリニューアル、メンテナンスまでを企画・設計・積算・施工しています。 |
課題・導入背景
建設業界では紙の文化が根強く、株式会社阪電工でも申請者が紙の書類を上司のもとへ持って行き、承認されたら次の上司へ回す運用が当たり前でした。工事案件では見積承認や実行予算承認のために大量の書類が回覧され、修正があれば同じ案件の書類が再び回ります。日中は現場に出ている工事部門の担当者は、申請のために一度オフィスへ戻る必要があり、承認完了までは早くても2日かかっていました。回覧状況が見えないため、担当者はメールや電話で書類の所在を確認し、机の上の書類がほかの書類に紛れるおそれもありました。永久保存の書類は本社に収まりきらず、ビルの地下にも保管スペースを借りて管理しており、工事部門からの電子化の要望と、西宮営業所の開設が検討の後押しになりました。
解決策
同社は、決裁金額によって承認者が変わる回覧ルートを柔軟に組めることと、以前から使っていたBoxに承認済み書類を自動保存できることを決め手にShachihata Cloudを選びました。導入で最も苦労したのは、承認フローそのものの見直しです。専決権限に基づく承認とは別に、情報共有のために関係者へ回覧する慣例が残っていたため、会社として本当に必要な承認かを一つひとつ確かめ、必要な承認だけを残しました。運用は、承認者が少ない現場の日報から西宮営業所で先行して始め、課題を確かめながら見積書などへ広げています。社内にはオンライン説明会を2〜3回実施し、運用開始後の問い合わせには総務部と各書類の所管部署が対応しました。
結果
印刷、手渡し、回覧状況の問い合わせ、書類探しにかかっていた時間が減り、年間約350時間の業務時間削減と、年間約115,000枚のペーパーレス化につながりました。社員に配布したタブレットから現場でも申請・承認ができ、見積書を紙で回す必要がなくなったことで、顧客への提出も速くなりました。承認がどこで止まっているかを関係者全員がその場で見られるため、書類の滞留は解消されました。電子保存が進んだことで保管スペースの不足も改善しています。採用の場でも承認業務の電子化を説明できるようになり、応募者に働きやすい会社だと受け止めてもらいやすくなりました。同社は今後、紙で残っている稟議書の完全電子化を目指しています。
審査員特別賞は、特別審査員の津乗 学氏(カンター・ジャパン Senior Director、専門はテクノロジーとブランディング・企業価値)に、部門の枠を越えて選んでいただいた賞です。本事例は、1925年創業の印章メーカーであるシヤチハタ株式会社の電子決裁サービスを、紙の文化が根強い建設業の株式会社阪電工が導入したものです。同社は、専決権限に基づく承認と慣例の回覧を分けて承認フローを整理してから電子化し、日報から段階的に対象を広げました。打ち手の妥当性と成果の具体性(年間約350時間・紙約115,000枚)を備え、既存のBoxを残して運用の変化を小さくした進め方は、同じ業界の企業にも再現しやすいものです。以上の点から、審査員特別賞に選ばれました。
デジタル化の成果は、削減できた時間や紙の枚数だけでは測れません。株式会社阪電工の取り組みで私が注目したのは、承認フローを見直したうえで電子化したことが、採用の場で自社の働きやすさを語れる材料になり、企業の価値そのものを高めている点です。長年にわたり承認の「しるし」を担ってきたシヤチハタ株式会社のサービスが、紙の文化が根強い建設業の現場に定着したという組み合わせにも、ブランドと実務が結びついた事例としての意義を感じました。
津乗 学(カンター・ジャパン Senior Director)
| 会社名 | シヤチハタ株式会社 |
| 概要 | シヤチハタ株式会社は、1925年1月に創業し、2025年に創業100年を迎えた愛知県名古屋市の企業です。印章関連や筆記具など文具全般の製造・販売を行う文具印章関連事業に加え、電子決裁やバックオフィスサービスなどのIT関連事業、環境対応素材や個別認証システムなどの新規関連事業を展開しています。従業員数は767名(単体、2025年6月末現在)で、Shachihata CloudはIT関連事業の一つです。 |
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編集部コメント
承認業務の電子化で行き詰まる企業の多くは、紙の回覧ルートをそのままシステムに写そうとします。株式会社阪電工は導入前に、ガバナンス上必要な回覧かという視点で一つひとつのワークフローを見直し、承認者が少ない日報から運用を始めました。株式会社阪電工の担当者は記事公開後に「電子化の推進は私一人ではできませんでした」と語り、若い世代を含む社員の協力で今の形が成り立っていると振り返っています。編集部は、システムに載せる前に必要な承認だけを残したこの順序を、他社にも参考にしてほしいと考えます。
デジタル化の窓口 編集部